FOR LADY (PRESTIGE)

WEBSTER YOUNG (1957/6/14)

FOR LADY


【パーソネル】

WEBSTER YOUNG (cor) PAUL QUINICHETTE (ts) JOE PUMA (g)
MAL WALDRON (p) EARL MAY (b) ED THIGPEN (ds)
【収録曲】

(01-03) THE LADY / GOD BLESS THE CHILD / MOANIN' LOW
(04-06) GOOD MORNING HEARTACHE / DON'T EXPLAIN / STRANGE FRUIT

【解説】 (2009年08月30日更新)

 黒部渓谷鉄道 に乗ってきました。 とっても黒部な渓谷の鉄道でよかったんですが、それだけで1回分のネタを賄えるのは思えないので、他のコーナーに載せるつもりだった “室堂のお花の写真” を、穴埋めに活用したいと思います。

<室堂散策・お花編 (その1)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 夏の室堂にはたくさんお花が咲いていました。立派に 「お花畑してる」 と言える状況でありまして、花畑牧場の生キャラメルにも負けない魅力があったんですが、ただ種類のほうは思ったほど豊富ではなかったんですけど。豊富さでは豆腐に負けるかも知れず、絹ごしとか、木綿ごしとか、ざる豆腐とか、ゴマ豆腐とか、玉子豆腐とか、バラエティに飛んでますからね、豆腐。 ま、今回は帰りのバスの時間に追われての慌しい散策だったので、もっとゆっくり観察すれば、他にも何か目立たないのが咲いていたのかも知れませんけどー。 とまあそんなことで、とりあえず目についたお花をいくつか紹介しておきたいと思うんですが、まずは (写真・いちばん上)(写真・真ん中) 。 地味ですなー。 ぱっと見、春になるとその辺の原っぱにいくらでも生えてくる雑草と大差ないようにも見えるんですが、これはえーと、 “イワイチョウ” というお花のようです。祝い鳥、岩井町、違和胃腸。いろんな漢字やら伊調千春の顔やらが浮かんできたりするんですが、正解は “岩銀杏” 。 ま、無難な線ですな。葉の形がイチョウの葉に似ているというのが名の由来だが,あまり似ているとはいえない。…と、 いがりまさし君のほ→むぺ→じ に書かれておりますが、確かにぜんぜん似てませんな。いがり君が怒(いか)るのも、ごもっともなんですが、いや、別に怒っているわけではないですか。 いがり君、怒りくるって、イカを食う。 そういう状況ではなさそうなので一安心なんですが、で、これ。ぱっと見、よくありがちな形の花のように見えて、意外と凝ってたりしますよね。花びらのふちがフリフリのフリルになっているあたり、ちょっぴりギャルのパンツっぽいところもあったりして、悪くありません。自分で穿くのは嫌ですけどね、こんなフリフリのパンツ。 で、ビヨーンと伸びた黄色い棒のようなものがよく目立ったりするんですが、この部分を虫がチューチュー吸ったり、裏筋のあたりを這ったりするようですね。ちょっぴり気持ちよさそう?

 で、 (写真・いちばん下) は、アレです。 “キオン” ではないかと思われます。“紫苑(シオン)” の黄色いバージョンなので、 “黄苑(キオン)”。 明解です。 が、紫苑とはまったく違った花のように見えるし、かなり適当なネーミングであるような気もします。 とにかくまあ、黄色いです。

