THE MODERN JAZZ DISCIPLES (NEW JAZZ)

CURTIS PEAGLER (1959/9/8)

THE MODERN JAZZ DISCIPLES


【パーソネル】

CURTIS PEAGLER (as) WILLIAM "HICKY" KWLLY (normahone,euphonium)
WILLIAM "BILLY" BROWN (p) LEE TUCKER (b) RON McCURDY (ds)
【収録曲】

(01-03) AFTER YOU'VE GONE / DISCIPLES BLUES / SLIPPIN' & SLIDIN'
(04-05) A LITTLE TASTE / PERHAPS
(06-07) HUCK'S DELIGHT / DOTTIE

【解説】 (2010年03月28日更新)

 埼玉。 来週の今頃、僕はそこにいる事になると思うんですが、桑名に住んでいる僕にとっては、ちょっと遠いです。 地理的にというよりも、縁遠いといった感じなんですが、南米のチリに比べれば、地理的にはさほど遠くはないですからね。 仕事で行く機会もないし、遊びに行こうと思ったこともないし、今まで、僕にとってはどうでもいい都道府県のひとつだったんですが、思うところあって、この度、埼玉を旅することになりました。 主要な目的は “熊谷基地さくら祭り” なんですが、いやあ、熊谷って埼玉にあったんですな。ちっとも知りませんでした。 群馬県?…とか思ってました。 群馬県熊谷市のほうが、馬 (うま) と熊 (くま) で韻を踏んでいるし、同じ哺乳類同士でいいような気もするんですが、県と市の関係というのは、韻とか、同類とか、そういう観点では捉えきれない複雑なしがらみがあるようです。 で、熊谷と聞いて、まず最初に頭に浮かぶのは、熊谷次郎直実でありますな。 くまがやジローではなく、 「くまがい」 と読むんですが、土建屋の熊谷組も 「くまがいぐみ」 だったりしますよね。 熊谷という地名も、昔は 「くまがい」 と言ってたそうなんですが、ま、その話は置いといて、熊谷次郎直実。 この人はですね、 『平家物語』 に登場します。 コドモの頃、 『平家物語』 が大好きで、オトナになったら琵琶法師になるんだ!…と思っていた僕は、今でも 「敦盛の最期」 を諳んじることが出来るんですが、熊谷涙を押さえて申しけるは、「助けまいらせんとは存知候えども、味方の軍兵(ぐんびょう)、ウンコのごとく候。よも逃れさせたまわじ。 (中略) 泣く泣く首をぞ、かいてんげる。 おお、完璧ですな。 (中略) の部分がよく思い出せなかったので、適当に端折っておいたんですが、ちなみに正解は ここ にあります。 あ、 「味方の軍兵ウンコのごとく」 ではなくて、「雲霞のごとく」 でありましたか。 知っているのに、わざと間違えたりして、相変わらずの 『恋人試験』( by 松本ちえこ ) なんですが、2ちゃんねるにも 「敦盛の最期」を暗誦してみないか? というスレがあったりしたので、琵琶法師を目指さない人にとっても、わりとポピュラーなのではないかと思われます。 ま、ぜんぜん盛り上がらずに、すぐ落ちちゃったみたいですけどね、敦盛スレ。

