THE WORM (SOLID STATE)

JIMMY McGRIFF (1968/8)

THE WORM


【パーソネル】

BLUE MITCHELL (tp) DANNY TURNER (as) FATS THEUS (ts)
ROBERT ASHTON (bs) THORNEL SCHWARTZ (g) JIMMY McGRIFF (org)
BOB BUSHNELL (el-b) MEL LEWIS (ds) GRADY TATE (ds)
【収録曲】

(01-03) THE WORM / KEEP LOOSE / HEAVYWEIGHT
(04-06) THINK / LOCK IT UP / GIRL TALK
(07-08) BLUE JUICE / TAKE THE A TRAIN
【解説】 ( 2012年02月26日更新 / 連載 1,021回 )

 秘境に行ってきました。 で、無事に帰ってきました。 まずは何よりだと思いますが、遠かったですなぁ、宮川第3発電所。 ま、初日は吉田クン (編集部注:うちの会社の東紀州出張所の社員。見た目が舛添要一に酷似) と “あら竹” で待ち合わせをして、発電所まで一緒に行くことになりました。 懐かしいですなぁ、 “あら竹” 。 大台町と大宮町の境目くらいにあるドライブインなんですが、尾鷲方面に行く人ならまず確実に立ち寄るに違いない定) と10時半に “あら竹” で待ち合わせなので、ぜんぜん余裕だったんっすけど。 いつも会社に行く時と同じ7時15分頃に家を出たら1時間ほど前に着いてしまったので、とりあえず、近くにある瀧原宮というところに行ってみることにしました。三重で仕事をしていた頃、前はよく通っていたんですが、中まで入ったことがなかったんですよね。ジンジャーエールは好きなんだけど、神社とエロには興味がない。 そんな青年だったので、いつも素通りしておりました。 が、成長するにつれて、エロはともかくとして、神社のほうにはそこそこ興味を持つようになったので、モノは試しにと思って、ちょっぴり覗いてみることにしました。 とまあそんなことで、その成果の程を披露させて頂きたいと思います。


< 瀧原宮 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 この度、 “Nikon 1 J1” というカメラを買ったので、その試写を兼ねての神社訪問だったんですが、その出来映えのほうはというと、うーん、まあまあ? ISOが100になっていたのでシャッタースピードがめっちゃ遅くなって、微妙に手振れしちゃいました。 で、神社のほうはアレです。入口の鳥居をくぐるとしばらく、杉 (?) に囲まれた参道が延びております。いいですよね、参道。心が洗われます。参道と産道は厳かで神聖である。その意見に賛同してくれる人は少なくないと思うんですが、で、しばらくすると社務所 (?) のようなものが見えてきます。 嫌ですよね、社務所。誰か人がいて、顔を見られちゃうんじゃないかと思って、ドキドキしちゃいます。シャイな僕としては出来ることなら誰とも顔を会わせずに、こっそりと極秘のうちに参詣を済ませたいところなんですが、幸い、この神社は社務所の裏手のほうに 「御手洗場→」 と書かれた看板のある道が延びていたので、そっちのほうに行ってみることにしました。ちょうど尿意を催しかけていたので好都合だったんですが、で、行ってみたら、ぜんぜん便所とちゃうやんっ! 本当に手を洗うための場だったんですな、手洗い場。 しかも、天然の川の水で手を洗うという、“ネイチャー禊ぎ” 仕様。おおっ♪ ここは伊勢神宮の別宮なんだそうですが、本家のほうも五十鈴川で手を洗うんでしたっけ? ご…五十鈴川。 知らないとなかなか正確に 「いすずがわ」 とは読めなかったりするんですが、そういえば僕はずっと滝原宮のことを 「たきはらぐう」 と読んでました。 「たきはらのみや」 が正解だったんですなー。知りませんでした。 が、これは別に僕が無知というわけではなく、正しく読めというほうが無茶です。 じゃ、何か? なら、伊勢神宮は 「いせじんのみや」 と読むんか? そんな話になっちゃいますもんね。 じゃ、何か? なら、高松宮は 「たかまつぐう」 と読むんか? そう言われると、ぐうの音も出ないんですが、で、その先に神社の本体らしきものが4つほどありました。お参りする順番がちゃんと定められているようで、その旨を記載した看板も立っていたんですが、それに従ってお参りしようと思ったら、おおっ! 何やらとっても神聖な神事が行われている真っ最中でありまして、とても凡人が近寄れるような雰囲気ではありません。神主って毎日、何もすることがなくて、ただぼーっと無為に過ごしているものなのかと思ったら、ちゃんとこうして神事を執り行っていたんですなー。ちょっぴり感心しました。 とまあそんなことで、参詣のほうは中途半端に終わってしまいましたが、おしまい。

