THEME MUSIC FROM “THE JAMES DEAN STORY” (PACIFIC JAZZ)

CHET BAKER (1956/11/8)

THEME MUSIC FROM THE JAMES DEAN STORY


【パーソネル】

CHET BAKER (tp) BUD SHANK (as,fl) with JOHNNY MANDEL & BILL HOLMAN ORCHESTRA
CHARLIE MARIANO (as) RICHIE KAMUCA (ts) PEPPER ADAMS (bs)
CLAUDE WILLIAMSON (p) MONTY BUDWIG (b) MEL LEWIS (ds) & Others
【収録曲】

(01-03) JIMMY'S THEME / THE SEARCH / LOST LOVE
(04-06) PEOPLE / THE MOVIE STAR / FAIRMONT , INDIANA
(07-08) REBEL AT WORK / SUCCESS AND THEN WHAT?
(09-10) LET ME BE LOVED / HOLLYWOOD
【解説】 (2009年09月21日更新)

 最初に断っておくと、失敗でした。何がと言うと、 浜松モザイカルチャー の開会式でのブルーインパルスの展示飛行なんですが、いや、飛行そのものは成功でした。飛行に失敗して、グレて非行に走るパイロットが出ることもなく、無事に任務を遂行して松島へと帰っていきました。松島基地に所属しているんですよね、第4航空団 第11飛行隊。 日本三景のひとつである。ブルーインパルスがいる。松島トモ子もいる。…というのが松島の人の “3大自慢” なんだそうですが、ブルーが事故ったり、トモ子がヒョウに噛まれたりすると松島の人が落ち込むことになるので、今回、成功裏に終わって何よりだと思います。 が、僕の写真撮影は失敗に終わりました。敗因は撮影場所の選択ミスではないかと思うんですが、9月19日(土)午前6時1分。僕は桑名駅からJR関西線の普通列車に乗り込みました。名古屋で新幹線に乗り換えて、浜松駅に7時14分に到着しました。意外と近いですなー。 が、そこからモザカルの開場である フラワーパーク までが遠かったです。 路線バス、もしくは専用のシャトルバスで約40分とのことだったんですが、シャトルバスの運行開始は朝8時半から。 9時の開会式に間に合わんやん! 仕方が無いので7時36分発、舘山寺温泉行きの 遠鉄バス に乗ることにしました。バスターミナルに向かうと、長蛇…とまではいかないまでも、シマ蛇くらいの列が出来ておりました。何でもいいけど並んでいる人の年齢層がめっちゃ高くて、軽くテンションが下がりました。 が、もうちょっとで非行に走りそうなタイプの女子高生ひとみちゃん(仮名)の姿もあったので、少しテンションが上がりました。 が、ひとみちゃんは7時24分発の “ひとみヶ丘行き” のバスに乗っていってしまって、駄目ぢゃん!

 7時45分くらいに臨時のシャトル便が出ることが判明したんですが、僕は初志貫徹して普通の路線バスに乗ることにしました。 というのも僕はフラワーパークではなく、少し離れた舘山寺温泉のあたりから写真を撮ろうと企んでいたんですが、モザカルの開場が9時、ブルーの飛行開始も9時。チケットを買ったり、入場待ちの行列に並んだりしているうちに頭の上を飛行機が飛んでいって、撮り損ねる恐れが十分に考えられます。 そこで考えたのが かんざんじロープウェイ で上った先の大草山なんですが、あそこなら眺めも最高だし、きっといい絵が撮れるに違いありません。 が、僕でも思いつくんだから、同じことを考えている人がたくさんいて、めっちゃ混雑するような気がします。 しかも、あそこからだと、どうしても逆光になっちゃうんですよね。 人間、逆境に耐えてこそ、ビッグになれるんじゃないか!…と言われるかも知れませんが、逆光に耐えてみたところで人間的に大きくなれるとは思えませんからね。 そこで、別の作戦を立ててみることにしたんですが、いろいろ考えた結果、導き出された答えが 動物園の先 でありました。地図で言うと、 このあたり 。 ブルーがこう巡航するとすれば、このあたりからこう撮れば順光になって、何かこう、ばっちり? せっかく浜名湖の近くで飛ぶんだから、湖面を絡めるのがセオリーだと思うしー。 ということで、僕は路線バスで “動物園” というバス停まで行くことにしました。 が、このバスが不快でした。僕のすぐ後ろの席にですね、清水の星・幸ちゃん(仮名)がいたんですよねー。

