BRANCHING OUT (RIVERSIDE)

NAT ADDERLEY (1958/9)

BRANCHING OUT


【パーソネル】

NAT ADDERLEY (cor) JOHNNY GRIFFIN (ts) <except #3,4> GENE HARRIS (p)
ANDY SIMPKINS (b) BILL DOWDY (ds)

【収録曲】

(01-03) SISTER CAROLINE / WELL,YOU NEEDN'T / DON'T GET AROUND MUCH ANYMORE
(04-05) I'VE GOT PLENTY OF NOTHIN' / BRANCHING OUT
(06-07) I NEVER KNEW I COULD LOVE ANYBODY / WARM BLUE STREAM

【解説】 (2009年08月23日更新)

 ななかまどのオッサンのせいで、あまりよく寝られませんでした。…というところまで 前回 は話が進んでいたと思うんですが、あ、オッサンが登場するのは こちらのほう ですか。 いずれにせよ、すっきりしない気分で目を覚まして窓の外を見たら、小雨が降っておりました。アカンやん! ま、前日の天気予報で、午前中までは雨が残ると言っていたので、それなりに覚悟はしていたんですが、何も、当たらなくてもいいと思うんですよね。ガリガリ君はちっとも当たらないのに、雨の予報と生牡蠣だけは、よくアタる。そういう人って、よくいますよね。運がいいとか悪いとか、人は時々口にするけど、そういう事って確かにあると、あなたを見てて、そう思う〜♪ …と、思わず、さだまさしの 「無縁坂」 を歌いたくなってしまうキャラの人。 カラオケで歌ってもちっとも盛り上がらないので、出来ればやめておきたいところなんですが、ちなみに僕の場合、こと天気に関しては、今までわりと運がいいほうでした。旅に出ても、わりと好天に恵まれることが多く、水野晴郎には負けるものの、まずまずの “晴れ男” なのではないかと思っておりました。 が、今回ばかりは僕の神通力も通じなかったようで、これもみんな、神通川が悪いんや!…という気がするんですが、富山市のあたりを流れてますからね、神通川。 とまあそんなことで、当初の予定は大幅な変更を余儀なくされることになりました。 当初、6時に始発のケーブルカーに乗って、室堂を3時間ほど散策。バスで弥陀ヶ原に戻って、1時間ほど散策。2時頃に立山を離れて、3時には魚津 (宿泊地) に到着。クルマだけホテルに止めて、電車に乗って富山市まで行って、白エビの天麩羅だけ買って、引き返す。完璧やん! そういう綿密なプランが立てられていたんですが、雨の中、合羽を着て、3時間とか1時間とか、散策したりするのは、嫌です。

 午後からの天気の回復に期待して、室堂に12時頃に到着出来るケーブルカーに乗ることにしました。予め時間指定の切符を買うことが出来るので、6時頃に立山駅に行ってみたんですが、切符売り場と改札には既に長い列が。周囲のオッサンたちの会話に耳を傾けてみると、どうやらこの時点で6時40分発の切符が確保出来たようです。始発便に乗ろうと思ったら、5時に売り場が開くのを待って切符を確保しないと駄目みたいですな。ゴールデンウィークとか、連休とか、お盆とか、混雑が予想される場合は、前日の夕方から前売り券が販売されるみたいなんですけど。 混雑期の場合、8時過ぎに駅に行けばいっかぁ。…などと、のんびり構えてみると、平気で2〜3時間は待たされることになるので、注意が必要です。 今回の場合は11時のケーブルカーに乗ればいいので楽勝だったんですが、で、発車まで、あと4時間ほどあるので、とりあえずクルマで魚津まで行って市営駐車場にクルマを止めて、電車に乗って立山に戻ってくることにしました。どうしてわざわざそんな面倒なことをしたのかというと、駐車場が嫌だからなんですが、僕は筋肉注射と同じくらい駐車が苦手なんですよね。

(パターン1) 駐車場待ちが1時間とかだったりして、うんざり
(パターン2) 駐車場が満車で、どこにもクルマを止めることが出来なくて、半泣き
(パターン3) ようやく見つけた狭いスペースに無理やり止めようとして、隣のクルマにぶつけて、当て逃げ