 そうこうしているうちに、わりといい時間になったので、 “あら竹” に向かうことにしました。 ここが一体、どのような竹であるのかというのは 前回ネタ を参照して貰うとして、ここで松阪牛の駅弁を買って、食う。 場合によっては自販機でこっそり鶏の唐揚げも買って、食う。 それが今回の出張の大きな楽しみでありました。 ここを吉田クンとの待ち合わせ場所に指定したのは僕なんですが、めっちゃ美味しそうな駅弁がたくさん売られているのを目にして、吉田クンはきっと 「ここ、いいっすね♪」 と、目を輝かせるに違いありません。 「イナバさん、さすがっすね!」 そう、感心されちゃうこと必至。 これで今回の仕事はうまくいったも同然なんですが、で、唐揚げの自販機を探しながら駐車場に入っていくと、残念ながらその姿はどこにも見当たりませんでした。 が、吉田クンは既に到着しておりました。 早速、「弁当、買ったー?」 と聞いたら、「尾鷲のほうで買ってきました〜。」という答えが返ってきました。 あー、やっちまったぁ!早まったぁ! 情報弱者はこういうところで泣きをみるんですが、でもまあ、自業自得ですからね。仕方がありません。泣きながらコンビニの唐揚げ弁当でも食って貰うしかないんですが、 「じゃ、ここで買ってくわー。」 優越感を覚えながら、軽い足取りで店の中へと入っていったんですが、朝、まだ早い時間だからなのか、客は誰もいませんでした。周囲に漂う寂れた雰囲気に若干の戸惑いを覚えつつ、お目当ての弁当を探したんですが、ん? どこにも無い? 仕方が無いので店のオッサンに聞いてみたら、「10分ほど待って貰えたら出来ますけどー。」 そんな返答でありました。作り置きではないんですな、ここの駅弁。 で、どれにしようかと迷う必要はまったくなくて、「元祖特撰牛肉弁当」 (1,260円) 一択。 ま、それくらいの出費は覚悟していたのでまったく問題は無いんですが、少し時間を要する旨を吉田クンに伝えるべく店の外に出ると、今回、一緒に仕事をすることになっている三重支店の大成さんと電話をしているところでありました。何をやっても大成しそうなんだけど、読み方は 「おおなり」 。 そんなキャラだったりするんですが、確か大成さんと職人さんもここで待ち合わせするという話でありました。 みんなで仲良く 「元祖特撰牛肉弁当」 を食べているなか、吉田クンだけ一人、仲間外れっすかぁ。ちょっと可哀想なんですが、先走ってしまった本人が悪いんだから、諦めて貰うしかありません。

