NEW IDEAS (PRESTIGE)

DON ELLIS (1961/5/11)

NEW IDEAS


【パーソネル】

DON ELLIS (tp) AL FRANCIS (vib) JAKI BYARD (p)
RON CARTER (b) CHARLIE PERSIP (bs)

【収録曲】

(01-03) NATURAL H. / DESPAIR TO HOPE / UH-HUH
(04-06) FOUR AND THREE / IMITATION / SOLO
(07-08) COCK AND BULL / TRAGEDY

【解説】 (2009年09月27日更新)

 浜松モザイカルチャーに行ってきました。あくまでも開会式のブルーインパルスがメインで ( ← 前回 参照 )、 モザカルはおまけのようなものなので、ほとんど何も期待していなかったんですが、意外とよかったです。めっちゃ面白いというわけではないんだけど、ぜんぜん面白くないというわけでもない。…という程度には面白かったです。 そもそも “モザイカルチャー” というのがどういう物なのか、僕たち日本人にはまったくピンとこないんですが、2人に1人ぐらいは “モザイクカルチャー” だと思っていて、局部にぼかしが入った映像?…みたいな、そんな文化を頭の中に思い描くことになってしまいます。 ま、モザイク+カルチャー=モザイカルチャーなので、あながち間違いとも言えないんですが、その実態は ここ に説明が書かれているので、そっちを読んで貰うとして。 要するに “菊人形の菊ではなくて人形でもないバージョン” なのではないかというのが僕の理解なんですが、とりあえずまあ、中に入ってみますかね?

 9時20分にブルーインパルスの展示飛行が終わり、70-300mmの望遠ズームが文字通り “無用の長物” になったので、ロープウェイの乗り場まで歩いていって、そこのコインロッカーに預けることにしました。ちなみに動物園の入口から浜名湖パルパルまでの距離は1キロ強。 路線バスだと2区間 (100円) で、便数も多いんですが、景色もいいし、健康にもいいし、重いカメラとレンズの入ったリュックを担いでいると肩甲骨も鍛えられるので、頑張って歩きましょう。そうすればきっと、後で後悔します。 ま、後悔というのは後にならないと悔いることが出来ないので、その時点では仕方が無かったんですが、とりあえずレンズを Ai Af Nikkor 24mm F2.8D に交換して身軽になったので、また歩いてフラワーパークに引き返すことにしました。 入場券を買うのに15分くらいは行列に並ばされるのではないか?…と覚悟していたんですが、さっぱりでした。正面ゲートではなく、動物園側のゲートは裏口になるという関係もあるのか、客の数よりもボランティア・スタッフのほうが遥かに多いです。 ま、先に進むにつれて、さすがに客の姿も多くなってきたんですが、おおっ、あるある♪ とってもモザイなカルチャーが、いっぱいあるぅ♪

 “浜名湖立体花博” というのが正式な名称みたいなんですが、騙されてはいけません。好評だった5年前の “浜名湖花博” とは違って、今回、 “花っ気” は極めて希薄です。 花だとすぐに枯れたり、しぼんだり、散ったりして、維持管理が大変だからなのか、モザイカルチャーは概ね、緑の葉っぱで構成されております。 “立体花博” の名前に惹かれて花の子ルンルン気分でやってきた花好きの中高年は、詐欺にあったような気分でありましょうが、ちなみに5年前の花博と今回では、会場も違っております。 前の花博会場は今のガーデンパークで、今回の立体花博会場はフラワーパーク。 紛らわしい横文字で、中高年には不評です。 フラワーパークは駅から遠く、坂も多いので中高年には辛いです。若干41歳の青少年の僕でもちょっと辛かったですからね。 パルパルまでの往復、バスに乗ればよかったと後悔してしまいましたが、モザイなカルチャーは思ったよりもよかったです。 “花っ気” がなくて華がないのがネックなんですが、まったく無いわけでもないので、構図を工夫すればそれなりになんとかなります。撮影が目的なら、けっこう楽しいかも? さほど混んでもいないですしね。 実際、一眼レフを持った中高年も多数見受けられたんですが、中には脚立を持ち歩いているヤツまでいたりして、そこまでして撮るほどのものか?…という気がしないでもないんですけど。

