THE HONEYDRIPPER (PRESTIGE)

JACK McDUFF (1961/2/3)

THE HONEYDRIPPER


【パーソネル】

JIMMY FORREST (ts) GRANT GREEN (g)
JACK McDUFF (org) BEN DIXON (ds)
【収録曲】

(01-03) WHAP! / I WANT A LITTLE GIRL / THE HONEYDRIPPER
(04-06) DINK'S BLUES / MR.LUCKY / BLUES AND TONIC
【解説】 ( 2012年02月19日更新 / 連載 1,020回 )

 秘境に行くことになりました。 いいですよね、秘境。 卑怯者がたくさんいそうで。 …って、発想があまりにも安直過ぎるし、卑怯者がたくさんいたら、ちっともよくないような気もするんですが、で、どこの悲境にいくのかと言うと、三重県。 これ を見ると分かるように、三重県というのは無駄に南北に長かったりするんですが、都会と呼べるのは桑名や四日市といった北部の海に面した地域。 ま、百歩譲って鈴鹿まででありまして、その下の津や松阪あたりになると、何だか今ひとつ景気が悪そうで、 “不況の地” といった雰囲気。 南のほうの尾鷲やら熊野やらは “辺境の地” で、奈良県に近い山奥エリアが “秘境の地” ということになります。 何だかこう、秘教を受け継いだ山伏とかが棲息していそうなレベル。 一方、滋賀県に近い伊賀の辺りは忍者の生息地として知られているんですが、で、今回、僕が行くことになった秘境というのはですね、旧・宮川村というところです。 今では隣の旧・大台町と合併して、新・大台町の一部となっているようです。 建前上は対等合併ということになっているようですが、名前が消えちゃった宮川村が事実上吸収されたような格好でありますな。 大台町と宮川村なら、足して2で割って 「大宮町」 にしておけば遺恨を残さずに済んだと思うんですが、生憎、大台町の隣には既に同じ名前の町があったので、無理だったみたいです。 ま、その大宮町も他の町村と合併して大紀町というのになったので、“大宮” という名前は空くことになったんですが、埼玉の大宮市も合併して “さいたま市” になったので、チャンスではあったんですけどね。 ただ、大台の住民は “大台” という名前を残す選択をしたようで、それは賢明な判断だったと思うんですが、ちなみに大紀町というのは大宮町と紀勢町が合併して出来た町だったりします。 命名則としては、実に真っ当なセンスだと思いますが、実はもうひとつ大内山村というのも一緒になっていたんですなー。 大宮と大内山、2つ合わせて “山” がひとつしか残らなかったんですが、ま、宮川村みたいに名前が消滅したワケではないので、妥協して諦めるしかありませんな。

 で、大台町のどこに行くことになったのかというと、 宮川ダム 。 おお、懐かしいですなぁ。 10年ほど前に仕事で2回ほど行ったことがあるんですよね。1回目が宮川第3発電所、2回目が大和谷発電所というところだったんですが、 「秘境・大和谷をゆく」 。 そんなネタを書いたような覚えがあります。 おお、 これ ですな。 読み返してみたら、めっちゃ読みにくいし、今となっては忌まわしい過去の汚点としか言いようがない “志摩子系” だし、卑怯と不況ネタはかぶっているし、読み返さなければよかったと激しく後悔しているところなんですが、ま、記憶を呼び戻す手助けにはなったんですけど。 で、確か、宮川第3発電所へ行った時のネタもどこかにあったような気がします。 えーと…、 これ ですな。 前半はヤーコンなんっすが、後半に写真が2枚ほどあります。 道中で野良タヌキに出くわして、そいつも撮影した記憶があるんですが、残念ながらどこにあるのか見つけることが出来ませんでした。 ま、いずれにしろ、当時の僕の写真って、ショボ過ぎぃ。 そう思わずにはいられませんが、もしかしてザウルスのオマケのカメラで撮ったとか? この程度のものでも当時は 「ページが重いっ!」 と文句を言われちゃうほど、 “ISDN” が最先端だったりする回線レベルでみんな頑張っていたんですが、 こんなふうに 歌って踊ったりもしましたよね。 で、この度、よんどころのない事情により、10年ぶりくらいに仕事で宮川第3発電所に行くことになりました。 岐阜支店に転勤になってから、いつも大垣とか、養老とか、垂井とか、輪之内とか、安八とか、墨俣とか、そんな西濃地域での仕事が中心になってしまって、正直、ちょっと飽きていたので、何だかワクワク♪ 三重県の辺境やら秘境やらの地って、住むにはちょっとどうかという気がするんですが、たまに旅行気分で出掛ける分には景色のいいところが多くて、いいっ♪ …んですよねー。 食い物にも独特のモノがあったりします。 “伊勢うどん” とか “てこね寿司” とか、社会人になって仕事で伊勢や鳥羽のほうに行くようになって、初めてその存在を知ったんですが、和歌山に近いほうだと “めはり寿司” とか。 四日市トンテキとか、津ギョーザとかはどうでもいいので、こういうのをもっとアピールして欲しいところですよね。 オークワという、あっち方面でよく見掛けるスーパーに売ってる “めはり寿司” が結構好きでした。 最近、養老の大桑沿いにもオークワがオープンしたんですが、あそこにも売ってるんっすかねー? ちなみに “大桑” というのは国道258号線の別名で、 “おおくわ” ではなくて “だいそう” と読みます。大垣と桑名を結ぶ国道だから、大桑国道。 養老の大桑沿いにオークワがあって、大垣の大桑沿いにはダイソー (←100均ショップ) があって、桑名の大桑沿いには大桑病院があったりするし、大桑沿いに 道の駅・大桑 はなかったりするんですが、 Wikipedia によると、大桑と呼んでいるのは桑名市民だけみたいですな。 ちっとも知りませんでした。 ついでに名古屋と四日市を結ぶ国道23号線は “名四国道” と呼ばれているんですが、三重県民は “めいし” 、愛知県民は “めいよん” と発音している…ような気がしないでもありません。

