THE MAGNIFICENT THAD JONES VOL.3 (BLUE NOTE)

THAD JONES (1956/7/14,1957/2/3)

THE MAGNIFICENT THAD JONES VOL.3


【パーソネル】

THAD JONES (tp) BENNY POWELL (tb) <except #5> GIGI GRYCE (as) <except #5>
TOMMY FLANAGAN (p) <except #5> GEORGE DUVIVIER (b) <except #5> ELVIN JONES (ds) <except #5>
BARRY HARRIS (p) <#5> PERCY HEATH (b) <#5> MAX ROACH (ds) <#5>
【収録曲】

(01-03) SLIPPED AGAIN / ILL WIND / THADRACK
(04-05) LET'S / I'VE GOT A CRUSH ON YOU

【解説】 (2009年09月13日更新)

 僕の夏が終わりました。 毎年、夏から秋にかけてのこの時期、電験3種の試験があるんですが、1週間ほど前になって慌てて参考書を開いて、今から頑張って勉強してみたところで、既に手遅れであることが判明して、30分ほどで挫折。 ぶっつけ本番で試験に臨んで、玉砕。 うな垂れて家路につく夕暮れ時の風は冷たくて、いやあ、もうすっかり秋ですなぁ。。。 そんな生活を3年ほど続けていたんですが、もうすっかり飽きました。理論・電力・機械・法規とあるうち、機械は去年、電力は2年前に科目合格して受験免除になったので、今年はチャンスだったんですけどね。3年前に合格した法規は猶予期限が切れたので、再度受けなければならなくなっちゃったんですけどー。

 結局のところ、僕の場合は “理論” がネックになってくるんですが、例年、箸にも棒にもかからないような成績ですからね。20点とかー。 が、今年の僕は違いました。もしかしたら箸の端っこに引っかかったんじゃないか?…という微かな手応えがありました。確実に解けたような気がするのは20問中4問くらいだったんですが、世の中には “まぐれ” というのがありますからね。桑名には “しぐれ” という貝の佃煮のようなものがあるし、 “キグレ” というサーカス団もあったりします。5者択一のマークシート方式なので、運がよければ何とかなりそうな気がしないでもありません。適当に塗りつぶした16個ほどのマークのうち、まぐれで半分当たっていたら、合格ぢゃん♪ 試験の翌日、ワクワクしながら答えあわせをしたんですが、適当に選んでみた数字は、見事なくらいにハズレまくっておりました。ああん。。。 望みが消えた時点で気分が萎えたので、あまり正確には採点しなかったんですが、ま、45てんくらいでしたかね?

 ま、理論が駄目なのは最初から織り込み済みなので、さほどダメージはありません。問題は “法規” なんですが、正直、舐めて掛かってました。 基本、文章の丸暗記で何とかなるんですよね。 で、僕の場合、暗記だけはわりと得意だったりします。 ただ、電験3種の場合、法規の分際で計算問題が出されたりするのがネックなんですが、それを捨てても丸暗記だけで何とか60てんは取れます。少なくとも3年前はそうでした。 おまけに僕は今回、かなり真面目に勉強しました。科目免除の関係で、理論の試験が終わってから法規の試験が始まるまで5時間以上あったので、その間を有効利用して、問題集に取り組みました。 プロが教える 『電験3種重要問題集』 試験に出る問題だけ解説した問題集形式の参考書!この1冊で合格できる!最強の電験攻略本 「電気と資格の広場」代表幹事・電験1種合格・坂林和重著 というヤツです。 表紙がヘンなおっさんのイラストで、人前で出すのが恥ずかしいところがネックなんですが、この1冊で合格できる!最強の電験攻略本ですからね。これはもう、期待するしかありません。 が、結論から言ってしまうと、こいつが大ハズレでした。 この問題集に載っていた問題は、ほとんどと言っていいほど本番では出ませんでした。 ま、計算問題のほうは似たようなのが出てたんですが、そんなのは端から捨ててましたからね。点数配分は計算問題が40点だったので、それ以外には1問たりとも落とせない状況だったんですが、丸暗記部門に関しては今回、プロが教えない重要ではない問題ばかりが出題された模様です。 でもまあ、世の中には “まぐれ” というのもあるしー。 一縷の望みを託してドキドキしながら答えあわせをしたんですが、適当に選んでみた数字は、見事なくらいにハズレまくっておりました。 望みが消えた時点で気分が萎えたので、あまり正確には採点しなかったんですが、ま、45てんくらいでしょうか? 「電気と資格の広場」 代表幹事・電験1種合格・坂林和重クンに頼った僕が馬鹿でした。こんなことなら和重クンではなく、うな重クンに頼ったほうがよかったような気もするんですが、こうなったらもう、浜松に行ってやるぅ!