 今回は一応 “世界博” ということなので、世界ヒロシくんが来るのか?…と思ったら、そうではなくて、世界の人たちが作った作品を展示する博覧会。 そういう意味だったんですな。 世界広しと言えども、世界ヒロシが来ると思ってた人はそんなにいないかも知れませんが、出展者とその作品の全貌が ここ に紹介されているので、暇な人は覗いてみてください。 ま、最初の10個くらいクリックした時点で飽きて、後は 「タカポン」 とか、面白そうなヤツだけをチェックすることになろうかと思うんですけど。 …って、これ、載っているのはイメージ画だけなんですな。実物の写真だと、それだけで 「もう、いいやぁ。」 という気分になってしまって、入場者数が減少することを恐れた主催者の陰謀ですかね? そういう陰謀は、たとえ浜松市長が許したとしても、レインボーマンが許しません。 僕は別にレインボーマンではないんですが、ここで一部の作品を暴露したいと重い麻酔。 あ、義憤のあまりキーボードを打つ手が勢い余って、最後に余計な “I” を押してしまいましたが、ここで一部の作品を暴露したいと思います。


<浜松モザカル(標準レンズ編)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 (写真・いちばん上) は、飯田市南信州広域連合とが連合して、 “私たちの南信州の未来 −夢を乗せて−” という壮大なテーマで創り上げた作品であります。こういっちゃ何ですが、これはアレですな。めっちゃ単純ですな。ただのリンゴやん。…みたいな。これならそのへんの植木屋でも、枝をチョンチョンと切って簡単に作れそうなんですが、そういえばこのリンゴの向こう側にはリニア新幹線みたいな造形物もあったので、そこのところに夢を乗せているのかも知れません。 モザイがどうのこうのというより、手前の花だか葉っぱだかが綺麗だったので、とりあえず撮ってみましたぁ。…という1枚であります。 で、次。 (写真・上から2番目) は、湖西市提供の “白須賀・汐見坂” 。 2人連れのギャルに 「立体花博やのに、何でこんな平面なのを作ったん?」 と酷評されておりましたが、そうかなぁ。よく見ると微妙に立体だったりするし、ワビサビが感じられて悪くないと思うんですけどねー。この世界、若いギャルにはちょっと難しかったかなー? 実際のところ、中高年の間では 「よく出来てるねぇ。」 と、わりかし好評だったんですよね。ちなみにこれ、歌川広重の浮世絵をモザイ化したものであるようです。

 次、 (写真・真ん中) 。 これはアレですな。ロボコンですな。…と思っていたら、違いました。 “たねまる” でした。 横浜開港150周年記念事業のマスコットキャラクターだそうです。頭からは YOKOHAMA の “Y” の字に葉が伸びています。 ぼう、そうだったんですかー。タケコプターだとばかり思っておりました。 下手に気合を入れた作品よりも、こういう “やっつけ仕事” みたいなヤツのほうがギャルの人気は高かったりします。 次、 (写真・下から2枚目) 。 “木を植えた男” 、モントリオール市提供。 そういうタイトルの映画をモチーフにした作品なんだそうですが、モントリオールはモザカル運動の発祥地らしく、さすがに出来がいい。…というのが、もっぱらの評判です。 で、 (写真・いちばん下) 。 会場でいちばん人がたかっていたのがコレなんですが、“CUTEでおいしい静岡市”。 浜松市のライバル、静岡市提供です。 地元・浜松の作品はただデカいだけで、今ひとつ CUTEさに欠ける嫌いがあったんですが、こちらは日本平動物園のシンボルであるレッサーパンダたんを大々的に取り入れました。あの “風太くん” の生まれ故郷ですからね、日本平。 この角度からだとよく分かりませんが、しっぽのフサフサ具合もうまく表現されておりました。 その他、富士山、みかん、お茶、イチゴ、マグロ、桜エビと、静岡名産てんこ盛り。どれが桜エビなのか、よく分からんかったんですが、浜松VS静岡の争いは、今回に限って言えば、静岡の完勝と言えそうです。