 で、三重県の南のほうに行くには国道42号線を利用することになります。 岐阜の奥美濃のほうを走る国道156号線、通称“イチコロ”と並ぶ、縁起の悪い名前の国道でありますな。ちなみに僕の自家用車のナンバーは、この2つの国道の番号を 「いいとこ取り」 をしたような“4215”だったりします。死に苺〜♪ 毒リンゴの親戚みたいなものというイメージで覚えると、忘れなくて便利なんですが、10年ほど前まで、尾鷲方面に行くには伊勢自動車道の勢和多気インターで降りて、国道42号線をひたすら南下するというのが通例でありました。 今では 紀勢自動車道 というのが途中の紀勢大内山インターまで出来ているので、微妙に便利になったんですな。来年度中には紀北紀伊長島まで延びるみたいで、利便性が更にアップ。 で、宮川ダムに行くには大宮大台インターで降りればいいみたいです。 紀伊長島という桑名市民にも馴染みのあった町名は、海山町と合併して紀北町というのになって消えちゃったみたいですが、大内山ともども、インター名にその名残を留めることには成功したみたいです。宮川村はここでもハブられているんですが、ま、旧村内を高速が通過しているワケではないので、やむを得ませんなー。 で、旧・大台町までは高速1本で行けるようになったものの、宮川ダムまで行くにはそれからが大変。 宮川第三発電所というのがどこだったのか、まったく覚えがないんですが、大和谷のほうがより一層嫌ァな道で気が滅入ったような記憶があります。 で、ググってみたところ、国道から宮川第三発電所まで、わざわざ自転車で走った超物好きなオッサンの記録が引っ掛かりました。 これ です。 え? もしかして、ダム湖のいちばん先っちょ? こんなところまで行ったんですかね? ここ を見る限り、 「来るものを頑なに拒む立て看板」 に行く手を阻まれて、新大杉橋までたどり着けなかったっぽいんですが、発電所はその先ですよね? 何だかよく分からなくなってきちゃいましたが、とりあえず国道42号線からケッタで3時間、車でも1時間は掛かるみたいです。 車で行けるのは宮川第三発電所まで。その先は 「大杉谷」と言って、登山者しか立ち入ることの出来ない、真の秘境だったりします。 こんな感じ。 おお、凄ぇ! 滝まるけじゃん♪ 滝が大好きで、ターキー (←七面鳥) がそこそこ好きで、しらたき (←糸こんにゃく) がさほど好きではない僕としては見逃せないスポットなんですが、高いところが大の苦手である僕としては、毎年必ずと言って良いほど死亡事故も起きているような危険な谷は、ちょっと避けたいところです。 谷亮子と同じくらい避けたいです。 残念なんですが、見逃すしかありませんな、こりゃ。