 ということで、9月19日(土)に浜松まで行くことにしました。5連休の初日です。5連休はゴレンジャーショーやろ?…という気もするんですが、侍戦隊シンケンジャーショーしかやっていないみたいなので、諦めました。そのかわりに 浜松モザイカルチャー世界博2009 というのに行ってみることにしました。どういうイベントなのか今ひとつよく分からんのですが、調べてみたらどうやら、植物でウナギイヌとかの造詣とかを作って展示するという催しのようです。ちっとも催されるものがない催し物なんですが、それはそうと今年、僕は “小松の航空祭” に行ってみようかと思っているんですけど。航空祭は一度、岐阜基地のヤツに行ったことがあるんですが、小松もよさそうなんですよね。小松政夫のトークショーとか、小松菜食べ放題♪…とかのイベントがありそうだしー。 ただ問題は開催日が11月1日(日)だということなんですが、 “塩サバ通信・秋のオフ会” の翌日なんですよねー。 幸い、東京から小松まで行く高速バスがあるみたいなので、オフ会と航空祭のハシゴは可能なんですが、肝心のオフ会のほうの話がぜんぜん盛り上がらなくて、立ち消えになる可能性が高くなって来ました。こうなったらもう、保険の意味で小松の近くの宿を押さえてやるぅ!…と思ってはみたものの、小松の航空祭は全国から軍事マニアが終結するらしいですからね。単なる川俣軍司のパンツ研究家である僕は完全に出遅れてしまって、小松市内のホテルは既に、どこも満室になってしまっておりました。

 と思ったら、宿が取れてしまいました。2ヶ月前から予約を開始するところもあるかも?…と思って8月31日に何気なく阪急交通社のサイトを見たら、 アパホテル小松 に空きがありました。しかも5室も。 オフィシャルサイトやじゃらん、楽天トラベルなんかは全て満室になっているのに、どうしてここだけ、こんなに空いてるんですかね?単なる間違い?それとも、新手のワンクリック詐欺? ま、天下の阪急に限ってそんなことはないと思うんですが、よく見たら阪急ではなくて “板急(イタキュー)” だったりするのかも知れず、油断はなりません。軽い朝食が付いて、施設斜めお向かい小松グランドホテルSPA施設の大浴場無料入泉可で、4,950円という格安な料金も、何だか怪しいです。ちなみに翌日チェックしたら、すでに残室はゼロになっていたんですが、もし何かの間違いだったとしても、予約成立のメールを見せてゴネれば、リネン室あたりに泊めてくれるのではないかと事態を楽観視しております。 とまあそんなことで、せっかく手に入れた宿泊権は、出来ることなら手放したくないんですが、もし今後、 “秋さばオフ” の話がめっちゃ盛り上がったりしたら、どうしよう?…と、頭を悩ませているところであります。 小松オフとか、だ、駄目ですかね? どうしても東京でなきゃ、やだ!…というギャルが出没した場合、ランチオフということにして、東京経由で小松に向かうにやぶさかではありません。どうしても東京でなきゃ、やだ!…というオッサンしか出没しなかった場合、まっすぐ小松に向かうことになると思います。

 ま、 “秋さばオフ” の話がめっちゃ盛り上がるという心配は杞憂に終わるような気がするし、小松の航空祭は既定路線として、ただこのお祭り、帰りのシャトルバスがめっちゃ混むらしいんですよね。1時間待ちとかー。 午後からのブルーインパルスを諦めれば大丈夫なんでしょうが、来年の電験3種同様、こちらもきっぱりと諦めますかね? 「ネズミは諦めが肝心なんだ。」 と、 『トムとジェリー』 の中でジェリーが言ってたし、 「アキラは諦めが肝心なんだ。」 と、 フィンガーファイブのアキラも言ってたような気がするしー。 ブルーインパルスだけ、手近な岐阜の航空祭で見るという手もありますよね。 と思って、いろいろ調べてみたところ、ブルーは浜松でも飛ぶということが判明しました。いつもは浜松基地のエアフェスタで飛ぶんですが、今年はモザイカルチャー世界博の開会式に出没するようです。これはもう、行くしかありませんな。 とりあえず飛ぶらしい。…というだけの情報で、いつから飛ぶのか、いつまで飛ぶのか、どんなふうに飛ぶのか、詳しい事はまったく分からんのですが、早めに会場入りするに越したことはないので、岐阜羽島駅 7:01発の新幹線を押さえることにしました。桑名から岐阜羽島まではクルマで45分。駐車場も腐るほどあるので、家から桑名駅までの移動やら、名古屋駅での乗換やらを考えると、羽島から乗ったほうが楽だったりするんですよねー。