 とまあ、以上が普通のレンズで撮った作品です。写真としては普通過ぎて、あまり面白味がありません。今回はブルーインパルスのサクラ系演目に備えて “魚眼レンズ@さばの目くん1号” も用意していたんですが、試しにそっちでも撮ってみました。


<浜松モザカル(魚眼レンズ編)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 レッサーパンダに次いで人気が高かったのが、沖縄美ら海水族館の “カクレクマノミとイソギンチャク” 。 ディズニー&ピクサーにキャラの使用料を払ったわけではないのに、誰もが勝手に 「 “ニモ” や〜。」 と決め付けておりました。 誰にも気付いて貰えなかったんですが、イソギンチャクもいたんですなー。 人気のわりに、この写真では誰もが反対側を見ているんですが、そっちのほうにあったのは、えーと、 “ジュゴンのセレナ” ですかね? 何か地味ィなヤツだったんですけどねー。 で、その下。ジャカルタ特別市提供の “ガルダ” 。 インドネシアの国章になっている伝説の鳥を、鳥撮りしてみました。魚眼レンズの縦位置で “青空に舞い立つ感” を表現してみました。まいったかー。 いや、別に誰もまいりませんかー。 で、その下は “海宝” 、中国・上海市出身。 “木を植えた男” の横にあった大作です。何かと思ったら上海エキスポのマスコットキャラなんですな。 “たねまる” ほどにも人気が出ないような気がします。

 で、 (写真・下から2番目) は、浜松市が開催都市としてのプライドを結集して創り上げた大作、 “ほほえみのハーモニー” 。 “音楽のまち” をイメージしたようなんですが、何かこう、ちょっとアレですよね。 歪んでるしー。 ま、歪んでいるのは魚眼レンズのせいなんですが、僕はやっぱりレッサーパンダとマグロのほうが好きっ♪ そういえば浜松市はもうひとつ うなぎに驚くウナギイヌ も製作している筈なんですが、どこにあったんですかね?見落としてしまいましたなぁ。 今回、メインゲートを一度も利用しなかったんですが、あるいはゲートの外で、うなぎに驚いていたのかも知れません。 ウナギイヌならレッサーパンダはともかく、少なくとも桜エビには勝てると思うので、静岡VS浜松の対決は、んーと、引き分け?…と言っていいかも知れません。 で、ラストです。 “世界の平和” です。 森下建設 提供です。地元では有名な土建屋なんすかね? 作品自体、さほど珍しいものではないんですが、高校の修学旅行で長崎に行った時、平和記念像の後姿の写真を撮ったら、何だか相撲取りみたいで、オマヌケだったなぁ。…というのを、懐かしく思い出させてくれました。オマヌケとか言ってはいけないんですけどね。世界平和は大切だしー。

 …と、最後は当たり障りのないコメントでまとめておきましたが、番外編として “お食事編” をお届けしたいと思います。 どうせならフラワーパークの中ではなく、舘山寺温泉のちゃんとした鰻屋でウナ重か、ウナ丼か、ウナギ寿司か、ウナギイヌを食べたかったところなんですが、あ、浜松市の“福”市長であるウナギイヌを勝手に食ったりしてはいけませんかー。しっぽだけなら普通のウナギなので、大丈夫のような気もするんですが、人魚も下半身だけなら普通のサカナなので、魚肉ソーセージの材料にしても特に問題はないしー。(←罰当たり。) が、結局、面倒なので会場内のフードコーナーで適当に済ませておくことにしました。 モザカルは一応 “世界博”  なので、カレーといった国際色豊かな食い物も提供されているんですが、ここはやはり、ウナギを押さえておきたいところです。ウナギを押さえて押し寿司にしたものが食いたかったんですが、残念ながらそういうのはありませんでした。 が、ユリの木フードコーナーの 「浜名湖うなぎ一番」 というお店に “名産浜松うなぎ飯” というのが売っていました。 が、めっちゃ混んでいてテーブル席に座れそうもなかったので、諦めました。 仕方なく、すみれフードコーナーのほうに移動したら、こちらはテーブル席が半分ほど空いてました。屋根が半分しかなく、直射日光モロで、めっちゃ暑いやんけ!…と、文句を言いたくなるような席なら空いていました。このコーナーに出店しているのは 「浜名湖グリーンファーム」「名古屋めし」 の2つ。名古屋から新幹線に乗ってわざわざ浜名湖までやって来たのに、 「名古屋めし」 というのは、ちょっとどうか?…という気がしたので、浜名湖系のほうにするとして。