 熊谷駅の北口には熊谷次郎直実の銅像があるようなので、是非ともチェックしなければなりませんが、平家好きの僕からしても、敵ながら天晴れなヤツですからね、ジロー。 で、熊谷と言えば、クマガイソウ を忘れてはいけません。 「熊が居そう」な所に咲くわけではありません。…って、解説、ナイス♪ 山野草フェチにとっては憧れのお花なんですが、ただ珍しいというだけで、ちっとも綺麗とは思いませんけどね、こんなヘンな花。 とまあそんなことで、僕が熊谷について知っていることは、以上です。 これではさすがに1回分のネタにならないので、もうちょっと調べてみたいと思うんですが、実は既に調べは付けてあります。 フライ が名物なんですよね、ここ。 このところ、カロリーを控える為、なるべく揚げ物は食べないようにしているんですが、たまに旅行に行った時くらいは、どーんと解禁しちゃいますかね? せっかくの名物なんだしぃ。 …と思ったら、熊谷のフライというのは、揚げ物ではないんですな。 熊谷だけでなく、お隣の行田あたりでも食べられている…というか、もしかしたらそっちのほうが本家なのかも知れませんが、おおっ、行田市。 そういえば、ここも埼玉だったんですな。 行田市というのは桑名人にとって、とても馴染みの深いところなんですが、何故かと言うと “姉妹都市” だからなんですけどね。 そのことを知ってる桑名人が果たして何人いるのか、ちょっぴり心許ないとこではあるんですが、少なくとも僕が小学生だった頃は、その話題でちょっとだけ盛り上がってました。 あと、福島県白河市とも姉妹都市というか、 “友好都市” の密約を締結しているようですが、何でもこの3つの市は江戸時代の国替えで藩主が入れ替わったという歴史的なつながりがあるんだそうで。 どうせならもっと有名でオシャレな都市に “妹” になって欲しかった。…と、子供だった僕は思っておりましたが、そんな行田の名物はと言うと、餃子ではなく、フライゼリーフライなんだそうで。 小学校の給食で、唯一楽しみだったのがフルーツゼリーと揚げパンだった僕としては、実に気になる食べ物でありますな、ゼリーフライ。 ゼリーを揚げるんですかね? アイスクリームの天麩羅があるくらいだから、そういうのがあっても不思議ではないですよねー。 行田名物のゼリーフライとは、デザートのゼリーを油で揚げた食べ物で、ア、ル? かぶりましょうー。 「イエース!」

 『天才クイズ』 で出題されたら、地元民でなければ思わず白い帽子をかぶってしまうところなんですが、博士、お答えをどうぞ。 「答えは・・・、ノーぉぉぉぉ!」 ざわざわざわ。 (←1問目で全滅してしまって、ざわめく会場。) 名古屋ローカルのクイズ番組で、そんな問題出すなって!…と思わずにはいられませんが、「そうではないっ!」 という博士の解説に耳を傾けてみると、ゼリーフライとは、主におからと茹でたジャガイモを混ぜ合せ、つなぎに鶏卵を加えてコロッケのようにまとめて素揚げして作る。いわゆる 「おからコロッケ」 の一種で、軽食としてソースをつけて食べられることが多い。ご当地グルメとして、行田市内各所においてスタンドやカウンター形式で販売されているんだよ。 なるほど。 博士、Wikipedia を丸写しして、語尾に 「んだよ。」 を付けただけやん!…という気がしないでもないんですが、揚げ物であるには違いないんですな。 では、どうして 「ゼリー」 なのかと言うと、 「銭フライ」 が訛ったという説が一般的なようです。 形が小判=銭に似ているから、銭フライ。 が、そんなこと言ったら普通のコロッケだって銭型だと思うんですが、そんな説明で銭形警部が納得すると思うのか!? 「なるほどぉ。」 あ、銭形警部、あっさりと納得してしまったようなので、この話はここまでにしておきますが、なかなか美味しそうですよね、ゼリーフライ。 是非とも食べてみたいところなんですが、今回、諸般の事情により行田に寄る余裕は無さそうなので、熊谷のフライのほうで妥協しておこうと思うんですが、こっちのほうはどういう食い物なのかと言うと、 オフィシャルサイト にその解説がありました。 要は “チープなお好み焼き” のようなものなんですな。 どうしてこれがフライという名前になったのかというと、フライパンで焼くから、フライ。 そういう説が一般的なようです。 そんなこと言ったら、 “日清焼そば” だってフライパンで焼くやん!…という気もするんですが、もっともアレは正確に言うと、麺を 「焼く」 というより、湯でふやかして、ほぐしているだけなんですけどね。 本当の意味で 「焼く」 と言えるのは終盤の5秒くらいのものなんですが、下手に気合を入れて焼こうとすると、無駄に漕げつくだけなので、やめておいたほうが正解。 で、この熊谷のフライは、肉とネギだけを具にするようですが、店によっては桜エビを入れるところもあるそうです。 桜エビ嫌いの僕としては、そんな具は愚の頂点としか思えませんが、下手に熊谷でフライを食って桜エビ入りだったりすると嫌なので、ここは思案のしどころでありますなぁ。