 とか思っていたら、モザカル開会式でのブルーの飛行スケジュールが判明しました。 9:00開始、9:20終了…って、早っ!めっちゃ早っ!しかも飛んでる時間、短っ! 所詮は何だかよく分からない催し物の開会式なので、軽く見られたみたいですな。 で、飛ぶのはどうせ昼からだろうと思って油断してたんですが、9時の開場と同時に飛んできちゃうんですかぁ。 押さえた新幹線だと、浜松駅に到着するのが 7時42分。そこから開場まではバスで約40分。 めっちゃ混んでて駅でのバス待ちが30分、開場に着いて切符を買うのに30分掛かったりすると、ようやく中に入れたと思った時には既に、ブルーはどこかに飛び去っているということになります。こりゃ、もうちょっと早く家を出たほうがよさそうですな。東京行きの新幹線は岐阜羽島だと 7:01が始発なんですが、名古屋からだと、もっと早い便があることが判明したので、大人しく桑名から電車に乗って名古屋に出ることにしました。国鉄なんて、年寄りが乗るもの。…というイメージがあるので、ナウでヤングな桑名人は近鉄で名古屋に行くのが普通なんですが、乗り換え案内で調べたら、 6:01発の関西線の普通に乗れという指示でありましたので、今回は素直にそれに従うことにしました。新幹線に乗り換えるならJRのほうが楽だしー。

 ということで、会社の帰りに岐阜羽島駅に寄って、切符を変更して貰うことにしました。岐阜羽島−浜松の新幹線の指定特急券を名古屋−浜松に変更して、乗車券は岐阜羽島−浜松から桑名−浜松に変更。 果たして、そのような複雑な任務を無事に遂行することが出来るのか、ちょっと心配な感じのするオッサンが窓口担当だったんですが、大丈夫でした。かなり時間は費やしたものの、何とか僕の意図する切符を手にすることが出来ました。 が、このオッサン、僕に切符を2枚渡しただけで、そのまま家に帰らせようとするんですよね。新幹線の区間が短くなったんだから、当然、料金も安くなる筈なんですが、その件に関しては一言も触れようとしません。もしかして、差額分を着服しようと企んでいるとか? そういう不正が許される筈は無いので、 「あのー、料金の変更とか?」 と、恐る恐る聞いてみたら、 「無いですっ!」 という、きっぱりとした返事が返ってきました。 僕は腑に落ちない思いで家に帰り、麩のすましを食って寝ちゃったんですが、朝起きて、冷静になって考えてみると、やはりおかしいですよね。あのオッサン、計算しているうちにワケが分からなくなって、うやむやなうちに事を済ましちゃおうと企んだに違いありません。いかにもそういう事をしそうなオッサンでしたからね。僕も電験3種の試験では計算しているうちにワケが分からなくなって、適当にマークを塗りつぶしたら、思いきり間違っていたので、その気持ちは分からんでもありません。人間、誰しも間違いはあります。 が、間違いをそのまま放置していては、進歩というものがありません。ここはひとつ、オッサンの為にも正しい運賃を調べておこうではありませんかぁ。こういう場合、 このサイト が便利です。

乗車年月日 券    種 乗 車 区 間 料 金
2009/9/19 新幹線指定席 岐阜羽島−浜松 \2,920
2009/9/19 新幹線指定席 名古屋−浜松 \2,920
2009/9/19 乗 車 券 岐阜羽島−浜松 \2,210
2009/9/19 乗 車 券 桑名−浜松 \2,210

 合ってるやん!めっちゃ、ぴったりやん! 岐阜羽島の窓口のおっさん、疑ったりして、ゴメンなぁ。。。 けど、疑われるような顔をしてるアンタが悪いんだから、反省はしません。 とまあそんなことで、名古屋駅 6:38発の新幹線に乗れば浜松に 7:14分に着くので、恐らくブルーインパルスは大丈夫なのではなかろうかと。次回のこのコーナーには素晴らしい写真が掲載されているに違いありません。乞うご期待♪ うな重にも、乞うご期待♪