 焼きそば、ラーメンなどの軽食のほか、鰻重という重食もあります。浜松餃子もありました。ウナギとギョーザ。どちらも捨てがたいですなー。どうせならウナギイヌみたいに、ウナギョーザにして貰えると一石二鳥なんですが、 “二兎を追うもの一兎も得ず” になる恐れもあるので、別々のほうが無難かも知れません。 鰻重+餃子というのはさすがに重過ぎる気もするので、鰻のほうはワンランク落として、 “うなわさ丼セット”(1200円) というのにしておきました。まだランチには少し早い時間で、他の人がみな、溶けないソフトクリームだとか、普通に溶けるソフトクリームとかを注文している中、うな丼などという高級品を買うのは、ちょっと恥ずかしいような、微妙に優越感に浸れるような、複雑な心境でありましたが、そんなこんなで、うな丼と浜松餃子を手に、直射日光が照りつけるテーブル席に、着席っ♪


<浜松モザカル(お食事編)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 うなわさ丼セットというのはアレです。うなわさ丼と検尿容器のセット…ではなく、紙コップの中には味噌汁が入っておりました。優越感に浸れるほど、高級感が漂うものではありませんが、肝心のお味のほうはというと、んー、まあまあ? “うなわさ” のうち、 “わさ” の部のほうは、僕が期待していたような金印わさびではなく、わさびの茎を炊き込んだもので、あまり辛くはなくて、ちょっと残念。 で、もういっぽうの “うな” の部のもうも、ま、所詮はモザカルの臨時売店だしぃ。…といった程度の品質でありました。 名産浜松うなぎ飯、もしくは名古屋めしのほうがよかったかな?…とか、後悔したりはしません。 というのも、浜松餃子のほうが絶品だったからなんですが、申し訳程度にモヤシの茹でたのが添えられているところが、とっても浜松餃子っぽくて、よかったです。餃子のほうもナガシマスパーランドの湯あみの島の売店と同じくらいのレベルには達していて、普通に美味しかったです。少なくとも、腹だけは膨れる取り合わせでありまして、とまあそんなことで、お食事編は以上です。

 …と思ったんですが、昼食後、1時間ほど園内を散策して水辺のフードガーデンの前を通ったら、 “名物うなさんらいす” という文字が飛び込んできました。 “うなさんらいす” というのはアレです。 コレ です。コイツがですね、微妙に値上げされて、600円で売られておりました。 事前の調査で、最悪の場合、ウナギ系はこれでお茶を濁そうとチェックを入れていたブツなんですが、果たしてどうしたものですかね?ぜんぜん腹は減ってないんですが、やはり押さえておくべきですかね? 買わずに後で後悔しても嫌なので、とりあえず買ってみることにしたんですが、後で食べればいいやぁ。…という僕の思いを覆すような簡易包装でありまして、即座に食べることを余儀なくされました。お味のほうは、ん〜、普通? わさびマヨネーズ味と醤油ご飯とのコンビネーションは抜群なんですが、肝心のウナギ感はかなり希薄でありました。これで600円というのは、ぼったくりではないか?…という気もするんですが、ま、こういうのは話のタネ代だと思って、諦めるしかありませんな。サカタのタネでも、買えばそれなりのお金は取られるしー。