 こいつは清水を朝6時くらいに出て、一人でやって来たようなんですが、 「運営がバカ過ぎる。」 と、隣のおばちゃん相手にずーっと文句を垂れておりました。 シャトルバスが8時半からというのが、バカ。 にもかかわらず7時45分にシャトルバスが出るというのが、バカ。 自民党はバカ。麻生太郎は大バカ。 要約すると、彼の主張はそういう事だったんですが、臨時で早くシャトルバスを走らせてくれたんだから、文句を言う筋合いはないと思うんですけどねー。 その後、こいつは世の中のいろんなことにイチャモンをつけて、一人で悦に入っていたんですが、声からすると27歳くらいの青臭い青年? あまりにも煩いので、後ろを見て顔をチェックしたら、野球帽を被ってマスクをした50過ぎのオッサンだったのでちょっと意外だったんですが、どうやら今回は写真を撮るのが目的のようです。ニコン使い、しかも今日は35mmの単焦点なんだそうで、正直、ちょっとヤルな!…と思ってしまったんですが、「カメラに拘る人がいるけど、写真なんてアレぢゃん。シャッターを押したら、それで終わりぢゃん。」 とか言ってて、この上なくウザかったです。 「横浜開港150周年とか、ぜんぜん人気がないみたいで、バカじゃん。」 とか、 「やめた前の市長も、バカじゃん。」 とか、とにかく民主党と鳩山さん以外はすべてバカだと思って世の中を生きているようなんですが、僕のモザイカルチャーは、ウザい幸ちゃんのおかげで、暗いスタートを切ることになったのでありました。 いや、仮に “幸ちゃん” という名前を付けたのは、ただそれが言いたかっただけなんですけどー。

 しかしアレですな。路線バスは失敗でしたなー。とにかく途中にバス停がいっぱいあり過ぎて、ちっとも前に進みません。 途中のバス停から乗り込もうとしても満員で、乗れなくなる人が多発。バスの運転手は若いギャル (←声からして、多分) だったんですが、 「非常に申し訳ございませんが、次のバスをご利用くださ〜い。」 を連発するという、そういう状況でありました。 このギャル系運転手には幸ちゃんもわりと好意的で、「何て言うか、言い方がいいよねー。男の運転手ではこうはいかないよねー。男の運転手って正直、ロクなやついないよねー。バカばっかりじゃん。」 普通の路線バスなので乗客はモザカル目的の人ばかりではなく、途中で降りる人もいるんですが、何しろ車内がえらく混雑しているので、バスから降りるのにもいちいち時間が掛かります。僕の隣の席の兄ちゃんは、運悪くヘンなバスに乗り合わせてしまったようで、途中で降りるのを諦めてフラワーパークまで運命を共にする覚悟を決めたようですが (←席が離れてしまったらしい連れと、携帯で連絡を取り合っている話の内容から推定) 、予定の40分を経過しても一向に目的地に到着する気配が窺われません。9時のフライト開始に間に合うのか、ちょっと心配になってくるんですが、めっちゃ地元民らしいオバチャン達の会話によると、かなり近くまでは来ているみたいなんですけどね。 付近の地理に精通しているくらいの地元民なら、何もわざわざオープニングの日に、しかもこんな早い時間に来なくてもいいような気がするんですが、どうやら鈴木重子コンサート並びに越中八尾おわら舞台公演の整理券確保が目的のようです。 このおばちゃん達、シルバーウィーク特典の “70歳以上は100円でバス乗り放題♪” の恩恵に預かれるようなご年配であるにも関わらず、ネットのオフィシャルサイトで何もかも調べ上げているんですよね。 それには幸ちゃんも感心しておりましたが、バスに乗れずに、諦めて開場に歩いて向かう人たちにも彼は感心しておりました。 「機転が利くよねー。俺にはそんな機転は利かないよー。」 バスに乗れなかったら、諦めて歩く。その程度のことも思いつかないようでは幸ちゃん、正直なところ、あまり賢くはありませんなぁ。。。

