A SWINGING INTRODUCTION TO JIMMY KNEPPER (BETHLEHEM)

JIMMY KNEPPER (1957/9)

A SWINGING INTRODUCTION TO JIMMY KNEPPER


【パーソネル】

JIMMY KNEPPER (tb) GENE QUILL (as) GENE ROLAND (tp) <#5,7,9>
BILL EVANS (p) <#1-4,6,8> BOB HAMMER (b) <#5,7,9>
TEDDY KOTICK (b) DANNIE RICHMOND (ds)

【収録曲】

(01-03) LOVE LETTERS / OGLING OGRE / YOU STEPPED OUT OF A DREAM
(04-06) HOW HIGH THE MOON / GEE BABY AIN'T I GOOD TO YOU / IDOL OF THE FLIES
(07-09) CLOSE AS PAGES IN A BOOK / AVID ADMIRER / IRRESISTIBLE YOU
【解説】 ( 2011年05月22日更新 / 連載 981回 )

 源氏と平氏とではどちらが好きかというと、僕は断然、源氏です。 源氏には源氏パイがありますからね。あれは美味しいです。 対する平氏のほうには、あれに匹敵するよう銘菓がありません。 似たような名前の奴なら 平治煎餅 というのがあるんですが、あんなもの、所詮は津の名物ですからね。 桑名の “かぶら煎餅” の足元にも及ばないに違いありません。 ただ、食い物さえ絡まなければ、僕は平氏のほうが好きなんですけどね。 「平家の落人」 とか、滅びの美学を感じさせますもんね。彼らの足跡をたどる旅に出たくなるんですが、トゥルリラ トゥルリラ〜 風に吹かれて 知らない町を旅してみたい〜 トゥルリラ トゥルリラ〜 ひとり静かに 愛を見つめて 平家の落人〜♪


< 平家物語歴史館 (その1) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、行ってきました、平家物語歴史館 。 雨でどこにも行けなくなってしまった場合、最悪の選択として候補に挙げていたんですが、ショボそうなのに入館料が 1,200円もするしー。 インターネット特典で 1,000円になるようですが、割引券をプリントアウトして持参するのではなく、来館予約が必要なんですよね。 もし予約だけ入れて、気が変わって行くのをやめたりすれば、どんな迷惑メールを送り付けられてくる事やら…。 幸い、天気も悪くなさそうだったので、よもや訪れる事もあるまいと、すっかり安心していたんですが、 栗林公園・丸亀城金刀比羅宮・骨付鳥 と、思った以上に早いペースで観光が終わってしまって、時間が余ってしまいました。 仕方がないので、行ってみますかぁ。。。

 ということで、到着しました。 この博物館、海の近くの工業団地のど真ん中になるんですなー。 リゾート気分は皆無です。 でもゴールデンウィークの真っ最中だし、駐車場は150台のスペックしか無いし、車を止めるとこ、あるのか? …と、すごく心配していたんですが、それはまったくの杞憂でした。余裕じゃん! 車を止めるところが無かったら断念しようかと思っていたんですが、無念です。 こうなったらもう、覚悟を決めるしかないんですが、ということで、入場。  「平家物語歴史館」 と名乗ってはいるんですが、実際は 「蝋人形の館」 といった感じでありまして、1階部分には平家物語とはまったく無縁な “四国の偉人たち” が立ち尽くしております。 凄ぇぇぇぇ!! 僕は正直、ろう人形というのを馬鹿にしていたんですが、めっちゃリアルやん!! 各写真の個別の解説は面倒なので省略しますが、 (写真・上から2番目) のシーンは背景が鏡になっておりまして、向こうの通路が透けて見えているのかと思ったら、実は自分の姿が写っているという。 ちなみに僕は幸徳秋水の後ろにいます。 で、 (写真・下から2番目) はアレです。 実はこれだけ蝋人形ではなくて、展示物の解説をしてくれた係のオッチャンだったりします。 …と言われたら、普通に信じてしまいそうなんですが、これもやっぱり普通に蝋人形です。 中浜万次郎ではなかったかと思うんですが、すげえ普通のオッチャンだったんですな、ジョン万次郎。