<室堂散策・お花編 (その2)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 物事の順序として、先に地味なヤツを片付けておいて、で、後半。 少しはレア度が向上するのではないかと期待されるところですが、まずは (写真・いちばん上) 。 初めてみるお花のような気がするんですが、おそらくこれは “ヨツバシオガマ” なのではなかろうかと。何だかあまり可愛くない名前ですな。 “シオガマ” という部分が何となくガマガエルっぽくて駄目なんですが、漢字で書くと “四葉塩釜” 。 葉っぱが4枚なんでしょうな、恐らく。 四葉のクローバーは珍しいんですが、四葉のヨツバシオガマは珍しくもなんともないに違いなく、ただ僕がイメージしたような四葉ではなくて、 こういう感じ に四葉であるようです。 ということで、前半の “ヨツバ” に関しては、これですべて解決。 問題は後半の “シオガマ” のほうなんですが、花はもちろん 「葉まで美しい」 その姿を 「浜で美しい」 塩竈と洒落てつけられたもの ( ← 山と渓谷社 「高山の花」 永田芳男編 ) なんだそうで。 そんなよく分からん洒落で、植物の名前を付けたりしてもいいのか?…と思わずにはいられませんが、塩竈の難しいほうの“竈” という字は、いくらなんでも難しすぎだと思うしー。塩竈市の住民には同情するしかありませんが、いずれにしろ、浜で美しいものの代表として塩竈を持ってきたセンスがよく分かりません。

 ネーミングにはやや不満があるんですが、花そのものはレアですよね。僕の写真では今ひとつ分かりにくいんですが、赤紫色の鶴のくちばしみたいなパーツがあって、とっても “トリ系” です。僕の写真では今ひとつよく分からんのでリンクを貼っておくと、 これ 。 で、続いては (写真・上から2枚目) 。 下界でよく見かける “レンゲ” が高山植物化したバージョンっぽい雰囲気があるんですが、調べてみたらどうやら “クロトウヒレン” というお花のようです。 甘党とか辛党というのはよく耳にするんですが、 “黒党” という一派もあるんですかね? ワシは黒いものしか食わん!…みたいな。黒いものというと例えばえーと…、黒砂糖とか。 白砂糖ばかり食べるよりはヘルシーかも知れません。 ということで、前半の “クロトウ” に関しては、これですべて解決。 問題は後半の “ヒレン” のほうなんですが、普通に考えると、これは “悲恋” でいいと思います。 「黒砂糖ばかり食べる人って、嫌いっ!」 とか言われて、フラれちゃったんですかね? 普通に考えるとちょっと嫌ですもんね、そんな男。 とまあそんなことで、名前に関してはこれですべて解決したと思うんですが、念のために調べてみたら、ぜんぜん違ってました。 “黒唐飛廉” が正解でした。 ま、 “黒” だけ合っていたから、さほど大きな間違いではないんですが、レンゲが高山植物化したものではなくて、アザミの一種なんだそうです。なるほど、言われてみれば確かに、ぜんぜんレンゲっぽくなくて、むしろアザミっぽいですよね。 で、これ、蜜をチューチューしにきた蜂たんも綺麗に撮れて、個人的にはお気に入りの1枚だったりします。

 で、次。 (写真・下から2枚目) 。 “ハクサンボウフウ” らしきお花はオマケなので、ここでは “チングルマ” について語ってみたいと思うんですが、夏の室堂で至るところに咲いていたのがこのお花でありました。チングルマ。可愛い名前ですよね。 “ちんぐるま♪” と、平仮名にして最後に “♪” を付けると、より一層ラブリーさが引き立ちます。 その一方、“朕愚屡魔” と書いたりすると、一転して族っぽいムードが漂ってくるんですが、 “愚” とか “魔” とか、そういうネガティブな漢字を好んで使いたがりますからね、暴走族の人達。 中でも桑名にあった “呪魔(のろま)会” というのはなかなか秀逸なネーミングでありましたが、 J・P加藤 くん。暴走族(呪魔会)のホストあがりですが今は看護師として真っ当に働いているようで、何より。 そろばん3級って、僕よりも1級上だし、囲碁2級という意外な特技もあるしー。 ウインドサーフィン暦 30歳〜  体力的にも限界か?・・・というあたり、大いに共感が持てるし、で、何の話でしたっけ? “チングルマ” ですかー。 “チ○コグルマ” とか、途中に余計な文字を入れて一部を伏字にしたくなるような名前なんですが、とても珍しいクルマだから “珍車” ではなく、 “稚児車” と書くのが正解のようです。 花が咲いている時はよく分からんのですが、枯れた後に こんなかたち になるところが、稚児車っぽい♪…というのが名前の由来のようです。 ということで、ラストです。 (写真・いちばん下) はコンデジで撮ったものなんですが、朝から雨が降っていて最悪の事態も懸念されたこの日、一瞬ながらも晴れ間が見れたのはラッキーでありました。まるでレタッチしたかのような不自然な空の青さが目に染みます。手前に咲いているのは “コバイケイソウ” でありますな。 “梅尅” の小さいバージョンという位置付けのようで、アップで見ると梅っぽい花なんだそうですが、遠くから見ると何だかよく分からなくて、個人的にはあまり好きではありません。 が、バックに立山と浄土山と、その中間の一ノ越が綺麗に見えていて、とっても室堂らしくって、いい♪…と思います。