 …とか思っていたら、吉田クンが電話でしゃべっている声が聞こえてきたんですが、 「ここ、やめたほうがいいっすよー。高っかい牛肉弁当しかないしぃ。」 …って、え!? 結局、大成さん御一行は別のところで食料を調達して、ここには寄らずに直接現場に向かうことになったんですが、そうっすかぁ。。。仲間外れは僕のほうっすかぁ。。。 ま、別にいいんですけどね。 貧乏人どもの羨望の視線を一身に浴びて、ひとり悠然と超高級な弁当を食うというのも、なかなか乙なのではなかろうかと。 で、あら竹の人は営業妨害で吉田クンを訴えたほうがいいと思うんですが、とまあそんなことで、アツアツの 「元祖特撰牛肉弁当」 (ただし現場に着いた頃には冷める) を手に入れて、2台のクルマで、出発〜。 僕は10年ほど前に宮川第3発電所まで行ったことがあり、その旨を伝えてあったので、出来れば僕に先に行って頂きたい。 吉田クンの全身からそんな願望が透けて見えていたんですが、遠慮させて頂くことにしました。 正直、クルマの先導役って、あまり好きじゃないんですよね。 ちゃんと付いてきているのか心配になるし、信号とか合流のタイミングとかでも余計な神経を使うし、もし道を間違えちゃったりしたら、申し訳ない気持ちになっちゃうしー。 ま、旧・宮川村には信号機が1ヶ所しかないみたいだし、基本的には一本道なので、道に迷う心配もないんですが、とにかく道幅が狭かったという嫌な記憶があるんですよね。 前からクルマが来たらアウト!…みたいな。 にも関わらず、けっこう前からダンプが突っ込んで来たりしたんですが、吉田クンが前を走ってくれるのであれば、犠牲になるのは彼のほうです。 とまあそんなことで、「お先に、お願いしまっす!」 で、後方支援に回らせて頂いたんですが、何だか思ったよりも立派な道でありましたな。 10年経って、かなり改善されたっぽい? …とか思っていたら、いきなり工事で通行止めになっちゃいました。 ああ、やっぱり。 というのも、カーナビの “VICS” にそのような情報が上がっていたんですよね。 気にはなっていたんですが、地図で見る限り迂回路も無さそうなので、ま、いっかぁ。 そのように判断しておりました。 で、通行止めになる1キロほど手前に迂回路の看板が立っていたんですが、吉田クンは無視して、ずんずんと直進しちゃったんですよね。 彼がそうしたんだから、きっと大丈夫に違いない。 僕はそう判断して、黙って彼の後を追ったんですが、そしたら案の定、 「通行止」 の看板に行く手を阻まれて、先に進めなくなっちゃいました。駄目じゃん!!

 「ナビに何か出てたから、ちょっと気になっとったんやよなー。」 僕がそのような発言をしたところ、 「ナビ、付いてるんっすかぁ!?」 と、明らかに非難の感情のこもった声で言われちゃったんですが、「なら、先に行けよ!」 きっと、そう言いたかったに違いありません。 もし僕が逆の立場だったりしたら、間違いなくそう言いたくなります。 気が弱いのでその場では言えないんですが、後になって、ネット上でネチネチと悪口を書くことになると思います。 ま、迂回路の看板があるのに突っ込んじゃった吉田クンも悪いんですが、人間が出来ている僕は敢えて彼を責めるようなことはせず、おとなしく来た道を引き返すことにしました。 案内に従った先の迂回路は思ったよりもちゃんとした道で、なら、ナビもちゃんと誘導しろよ! そう言いたくなっちゃいましたが、で、しばらくすると、真っ直ぐでも右折でも、どっちでも行けそうなT字の交差点に出ました。 前を走っている吉田クンは明らかにどっちに行こうか迷っている風情で、止まりそうなスピードになったので、窓を開けて腕を出して、 「右っ!」 という指示を出しました。ナビがそのようなルートを示していましたからね。 が、曲がった先には 「通行止」 の看板が出ていて、先に進めず。 ほら、ナビがあったって、やっぱり駄目じゃん! だから吉田クンに先に行って貰うという方針は、まったくもって正しかったと言わざるを得ませんが、この時点で彼はちょっとキレちゃってましたな。 再び来た道を引き返して、今度は直進コースのほうに行ってみることにしたんですが、今まで後ろに気を遣って、常に視界に捉えられるように調節してくれていた吉田クンは急に速度を上げて、僕を振り切るように先に行っちゃいました。ああん。。。 ま、すぐに追いついたので別にいいんですが、これで今回の仕事は、あまりうまくはいかなくなっちゃうかも知れませんなぁ。。。