< 平家物語歴史館 (その2) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、次。 いよいよ本命の 「平家物語の部」 でありますな。 基本は2階部分に展示されているんですが、 (写真・いちばん上) の “一ノ谷の合戦” は斜面の急勾配を表現する為に、1〜2階の吹き抜け部分に展示されております。 詳しいことはよく知らんのですが、 「鹿も四つ足、馬も四つ足」 とか馬鹿なことを言って、この急勾配を馬で駆け下ったんでしたっけ? ま、成功したからよかったものの、今なら 「ウマの虐待だ!」 と、動物保護団体からクレームが出るレベルです。 ちなみにこの蝋人形館は、人間の蝋人形に関してはめっちゃリアルなんですが、ウマの蝋人形…というか、ウマの蝋馬形とかは、けっこう適当。 とまあこんな感じで 「平家物語」 の17の場面が 300体ほどの蝋人形で表現されているんですが、いやあ、思っていた以上によかったです。 人形やら馬形やらを製作する手間を考えれば、1,200円という価格設定も妥当…とまでは言えませんが、通販で買った 「全国高校制服図鑑 (画像無し)」 (税込 1,218円) が届いたと思ったら、「男子編」 かいっ! …といった過ちを犯してしまった事を思えば、ま、諦めの付く範囲では無かろうかと。 「平家物語」 についてもっとよく知っていれば、もっと深く楽しめたのではないかと思うんですが、僕が知っている話って、 ここ 参照の 「敦盛の最期」 くらいですからね。 そのシーンも蝋人形で再現されていたんですが、 こんな感じ の、やっつけ感の漂う仕事しかしてなくて、残念な限り。

 ということで、家に帰ってから、今更ながら 「平家物語」 を読んでみました。 まずは これ 。 非常に分かりやすくてよかったんですが、ページ数の制約からなのか、端折られているエピソードも少なくないように思われます。 ちょっと物足らなかったので、 こっち も買ってみました。 まだ、ほんのさわりしか読んでないんですが、おおっ、これはもしかして、蝋人形でみた 「清盛の孫、摂政・基房を辱める」 ではないか? で、こっちは 「俊寛のみ赦されず」 !? …と、いちいち思い当たる節があって、楽しいです。 ま、そういった知識がなくても、 「めっちゃ大仏に押し潰される」 とか、 「物怪(もののけ)と頭蓋骨がめっちゃ出まくる」 とか、 「矢がめっちゃ刺さって、やだ」 とか、魘されそうな展示がいっぱい。 いやあ、諸行無常でありますな、こりゃ。


 ということで、香川の観光はおしまい。 その日は “さぬき市” というところに泊まったんですが、その話は ここ を見て貰うとして、で、翌日は鳴門に行きました。

< 鳴門スカイライン&鳴門公園 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、鳴門です。 さぬき市から鳴門までは 鳴門スカイライン を走りました。 風光が明媚でした。 ということで、 鳴門公園 に到着。 ゴールデンウィークの真っ最中だし、車を止めるとこ、あるのか? …と、すごく心配していたんですが、知名度が致命的に低い蝋人形とは訳が違いますからね。 ま、 「平家物語歴史館」 は来年の大河ドラマ 『平清盛』 のおかげで大ブレイクする可能性がないわけではないんですが、いかんせん、あの立地ではリッチ感が無さ過ぎです。せめて平家ゆかりの屋島の山上にでも造っておけば、で、入館料も 300円くらいにしておけば、蝋人形の数と同じくらいは観光客も来ると思うんですけどねー。 で、鳴門公園のほうはどうだったのかと言うと、朝の9時前に到着したのが幸いして、無事、第2駐車場を確保出来たのでありました。

 高砂親方と言えば朝潮なんですが、鳴門と言えば渦潮。 鳴戸親方と言えば隆の里なんですが、字が違うので無視するとして。 で、鳴門の渦潮というのは、いつ行っても普通に見られるという出し物ではありません。 詳しくは 潮見表 を見て貰うとして、日程的には大潮、せめて中潮、時間的には干潮か満潮。 そういう限られた条件でしか渦を巻いてはくれません。 かなり気難しい性格みたいなんですよね。 じゃ、渦を巻いてない時はどうしているのかというと、酒を飲んで、くだを巻いているという。 人間的にはかなり問題がありそうなんですが、幸い、僕が訪れた5月5日は大潮でありました。 干潮タイムは 12時50分だそうです。 かなり時間があるので、 大塚国際美術館 に行ってみることにしました。 専用の駐車場 (有料) もあるんですが、鳴門公園の駐車場からも歩いていくことが出来ます。 途中、鳴門大橋がよく見える展望スポットがあったりするのでオススメです。 ルートに関しては、下のほうにあるGPSログの軌跡を参照して下さい。