 とまあそんなことで、お花のほうはおしまい。

<黒部峡谷鉄道の旅> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 で、翌日はトロッコ電車に乗りました。魚津駅前の駐車場にクルマを止めたまま、富山地方鉄道に乗って宇奈月温泉まで行って、そこから乗りました。当日でも空席があれば乗せてくれるんですが、空席がなくて満席だったりすると乗せてくれないので、あらかじめ予約をしておきました。予約方法は ここ を参照して下さい。宇奈月駅を9時ちょうどに出発するのがいいな♪…と思ってその便を押さえたんですが、誰でも考えることは同じだったようで、駅に着いて電光掲示の時刻表を見たら、その便だけが満席になっておりました。予約しておいて、よかったー♪ 本当は終点の “欅平” まで行きたかったんですが、それだと帰りが遅くなりそうなので、ひとつ手前の “鐘釣” というところまで行って、引き返すことにしました。そこから先はトンネルばかりであまり景色もよくないし、終点まで行くと飽きる。…というクチコミがあったので、ま、いいんじゃなかろうかと。 「インターネット予約完了のお知らせ」 というメールをプリントアウトして窓口に出すと、号車だけが指定された切符を渡してくれました。席は自由というか、早い者勝ち方式なんですな。 とにかく行きは右側のほうが景色がいいということなので、オバハンやオッサンの群を掻き分けて、小走り状態で客車に向かって、無事、いちばん右側の席を確保〜♪ トロッコ感を満喫するために窓の無い普通車両を選んだんですが、横に4人並んで座るという方式になっております。満席なので、ぎっしり詰め込まれます。 で、席に着くと係のオネーサンがやってきて、グループごとに写真を撮ってくれます。観光地でよく見られる 「勝手に写真を撮って後で売りつける商法」 なんですが、僕は写真を撮られるのが嫌いなので、大きなお世話としか思えません。 が、オッサンの一人客はかなりの訳アリと判断されたようで、係のオネーサンは僕だけスルーしてくれて、何よりでありました。 とまあそんなことで、出発〜♪

 めっちゃオープンな普通車両は気分爽快でありますなー。特にトンネルの中に入ると冷やっこくて、気持ちいいっ♪ が、車両から手や顔を出すと壁に激突しちゃいそうで、写真を撮るにはやや不向きですな。車窓から眺める黒部峡谷は思ったほどアレではありませんでしたが、それなりに悪くはなくて、ということで、9時57分、鐘釣駅に到着〜♪ お花ネタでわりと行数を稼ぐことが出来たので、トロッコ編のほうは展開が早くて中身も希薄なんですが、僕はここでの滞在時間を1時間半弱と踏んで、帰りは11時24分発の切符を押さえておきました。 が、結果的には11時03分発でもよかったですなー。 さほど見るところもないんですよね、この駅の周辺。 とりあえず 「黒部万年雪」 というのが名物でんねん。…ということになっているようですが、案内看板を見たら 「大雨の為、流出」 という紙が貼られておりました。万年雪、1年持ちませんでしたかぁ。。。 ま、万年雪が流出せずに残ってくれていたところで、ただ雪が積もっているだけで、さほど嬉しくもないと思うんですけど。 となると、15分ほど歩いたところにあるらしい河原の露天風呂にでも行くしかないんですが、ということで、行ってみました。