 ということで今日はサド・ジョーンズなんですが、期待薄ですな、こりゃ。 一部ビッグバンド・マニアの間では、サド=メル楽団とか、それなりに評価されているんでしょうが、普通のハード・バップ好きにとっては、別にどうだっていいトランペッターだったりしますからね、サドくん。名前が変態じみているおかげで、日本での知名度は抜群なんですけどー。 ジャズ名盤ガイドの類でも 『ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ』 が紹介されて、それでおしまい。…という扱いだったりするんですが、塩通ではそんなサドくんも、決して見捨てたりはしません。 『マグ・サド』 と、 もう1枚 は既にレビュー済みなんですが、まだ手元にはネタが残っています。クリックしたらサバくんとコゾクラの写真が出てきて、得したような、損したような複雑な気分なんですが、意外と悪くないですな、10年前のサバくんの写真。トリミングの妙というヤツなんですが、とまあそんなことで、今日は 『ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ・Vol.3』 というアルバムを紹介したいと思います。残り物だけあって、まったくソソられるものがない1枚ですな。軽く流して、さっさと終わりにしようと思うんですが、ということで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずはサドくんのオリジナルで、 「スリップド・アゲイン」 。 タイトルは 「再びスベる」 という意味ですかね? 今年もまた電験3種の試験にスベった僕への当てつけでしょうか? そんなん言うんなら、自分で受けてみぃ!…と言いたくなっちゃいますが、意外とこういうサドに限って一発で4科目クリアしたりして、世の中、不条理に満ちておりますなぁ。 で、曲のほうはと言うと、ちょっぴりお間抜けな、ほのぼの系ハード・バップ。…といった仕上がりで、3管のハモり具合がなかなか知的だったりします。ちなみに3管の内訳はサドのトランペット、ベニー・パウエルのボントロ、ジジ・グライスのアルトとなっているんですが、地味というか、渋いというか、マニアな面子を揃えたものでありますな。 一方、ピアノにはトミー・フラナガン、ベースにはジョージ・デュビビエと堅実なところを揃えて、でもって、ドラムスには実弟のエルビン・ジョーンズを起用しております。エルビンくんは、レナード・フェザーの書いたライナーノートでは比較的新人という扱いで、来年の批評家投票ではドラム新人部門の有力候補だろう。…などと書かれております。後の大御所も、出たての頃は新人だったんですなぁ。 「イワシの頭も信心から」 という諺もありますしね。ぜんぜん関係ないんですけど。 作編曲になかなかの才能を感じさせるテーマに続く、最初のソロはサドでありますか。名前から受けるイメージとは裏腹に、あまり攻撃的ではないソフトな吹きっぷりがこの人の持ち味でありまして、そこのところがやや物足りなさを感じさせたりもするんですが、ここでのプレイは概ね、良好です。 で、ソロ2番手はジジ・グライスですか。 サドからジジへ。2文字同士で、どちらも似たようなタイプのプレイヤーなんですが、知的でクールで、ちょっぴり爺臭いスタイルには定評があります。 で、ベニー・パウエルのトロンボーン・ソロを挟んで、トミフラのピアノが登場するんですが、これがまた実に行儀や姿が整っていて、乱れたところがなく、端正です。 で、最後はエルビンとデュビビエの掛け合いで派手に渋く締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 何と言うか、玄人ウケのする1曲でありました。

 で、次。歌物ナンバーの 「イル・ウインド」 。これはアレです。バラードです。 「イル・ウインド」 = 「悪い風」 というのは “災難” のことらしいんですが、某国のキム・イルさんとか、確かにイルなウインドを運んでくれちゃいそうですよね。めっちゃ正しい男、長男の正男くんに期待するしかありませんが、それはそうと、サド・ジョーンズの吹くバラードには独特なムードがありますな。何というか、友愛の精神が感じられたりします。愛するが故の加虐。そういうことなのかも知れません。3管編成なんですが、トランペット以外の2管は控えめで、でもって、エルビンのセンシティブなブラッシュ・ワークが絶妙です。 アドリブ・パートに入ると倍テンポになるので、あまり退屈しないところもよくて、中間部で聴かれるトミフラのソロも実にラブリーでキュートです。 でもって、再びスローなテンポになって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、とってもバラードでした。