 で、先ほどのオフィシャルサイトには、 かき氷 「雪くま」 というのもありますな。 めっちゃ美味しそう♪ が、今回、僕が熊谷を訪れるのは4月ですならね。 かき氷はあまり食いたくありませんな。 で、次。 五家宝。 2ちゃんねるに 「五家宝」 というシンプルなタイトルのスレがあったんですが、

  1 名前:無銘菓さん[] 投稿日:2009/03/14(土) 14:14:27 ID:7+IScsJj
  五家宝が好きなんですが、不味いと荒らされて困ってます。
  だからみなさんが頑張って五家宝を広めてみれば良いと思う

  2 名前:無銘菓さん[] 投稿日:2009/03/14(土) 16:23:55 ID:hAWT1LMW
  ぬちぬちするぅ

  3 名前:無銘菓さん[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 16:39:10 ID:???
  うん、ぬちぬちするね。


 そういう食い物であるようです。 そうですかぁ。不味いと荒らされて困ってますかぁ。 概要 : おこし種を水飴などで固め棒状にした芯をきな粉に水飴などを混ぜた皮で巻き付け、さらに黄粉を表面にまぶしたものであり青色のものは青大豆を用いて製造されている。…との事なんですが、あ、下手に文字で説明するより、写真を見て貰ったほうが分かりやすいかもしれません。 こんなヤツ です。 “机の上がきな粉まみれになりそう感” では、信玄餅に匹敵するものがありそうですが、駄菓子のカンカン棒とはまた違うんすかね? あ、もしかしてカンカン棒って、飛騨高山あたりのローカル食い物かも知れないので、埼玉県民には分かりにくいかも知れませんが、 こんなヤツ です。ちょっと分かりにくいんですが、いい画像が見つかりませんでした。 ま、要はきな粉をカンカンに固めた棒のようなものなんですが、最初のうちはカンカンなんですが、噛んでいるうちに歯が欠けるか、きな粉がシケってフニャっとなるか、どちらかの状態に落ち着きます。 見た目はよく似ているような気がするんですが、五家宝のほうはセンター部分に “おこし種” が入っているようなので、それほどカンカンでは無いんすかね? どちらかというと、ぬちぬち棒?  なんだかちょっぴりワイセツな響きになっちゃいましたが、もしかしたら 多度豆 を棒状にして、中のシケった大豆を摘出したバージョンのようなものなのかも知れません。 だとすれば、かなりサバ君好みの食い物と言えそうなんですが、多度豆の中に入ってるシケた豆って、ただ邪魔なだけなような気がするので、出来れば中に豆の入ってない多度豆を作って欲しいと、常々思ってましたからね。 これは是非、地元と評判はともかくとして、対外的にはいちばんメジャーらしい 紅葉屋 という店で買ってみたいところなんですが、ただ五家宝には根強いアンチがいるところがちょっと気になりますな。2ちゃんねるでも擁護派の 「五家宝」 はレス番 81で伸び悩んでいるのに、アンチスレの 「五家宝って絶滅しても構わない」 のほうは 259まで進んで、大いに盛り上がっております。ラーメン彦竜より不味い…とか言われてるしぃ。