 終盤、かなり急な階段を下りることになって、帰路の上りが心配になるんですが、でも大丈夫。 室堂の地獄谷のことを思えば、こっちのほうはぜんぜん余裕です。 で、問題の露天風呂なんですが、こりゃ、露出狂でなければ絶対に入る気にはなれませんな。 新穂高の湯 もかなりワイルドだったんですが、こちらは更衣室すらありません。 にも関わらず湯に浸かっているオッサンがいたりして、覗きに来た身には迷惑この上なかったりするんですが、正式な入浴スペースではないその辺の水溜りも、手を突っ込むとそれなりに湯溜りだったりして、いやあ、温泉でありますなぁ。 とまあそんなことで、めっちゃ時間が余ったので駅横の蕎麦屋で天ぷら蕎麦を食ったり、走ってくるトロッコの写真を撮ったりして、ということで、鐘釣の散策は以上です。

 帰りのトロッコ (←わりと空いてる) に乗ったら弱い雨が降ってきたんですが、後はもう帰るだけなので、別にどうだっていいです。 ということで、宇奈月温泉から富山地方鉄道に乗って魚津に戻り、そこから自分のクルマに乗って、北陸道経由で桑名に帰ったのでありました。 おしまい♪

 ということで今日はウエブスター・ヤングなんですが、終盤はまったくヤル気の感じられないレポでありましたな。 やはりトロッコは終点まで行くべきでしたかねー? でも、その日の夜はウナギをとるから7時までには帰ってこいと言われていたし、欅平を散策していたら雨に降られていただろうし、何でもいいけど欅平の “欅” という字も塩竈の “竈” に負けず劣らず、難し過ぎますなー。 意外と漢字力があったりする暴走族でも、ちょっと厳しいかも知れませんね、“欅竈族” とか。 語呂もよくなければネガティブでもないそんな名前、敢えて名乗る必然性は無いんですけどー。 とまあそんなことで、今日は 『フォー・レディ』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、始めに断っておきます。これは地味です。恐らく、何の盛り上がりもないまま終わることになるに違いありませんが、そもそも、ウエブスター・ヤングって、誰?…というところから話を始めなければなりません。

 ・ 二人姉妹 上、ブスだー、ヤングのほうは可愛い

   > 妹は可愛い。

 僕がずっと昔に作ったジャズ人名俳句なんですが、伊調姉妹なんかも若干その傾向がありますよね。 ま、伊調千春は姉ではなく、兄貴だと思えばまったく問題はないんですが、松山千春の例もあって、どちらでも通用する名前だったりしますからね。とまあそんなことで、僕がウエブスター・ヤングについて語れることは、以上です。 あまりにも語れることが無さ過ぎて申し訳ないので、ちょっと調べてみたら、

 ウェブスター英語ヤング (12月3日 、1932年 - 12月13日 、2003年 )は、 アメリカ合衆国 のジャズ トランペット奏者と奏者だった。
 コロンビアで、サウスカロライナ州生まれとワシントンD.C.、カップルで育った彼の叙情的な演奏は、指摘され、 ジョンコルトレーン 、 デクスターゴードン 、 ハンプトンホーズ 、 ジャッキーマクリーンは、 アイクとティナターナー 、他の人の間で行う。彼は控えめに記録されたリーダーとしての彼の主なアルバム、 女性については 、主に曲をビリーホリデイに関連付けられて捧げられた。