 ちなみに、通行止めになっていたのは この写真 にある “咳の谷公園” の辺りなんですが、そこから先、道のほうは順調に嫌な感じになってきました。 狭い道のくせに無駄にダンプが多い。 そんな悪いイメージも、この 10年の間にすっかり解消された。 そんな楽観的な展開に期待していたんですが、ぜんぜん駄目じゃん! いきなり大型車と鉢合わせしそうになったりして、前を走っているクルマの運転手は、さぞや神経をすり減らしたことでありましょうなぁ。 (←超他人事。)  …とか思っていたら、いきなり前のクルマが止まって、中から運転手が降りてきました。 「ここからは、イナバさんが先に行って下さいっ!」 ついに、そう言われちゃうのかと覚悟を決めたんですが、どうやら大成さんから連絡があった模様です。 この先は携帯電話が通じなくなるので、ダムのところの空き地で待っているとの事だったんですが、程なくして、その地点に到着して、一行と合流することが出来ました。 あら竹で 「元祖特撰牛肉弁当」 を買わなかった裏切り者の連中なんですが、こういう状況では心強い限りであります。 ここからは大成カーを先頭に4台のクルマで奥地を目指すことになるんですが、こういう時は数がモノを言いますからね。 すれ違い困難な狭い道で、前から来たクルマを鉢合わせしちゃった場合、1対1ならデカいほうが勝つんですが、4台で力を合わせれば何とかなります。 そっちのほうが下がれよ! そんな圧力を掛けることが出来ます。 幸い、発電所までの約10キロの道を、1台のクルマとも対向することなく走破することが出来たんですが、いやあ、嫌な道でしたなぁ。。。 落石まるけで神経は遣うし、雰囲気は陰気極まりないしぃ。 こんなところ、もう2度と来ないっ! そう思わずにはいられませんが、何はともあれ、無事にたどり着けて何よりでありました。吉田クンの機嫌も直ったみたいだしー。

 とまあそんなことで、お仕事開始の前に、ランチタイムでありますな。 役所の人は昼から来るということで、鍵が無くて発電所の中には入れず、各自が自分のクルマの中で弁当を食うことになりました。 せっかくの超高級な弁当を見せびらかすことが出来ないし、吉田クンたちがどんな質素な弁当を買ってきたのかを確認することも出来なくて、ちょっと残念なんですが、もともと僕は “弁当は一人でこっそり食べたい派” なので、問題はありません。 ということで、オープン・ザ・弁当の蓋。 ゴー! おおっ! これ「元祖特撰牛肉弁当」 っすかぁ! 牛肉、たったの2切れ。 少なっ! ショボっ!! 何でも、基準が厳しくなって“松阪牛”を名乗れなくなったようですが、それでも一応は立派な黒毛和牛らしいので、それなりのお値段になるのも分からんではないんですけどね。少なくとも鼻毛和牛よりは高くなっちゃうのは理解出来ます。 が、これなら肉骨粉ビーフでもいいので、量をたくさん入れて貰ったほうが、よっぽど嬉しかったような気が。。。 いずれにしろ、人に見られなくてよかった! そう思わずにはいられません。 特に吉田クンに見られなくてよかったです。 きっと哀れみに満ちた目で見られちゃうに違いないし、「クルマで先に行こうとしないから、罰が当たったんすよ!」 そんな風に心の中で思われたりしたら、癪だしぃ。 逆に、こんなものを吉田クンや、大成さんや、職人さんに強くオススメして、みんなで買っちゃった日にゃ、 “オープン・ザ・弁当の蓋” の瞬間、何とも言えない気まずい空気が流れたに違いなくて、その点では被害が僕だけで済んだのは幸いだったんですけどね。 吉田クンは恐らく、この実態を知っていたんでしょうなぁ。 なら、僕が買おうとした時に、全力で止めろって! …と苦言を呈しておいて、今日のお話は、おしまい♪