 桜エビ入りかも知れないフライ、彦竜以下かも知れない五家宝。 熊谷の食文化は一種のギャンブルと言ってよさそうなんですが、そんな僕は熊谷基地さくら祭りの翌日、長瀞のほうに行ってみようと思っております。 埼玉って特に観光地も無いしぃ。…と思っていたんですが、長瀞というのは埼玉だったんですな。ちっとも知りませんでした。 「さいたま県民はやっぱ長瀞だよな」 というスレがあったので、そうと気付いたんですが、この中にちょっと気になる情報がありました。

  90 名前:底名無し沼さん[] 投稿日:04/07/29(木) 10:59
名前は忘れたが駅前にある真空菅でジャズ聴きながら蕎麦食える店良かった。


 蕎麦とジャズ。いいぢゃん♪ 真空管というところがマニアっぽくて、ちょっと嫌なんですが、レス番 107で店の名前も判明しました。 「とらや」 だそうです。 ググってみたらオフィシャルがありました。 これ です。 おおっ、こだわりのオシャレなBGM♪ ユセフ・ラティーフみたいなルックスのおっさん! メニューのほうも 「打込そば」 「生粉打ち」 「そばがき」 の3種類のみ。 えー、天麩羅蕎麦はー? カレー蕎麦はー? ソース焼そばはー? 正直、ちょっぴりハードルが高そうですなぁ。。。 クチコミを見ても賛否両論と言った感じで、どうやらこのラティーフくん、「まずはつゆに付けずに蕎麦だけを食べてください。」 と注文を付けるんだそうで。 えー、僕、 「蕎麦つゆは全身どっぷり派」 なのにぃ。。。 蕎麦を容器の中に放り込んで、右に3回、左に2回ほどグルグルかき回して食べるのが美味しいのにぃ。。。 つゆを付けずに蕎麦を食ったって、美味くもなんともねーぢゃん! かと言って、この見た目が怖そうなオヤジに反抗する勇気はないし、君子危うきに近寄らずだと伊藤君子も言ってたし、その一方、虎穴に入らずんば虎子を得ずという諺もあるし、名前が 「とらや」 だけに虎子が潜んでいる可能性が高いかも知れないし、オヤジとトラブルになったりすればトラウマが残ることになるしぃ。。。 バックに流れるジャズもコルトレーンの 『トランジション』 だったりして、もう、 「とらや」 でタラちゃん、大泣き。 というか、 こんな看板 が出ているみたいなので、タラちゃん、店に入れて貰えないんですけどね。 もう、いいっ!タラちゃん、タラの芽を食べるっ!…ということで、イチローくんお薦め「もみの木」 のほうがいいかも知れませんな。 世の中、誰が何と言おうと天麩羅蕎麦ですもんねー。 ソース焼そばも捨て難いんですが、ま、それは恐らく熊谷基地の屋台でも売ってると思うので、そちらで賄うことにして。 フライ (←桜エビ抜き) とセットで売っていたら最高なんですが、ところで上長瀞駅って、どこ?…と思って調べたら、長瀞駅よりもひとつ秩父寄りなんですな。 今回、秩父までは行かないつもりだったんですが、ちょっと足を延ばしてみますかね? 目的地は秩父と “もみの木” 、略して 「チチもみの旅♪」 何だか凄く楽しみになってきましたが、とまあそんなことで、来週のこのコーナーはお休みということになると思うので、よろしく♪