 …ということなんですが、英語サイトの翻訳版なので、今ひとつ日本語が怪しい点は大目に見て貰うとして。 で、この 「彼は控えめに記録されたリーダーとしての彼の主なアルバム、 女性については…」 というのが、この 『フォー・レディ』 のことでありまして、主に曲をビリーホリデイに関連付けられて捧げられているわけなんですが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 冒頭を飾る 「ザ・レディ」 はウエブスター・ヤングのオリジナルです。ジャズの世界で “レディ” と言えば、ビリー・ホリディの事だというのは暗黙の了解なんですが、昔、暴走族のレディースとして鳴らした実績がモノをいうわけですな。リンチして、死体を木の枝にぶら下げたりすることもあったようですが、若気の至りというか、若気の脇毛というか、暴走族のレディースって、何となく脇毛を剃らなさそうなイメージがありますからね。 もしかしたらそれは間違った認識で、ちゃんとレディース・シェーバーを使っているのかも知れませんが、それはそうと、 「ザ・レディ」 。 ミュート・コルネットとテナーのユニゾンで演奏されるテーマは、お静かというか、地味というか、ちっとも暴走してなくて、ちょっと期待はずれだったりします。 ま、勝手にそんなものを期待した僕が間違っているんですが、で、ソロ1番手はポール・クイニシェットでありますか。 何とも通好みというか、一般ウケしない人選なんですが、ここでのレスター・ヤングっぽい吹きっぷりを耳にすると、なるほどという気がします。適役ですな、こりゃ。地味ですけどー。 で、続いてウエブスター・ヤングが登場するんですが、ミュートということもあって、まるっきり50年代マイルスだったりして、ちょっと意外な感じがしました。どういうキャラなのか今ひとつ掴めなかったんですが、こういう奴だったんですな。それならそれで、今後の展開にちょっと期待出来るかも知れなくて、でもって、続いてはマル・ウォルドロンの登場でありますか。 この人、ビリー・ホリデイの伴奏を勤めたこともあるので、これまた適任と言えるわけなんですが、独特の暗い弾きっぷりが聴くものの涙を誘います。続くジョー・ピューマのギターはちょっと余計な気もするんですが、基本的にジャズ・ギターは好きで無いですからね、僕。 ま、淡々とした弾きっぷりは枯れていて、それなりに枯れ木も山の賑わいと言えないこともなくて、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 アルバムの冒頭を飾るには、あまりにも盛り上がらなさ過ぎる1曲ではありました。

 で、次。ここからはすべて、ビリー・ホリデイゆかりのナンバーということになるんですが、まずは 「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」 。 ビリーと言えばブートキャンプなんですが、ビリー・ホリデイと言えばこの曲ですよね。  個人的にはさほど好きではないナンバーなんですが、アール・メイのピチカート・ベースによるイントロに続いて、ミュートとテナーの絡みでテーマが演奏されます。室内楽風というか、中間派ライクというか、あまりモダンとは言えないサウンドなんですが、モダンなだけが人生ではありませんからね。無断で花壇を横断。そういうことだって、長い人生の間には起こるかも知れず、で、ソロ先発のウエ・ヤンは、相変わらずやっぱりマイスルっぽくて、それなりで、 続くクイニシェットもハート・ウォーミングなハト派らしいプレイを聴かせ、で、ピアノのソロはなくて、テーマに戻って、おしまい。 ま、それなりに悪くはなかったんですが、やぱりあまり盛り上がりません。 で、次。  「モーニン・ロウ」 。 果たしてこれがビリー・ホリディゆかりのナンバーなのか否か、寡聞にしてよく分からんのですが、ちょっぴり軽い、明るめのカルメ焼き。…といった仕上がりになっていて、悪くないと思います。僕はわりと暗い歌が好きなんですが、さすがにダークなサウンドばかり続くと気が滅入るので、ダーク・ダックスとかを聴きたくなっちゃうんですよね。オー、チンチン、オー、チンチン♪…って、ありゃ、ダーク・ダックスではなくて、ハニー・ナイツですか。 で、これ。ダークではないんですが、さほどモダンでもなくて、狙いはノスタルジック路線ということになろうかと思うんですが、古き、良き、岩鬼。懐かしいですなぁ、ドカベン。