 いずれも、ロクなことがありません。 ま、駐車場が空いてさえすれば問題は無いんですが、そのためにはなるべく早い時間に行くしかありません。この日の宿泊先、 魚津マンテンホテル駅前 の駐車場が駄目だったとしても、すぐ近くに 魚津駅南駐車場 というのがあるみたいなので、さほど悲観はしていなかったんですが、かと言って、事態を楽観して落雁をカジったりするほどの余裕はありません。 ま、落雁なんてさほど美味しくもないので、別にカジれなかったところでそんなに悔しくもないんですが、この日、魚津では じゃんとこい魚津まつり が開催されますからね。 海上花火大会もあったりして、去年の人では約5万人。こりゃ、205台の駐車場など、すぐに埋まってしまうに違いありません。当初、魚津への到着予定時間を午後3時に設定したのは、そういう事情があるんですが、これが朝の7時過ぎということになれば、より安心です。 とまあそんなことで、魚津に行ってみました。駐車場、余裕で空いてました。隣のクルマにもぶつけなかったので、当て逃げしなくて済んで、ラッキー♪ 入場から24時間毎に300円と、料金のほうも格安なので、いくら早く着き過ぎても懐は痛みません。 ただ翌日、朝の7時過ぎに出庫しないと料金が倍になってしまうんですが、ま、倍になったところで600円だしー。つまらん動画に300円つぎ込んだと思えば、諦めもつきますよね。

 とまあそんなことで、 富山地方鉄道 に乗って、立山に引き返しました。そんなこともあろうかと思って、事前に 電車女 冬の旅 富山地方鉄道 を見て勉強しておいたんですが、いやあ、よかったですなぁ、木村裕子の露天風呂入浴シーン。 ただ、中盤以降はヘンなオッサンが出てきて、何もかもが台無しになってしまったんですが、あ〜、つまらん動画に315円 (税込) つぎ込んじまったぁ。。。 結果、事前にこの動画を見て、実際に役立ったことは何もなかったんですが、タイミングよくマニア垂涎の “特急うなづき” がやってきたので、立山まで乗り換え無しで行くことが出来て、ラッキーでした。 ま、別に僕は鉄道マニアではないので、ヨダレも垂らさずに普通に乗っていたんですけど。 ということで、9時半頃、立山駅に到着〜。 ケーブルカーの出発まで、まだ1時間半ほどあるので、暇つぶしに 立山カルデラ砂防博物館 を覗いてみることにしました。時間潰しという目的でもなければ、絶対に入ってみたいとは思わない施設なんですが、有料エリアと無料エリアに分かれているので、暇は潰したいが、無駄なゼニは使いたくないというニーズにも対応しております。もっとも無料エリアのほうは、タダだけに大した展示物もなくて、さほど時間が潰れなかったりするんですけどー。 あ、でも、 “SABO展示室” のほうまで足を延ばせば、それなりなんすかね? 僕は400円払って有料エリアに行ったんですが、結果、時間が無くて “SABO” までは見れなかったんですよね。 ちなみに有料エリアはゼニを取るだけのことはあって、コンテンツはそれなりに優良でありまして、 “立山カルデラ大型地形ジオラマ” のところでは、 「光と音による演出がありまっす♪」 と、係のおねえさんがわざわざ、ナマで解説をしてくれました。観客は僕一人だったので、かなり照れくさかったです。

 飛び出す3Dシアターでは砂防事業の大切さを実感させられる素晴らしい映像を鑑賞できたりして、これで400円なら、安いっ♪…と思いますね。コンテンツは2種類あるので、ゆっくり座って1時間近くは暇を潰すことが出来ます。僕の場合、時間が足りなくて1本しか見ることが出来なかったんですが、とまあそんなことで、いよいよケーブルカーに乗車〜。 で、美女平に到着〜。 めっちゃガスってて、何も見えんっ! そういえば富山地方鉄道の車内放送で、 「朝6時現在、室堂の天候は霧。視界は100mでっす。」 という案内があったんですが、やっぱり駄目かぁ。。。 ま、雨が止んだだけでもラッキーなんですが、とりあえず高原バスに乗り換えて、室堂を目指すことにします。 途中、遠目に “称名滝” が見えるポイントがあって、 「天候不良の場合は通過しまっす。」 という録音放送が流れるんですが、あえなく通過。ああん、やっぱり駄目かぁ。。。 車内には諦めムードが色濃く漂っていたんですが、標高がぐんぐん高くなるにつれ、時おり、霧の隙間から山の稜線が見えてきたりして、ん?これは、もしかして!?