 予定の所要時間を20分ほど超過して、約1時間掛かって、ようやくフラワーパークに到着〜。 専用シャトルバスは8時半より前でも臨時便が出るみたいだし、動物園まで行こうとか余計なことを考えず、大人しく直通便に乗ったほうが賢明だったかも知れません。 とにかくまあ、大量の高齢者軍団も、ウザい幸ちゃんも降りていって、車内はスッキリ。 何とか9時には間に合いそうで、すっかり安心。 僕のにわか仕込みの知識によると、動物園のバス亭はフラワーパークの次のバス停だったと思うので、 「次は○○〜」 という車内放送が流れる前に、プロっぽく降車ボタンを押したんですが、するとしばらくして、 「次は東坊塚〜」 というアナウンスが。 しまった!早まった! 車内には若いギャルもいたし、運転手も声からすると若いギャルっぽいし、 「すいません、間違えました。」 と申告するのも何だか恥ずかしいので、諦めて東坊塚で降りることにしました。 いやあ、僕、最初から東坊塚で降りようと思っていたんだよねー。動物園まで行こうとか、そういうことはぜんぜん考えてなかったんだもんねー。 内心の動揺を悟られないように、 “浜松と舘山寺のプロ” を装ってバスから降りたんですが、ちなみに運転席は声の様子から想像していたのとはちょっと違ったタイプの人が座っていました。 いや、確かに若いギャルではあったんですが、何と言うか、思っていたよりもずっと体形がご立派だったというか。話し方を評価していた幸ちゃんが降車時に失礼な感情を持ったのではないかと、ちょっと心配だったりもするんですが、何でもいいけど東坊塚などというよく分からんところから動物園まで歩かされるハメになって、ちょっと迷惑でありましたなぁ。。。

 ということで、目的地に到着〜。 全国各地から軍事マニアが集結しているのではないか?…と心配していたんですが、兄ちゃんとか、おっさんとか、爺ちゃんとかが釣り糸を投げ入れているだけで、拍子抜けするほど、のんびりした空気が漂っております。空いていてラッキーなんですが、果たしてこんなことで本当にブルーインパルス、飛ぶんかー? ちなみに周辺の様子は こんな感じ でありました。魚眼レンズ@さばの目くん1号を使用したので、えらく世界が歪んでいるんですが、目の前に見えるのは浜名湖のうちの内浦と呼ばれるおまけのような部分。その向こうに見える小じんまりとした隆起が大草山。左手には遊覧船乗り場、その奥にはパルパルの観覧車と舘山寺温泉の旅館群。 で、モザカル開場のフラワーパークは右手側ということになります。 この写真だと、かなり晴れているようにも見えるんですが、もう1台のカメラにセットした望遠レンズで覗くと雲がかなり広がっていて、ちょっと残念。 で、僕の時計ではもう9時を過ぎているというのに、これから何かが起きるという気配がまったく感じられなくて、ちょっと心配になってきました。 も、もしかして、ブルーがくるという噂は、ガセだったとか???

 釣りをしていた兄ちゃんが、 「おおっ、来たぁ、ブルーインパルス!」 という声を上げて、ついにやって来ました、ドルフィンの群♪ ブルーで使われる “T−4” という練習機は全体的に丸っこくて、そういうニックネームが付いているらしいんですよね。 何でもいいけど雲が多くて、すぐ近くまでやって来ないと、どこを飛んでいるのか、分からんっ! で、 「来たー♪」 と思ったら向こうのほうに飛んでいって、そのまま姿を見せなくなってしまいました。 え?もしかして、さっきのでおしまい??? 嫌な予感にさいなまれる、サイババ好きのサバくん (41歳) 。 でも、大丈夫でした。しばらくすると再び、あっちのほうから飛んできて、そっちのほうに消えました。 どっちのほうから来るのかまったく読めなくて、不意を突かれて写真どころではありません。天気が悪かったのか、場所が悪かったのか。。。 あたふたしているうちにあっという間に20分が経過して、本日の展示飛行は、終了っ! 正直、 航空祭の時 と比べると、やや地味なフライトだったんですが、こうして見ると2年前の岐阜基地の航空祭は天気も最高だったんですなぁ。 あの時はブルーの前にもいろんな飛行機がいっぱい飛んでいて、それなりに撮影にも慣れたからよかったんですが、今回はぶっつけ本番でしたからね。電験3種の試験と同様、ぶっつけで臨んで、玉砕。…という結果に終わってしまいましたが、中ではまだマシな気がする作品を5枚ほど掲載しておきます。