 ただ、この 六十尋滝 というのだけは、発電所に向かう道から5分ほど歩くだけでたどり着けるようなので、是非とも押さえておかねばなりませんな。 大和谷に行った時の写真 にも滝が写っていたんですが、アレがソレだったんっすかね? あるいは、別物? いずれにしろ、今回はもうちょっとまともな写真が撮れると思うので期待して貰うとして、で、今回の仕事はですね、第一弾が 2/20〜21日、第二弾が 3/1〜2日と、二段構えで行くことになっております。 2/20は東紀州出張所の吉田クン (←見た目が舛添要一に酷似) と “あら竹” で待ち合わせをして、発電所まで一緒に行くことになりました。 懐かしいですなぁ、 “あら竹” 。 大台町と大宮町の境目くらいにあるドライブインなんですが、尾鷲方面に行く人ならまず確実に立ち寄るに違いない定番の休憩スポットなんですよね。 ニチレイの冷凍食品の自販機があって、よくここで鶏の唐揚げを買って食いました。 僕にとってはオークワの “めはり寿司” と並ぶ2大お楽しみスポットだったんですが、冷凍食品といってもカチコチに凍ったまま出てくるのではなく、ちゃんとレンジで温めてから提供してくれるという、大変親切なシステムになっておりました。 ただ、温まるまで 90秒ほど待たされます。それがまた、随分と凄く長く感じられるんですよね。 シャイな僕は自販機で唐揚げを買っている姿を見られるのが何ともこっ恥ずかしくて、自販機でエロ本を買う時と同様、暗い時間帯に周囲に誰もいないのを確認して、隙を窺ってこっそりと購入したものでありますが、そういう時に限って、温め中にトラックの運ちゃんとかがやってきたりするんですよね。来るなー。帰れー! 自販機でジュースを買ったら、速やかにこの場から立ち去れー! そう、心の中で念じるんですが、こういう奴に限っていつまでもうだうだとクルマの外でコーヒーを飲んでたりして、無駄に居座ったりするんですよね。 僕は “唐揚げを購入中” という事実を悟られぬようニチレイから離れて、隣の自販機でジュースを厳選している風を装いながらオッサンをやり過ごすしか手だてがないんですが、嫌がらせとしか思えないくらい、いつまでたっても消えてはくれなかったりするんですよね、これがまた。 もう、唐揚げの権利を放棄して、泣く泣く家に帰るしかないのか? そんな悲壮な決意を固めた頃になってようやく、オッサンは僕の視界から消え去ることになるんですが、そんな苦労の果てにようやく手に入れた唐揚げは、熱々具合がちょっぴり冷めちゃってたりして、ああん。。。 そんな甘酸っぱい思い出の詰まったあのニチレイくんは、今も元気なんっすかね? もし、まだ頑張って冷凍食品を温めてくれているのであれば、久しぶりに唐揚げを食ってみようかと思うんですが、その姿を吉田クンに見られて、 「唐揚げなんか買ってるんっすかぁ?」 と、哀れみに満ちた目で見られたりしても嫌なので、やっぱりヤメにして。 というかここ、店の中で松阪牛の駅弁を売ってたりするんですな。 こんなの 。 おお、いいじゃん。唐揚げなんかよりよっぽどいいじゃん♪ よく考えたらニチレイの唐揚げなんて、近所のスーパーで買ってきて家のレンジで温めれば、いつだって食えますもんね。 いや、今は駄目なんっすけど。 どうしてなのかというと、カーチャンがおでんの残りの玉子を温めたら思いきり爆発して、レンジに付いていた大きな皿が真っ二つに割れちゃたんですよね。 新しい皿が届くまで使用禁止の措置が取られているので、今、スーパーでニチレイの唐揚げを買ってきても、家では食べることが出来ません。 でもまあ、もうちょっとの辛抱だと思うし、唐揚げはレンジが直った時のお楽しみということにして、今回は駅弁、いっちゃいましょうかぁ?