 で、次。 サドのオリジナルで 「サドラック」 。 サドなラックなのか、サなドラックなのか、今ひとつ意味はよく分かりませんが、正統派のハード・バップに仕上がっております。ちょっぴりファンキーな香りもあったりして、なかなかの佳曲でありますな、こりゃ。 いいですよね、ファンキーな香り。少なくとも、ファンキーな花沢さんよりはいいと思います。個人的にはカオリちゃんより花沢さんのほうが断然タイプだったりするんですが、ファンキーな花沢さんというのは、ちょっとウザいような気がします。 で、演奏のほうはと言うと、テーマの後、サド→ジジ→ベニ・パウ→トミフラの順でソロ回しがあって、その後、もういちどサドくんが出てきたりします。 このサド・ソロ(後半)が、なかなかの熱演だったりするんですが、もう、熱延鋼板もビックリって感じ? 意外と熱いヤツだったんですな、サドくん。 で、最後はヂュビビエがベースのピチカートで渋く締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 5分41秒と、決して長い演奏ではないんですが、ハード・バップのエッセンスがぎゅっと詰った日本ハムのシャウエッセン。 そんな1曲なのでありました。

 で、次。 これまたサド・オリジナルで 「レッツ」 。どこかで聴いたことのある曲ですな。おそらくサドくんの代表作であると言っていいと思うんですが、一言でいうと、めっちゃ調子のいいナンバーです。さすが 「レッツ」 やな。…といった感じなんですが、レッツゴー3匹を彷彿させるフロント3人の絡み具合が絶妙です。役割でいうと、サドが正児、ベニー・パウエルがじゅん、ジジ・グライスが長作ですかね? 何だか爺臭い名前ですもんね、レッツゴー長作。 レッツゴーではなく、 “レツゴー三匹”が正解だったのか!…と、今はじめて知ったんですが、ブレイクを効果的に活かしたテーマ部終盤の仕掛けが斬新です。 で、その後、サド→ジジ→ベニ・パウの順でソロがリレーされることになるんですが、各自、本アルバムでのベストと言えるパフォーマンスを披露しております。 もう、ベスト電器で電気ベストを買って、10%ポイント還元って感じぃ? 昔、うちにあったんですよね、電気ベスト。どういう物なのかというと、電気仕掛けで温かくなるチョッキのような物だったんですが、ベスト電器ではなく、家の近くのトーエー電気で買ったのではなかったかと。 で、トミ・フラの可憐なピアノ・ソロを挟んで、後半はドラムスとベースの絡み→エルビンのソロ→サドくん再登場(ピアノレス・トリオ風)…と進んでいって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 8分43秒という、やや長めの演奏なんですが、最後まで息を付かせない熱演で、窒息しそうになっちゃいました。 昔、水中クンバカの修行をしてなかったら、ちょっとヤバかったかも知れません。ちなみに麻原尊師のクンバカ記録は15秒だったそうです。

 ということで、ラストです。歌物ナンバーの 『アイヴ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー』 。 この1曲だけ、前のセッションの残り物だったりするんですが、前のセッションというのはアレです。 “VOL.3” が付いていない、普通の 『ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ』 です。 俗に “鳩の…” と呼ばれているジャケットのヤツですな。 そのため、サイドマンも総入替となっていて、ピアノがバリー・ハリス、ベースがパーシー・ヒース、ドラムスがマックス・ローチとなります。 で、これ、本家 『マグ・サド』 のCDにオマケとして入っていたので、個人的には今さら感が強かったりするんですが、出来そのものは悪くありません。いかにもサドらしい、しみじみとしたバラードに仕上がっております。サドのトランペットは歌心に溢れまくっております。バリー・ハリスのピアノもトミー・フラナガンに負けず劣らず、バリハリってます。 ただ、途中で倍テンポになったりしないので、2曲目に比べるとやや単調だったりもするんですが、その分、丹頂鶴な味わいがあって、これはこれで悪くないと思います。 ということで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 投げやりなアルバム・タイトル、あまりヤル気の感じられないジャケット。 どこにもソソられる要素の無い期待度ゼロの1枚だったんですが、意外とよい出来でありました。個人的には、 “VOL.3” が付いていない、普通の 『ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ』 よりも、こっちのほうがいいぢゃん♪…という気がします。 普通のハード・バップ好きにも普通に楽しめる作品であると言えるでしょう。 よく聴きもしないで、端から馬鹿にしてかかったりして、サドくん、ゴメンなぁ。。。 今ひとつソソられない名前と顔をしてるアンタが悪いんだから反省はしませんが、とりえずお薦めしておいてもいいような気がする、そんな1枚なのでありました。


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