 で、この美術館なんですが、陶板複製画と呼ばれるパチモンしか展示されてないにも関わらず、お値段は 3,150円と “蝋人形” の 2.6倍強。 ぼった感が半端ではありませんが、見応えは十分。 地下3階から地上2階まであって、しかも地下の部分は無駄に広くて、全部回ろうとすると4キロくらい歩かされることになります。 2時間半くらいの時間を見ていたんですが、ぜんぜん足りませんでした。 地下3階から順に上がっていくというシステムなんですが、後から思えば前半部分を真面目に見過ぎましたなぁ。 システィーナ礼拝堂 のような大物だけ押さえて、 こんな 、海星高校の教室に飾ってあったような絵ばかりがならんでいる中世コーナーは軽くスルーしておくべきでしたなぁ。 紙くずを丸めて投げ付けていた思い出しか蘇ってきませんもんね、こんなの。 結果、ロマン主義、写実主義、印象派、印度象派といった、お馴染みの絵をゆっくり鑑賞する時間が無くなってしまったんですが、個人的には地上部分の近代絵画が興味深かったですな。 オーネット・コールマンの 『フリー・ジャズ』 というアルバムのジャケットに使われた ジャクソン・ポロックのあれ だとか、誰かの こんな自画像 だとか。 よく見ると、隣の絵の金ピカの額縁に絵画鑑賞中のオネーサンが映り込んておりますが、とまあそんなことで、美術館はおしまい。 ちなみに (写真・いちばん下) はアレです。 美術館からの帰りがけに展望台から撮影したものなんですが、鳴門クンの機嫌が次第によくなって、渦を巻く気になっているのが何となく分かります。 チョー期待♪


< 渦の道 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、 渦の道 に行ってみました。 ここはアレです。 大鳴門橋には新幹線を走らそう! そう意気込んで2階建てにしてみたものの、鉄道構想はあえなくポシャってしまって、仕方が無いので無駄になってしまった1階部分を遊歩道として開放することにした。 そういうアレだったりします。 結果、なかなかの人気スポットになっているので、まったくの無駄というわけでもなかったよね? 役人としては、そう強弁したいに違いありませんが、入場料は 500円。 ま、蝋人形のことを思えば、妥当な線ではなかろうかと。 2階建ての1階部分なので屋根はあるんですが、側面はほとんど金網なので、風がスースー。 上の部分をクルマが通ると微妙な振動があるし、ところどころ、床の部分にスケスケの覗き窓があるし、チョー高所恐怖症の僕にとってはかなりの恐怖スポットだったんですが、でもまあ、そのうちに慣れました。 で、肝心の渦潮のほうはというと、おおっ、まずまず。 なかなか期待通りに綺麗な渦を巻いてはくれないんですが、潮の流れの速さが半端ではありません。 かなり大きな遊覧船が押し戻されたりしてましたからね。 船の上から見たら、より迫力がありそうなんですが、もしかしたらめっちゃ揺れて、ゲロゲロ? 高いところ同様、僕は乗り物酔いにも弱いですからなぁ。。。 潮流が穏やかな小潮の日を選んで、干潮と満潮のちょうど真ん中を時間を選んで乗船すれば大丈夫かも知れませんが、それではまったく意味がないし、とまあそんなことで、鳴門はおしまい。

 桑名に帰る前に、鳴門市内のスーパーに寄って、 フィッシュカツ を買いました。 食べてみたかったんですよね、これ。 美味しかったっす。 で、鳴門大橋を渡って 淡路ハイウェイオアシス に立ち寄って、 観覧車と明石海峡大橋 を眺めました。 で、 淡路牛ロースのステーキ丼 を食べました。 食べてみたかったんですよね、これ。 美味しかったっす。 とまあそんなことで、今回の旅はおしまい。 最後に鳴門付近を散策した際の “足跡” を掲載しておきます。