 今回、初日は現地に 13時集合となっているんですが、あっちのほうに昼飯が食えるところがあるとは思えないので、途中で弁当を買っていって、向こうで食おう。 そんなプランが立てられているんですが、集合場所を “あら竹” にしたのは、まさに好都合。 駅弁なら冷めてもそれなりに食えますからねー。 「極み 匠の技 松阪牛物語」 \4,200♪ …は、ちょっと無理だとしても、「松阪でアッツアツ牛めしに出会う!」 \1,380あたり、いっちゃいますかね?  もしかしたら平家が奢ってくれるかも知れないしー。 いや、 「奢る平家は久しからず。」 とか、変に自己批判して奢ってくれなかったりするかも知れませんが、もういいっ!平家なんか知らんっ! 源氏の人に源氏パイを奢って貰うからいいっ! こうして世間では、離反やら裏切りやらが絶えなかったりするわけなんですが、で、今回、家から通うのはちょっとアレなので、お泊まりしてこようと思っております。 ネットで調べてみたら勢和多気インターの近くにビジネスホテルがあったので、発電所まではちょっと遠いんですが、とりあえず押さえておきました。 が、吉田クンが現場の近くで探した宿があるということなので、そっちに泊まることにしました。 辺境の地で吉田クンと一夜を共にすることになるのかと思ったら、彼は一人で勝手に帰っちゃうんだそうですが、そもそも今回、どうして僕にこの仕事の話が回ってきたのかというと、現場代理人の登録がダブってしまったので、代理人の代理として僕が選定されたと。 そういう経緯があったりするんですよね。 一応、最初の日だけは付き合うけど、後は任せたから。じゃあ! どうやらそういう方針みたいなんですが、ま、そのほうが自由が利くからいいんですけどね。 一人なら隙を窺わなくても好き勝手に滝の写真とか撮りに行けるし、自販機で唐揚げだって買えちゃうしー。

 ただ問題は、宿の詳細をほとんど知らされてないことなんですが、何でも5年ほど前に台風で壊れたのをきっかけに、営業をやめちゃったところらしいんですよねー。 駄目ぢゃん! そこを何とかと無理を言って、じゃ、一人くらいならと、渋々ながらも泊めてくれることになったと。 どうやら、そういうところだったりするようなんですが、3月の第二弾の際にも泊めてくれるかどうか、定かではないそうで。 今回、僕が酔っぱらって、店の売り上げをかっぱらって逃げたりしたら、次はないかもしれませんな。 不興を買うことのないように、せいぜい大人しくしていようと思うんですが、そんなところに一人で泊まるのって、ちょっと嫌ですなぁ。。。 生きて返れますかねー? とまあそんなことで、次回は宮川発電所ネタをお届けすることになると思うんですが、もし、3月になってもこのコーナーが更新されなかった場合は宿泊中に山姥に襲われて食われたものと思って、諦めて下さいね。 ということで、おしまい♪

 で、今日はジャック・マクダフなんですが、いやあ、土曜日ですなぁ。 今週は現場の仕事はなかったんですが、午前中、会社に行って書類の整理をちょっと片付けて、午後からはまた東洋健康ランドに行ってきました。 お昼は例の如く東洋大飯店だったんですが、腹具合があまりよろしくなかったので、中華風のつけ麺セットをチョイス。 セットと言っても、つけ麺にライスが付くだけなので、ちょっと寂しかったです。 ま、腹具合がよろしくないんだから、別にいいんですけどー。 つけ麺の麺が乾いていたし、つけ汁のほうもちょっと癖がある感じだったので、リピートは無いなという感じだったんですが、で、夕方まで仮眠室のベッドに寝転がって、この原稿を書いておりました。 今まで特には気に留めてなかったんですが、 「★お願いとご注意★」 と書かれたものがあちこちに貼ってあったので、何気なく読んでみたら、こんな文言が。 最近当室内で、盗難・不純行為など多発しております。お互いが特に充分注意して頂きますように。又上記に付いて当館は一切の責任を負いかねますのでご了承下さい。 マジかよ? 盗難は何となく想像が付くし、貴重品はロッカーに入れておけば大丈夫なので問題は無いんですが、男性専用の仮眠室で不純行為が多発って、マジかよー!? 雪が積もって帰れなくなった時、ビジネスホテルじゃなくて、ここに泊まれば、安上がりでいいかな? …と思ったりもしていたんですが、やーめたっと。 貞操の危機はお金には換えられませんからね。 確かにハッテン場に発展しそうな雰囲気が色濃く感じられたりするんですが、それはそうとジャック・マクダフ。 今日は 『ザ・ハニードリッパー』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、漢字に直すと 『座・花井戸立派、嗚呼』 。 花井戸というのがどんな井戸なのかよく分からんのですが、思わず感嘆の声が出ちゃうような立派な井戸なんでしょうな、多分。 「ステーキけん」 の社長の井戸実クンみたいな。 ちなみに “ハニードリッパー” というのは相当にエロい意味であるようなんですが、何と言うかその、わたしのあすこ、ジュン、って潤ってきちゃうんです。 そんな感じっすかね? シャイな僕には、とても口には出せなかったりするんですが、で、これ、ジミー・フォレストのテナーに、グラント・グリーンのギターって、随分と濃い面子が集結しておりますな。タイコがベン・ディクソンというのも、便で糞、ん〜♪ 僕の苦手な、コテコテにソウルなサウンドが展開されているのではなかろうかという懸念が持たれるんですが、とりあえずまあ、聴いてみましょう。