 とまあそんなことで、話のタネに1回くらいは行ってみてもいいかも知れない、そういうイベントだったのでありました。おしまい。

 ということで、今日は丼・エリス…いや、ドン・エリスなんですが、それはそうと、金曜日、家に帰ってきたら、パソコンのインターネットがつながらなくなっておりました。素人考えに、光ファイバーの入口のところまで信号が届いていないように思えるんですが、そういえばNTT西日本から、Bフレッツファミリータイプのサービス提供終了に関するお知らせというのが来てたんですよね。平成22年9月30日をもってサービス終了って、もうすぐやん!…と思ったら、よく考えたら平成22年というのは来年なので、あと1年は大丈夫そうなんですけどね。 が、フレッツ光ネクストへ移行する工事が必要なので、10月3日に家に来ると言っておりました。 兄ちゃんが何度か家に電話を掛けてきて、パソコンの種類がどうのとか、ルーターがどうのとか、光電話がどうのとか、色んなことを質問してきて、ウザかったので、「光電話とか、別にいいですっ!今までどおりに使えれば、それでいいですっ!」 と、冷たく答えておきました。これで、この問題に関してはすべて終わったものと思っていたんですが、何日かして、また兄ちゃんが電話を掛けてきました。「光電話に関しまして、一度お宅にお邪魔して、詳しく説明をさしあげたいんですが。」 …って、いやあ、しつこい兄ちゃんですなー。 「じゃ、光電話に変えてもらって結構ですっ!わざわざ、うちに来ていただかなくても結構ですっ!」 と、冷たく答えておいたんですが、もしかして、冷たくされたことを根に持ったんですかね? あの兄ちゃんが逆恨みして、僕の家の光ファイバーケーブルをはさみで切っちゃったのが今回のトラブルの原因ではないかと思われます。仕方なくデータ通信カードを使ってノートパソコンでネットをしているんですが、速度が遅くて嫌になっちゃいますなー。著しくテンションが低下しているので、今日の後半は手抜きになるものと思われるんですが、所詮はドン・エリスだし、もうどうだっていいです。 ただ、先ほどNTT西日本に電話したら、感じのいいお姉さんが対応してくれたので、少し気分が落ち着いたんですが、現在、回線の状況を調査中とのことで、ではとりあえず 『ニュー・アイデアズ』 、いってみましょうかー。

 君はドン・エリスを知っているかな?僕はよく知りません。 よく知らないんですが、過去に一度、このコーナーで取り上げたことがあります。 ここ です。当時30歳だった僕が、まったくヤル気のないレビューを書いております。読み返してみて、自分で恥ずかしくなるような不出来さでありますが、ドン・エリスはテンポ急変ジャズで知られている人だったんですな。そんなことはすっかり忘れていました。これを書いてからもう、干支一回りに近い歳月が経過していますからなぁ。 で、今日はそんなドンくんの 『ニュー・アイデアズ』 というアルバムを紹介したいと思うんですが 『新しいアイデア』 ですか。うちの会社では今年、何でもいいから新しいアイデアを考える。…という会議を立ち上げて、僕は岐阜支店の代表として月イチのペースでそれに出席することになったんですが、今のところ新しいアイデアは何ひとつ出されておらず、過去の納入実績のリスト化やら、メンテナンスの掘り起こしやらの議題に追われております。掘り起こしと言われても、浅草の “雷おこし” に対抗して、大阪で “道頓堀おこし” でも作る?…とか、そういうアイデアしか浮かんでこないんですが、そこへいくとドン・エリスは偉いですな。この作品では、さまざまな新しいアイデアが実践されていて、とっても立派なことだと思うんですが、例えば1曲目の 「ナチュラルH」 。ここでは、とっても自然体なエッチ。そういうプレイが展開されているのではないかと期待されるんですが、ということで、では、とりあえず聞いてみましょう。