   “鳴門ドライブウェイ&鳴門公園散策” の軌跡  ( ← Click Here!! )


 最近、僕のパソコンでは “google map” がうまく表示されないんですが、みんなはどうかな? 駄目だった場合はブラウザで “再読込” してみて下さい。それでも駄目だった場合は諦めて下さい。 とまあそんなことで、おしまい。

 ということで、今日はジミー・ネッパーなんですが、あ、淡路島からの帰りはですね、めっちゃ混んでました。 通常、桑名まで3時間くらいだと思うんですが、倍の6時間掛かりました。 ま、ゴールデンウィークの真っ最中でしたからね。 最中 (もなか) を買いに車で出掛けた人も多かったと思うしぃ。 …という、しょうもないオチしか思いつかなかったので、前半の締めが超適当になっちゃいましたが、それはそうとジミー・ネッパー。 何かこう、地味な菜っ葉という感じで、あまりソソられるものがありませんな。 華が無いですよね、菜っ葉。 ま、菜っ葉にもちゃんと菜の花みたいな花が咲いたりするんですが、で、ジミー・ネッパーと言えば、チャールス・ミンガスのところで頑張ってた人というイメージが強いですよね。 ミンガスに顔面を殴られて、歯が折れたんでしたっけ? 「ジミー・ネッパー 歯」 でググると、いくつか関連のネタがヒットしますな。 というか、ほとんど歯の話しか知られていないような感じなんですが、そんなことではいかん! …という義憤に駆られて、今日はネッパーのアルバムを取り上げてみたいと思います。  『ア・スインギン・イントロダクション・トゥ・ジミー・ネッパー』 。 名前からして恐らく彼の初リーダー作だと思うんですが、ビル・エバンスがピアノを弾いているセッションもあったりして、なかなか興味深いです。 「大寺院 食い入る視線は みうらじゅん」 という俳句でお馴染みのジーン・クイルも入っているし、ミンガスの元で同じ釜の飯を食ったダニー・リッチモンドも参加しております。 ま、ネタ的には前回のグラチャン・モンカー3世よりはマシかも? ということで、では1曲目から聞いてみることにしましょう。

 まずは歌物ナンバーの 「ラブ・レターズ」 。 45年の同名映画の主題歌で、ディック・ヘイムズがヒットさせた。ジャズではトニー・ベネット、ジュリー・ロンドンらヴォーカリストが好んでカヴァーしている。 …と、杉田宏樹クン( ←誰? ) が日本語ライナーに書いているナンバーなんですが、河合奈保子にも似たようなタイトルの歌がありましたな。 好きです〜 言えないけど〜 (中略) ためらい、ライライ ラブレター♪ (後略) その部分しか覚えてなかったりするんですが、で、ジミー・ネッパーのほうはアレです。 トロンボーンの導入部からややテンポ・アップして、アルト・サックスが主旋律を奏でるテーマが登場。ネッパーは絶妙なオブリガードをつけ、そのままソロの一番手を務める。クイルの艶やかなアルトが印象的。エヴァンスはハード・バッパーとは趣の異なるピアノを披露する。 …と、日本語ライナーに書かれている通りの演奏が展開されております。 誰なんだかよく知りませんが、なかなか簡潔で分かりやすい解説でありますな、杉田宏樹クン。 確かに導入部は、ちょっといきなりな感じがするトロンボーンでありまして、その後、テンポが早くなってアルトが主導するテーマが登場します。 ネッパーは絶妙なオブリガードをつけていて、で、そのままトロンボーンのソロへと流れて行きます。 宏樹クンの言う通りです。 ジミーの出来は正直、ちょっと地味なんですが、続くジーン・クイルのソロが秀逸。 ちょっぴりマクリーンを彷彿させる濁ったトーンと情熱的なフレージングは、黒人至上主義の貴兄をも納得させるだけのパワーがあります。 で、その後、ハード・バッパーとは趣の異なるピアノのソロがあって、 tb→as→tb→as の4バースがあって、テーマに戻って、おしまい。 何と言うか、絵に書いたような正統派ハード・バップ。 そんな感じの1曲でありました。