<室堂散策> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、室堂に到着〜。 詳しくは ここ を見て貰うとして、今回は一眼レフのほうで撮った写真を掲載しておきます。 お花目当てで 60mmマクロを付けていったので、風景写真としては半端な画角ですなー。 でもまあ、時おり晴れ間が見えたりしてラッキーでありました。散策を午後にずらすという戦略は、とりあえず成功? 僕の “晴れ男” 神通力も少しは効力があったみたいです。立山のあたりを流れているのは神通川ではなくて常願寺川ですしねー。 室堂の滞在時間が短くなって、弥陀ヶ原を散策する暇が無くなったのはちょっと残念だったんですが、地獄谷からの階段上りで完全にくだばったので、もし時間があったとしても散策は中止になったに違いありません。 とまあそんなことで、お花の写真のほうはまたそのうちにアップするとして、バスに乗って美女平に戻り、ケーブルカーに乗り換えて立山駅に戻り、今回の立山黒部アルペンルートは、終了っ♪ ちなみに帰りの高原バスは時間指定はなく、列に並んで、来たバスに乗り込む方式です。 その際、ケーブルカーの整理券が配布されるんですが、乗り継ぎに40分ほど待たされるくらいの混雑度でありました。

 ということで、富山地方鉄道に乗って、富山駅経由で魚津に帰還〜。魚津駅南駐車場は午後6時過ぎの時点でも、ちっとも心配することはなかった。…といった感じだったんですが、とまあそんなことで、 “魚津マンテンホテル駅前” にチェックイン〜。 宿情報は こちら を見て貰うとして、で、ゆっくり休む間もなく、花火大会を鑑賞するために海のほうへと歩いていくことにしました。花火の打上げ場所はおそらく 海の駅・蜃気楼 の近くなのではなかろうかと。ホテルから会場までは思ったよりもちょっと遠かったです。徒歩20分強といったところでしょうか? で、ホテルから会場までの道程の雰囲気は、思ったよりも陰気臭かったです。 ま、会場に近付くにつれて浴衣ギャルの姿も見られるようになり、かなり華やいできたんですけどー。 海の駅付近はかなりの賑わいぶりでありまして、オッサンが一人で鑑賞するにはやや気後れする雰囲気が感じられましたので、もうちょっと先のほうまで歩いていくことにしました。このあたりが “蜃気楼ロード” ということになるんだと思うんですが、堤防と海の間が段々状になっていて、花火の鑑賞にはもってこいでありますな。家族連れやラブラブなカップルは、概ね最上段に陣取っておりまして、その下のところであれば、午後6時半の時点でも余裕で座ることが出来ました。左のほうには地元民らしい爺ィが一人で座っていて、その後、カメラを持った兄ちゃんが一人で歩いてきて、僕の左前のところに三脚をセットし始めました。これで僕が周囲から浮く心配もなくなって、一安心。 いやあ、いいですなぁ、このロケーションは。