 まずはマクダフのオリジナルで、 「ワップ!」  “わっぷ” で変換しようとしたら、割賦という漢字が出てきたんですが、これ “わっぷ” って読むんすか? “かっぷ” じゃなくて? ググってみたらどうやら、戦前は “わっぷ” と発音していたようなんですが、で、英語の “WHAP” は “殴打” の意味なんすな。殴打事件とかありましたよね。懐かしいっすなー、三浦和義クンのロス疑惑。 で、曲のほうはというと、テナーとオルガンのユニゾンで演奏される、能天気でノリのいい仕上がり具合だったりします。 で、ソロ先発はマクダフくん。 何と言うか、思ったよりも知性を感じさせる落ち着いた弾きっぷりだったので、ちょっと意外な感じがしました。 ま、あくまでも 「思ったよりは」 なんで、客観的に見れば必要十分に下品なんでしょうが、続くジミー・フォレストのソロは思った通りの下劣さだったので、安心しました。 中盤は2人のバトルで大いに盛り上がって、で、続いてグラント・グリーンのご機嫌なソロまで堪能出来ちゃいます。 何とも贅沢な造りなんですが、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ま、基本、勢いだけのナンバーだったんですが、アルバム冒頭の “つかみ” としての役割は十分に果たしたと評価していいのではなかろうかと。

 で、次。 歌物ナンバーの 「アイ・ウォント・ア・リトル・ガール」 。 言わずと知れたロリコンのテーマ曲でありますな。 ロリコンと言えば、「ロリコンとリモコンの違いって、何だ?」みたいな問い掛けがあったんですが、それに対する回答が秀逸でありましたな。 押さないと反応しないのがリモコンで、幼いと反応するのがロリコン。 至言だと思います。 で、演奏のほうはと言うと、イントロを吹くフォレストの下劣さぶりが半端ではなく、もう、幼女が怯えて、裸足で逃げ出すレベル。 こりゃ、聴いてるほうとしても、相当に辛いものがあるなと覚悟を決めると、続いてオルガン主導のテーマ部が始まるんですが、こちらは一転してジェントルな雰囲気。 裸足で逃げ出した幼女も安心して、こっちに戻って来てくれそうです。 裸足ではそんなに遠くまでは逃げられませんからね。 で、安心しているとまた、怖いフォレストおじさんが出てきちゃうので、基本的には少し離れたところから様子を窺うというのが賢明な対処法なのではなかろうかと。 グリーンのギター・ソロも出てくるんですが、基本、アーシー系の仕上がりなので、僕としてもあまりお近づきにはなりたくないタイプの曲であるような気がしないでもありません。

 で、続いてはアルバム・タイトル曲の 「ザ・ハニードリッパー」 。 マクダフのオリジナルなのかと思ったらそうではなくて、Joe Liggins という名前がクレジットされていたりします。 前半ではフォレストの吹く単純な繰り返しフレーズをバックに、マクダフがテーマっぽいものを弾いて、で、後半に入るとテナーとオルガンが呼び掛けと応答を繰り広げる。 そんな感じの構成だったりするんですが、ソロ先発のマクダフのバックでも、フォレストの吹く単純な繰り返しフレーズが聴かれたりしますな。 オルガン・ジャズにしては、精一杯アタマを使って、工夫した。 そんな工夫の努力が感じられて、良好です。 ちなみに最初の工夫は 「くふう」 、次の工夫は 「こうふ」 と読んで頂きたいんですが、ATOKだと、 「こうふ」 では 「工夫」 という漢字が出てくれませんでした。 もしかして、差別語扱い? 調べてみたら 「落ちこぼれ」 とかも放送禁止用語の仲間入りをしているようで、授業についていけない子供、学業・成績不振の子供。 そのように言い換えるように指針が出されているようですが、 「親方」 も駄目で、チーフ、もしくは班長なんだとか。 「工夫」 は労働者、もしくは作業員。 ということはつまり、オルガン・ジャズにしては、精一杯アタマを使って、工夫した。 そんな労働者の努力が感じられて、良好です。 そう言い換えなければ駄目なんですな。すいません。以後、気をつけます。 というか、オルガン・ジャズにしては…という表現自体が、“オルガン=アホっぽい” という偏見に満ち溢れまくっているので、そこから反省しなければならんのですが、続くフォレストのソロは、フォレストにしては落ち着いた感じで、わりと上品だったりするし、続くグラント・グリーンのソロも、グリーンにしてはいい感じに、春日井のグリーン豆。 で、終盤、フォレストくんが再登場して大いに場を沸かせてくれて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 8分15秒という長めの演奏なんですが、意外と最後まで、嫌にならずに聴くことが出来ました。