 ということで、今日はカーティス・ペグラーです。 このところ、無理に地味路線に走っている嫌いがあるんですが、これまた、どマイナーな輩が登場しました。 本コーナー初登場かと思ったら、サイドマンとして ここ に出ていた形跡が見られるんですが、面倒でとても読む気がしないので、果たしてどのような演奏が展開されていたのかはよく分からんのですが、今日はそんな彼の 『ザ・モダン・ジャズ・ディスシプルス』 というアルバムを紹介してみたいと思います。 もう1枚のリーダー作、 『ライト・ダウン・フロント』 というのとカップリングされて、 2in1でCD化 されているんですが、14曲も解説を加えるのは面倒だし、何より、ジャケ絵に10人分も書かなければならないのは、とらやで蕎麦を食うよりも苦痛なので、オリジナルな曲数&ジャケットで取り上げてみたいと思います。 ちなみにこの “ザ・モダン・ジャズ・ディスシプルス” というのは、アルバム名というより、コンボ名だと思っておいたほうがよさそうなんですが、 “mjd” と略されることもあるようです。 いや、マジで。 “Disciple” という単語が難解だし、発音がよく分からないし、ローマ字カナ変換もしにくいので、ちょっと困るんですが、電子辞書で音声読み上げさせてみたら、 「ディサイプル」 が正解? 門徒、門人、弟子、信奉者といった意味があるようですが、 「ザ・近代的なジャズの信奉者達」 ですか。なるほど。少なくとも、南伸坊の信奉者よりは期待が持てそうなんですが、いや、伸坊が悪いとか、辛抱が足らんとか、心棒が真ん中の棒とか、そういうことではなく、ジャズ的な適正の問題として。 ジャケットに写っている5人のうち、誰がペグラーなのかはよく分からんのですが、顔がまともに判別出来ろようなジャケ絵が書ける筈がないので、あまり気にすることはないと思います。 とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずは歌物ナンバーの 「アフター・ユーブ・ゴーン」 。 日本名、「君去りし後」 でありますな。 「君去りしのち」 なのか 「君去りしあと」 なのかという問題は、つい最近議論したような気がするんですが、あ、 ここ ですか。 どうやら 「あと」 が正しいという結論が出たようですが、それはそうとこの演奏、なかなかいいですなー。 見た目の地味さ具合からして、古臭い中間派風?…といった懸念が持たれていたんですが、なかなかどうして、普通にモダンなジャズでありました。 テーマ部はペグラー君のワン・ホーンで、で、そのままソロへと突入するんですが、何と言うか、普通にオーソドックスな吹きっぷりです。 ややトーンが軽めなんですが、その分、フレージングはニャロメ。 それがこの人の持ち味であると言えそうなんですが、さほど似てないことを承知の上で言うと、ちょっぴりソニー・クリス (←躁状態バージョン) っぽい? サイドマンがもうちょっとメジャーで、ジャケットのセンスがもうちょっと小マシだったりしたら、日本で人気が出ても不思議ではなさそうなんですが、そんな地味な脇役の先陣を切って、アルト・ソロの後、ウイリアム・ブラウンがピアノの腕前を披露してくれます。 で、これがまた、なかなか。 あっさり系のタッチによるシングル・トーンな弾きっぷりが何とも言えずスインギーで、上々です。 でもって、続いてウイリアム・ケリーという人が登場するんですが、ピアノのウィリアム・ブラウンが “ビリー” と呼ばれるのに対し、ケリーのほうのウイリアムは “ヒッキー” という異名がある模様です。 引きこもり? で、この人、ノーマフォン (?) などという謎の楽器を吹いているんですが、音としては普通にトロンボーンですな。 調べてみたらどうやら こんな楽器 のようですが、サックスとトランペットの合体版みたいで、なかなかオモロイです。 地味な楽器ながら、必死で頑張ってる様子が目に浮かんでくるような吹きっぷりでありまして、でもって、終盤は2管とドラムスとの4バースで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 エンディングの処理もなかなか凝っていて、いやあ、実に正統的なモダン・ジャズの信望者でありましたな、こりゃ。