<魚津海上花火大会 (開始前) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 目の前は海〜♪ 天気がよければ海に沈む夕日が綺麗に見えるに違いありません。 生憎、この日は雲っておりましたので、そっちのほうはさっぱりだったんですけどー。 で、左前の兄ちゃんに負けないよう、僕も三脚をセットすることにしました。 桑名の花火大会で三脚を立てるには朝から場所取りをしなければならず、しかも撮影中はずっと中腰スタイルで、けっこう大変だったりするんですが、ここなら余裕です。6時半でも大丈夫です。ゆっくり座ったまま撮ることも出来そうです。 いやあ、いいですなぁ、このロケーションは。 で、三脚を立てて、カメラをセットしようとして、愕然としました。 しまったぁ! クイックシューを家に忘れてきたぁ! 桑名の花火大会の時にカメラのほうに取り付けて、その後、邪魔なので取り外して、三脚に戻すのを忘れて、今日に至る。駄目ぢゃん! ということで、三脚、撤収〜。 もう、いいっ! 手持ちで撮るから、ぜんぜん悔しくなんか無いっ! 手ブレしまくりで、まともな写真は撮れないに違いないけど、その時は動画を撮るから、いいっ! 浮かれムードが一気にやさぐれてしまいましたが、僕は決して魚津の花火大会を恨んだりはしません。 というのも、浴衣姿の中3くらいの2人組のギャルがやってきて、僕の右のほうに座ってくれたからなんですが、この年頃のギャルというのは無駄に明るくて、屈託がなくて、屈折した心を解きほぐしてくれますなぁ。 そうこうしているうちに今度は浴衣姿のOLっぽい2人組のギャルがやってきて、僕の2段くらい前のところに座りました。 この年頃になると少し心が屈折してくるようで、ほとんど会話もなく、あまり明るさは感じられなかったんですが、いやあ、いいですなぁ、このロケーションは。 中3くらいのギャルのうちの一人が屋台へ何か買いに出掛けて、漂ってくる匂いから、それは “たこ焼き” であると推測されたんですが、そうこうしているうちに周囲が暗くなって、花火の開始時刻が迫って来ました。


<魚津海上花火大会 (開催中) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 いやあ、よかったですなぁ、魚津の花火。 2000発で、しかも今年は40周年記念スペシャルで、尺玉の40連発あり。…というので、それなりに期待はしてたんですが、その期待を上回る出来だったと言えるでしょう。距離が近くて迫力があるし、絶え間なく、わりとコンスタントに大きめの花火が上がりました。水中スターマインもありました。 正直、これは桑名のほうが上かな?…という気はしたんですが、概ね、大健闘であったと言えるでしょう。 で、問題の写真のほうなんですが、三脚無しでも意外と何とかなりました。 手持ちでは “タジュロー” ( ここ 参照) を使えず、バルブで10秒とか15秒とか、シャッターを開けっ放しで、これで手ブレしなかったら、ほとんど神の領域なんですが、ブレたらブレたで、それもひとつの味だと思えば、自分なりには納得がいきます。 「ほらほらぁ。手持ちでもけっこう綺麗に撮れたぁ♪」 と、隣の中3くらいのギャル2人組に見せてあげたいくらいだったんですが、とまあそんなことで、花火大会は以上です。

 当初の予定では “じゃんとこい魚津まつり” も見るつもりだったんですが、1日歩き回って疲れたし、昨日の夜は睡眠不足だったし、花火だけで十分に満足出来たので、省略。 ホテルに戻って、風呂に入って、この日は誰にも邪魔されることなく、いや、 “すけべビデオ” の誘惑にちょっとだけ負けたりもしたんですが、朝までぐっすり眠って、とっても楽しい1日だったのでありました。 とまあそんなことで、おしまい♪

 