<ブルーインパルス@浜松モザカル> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 上の3枚が “70-300mm×1.5倍のテレコン” という、望遠の装備で臨んだ作品、下の2枚が“さばの目くん1号” です。 ブルーインパルスは超望遠と超広角、両極端なレンズが必用な貧乏人泣かせの被写体なんですが、僕はそこそこ小金持ちなので、そこそこの写真は撮れました。やはり “サクラ” は魚眼じゃないと無理ですよねー。 遠近感がヘンで、6つの “○” がちっとも同じ大きさに見えないところがネックなんですが、うまく雲の切れ間を利用して大空のキャンパスに綺麗な “サクラ” を描いてくれました。 これ、サクラかぁ? ただの6つのマルやん!…とか、そういう物事の本質を突くようなことを言ってはいけません。 心の中でそう思っても、決して口に出さないのがオトナというものです。 ともあれ、小松の航空祭は帰りのバスがめっちゃ込むらしいので、ブルーインパルスは諦めて、そっちのほうは浜松のモザカルで賄おうというのが今回の目的だったんですが、やっぱり小松のブルーも見たくなっちゃいましたなぁ。悩ましいところです。 とまあそんなことで、次回はおまけの “モザカル写真” をお届けしたいと思います。乞うご期待♪

 ということで今日はチェット・ベイカーなんですが、 『テーマ・ミュージック・フロム “ザ・ジェームス・ディーン・ストーリー” 』 というアルバムを紹介したいとおもいます。 この前、名古屋へ電験3種を受けに行った際、試験の途中で名駅のタワーレコードに寄って、仕入れてきました。どうして試験の帰りではなく途中なのかというと、科目免除の関係で最初の “理論” と最後の “法規” の間が5時間ほど開いてしまって、暇だったからなんですけどー。 そんなことしてるから “法規” すら落ちるんや!…と思われるかも知れませんが、諦める決心がついて、結果的にはよかったと思います。ブルーの写真のほうは、ま、かろうじて見れる写真が数枚はあったので、なかなか諦めが付かないんですが、で、今、何気なくネットでニュースをチェックしたら、 こんな記事 が。 モザカルの入場者は入園がタダになるので動物園のほうも覗いて来たんですが、確かにゴリラたんとオラウータンたん (←語呂が悪い)は、外に出ていなかったんですよね。 僕がブルーが見れて大満足だったんですが、影ではそんな悲劇が起こっていたんですなー。 近くに航空自衛隊の基地があって、飛行機とか普通に飛んでるような気もするんですが、ゴリラたん、センシティブなんですなぁ。 ライオンとか、トラとか、クロヒョウとか、ネコ科の動物たちは普通に爆睡してましたけど。 あと、カワウソとレッサーパンダも暑さにダレて寝ておりました。 一方、乗鞍岳ではクマたんが大暴れしていたみたいですね。 暴れたからお仕置きをされるのは仕方がないんですが、 “処分” されちゃったのはちょっと可哀想ですなー。 麻酔で眠らせて生け捕りにして、教育して更生させて、奥飛騨クマ牧場で飼ってやればよかったのにぃ。 今頃 “熊力ドリンク” の材料にされているかと思うと、不憫でなりません。 とまあ、それはそうと 『ジェームス・ディーン物語』 って、そんな映画があったんですなー。 交通事故により24歳で夭折しちゃった直後、ロバート・アルトマンとジョージ・W・ジョージが共同で監督したドキュメンタリー作なんだそうですが、何でもいいけどジョージ・W・ジョージって、ダブルでジョージでありますな。ちょっぴり “たかたかし” みたいなんですが、その映画のサントラをジャズ化したのが、この作品なんだそうです。 で、演じるのはチェット・ベイカーでありますか。チェットと言えば、その男前ぶりと脚本の才能から、ジャズ界のジェームス・ディーンとか、ジャズ界のジェームス三木とか呼ばれているんですが、そんなところから白羽の矢が立ったんですな。何ともベタな企画であると言わざるを得ません。 一応、体裁としてはチェットとバド・シャンクの2人がフィーチャーされる形になっているんですが、シャンクの写真はジャケットのどこにも使って貰えなくて、 「どうせ俺の顔なんか。」 と、影でイジけているに違いありませんが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょうか。