 演奏はミュート・トランペットの無伴奏ソロによるイントロで幕を開けます。 で、リズムが入って、ヴァイブとの絡みでテーマが演奏されることになるんですが、何だかちょっと小難しい旋律でありますな。これぞまさしく、新しいアイデア。…と、ちょっぴり戦慄が走ったりもするんですが、ジャキ・バイアードの変態的なピアノ・ソロを挟んで、わりとマトモなドン・エリスのソロへと続いていきます。意外とスインギーで何よりなんですが、続くアル・フランシスのヴァイブも快調に飛ばしております。そのまま鳥羽市まで行っちゃいそうな勢いなんですが、でもって、テーマに戻って、おしまい。 うなわさ丼程度には、まあまあな出来でありました。 で、次。 「デスペア・トゥ・ホープ」 。 何やら妖しい効果音のようなものを交えて、とっても前衛的なプレイが展開されております。ドンの吹くラッパそのものは物憂げなんですが、と思ったら、いきなりオモチャの笛みたいな音が聞こえたりして、とってもアバンギャルドです。早く次の曲にスキップしたい気持ちでいっぱいなんですが、人生、何事も修行ですからね。水中クンバカよりはマシだと思って、最後まで耐えてください。

 ということで3曲目です。  「アー・ハー」 。 タイトルからして、ここでようやく楽しそうな世界が期待出来そうなんですが、チャーリー・パーシップのタイコで始まる演奏はリラックス・ムードに溢れ、かなりマシな部類であると評価していいのではなかろうかと。ジャキ・バイアードのピアノ・ソロも、わりオーソドックスだしー。 ドン・エリスのトランペットも普通にハード・バップしております。 ソロ終盤のストップ・タイムに若干の新しいアイデアが盛り込まれているんですが、続くヴァイブのソロも正統派の味わいです。 とまあそんなことで、終盤、ピアノとトランペットとヴァイブの絡みがあって、そこそこ盛り上がったところで、テーマに戻って、おしまい。 4曲目、 「フォー・アンド・スリー」 。 日本語には 「四の五の言うな」 という言い回しがあるんですが、それの英語版がこれです。 「ドント・セイ・フォー・アンド・スリー」 ということになります。僕は英語が得意ではないのでカタカナになってしまいましたが、日本では 「四の五の」 なのに、英米では 「四の三の言うな」 。 文化の違いというのは面白いですねー。 ま、これは単なる僕の思いつきなので、もしかしたらぜんぜん違うのかも知れませんけどー。 で、演奏のほうはアレです。出だしはトランペットとヴァイブの絡みです。地味にベースも絡んでいるのかも知れません。テーマ・メロディは、わりと普通っぽくて、小難しさはありません。 が、演奏が進んでも、さほど盛り上がりはありません。 いや、エリスのフレージングはアドリブが進むにつれて熱くなっていくんですが、ドラムレスだと何だか、ちょっぴり地味ですな。 アル・フランシスのヴァイブ・ソロもそれなりに健闘しているとは思うんですが、これがパーカッションをバックにしたベース・ソロの部分意なると、早く次の曲にスキップしたい気持ちでいっぱいになります。 が、ほどなくテーマに戻って、演奏が終わって、何よりです。

 で、次。  「イミテーション」 。 「模造品」 ですな。あん、あん、あん、イミテーション・ゴールド♪…と、昔、山口百恵が歌っておりましたが、僕は長らく 「インヴィテーション・ゴールド」 だとばかり思っておりました。だから何だというと、別に何でもないんですが、チャーリー・パーシップのドラミングがスリリングで、そこそこスインギーな演奏に仕上がっております。 が、ジャキ・バイアードのコンピングが前衛過ぎて、個人的にはちょっと嫌です。 聞いてる途中で耐え切れなくなって、思わず次の曲にスキップしちゃいましたが、6曲目は 「ソロ」 ですか。これまた期待が持てなさそうでありますな。 アヴァンギャルドで、むやみに喧しいのと、無伴奏ソロで、ひたすら暇なの。 どっちがツライかと言うと、どっちもどっちなんですが、しみじみとしたラッパの音色が心に染みます。 ということで、7曲目。 「コック・アンド・ブル」 。知的なサウンドが展開されております。 8曲目、 「トラゲディ」 。 とってもトラ毛なサウンドが展開されております。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 新しいアイデアは、どれもこれも企画倒れだった。個人的にはそう思わずにはいられない1枚でありました。


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