 ということで、今日はナット・アダレイです。世界陸上ではボルトが話題を掻っ攫っておりますが、こっちはナット。ちょっと地味ですね。ボルトとナットではどっちが偉いかというと、2つ揃って初めて用をなすものなので、優劣付け難いものがあるんですが、ナットとボルト、どちらがナルトなのかと言われると、どっちもナルトでは無かったりしますしね。 結果、引き分けということでいいのではなかろうかと。 で、今日は 『ブランチング・アウト』 という1枚を紹介したいと思うんですが、えーと、ブランチング・アウト、ブランチング・アウト・・・。 ブラチンねた以外に何も浮かんでこなかったので先に進むことにしますが、これ、リバーサイド盤には珍しく、ザ・スリー・サウンズが参加してたりするんですよね。貴重です。 が、珍しいから出来もいいのかというと、必ずしもそうとは言い切れず、例えば珍味なんてのは確かに珍しい味だったりするんですが、ちっとも美味くはなかったりしますからね。 幸いにもこの作品の場合、僕の好きなジョニー・グリフィンも入っているので、多少、変な味がするくらいのことだったら、うまくごまかしてくれると思うんですが、生臭いイカの姿フライもチリ味の “チリイーカ” なら、それなりに食べられたりしますもんね。果たしてグリフィンがチリの役目を果たしてくれるかどうか興味の尽きないところですが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 アルバムの冒頭を飾る 「シスター・キャロライン」 はナットのオリジナル。 ナットにはキャノンボール・アダレイという兄貴がいるんですが、キャロライン・アダレイという名前のお姉ちゃんだか、妹だかがいるんですかね? 何となく、見た目がジャイ子っぽいキャラであるような気がするんですが、曲のほうはアレです。何となく田舎臭くてダサい感じの仕上がりになっております。ジャイ子っぽいと言えば確かにそうなんですが、個人的にはあまりタイプではありませんな。 スリー・サウンズをバックにナットがワン・ホーンでテーマを吹いて、そのままアドリブ・パートへと流れていくんですが、ソロそのものはファンキーな味があって、悪くないと思うんですけどー。 で、ここで満を持して、グリフィン登場。 勢いだけのキャラといった印象を持たれがちなオッサンなんですが、この手のミディアム・テンポのナンバーではオーバーブロウに陥ることもなく、落ち着いた風情のブロウ・ジョブ。…といった感じで、いい仕事ぶりだと思います。 続くジーン・ハリスのピアノは、日本人にはあまりウケのよろしくないスタイルだったりするんですが、ここではレッド・ガーランドを下品にしたようなソロを披露していて、まずまずです。それほど不味くはありません。 でもって、最後に再びテーマに戻るんですが、提示部と違って今度はグリフィンも絡んできて、より “ベタ度” がアップしているところがアレでありまして、とまあそんなことで、おしまい。 ま、出だしとしては、そこそこでありました。

 で、次。  「ウェル・ユー・ニードント」 。 グリフィンはセロニアス・モンクと共演したことでも知られているんですが、それに敬意を表したのか、モンクのナンバーを持ってきましたな。ヘンな素材なので、どんな風に料理してみたところで珍味にしかなり得ないんですが、2管が絡むテーマ部に続いて、やや唐突な感じで飛び出してくるナットのソロがスリリング。 珍味のホタルイカをイカリングフライにしたような意外感とでも言いましょうか。根が地味なナットとは思えないほど派手でありまして、秀逸です。続くグリフィンもバリバリ全開で、でもって、モンクとは最も縁遠いキャラである気がするジーン・ハリスのソロも違和感なく溶け込んでいて、スリー・サウンズでのプレイとはまるで別人のようです。 で、終盤はホーンとベースとの掛け合いで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いや、期待度がゼロに近かっただけに、思わぬ拾い物でありました。

 3曲目、 「アイヴ・ゴット・プレンティ・オヴ・ナッシン」 。 グリフィン抜きのワン・ホーン編成で、チリ味が抜けたことによる弊害が懸念されたんですが、なんのなんの。ナットの持つファンキーさが十二分に発揮されたナンバーに仕上がっておりまして、イカの姿フライはチリイーカだけでなく、マヨイーカ (←マヨネーズ味) もイケたりしますからね。 ナットの迷いのない吹きっぷりがマヨイーカを彷彿させて秀逸なんですが、ジーン・ハリス以下、スリー・サウンズの面々のバッキングも上出来です。ナットの後、アンディ・シンプキンスのベース・ソロがフィーチャーされるんですが、ところでこの人、こんな名前でしたっけ? 確かアンドリューが正解だったのではないかと思うんですが、僕の持ってる輸入盤CDには “ANDY SIMPKINS” と書かれていて、ま、恐らくアンドリューを略すとアンディになるということなんでしょうけど。アンドリューだと何となく安藤竜二みたいなので、改名したのかも知れません。サムライ日本プロジェクトとか、何だかよく分かりませんもんね、安藤竜二。 で、続くジーン・ハリスのソロはスリー・サウンズっぽく盛り上がっておりまして、やはりチリ味でないだけ、素 (す) が出たということになるんでしょうか? とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 