 ということで、今日はジミー・マクグリフです。 微妙に名前がジャック・マクダフと似ているオルガン奏者。 僕がこの人に持っている印象はそれだけなんですが、調べてみたら本コーナー初登場でありました。 ちょっと意外な感じもするんですが、地味なマクワウリ風のキャラなので、スルーされちゃったんでしょうな。 よく考えたらアルバムもほとんど持ってませんでした。 このアルバム のジャケットの印象が悪過ぎて、食指が動かなかったものと思われます。つまんだ指を舐めただけで腹が痛くなりそうなレベルですよね、こりゃ。 で、今回、ネタ用に 『ザ・ワーム』 というのを買ってみたんですが、こっちのほうのジャケットはなかなかいい感じ。 ぼくの絵心で、このギャルをうまく再現出来る自信はまったくなかったりするんですが、ソリッド・ステイトという、あまりよく知らないレーベルの作品でありますな。 調べてみたらどうやら、ユナイテッド・アーティスト・レコード)のジャズ専門レーベルとして発足した。 そういうアレだったりするみたいですが、ビル・エバンスとジム・ホールの有名な 『アンダーカレント』 も、原盤はソリステなんですな。例の、水死体のジャケットのやつ。 で、このマクグリフのアルバムは、オルガン、ギター、エレキベース、ドラムスの他に、トランペットとサックス3種が入った、ちょっと大きめの編成となっていたりするんですが、サイドマンの中ではブルー・ミッチェルの名前が目立ちます。 アルト、テナー、バリトンの各サックスはいずれも地味な人選なので、目立ちません。 ドラムスはグラディ・テイトメル・ルイス、2人の名前が書かれているんですが、 “and” なのか “or” なのか、詳細は不明です。 で、ギターはソーネル・シュワルツっすか。カッコいいっすよね、名前が。 とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずはアルバム・タイトル曲の 「ザ・ワーム」 。 ワームというのは虫っすよね? ワムシという、そんな名前の虫がいたような気がするんですが、いや、あれは虫ではなくて、輪形動物っすか。 ま、いずれにしろ、下等な奴らであることは間違いないんですが、加藤クンのほうがよっぽど上等だと言えるレベル。体のしくみが単純なだけに過当競争を勝ち抜いて生き残れそうではあるんですが、で、これ、ファッツ・シューツのオリジナルなんですな。 誰?…と思ったら、このアルバムでテナーを吹いてる人でした。 で、仕上がりのほうはどうかと言うと、何とも安っぽいスカスカなリズムをバックに、何とも俗っぽいテーマが演奏されるという、そういうアレでありました。テナーの人を中心に、残りの管楽器軍団がバックでハモるという形なんですが、菊田有一クン (誰?) が書いた日本語ライナーには “ブーガルー・ジャズ” という表現が見られますな。なるほど、確かにそういった感じです。有一クン、なかなか的確な解説っぷりです。 で、その後、気持ちのいいブルー・ミッチェルのトランペットがフィーチャーされ、マクグリフのオルガン・ソロに繋がれてフェイドアウトする。日本語ライナーのこの曲に関する解説は以上です。あまり大したことは書いてくれてませんでしたな、有一クン。仕方がないので有二クン (微妙に仮名) がちょっとだけ補足しておりますが、ブルー・ミッチェルのソロはですね、なかなか気持ちのいい仕上がりです。 続くマクグリフのオルガンはオーガニックな味わいで、でもって、テナーに戻らずに、そのまま音が小さくなっていって、おしまい。 何だかベタ過ぎるし、短すぎてちょっと物足りないし、今後の展開にガッツ一抹の不安が生じてしまう出来でありましたが、とりあえず、次。