 まずは 「ジミーズ・テーマ」 。 僕の買った日本盤CDでは 「ジミーのテーマ」 という邦題が付けられておりますが、これだと何だかジミー大西のテーマみたいですよね。ジェームス・ディーン物語なのに、どうしてジミー? ジェームスの省略形がジミーなんでしたっけ? ジミー大西も正式名がジェームス大西なら、けっこう賢そうに思えるんですが、で、これはアレですな。オーケストラ物なんですな。何と言うか、いかにも西海岸のオケ物やな。…といったサウンドに仕上がっておりまして、マイク・パチェコという人が叩いているらしいボンゴの軽いリズムも効果的。 で、ちゃんとチェットとシャンクのソロもフィーチャーされております。 tp→as→tp→as…の順で、時おりバックにアンサンブルが絡んだりもして、なかなかジャズっぽく仕上がっております。 とまあそんなことで、おしまい。 全部で10曲も入っているので、ひとつひとつは “あっさり系” だろうと踏んでいたんですが、概ねその通りでした。 で、次。 「ザ・サーチ」 でありますか。 「ザ・皿鉢(さわち)」 なら高知の郷土料理っぽい曲になるんでしょうが、サーチなので野村沙知代っぽいです。…って、それは 「ザ・サッチー」 。 読んでる途中で察知されるようなネタでしたが、幻想的なアンサンブルをバックに、ベイカーが訥々とした風情でメロディを綴る。このアンニュイでやる気があるのかないのか判らないようなプレイが彼の持ち味だ。…と、日本語ライナーで小川隆夫クンが書いているようなプレイが展開されます。確かにいつも、あまりヤル気がなさげですよね、チェット。永谷園の味噌汁は 「あさげ」 ですけど。鼻に生えてる毛は 「はなげ」 だしぃ。 …って、僕のレビューもいつもヤル気がなりんですが、しかしソロ・パートに入ってからの彼は徐々に明解なフレージングを綴るようになっていく。それを受けてのシャンクは最初から意思を明確に表しているような力強いプレイを綴ってみせる。…と、小川隆夫クンが書いているような展開を聞かせることになります。 僕のレビューはいつも、残り2曲目くらいになるとヤル気が失せて、ライナーノートの丸写しになるんですが、今日は始まって2曲目からこの有様ですな。先行きが危ぶまれます。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 あ、終盤、クロード・ウィリアムソンのピアノ・ソロがフィーチャーされていて、それがなかなかいい感じでありました。

 3曲目の 「ロスト・ラブ」 は失恋をテーマにしたバラードです。 「ロスト・ブラ」 なら干しておいた下着を盗まれた哀しみをテーマにしたバラードということになるんでしょうが、それはそれで哀しい出来事だとは思うんですけど。バド・シャンクはここではフルートを吹いていて、それがとっても哀しげでいいんですが、チェットの吹くアンニュイなトランペットも味わい深いです。 先生、俺、もう下着を盗るのはやめるよ! そう心を入れ替えたくなるような、しみじみとしたバラードでありました。 で、次。「ピープル」。  「人々」 ですな。 人々と聞いて、思わず「ひとびとーのヒットビット♪」 と歌ってしまう人々は、それなりにお年を召された人々ではないかと思われますが、松田聖子がイメージキャラをやってましたよね。 で、これもまたバラード調のナンバーだったりするんですが、映画の中ではディーンに関わったさまざまなひとたちが彼のことを語る。そんな場面で使われた印象的なメロディのナンバーで、ホーン・アンサンブルをバックにベイカーとシャンクが美しいサウンドを醸し出す。そういったナンバーだったりします。 「ザ・サーチ」 と、どこがどう違うんや?…という気がしないでもなくて、個人的にはちょっぴり飽きてきました。 で、次。 「ザ・ムービー・スター」 。 ちょっぴり趣を変えて、明るく御陽気なナンバーを持って来ましたな。バド・シャンクのアルト・ソロがとっても快調でありまして、この人はアレですな。僕の耳にはアート・ペッパーっぽく聞こえたりします。 で、続くチェットのソロは、僕の耳にはクリフォード・ブラウンの影響を色濃く感じさせるものに聞こえたりするんですが、バックのホーン・アンサンブルもアレンジが凝っていて、良くて好ましくて、良好です。典型的なウエスト・コースト・サウンドなんですが、たまには悪くないものですな、西海岸も。