 で、2曲目。 「ディサイブルス・ブルース」 。 あるいは 「ディスシプルス・ブルース」 なのかも知れませんが、いずれにしろ 「ブルス」 と 「ブルース」 で韻を踏んでいて、とってもいいと思います。 曲はいかにも 「信奉者ブルース」 らしいアーシー系でありまして、ノーマフォンの音色が何とも言えず泥臭くて、都会派の僕には、ちょっと厳しい? ピアノのコンピングもチープ感が全開で、恐らくこれは、敢えてそういう路線を狙ったのでありましょう。 で、その安ピアノがまず最初にソロを取ることになるんですが、ソニー・クラーク的な粘っこさと、ジーン・ハリスっぽい下世話さとを併せ持っていて、けっこう中毒性のあるスタイルでありますな、こりゃ。 で、続くペグラーのアルトは幾分ソウル派っぽかったりして、ピョンヤン派の人にはちょっと辛いかも知れませんが、でもって、ヒッキーのノーマフォンが何とも息苦しいです。 花粉マスクを装着しているような感じぃ? ま、あまり呼吸が楽なマスクだったりすると、その分、花粉もダダ漏れだろうから、ある程度は仕方無いところもあるんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 何と言うか、僕が最初に持っていたカーティス・ペグラーのイメージに近い感じだったりして、それはそれでいいんですが、こういうのはやっぱり、ちょっとだけ嫌です。

 で、3曲目、 「スリッピン・アンド・スライディン」 。 スリップもスライドも、どちらも滑ることだと思うんですが、どちらかと言うとスリップのほうはツルっと、スライドのほうはスーッと滑る感じですかね? 意図的に滑らすのがスライドで、意図せずに滑っちゃうのがスリップだという説もあるようですが、スリップとスライド。 Googleで画像検索して楽しいのは、断然 「スリップ」 のほうなんですが、スライドでは棚とか、携帯電話とか、焼き網スライドBBQコンロとか、そんなのしか出てきませんからね。 で、これ、エドワード・ベイカーという人が作った曲のようですが、いかにもベイカーらしい、米菓っぽい味わいの作品だったりします。 それはそうと米菓って、もち米を使ったものが 「あられ」 もしくは 「おかき」 、うるち米を使ったものが 「煎餅」 。 そういう区分だというのを知ってましたか? 僕は知りませんでした。 平ぺったいのが 「煎餅」 、そうでないものが 「おかき」。 で、「おかき」 の小振りのヤツが 「あられ」 。そういうものだと思ってました。 ま、あられの定義はそれで概ね正解のようですが、ファンキーなムードがあって、なかなか日本人好みの仕上がりでありますな、「(意図せぬ)滑りと(意図的な)滑り」。 高音と低音、2本の管楽器の絡みでテーマが演奏された後、高音のほうが先にソロを取ることになるんですが、なかなか軽快でありますな、ペグラーくん。 で、続くヒッキーも陰気ながらもそれなりに繋いで、さほど大きくチームの足を引っ張ることもなく、3番手のビリー・ブラウンにバトンタッチ。 で、最後は2管のハモリとドラムスの絡みで軽く盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ちっともスベってない、地に足のついた演奏っぷりでありました。

 で、次。  「ア・リトル・テイスト」 。 「小味」 といった意味でしょうか? 小鯵というのは大抵、南蛮漬けにされることになって、個人的にはちょっと迷惑なんですが、あまり好きではないんですよね、アジの南蛮漬け。 そうせなら大鯵のムニエルとかのほうがいいんですが、下手に小振りだから骨まで食べさせられることになって、迷惑なんですよね、小鯵。 一方、ミカンなんかは大味なヤツより、小味なヤツほうが美味しかったりするんですが、それはそうとこれ、どこかで聴いたことがある曲ですなぁ。 作曲者のクレジットを見ると “Adderley-Adderley” となっているので、恐らくナットとキャノンボールのアダレイ兄弟の手によるものと思われるんですが、これぞ明るく正しい正統派のハード・バップ。 そう言いたくなるような作品だったりします。 ソロ先発のペグラーがなかなかのテクニシャンぶりを発揮すれば、続くヒッキー・ケリーの吹きっぷりは、コチュジャン。 いや、別に辛くもなければ、味噌でもないんですが、どことなくソウルな味がします。 で、続くビリー・ブラウンのピアノは相変わらずスインギーで、酢はインキンにいい。そんな感じがします。 で、最後はアルトとノーマフォンとの掛け合いなんですが、間にドラムスを挟まない分、より一層ドライブ感が高まっておりまして、その後、リー・タッカーのベース・ソロがフィーチャーされて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 キャノンボール兄弟への信奉が色濃く感じられる、そんな1曲でありました。