 で、4曲目。 「グッド・モーニング・ハートエイク」 。 タイトルは 「おはよう、心臓の痛み」 という意味だと思うんですが、朝起きていきなり心臓が痛かったりすると、ちょっと嫌ですよね。 ま、寝ているうちに死ななくて、よかった♪…と、前向きに捉えることも出来るんですが、前向きに栗の皮むきをすれば、人生、きっといい事があります。どういう “いい事” があるのかというと、栗ごはんが食えます。 ま、栗を皮むきをしただけでは駄目で、その後、ご飯と一緒に炊かないと栗ごはんは食えないんですけどー。 で、これ、そう言えばジョー・ピューマとか、いたんだっけ?…という事を思い出させるギターのイントロで幕を開け、その後、ウエ・ヤンとポル・クイの絡みでテーマが演奏されるんですが、まずまず前向きですかね? もしかして、全曲 “お通夜モード” なのか?…という懸念はとりあえず払拭されたんですが、テナーのソロとか、いつになく熱っぽかったりしますよね。もしかして、新型? ま、熱いといっても微熱程度なので、さほど心配は無いと思うんですが、続くコルネットのソロは相変わらずマイルスですなー。 いつもそればかりなんですが、それしか書きようがないので、仕方ありません。 で、ギターのソロもあります。これは別になくてもよかったんですが、ありました。長い人生、そういうこともあります。 とまあそんなことで、マルのソロがあって、テーマに戻って、おしまい。

 ということで、5曲目です。 「ドント・エクスプレイン」 。 レディ物の中で、僕はこれがいちばん好きなんですが、いいですよね、暗くって。 この曲の場合、変にアレンジに凝ったりすると駄目で、淡々としたタンメン好きの担任。…といった境地でやるのが一番なんですが、出だしはベースの無伴奏ソロと来ましたかぁ。これ以上ない淡々さで、今後の展開に期待が持てるところですが、でもって、テーマ部はコルネットとテナーの絡みでありますか。このアルバムは最初からずっとこのパターンで、やや新鮮味に欠ける嫌いはあるんですが、基本、ウエブスター・ヤングのワン・ホーン近いものがあるので、ま、いいんじゃないでしょうか。 で、そのままコルネットのソロへと流れていくんですが、無駄な無駄毛処理を省いたストレートな吹きっぷりには共感が持てます。続くクイニシェットのソフトなブロウも、しみじみと地味。 で、最後はマルのピアノでしんみりと締めて…と思ったら、それが無かったのでちょっと残念だったんですが、トータル的には、ま、なかなかよい出来のバラードだったのではないでしょうか。

 ということで、ラストです。「ストレインジ・フルーツ」。  「奇妙な果実」 の邦題で知られるビリー・ホリディの代表作です。ストレインジなフルーツというのは、リンチされて木の枝に吊された黒人の死体のことなんだそうで、こんなところから “元暴走族のレディース疑惑” みたいなデマが沸いてくるんですが、いや、そういう風説を流布したのは僕なんですけど。 テーマが重すぎて、軽々しく演奏するのは気が退けるところなんですが、ここでのウエ・ヤンはわりとサラっと、それでいて、時おりエド・シグペンのドラムスにドラマチックな盛り上げ役を任せるなどして、が、やはり全体としては今ひとつ盛り上がらなくて、とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 1,2、6曲目あたり、ややハズし気味であるんですが、というか、暗過ぎて盛り上がらなさ過ぎの感があるんですが、中間部ではそれなりに健闘していたと思います。マイルスっぽいウエブスター・ヤングの吹きっぷりは、ネタとしてはそれなりに楽しめるんですが、これでもうちょっとキャラが派手だったら、いい線いってたと思うんですけどね。 今ひとつ “レディ” には見えず、 『フォー・おばさん』 ところがあるんですが、シンプルなジャケットのセンスは悪くないと思います。地味フェチには、お薦め♪


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