 6曲目の 「フェアモント・インディアナ」 は哀愁味のあるメロディが印象的なナンバー。 タイトルはディーンが幼い日々を過ごした第2の故郷なんだそうですが、ソロ先発はシャンクのフルートでありますか。日本語ライナーだとチェットのソロが先発みたいに書かれておりますが、それは違うと思うな、隆夫クン。 テーマ部にもアドリブらしきものが出てくるので、それをどう捉えるかによって答えが変わってくるんですが、テーマ→シャンク→チェットだと思うな、僕は。 あ、でも、改めて聞き直してみると、隆夫クンので正解のような気もしてきました。難しいですな、ジャズは。 で、終盤、ベースが地味にフィーチャーされたりもして、でもって、テーマに戻って、おしまい。 で、続く 「レベル・アット・ワーク」 はディーンの名を一躍有名にした 『理由なき反抗』 からヒントを得たと思われるタイトルの曲なんだそうです。レベル=rebel とは反抗の意味なんですな。反抗と言うと、何となくハンコ屋さんあたりがよく反抗しそうなイメージがあるんですが、公文書が全面的に電子化ということになったりすると、ハンコ屋さんは反抗するでしょうな。商売上がったりですもんね。そういうのは理由のはっきりした反抗だから分からんでもないんですが、ディーン君は理由もなく反抗しちゃいましたか。 ま、若さとはそういうものですからね。 「特に理由はないけど、何かむかつく〜!」 とか、そんな理由で反抗したりします。反抗期ですからね。そういう時期だと思って、諦めるしかありません。 で、この曲、そういった若さゆえの不可解さを感じさせる複雑なメロディを持っておりまして、テーマ→チェットのソロ→ビル・ホルマンのソロ→クロード・ウイリアムソンのソロという演奏の流れになっております。 面倒なのでパーソネルの欄では明記しなかったんですが、オーケストラ担当のホルマンはテナーも吹いているんですよね。 ま、さほど大したプレイでもないんですけど。 それよか、1曲目以来、ひさびさにピアノのソロが聞けたのはよかったと思うんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 残すところあと3曲です。いつ手抜きモードに入っても、どこからも文句の出ないところまで漕ぎ付けましたが、 「サクセス・アンド・ゼン・ホワット」 。 日本語盤CDでは 「成功、それが何だ?」 という邦題が付けられておりますが、反抗しておりますなぁ、理由もなく。 成功したんだから、それでいいじゃん。…と、オトナである僕は思うんですが、むしろ、電験の試験に失敗したけど、それが何だ?…と、開き直りたい気分だったりします。ちなみに “SUCCESS AND THEN WHAT?” というのはディーンの口癖なんだそうですが、カッコよろしおまんなー。 僕なんかこっ恥ずかしくって、思わず大阪弁になってしまうんですが、演奏そのものはスローなテンポで、ちょっぴり退屈なので、詳細は省略。 で、次。 「レット・ミー・ビー・ラブド」 。 「僕を愛して」 ですか。何のかんの言って寂しいんですな、この男も。強がりをいっても、ガリガリ君が好き。そういう男は少なくありません。 演奏そのものはバラードで、ちょっぴり退屈なので、詳細は省略。

 で、ラストです。「ハリウッド」。 ハリウッドって、針中野のウドン屋の2階の略かいっ!…て、昔、よしもと新喜劇にそんなネタがあったんですが、ラテン調の哀愁身を帯びたナンバーで、アルバムの最後を飾るには、ま、よかったのではないかと思います。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 中盤以降は完全に飽きましたが、ま、映画絡みの企画物としてはそれなりに立派にジャズしてたし、たまにはこういうのも悪くないかも知れませんね。 ジャケットのチェットがめっちゃイケてるので、ギャルにプレゼントして “ジャズ好き娘” に仕立て上げる素材として使うのは悪くないかも知れません。チェット、ちょっといいかも?…と思わせれば、しめたものです。


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