 で、次。 ジミーちゃんのオリジナル、 「オグリング・オグル」 。 宏樹クンいわく、タイトルは 「鬼のような人に色目を使う」 という意味なんだそうで。 鬼のような人というと、団鬼六センセイ? ま、緊縛されるのが趣味の人であれば、色目を使うのも分からんではないんですが、「OGLING OGRE」 が、本当にそんな意味になるんすかね? 試しに翻訳サイトに掛けてみたら 「鬼をじろじろ見ます」 としか出てこなかったんですが、これはアレです。 お洒落ファンキーといった感じの、なかなかの佳曲です。 で、ソロ先発はクイルです。 相変わらずいい味を出しているんですが、マクリーンっぽいのとはちょっと違うタイプになっておりますな。 続くネッパーのソロも味わい深くで、で、注目したいのがエヴァンスのソロ。ここのバッキングだけリッチモンドが他のパートとは違うリズム・パターンを刻んでおり、エヴァンスはビ・バップ〜ハード・バップの流れではない、新鮮な感覚のピアノ演奏を打ち出している。 …と、終盤は例によって日本語ライナーからの引用。 宏樹クンはあくまでも “エヴァンス=新鮮” を前面に打ち出したい模様です。 そこのところに注目しながら聞いていたら、あまりにも短いソロで新鮮なんだかどうなんだか、よく分からなかったりしたんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 ここまでのところ、いい感じに順調です。

 3曲目、 「ユー・ステップド・アウト・オブ・ア・ドリーム」 。 「夢から醒めて」 という邦題があったような気がする歌物ナンバーです。 個人的にさほど好きな歌ではなかったりするんですが、アルトサックスで軽快に吹いたりすると、それはそれで悪くなかったりはするんですけど。 ということで、クイルに期待! …なんですが、大丈夫でした。 聞いてみたら、頑張ってくれておりました。 ネッパーの適度な絡み具合も悪くないです。辛味大根のような辛口の絡みです。 で、ソロ先発はネッパー。2番手はクイル。3番手はエバンス。 宏樹クンが何と言おうと、僕は “エヴァンス” とは書きたくない派なんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 早くも手抜きモードに突入してしまいましたが、演奏のほうは確かです。 大丈夫です。 ということで、次。  「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」 。 超アップ・テンポで賑やかにやるのがお決まりなんですが、ここでのネッパーはゆったりとしたテンポで、じっくりとテーマを歌い上げております。意表をついてバラードで来ましたかぁ。 …と思わせておいて、途中から一転して急速調になるのは目に見えているんですが、とか思っていたら、案の定でした。 アドリブが始まるところで急にテンポが早くなりました。 ミディアム・ファストといった感じで、思ったよりは落ち着いているんですが、クイルのブルージーな吹きっぷりは悔いる必要のない立派なものだと思います。 続くエバンスのピアノも 「いかにも」 と言った感じで、イカがさほど好きではない僕としても、いかすソロであると評価せざるをセザール。大いなるマンション。 で、ネッパーのソロが始まる頃には、バラードと言っても間違いではない落ち着いたテンポに戻るんですが、でもって、自然な感じでテーマに戻って、おしまい。 エンディングも綺麗にきまって、バッチリ♪

 で、次。  「ジー・ベイビー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー」 は、なんとも言えずブルージーでレイジーな雰囲気のナンバー。 ピアノがエバンスからボブ・ハマーに代わって、トランペットのジーン・ローランドが追加されるという (セッションその2) のほうのアレですな。 で、誰だか分かりませんが、オッサン声のヴォーカルも入ってたりします。 あ、ローランドが歌っているんですか。 日本語ライナーを読んで、その事実が判明したんですが、ダルな雰囲気がなんとも言えずに気怠いっすね。 続くネッパーのソロもアーシーだし、ハマーくんのピアノもなかなかいい感じ。 エバンスじゃなきゃ、聞く気がしねーよ。 …などと斜に構えていると、絶対に損をすることになると思うんですが、結構ハマりますな、ハマーくん。  ググってみても、ミンガスの 『ジャズ&ポエトリー』 に参加しているらしいということ以外、 「ハマーの電動アシストでエコライフを! ボブの自転車でエコライフ」 とか、そういうサイトしか見付からなかったんですが、後は青みがかかった個体を7年かけて交配して作り出したアメリカのザリガニ・ブリーダーのボブ・ハマー氏とか。 タロット・カードを使ったストップ・トリック、驚異的な記憶力、おしゃべりな愚者ボブ・ハマーのマセマティカルなんとか…とか。 何とも多才な人のようですが、で、続くジーン・ローランドのトランペット・ソロは、ちょっぴり中間派っぽい雰囲気があったりして、よく言えばノスタルジック、はっきり言えば、古臭くて今ひとつ。 歌だけで勝負したほうがよかったんじゃないかという気もするんですが、ま、わざとレトロな味を出しているのだと思えば、それなりに許せる範囲ではあるし、でもって、テーマには戻らずに、おしまい。