 で、次。 アルバム・タイトル曲の 「ブランチング・アウト」 。 ブランチング・アウト、ブランチング・アウト・・・。 やはり “ブラチンねた” 以外に何も浮かんでこないので先に進むことにしますが、ややお間抜けな作風のナットのオリジナルでありますな。グリフィン抜きなので、先ほどと似通った雰囲気が漂っておりまして、というか、ムードとしては1曲目に近いですかね? いずれにせよ、ジャイ子っぽさが個人的にはあまりタイプでないんですが、ナットのソロそのものは悪くないと思うんですけど。続くジーン・ハリスのピアノは、日本人にはあまりウケのよろしくないスタイルだったりするんですが、ここではレッド・ガーランドを下品にしたようなソロを披露していて、まずまずです。…と、前に書いたのをそのままコピペしておいて、いよいよ手抜きモード全開なんですが、ここでもまた安藤流・新婦金子のベースがフィーチャーされておりますな。飽きるほど長くはないので何とか許せる範囲ではあるんですが、そろそろグリフィンのテナーが恋しくなってきたりして、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 6曲目、 「アイ・ネヴァー・ニュー・アイ・クッド・ラブ・エニボディ」 。 「私は誰でも愛することが出来るのを決して知りませんでした」 とか、そういった意味ではないかと思うんですが、誰でも愛することが出来る。僕には無理ですね。好き嫌いが激しいですからね、僕。 朴大統領は好きでも、全斗煥は嫌いだったりします。どうして僕が朴大統領を好きなのかというと、 「ぼく大統領」 という言葉の響きが、 「ぼく、ドラえもん」 みたいで、いいな♪…という気がするからなんですが、現地読みで 「ぱく大統領」 と発音されるようになって、ちょっと嫌いになりました。 金正男も“キム・ジョンナム” ではなく “きん・まさお” にしたほうが、絶対、日本では人気が出ると思うんですが、で、これはアレです。そろそろこの辺りでバラードを聴いてみたいな♪…という僕の希望とは裏腹に、めっちゃ急速調な仕上がりになっていたりします。 ま、これはこれでいいんですけどね。ナットのソロも絶好調だしー。 待ち焦がれたグリフィンもソロ2番手として登場するし、雰囲気としては、ほぼ2曲目とイコールであると言えましょう。素材がモンク・ナンバーだろうと、歌物だろうと、煮込んでしまえば形も無くなる、もうすぐ出来上がり、チン♪ (← by 荒井由実 ) 終盤は cor→ds→ts→ds のバトルで大いに盛り上がり、バトルフィーバーが好きだった僕も大いにフィーバーしてしまったんですが、スリー・サウンズの3人の中では地味な存在だったビル・ドゥディも、ここでは何だか、はっちゃけてますよね。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 ということで、ラストです。 「ワーム・ブルー・ストリーム」 。 「暖かく青い流れ」 でありますか。黒潮みたいなものなんすかね? 黒潮、赤潮、朝潮。この中で特急列車の名前になっているのは、どれ?…って、別に鉄ちゃんでなくても分かる簡単な問題ですが、あれは 「くろしお」 と平仮名で書くのが正解だし、そもそも暖かく青い流れなら黒潮ではなくて青潮だし、で、そろそろこの辺りでバラードを聴いてみたいな♪…という僕の希望は、ここに来てようやく適えられることになりました。 バラードとはちょっと違うような気もするんですが、ゆったりとした海流を思わせるようなスローなテンポ設定に、思わずココロが安らぎます。ナットとグリフィンが2人がかりで主旋律をストレートに歌い上げて、でもって、ソロ先発はナットのコルネットでありますか。歌心に溢れていて、いいですな。少なくとも下心に溢れているよりは健全で、で、続くグリフィンのソロはフィーチャーされているという程の分量はないんですが、短いなりに彼の持ち味はよく発揮されていて、でもって、テーマに戻って、おしまい。最後をしみじみと締めるという戦略は、正解だったのではないでしょうか。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 今ひとつ僕の好みではないタイプの曲が2つほどあって、しかもそれがいきなり1曲目だったので、印象のあまりよろしくないアルバムだったりしたんですが、改めて聞き直してみると、それ以外は優秀でした。ナット、グリフィン共に、ばりばり全開でした。どう考えても相性が合いそうにないと思われた “ザ・スリー・サウンズ” も、とっても “ザ・3人のサウンド” でありました。 リズム・セクションがスリー・サウンズだしぃ。…と、端から馬鹿にして敬遠していた人がいるとするなら、騙されたと思って一度聴いてみてください。きっとそこには、あなたの知らない3人組が待ち受けている筈です。


INDEX
BACK NEXT