  「キープ・ルース」 はマクグリフのオリジナル。 有一クンが 「最高に乗りがいい」 と誉めている通り、とっても調子のいい仕上がりになっております。テーマ部はオルガンの呼び掛けに管楽器が応答する形なんですが、いいですよね、応答。 少なくとも、黄桃食べて嘔吐よりはいいと思うんですが、で、ソロ先発はマクグリフっす。 オルガン、ベース、ドラムスのトリオでスタートし、ギターがあとから加わる。そのようなことを有クンが書いているので、たぶんそうなんだと思うんですが、シンプルにスイングしていて、良好です。途中でそこに管楽器が絡んできて、いい感じに盛り上がります。菅直人が絡むとよくない感じに問題がこじれるんですが、終盤のソネ・シュワくんの絡み具合も、なかなか。 で、その後、青ミッチェルのいい感じのソロがフィーチャーされて、最後にもう一度オルガンが出てきて、フェイドアウトしておしまい。 いや、普通によかったっす。 で、続いてはこれまたマクグリんのオリジナルで、 「ヘヴィーウェイト」 。 これまた非常にキャッチーな旋律を持った仕上がりでありまして、あまり多くは期待してなかったんですが、この人の作曲センスはかなりのものでありますな。扇子職人としても十分にメシを食っていけるレベル。 で、演奏のほうはというと、賑やかなテーマ部に続いて、オルガンとトランペットとギターとテナーのソロがフィーチャーされて、その背景でもかなりしつこく主旋律っぽいメロディがアンサンブルで絡む。そういうアレだったりします。名前が格好いいこと以外に特に印象がなかっシュワルツくんが意外と悪くないし、何だか不思議なトーンのテナーのソロも秀逸。ちょっぴりクドい感じのバック・アンサンブルにも微妙なバリエーションが加えられていて、それなりに工夫がなされているし、タイコのソロもあるし、参加者全員がまんべんなく力を発揮している、まんべくん。 そんな仕上がりで、いやあ、よかったっす。

 4曲目はアレサ・フランクリンの 「シンク」 。 どこかで聴いたことがあるメロディなので、それなりにメジャーな作品だったりするんでしょう。素材がソウル系なので、ベタな感は否めないし、管楽器軍団のコーラスっぷりも、ちょっぴりマンネリ化してきましたが、とりあえずギターとオルガンのソウルなソロがフィーチャーされていて、先生がティーチャー。 で、続く 「ロック・イット・アップ」 はケニー・バレルの曲だそうです。オーソドックスにブルージーな仕上がりで、わりと純ジャズっぽいっすね。足のくるぶしから膝までの部分は、脛っすね。 テーマ部はオルガンと管楽器軍団のコール・アンド・レスポンス。 で、テナーのソロやら、オルガンのソロやらがフィーチャーされて、でもって、おしまい。 バックの合奏集団がお静かなので、マンネリ感はちょっぴり打開されておりまして、で、続いてはニール・ヘフティ作曲の 「ガール・トーク」 。 どこかで聴いたことがあるメロディなので、それなりにメジャーな作品だったりするんだと思われますが、ゆったりしたテンポのグルーヴィな仕上がりだったりします。 ホーンはテーマを繰り返し吹き続け、ホーン・アンサンブルをバックにマクグリフのオルガンが全面的にフィーチャーされる。 そのように有一クンが書いておりますが、ということで、次。  「ブルー・ジュース」 。 マクグリんのオリジナルなんですが、これはアレです。 「青汁」 です。 またしてもリーダーの作曲センスに感心させられるんですが、どこかで聴いたことがあるようなメロディだったりして、これ、本当に自分で作ったんすかね? どっかからパクってませんか? そんな疑惑が沸いてきたりもするんですが、で、演奏のほうはと言うと、青汁だけに青ミッチェルが大活躍。 豚汁ではないので、豚はそんなに活躍しないんですが、で、後半はオルガンのソロにホーンが絡むという趣向だったりして、おしまい。

 ということで、ラストです。  「テイク・ジ・Aトレイン」 。 ここまで全般的にヤングな若者向けのサウンドだったのに、どうしてここで、A列車? そんな疑念が湧いたりもするんですが、でもまあ、蛆が湧くよりはマシだと思って諦めてもらうとして。 実際のところ、ちょっぴりスイングっぽい、んが、んぐ。 そんな仕上がりだったりするんですが、ま、これはこれでアレなので、とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 1曲目があまりにもアレだったので、ハズしたか? そんな気がしたんですが、2〜3曲目で完全に盛り返しました。 で、中盤以降はちょっぴりマンネリ気味になってくるんですが、ま、何とか許容の範囲内だとは思うし、マグクリフの自作を含めて親しみやすいナンバーが揃っているので、概ね安心な作風と言えるのではなかろうかと。 ブルー・ミッチェルも随所で活躍していて、よいしょっと。 とまあ、そんな1枚なのでありました。


INDEX
BACK NEXT