 ということで、6曲目です。 ジミーちゃんオリジナル、 「アイドル・オブ・ザ・フライズ」 。 微妙にラテンっぽい香りがしないでもない、それなりの佳作でありまして、トロンボーン → アルト→ ピアノの順で、ジュン、って潤ってきちゃうんです。 …なソロを堪能することが出来ます。 エバンスも悪くないんですが、個人的にはやはり、クイル最強! リーダーの影がちょっぴり薄かったりするんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 で、次。  「クロース・アズ・ページズ・イン・ア・ブック」 はノスタルジックな雰囲気のナンバーで、…と書いてあるので、恐らく 「ジー・ベイビー・エイント〜」 っぽい仕上がりなんだと思うんですが、案の定、ローランド君のトランペットが入っておりますな。 この人のミュート・プレイを聞く限り、完全に懐古厨要員なんだと思われますが、ネッパーの吹くトロンボーンも、負けず劣らず 「たそがれ戦隊 ノスタルG」 。 あ、CDのこの曲の解説でボブ・ハマーについて触れられておりますが、本作の参加ミュージシャンの中で最も無名と思われるボブ・ハマーは、54〜56年に活動したセクステット “ザ・シックス” のピアニストなんだそうで。 聞いたこともないグループなので、恐らくあまり活躍しなかったんでしょう。ピアノの腕は確かなのに、惜しい話です。

 で、次。 ネッパー・オリジナル 「アヴィド・アドマイヤー」 。 「熱烈な求愛者」 なんだそうです。 僕は未だに「熱烈な求愛」 など一度もされた事がないんですが、でも 「激烈な坦々麺」 なら食べたことがあるので、大丈夫。 で、曲のほうはというと、そこそこ熱烈で、まあまあ激烈? 2管の絡み具合が、それなりに麺類だとは思うんですが、で、ネッパー → クイル→ エバンスの順で、各自のソロが披露されます。 ここでもまた、クイル最強♪ 日本ではフィル・ウッズの手下としか思われてなくて、ちょっと気の毒なんですが、でもまあユッケの毒に当たるよりはマシだと思って諦めて貰うとして、で、短いベース・ソロのあと、トロンボーンとアルトの掛け合いで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 幾分、白人系なウエスト・コーストっぽい雰囲気もあったりしたんですが、ま、よかったのではなかろうかと。 ということで、ラストです。 トランペット入りの懐古系サウンドのほうのセッションなので、ちょっと心配なんですが、 「イレジスティブル・ユー」 。 歌モノ系のようですが、どういう意味なんすかね? …と思って調べてみたら、 「抵抗できないあなた」 。 もしかして、抵抗出来ないように緊縛されちゃったとか? ああ見えて、ネッパー君も意外とワイルドだったりするようなんですが、演奏のほうはというと、極めてマイルド。 危惧した通り、ちょっぴりノスタルが入っちゃっているんですが、でもまあ、何とか許容の範囲内だし、無名のボブ・ハマーと、日本では不人気なジーン・クイルは頑張ってくれているし、とまあそんなことで、今日のところはおしまい。

【総合評価】

 ジミー・ネッパーがリーダーである必要性はあまり認められないんですが、普通にハード・バピッシュな佳作でありました。 黒人至上主義の貴兄でも、ぜんぜん大丈夫♪ エバンスは、ま、売りになるほどの存在感は無かったんですが、クイル最強! 「昭和のいる・こいる」 に肩を並べる才人でありますなぁ、クイル。 …というのが今日の結論です。


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