 ということで、残り3曲です。 今の時点で、このコーナーの最近の平均容量の 23KBに近付きつつあるので、後は適当に流しても大丈夫なんですが、続いてはマクダフのオリジナル・ブルースで、 「ディンクス・ブルース」 。 かなりアーシーな仕上がりで、聴いてるだけで息苦しくなって来ちゃうので、あまり深入りしないのが吉ではなかろうかと。 ま、フォレストのソロとか、クドいなりに頑張ってはいるので、こういうのが好物な人には大丈夫なんでしょうが、世の中には鉱物が大好物。そんな人もいたりしますからね。 あんな石ころ、何が楽しいんだ? …という気がするんですが、蓼食う虫も好き好き好き好き好き好き〜、愛してる〜、好き好き好き好き好き好き〜、一休さ〜ん♪ そんな諺があったりしますからね。初音ミクの「好き好き好き好き好き好き好き好き好き」 というのがあって、一休さんなのかと思ったら、ぜんぜん違ったんですが、エンディングの 「ははうえさま」 は、けっこう泣ける歌だったりしますよね。 母上さま〜 (中略) 一休〜♪ というヤツ。 途中を略し過ぎて、何が何だかよく分かりませんが、ということで、次。  「ミスター・ラッキー」 。 ヘンリー・マンシーニの曲のようです。個人的にはここでバラードが出てくると、全体としてのバランスがいいかな? …という気がしたりするんですが、マンシーニなら期待出来ますかね? 少なくとも田代のマーシーよりは大丈夫だと思うんですが、聴いてみたら、んーと、ミディアム・ファーストくらいの速さ? 2曲目のロリコン・ナンバー同様、出だしのテナーはお下劣なんですが、テーマを弾くマクダフは、結構いい感じだったりしております。 それを受けてフォレストの吹きっぷりも、いい感じに落ち着きを取り戻したりして、やっぱり元のメロディが綺麗だと、どんな奴らが演っても、それなりにアレだったりするものなんですなぁ。

 とまあそんなことで、ラストです。 マクダフのオリジナルで、 「ブルース・アンド・トニック」 。 これはアレです。 ブルースです。 そして、トニックです。 テーマ部はテナー&オルガンの呼び掛け&応答、および二人のユニゾンで演奏されるんですが、そんなに泥臭くはなくて、それなりにお洒落なブルースだったりします。 そして、トニックです。 ソロ・パートはマクダフ、フォレスト、グリーンという順番。 各自とも、そこそこ知性の感じられるプレイで、悪くないと思います。 フォレストくんの場合は、そこそこの具合がかなり低次元だったりするんですが、 それもまた人生。 とまあそんなことで、テーマに戻って、今日のところは以上です。

【総合評価】

 初めて聴いた時の印象は正直、あまり喜ばしい物では無かったんですが、今回、改めて聴き直してみたら、うーん、まあまあ? マクダフのオルガンが思ったよりも知的だったのは、新たな発見でありました。心の底からお下劣なジミー・フォレストとの対比が、なかなか絶妙だったりします。 グラント・グリーンの存在感が今ひとつ希薄であるような気がするんですが、ここではあくまでも脇役の立場ですからね。脇毛と同じく、あまり目立たないようにするのがエチケットだと、わきまえているのでありましょう。 軽く聞き流した限りでは、単なるコテコテ系としか思えなかったりするので、広く世間にオススメはしませんが、狭くマニアな人達ならそれなりに楽しめるような気がする、そんな1枚なのでありました。


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