 で、次。  「パーハップス」 。 これは多分、 「多分」 という意味だと思うんですが、多分、タブンとかソマンとか、そういった神経ガスとは無縁の作品だと思われます。 ノー天気ですからね、何だか。 チャーリー・パーカーのオリジナルなんですが、ビ・バップの持つ先鋭性より、ソウルな温かみを感じさせる仕上がりとなっておりまして、これは恐らく、ノーマフォンという楽器の持つ音色がそうさせるんでしょうな。見た目からして、何だかちょっとアホっぽいですもんね。 で、そのノーマフォンが最初にソロを取るんですが、ノーマフォンでググってみても 「マクマホン?ノーノーマクマフォン!」 とか、よく分からん2ちゃんねるのスレしか出てこないので、僕の読み方はきっと間違っているんだと思うんですけど。 で、ソロ2番手はビリーのピアノ。相変わらず快調です。 この人ならきっと会長として立派に会社を引っ張っていけると思うし、怪鳥として立派にバビル2世の僕 (しもべ) も勤まると思います。 僕は嫌ですけどね、僕 (しもべ) 。 何かこう、「チェリオ買ってこい!」 とか、パシリをやらさせそうで、職業としてまったく魅力を感じないんですが、で、続いてビリー・ブラウンのピアノが出てきます。 …と、ここまで書いて気が付いたんですが、そういえばパーソネルのところに William“Hicky”Kelly − normaphone,euphonium (#5 only) と書いてありましたな。 ということはつまり、先ほどの楽器はノーマフォンではなく、ユーフォニュームだったということになるんですが、ま、別にどちらでもいいんですけどね。どっちも似たような音だしー。 ユーフォニュームのほうはごく希にジャズで使われることもあるんですが ( 例 :フレディ・ハバードの何とかというアルバムに参加) 、こういう楽器 なんですな。 基本、丸くないホルンです。 個人的には丸いほうがカワイイような気がするんですが、敢えて可愛くないほうを選ぶ。 そういった屈折した趣向の持ち主が吹いたりするんでしょうな、ユーフォニューム。 で、ピアノのソロが出てきたところまで話が進んでいたと思うんですが、以下、カーティス・ペグラーのやや安っぽいソロがあって、ベースのソロがあって、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 次、 「ハックス・ディライト」 。 とある、アル・フランクリンという人の作った曲のようですが、いかにもディライトな魅力に溢れたハード・バップ作品でありますな、こりゃ。 あるいは歌モノだったりするのかも知れませんが、参加各位の良好なソロを堪能することが出来ます。 で、ラスト。  「ドゥティー」 。 ベーシストとして地味に頑張っていたリー・タッカーのオリジナルでありまして、何となくファンキー系を期待していたんですが、ちょっぴり微妙? ま、悪くはないと思うんですけどが、参加各位の良好なソロを堪能することが出来ます。 とまあそんなことで、今日のところは、おしまい。

【総合評価】

 最後はちょっと飽きちゃったんですが、予想外にいい出来でありました。 普通に王道を往くアルト吹きだったんですな、カーティス・ペグラー。 欲を言えば、6曲目あたりにひとつバラードを挟んでおけば、最後まで飽きずに頑張れたような気もするんですが、もう1枚の 『ライト・ダウン・フロント』 のほうではテナーも吹いていて、なかなか達者な人ですな。 そっちにはちゃんとバラードも入っているし、2枚で 2,519円ならとってもお値打ちなので、お薦め♪ Amazon でも残り少ないみたいだし、のんびり鼻毛を抜いてないで、急げー!


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