UP ABOVE THE ROCK (CADET)

RAY BRYANT (1968/9)

UP ABOVE THE ROCK


【パーソネル】

RAY BRYNAT (p) RON CARTER (b) GRADY TATE (ds)
DOBBIE HIQUES (flh,tp) SNOOKIE YOUNG (flh,tp) <#1,3,4,8-10> DANNY MOORE (flh,tp) <#2,5-7>
【収録曲】

(01-03) UP ABOVE THE ROCK / DAG NAB IT / QUIZAS , QUIZAS , QUIZAS
(04-06) IF I WERE A CARPENTER / LITTLE GREEN APPLES / I SAY A LITTLE PRAYER
(07-08) AFTER HOURS / WHERE THE WIND BLOWS
(09-10) FIVE , SIX AND SEVEN / MRS. ROBINSON
【解説】 (2008年11月23日更新)

 寒くなりましたなぁ。寒くなるとオシッコが近くなります。そこで今日は “頻尿と貧乳” というテーマでお届けしたいと思うんですが、いや、貧乳はあまり関係ありませんか。個人的にはけっこう好きなんですけどね、貧乳。

 寒いとオシッコが近くなる。…というのは、誰もが実体験として経験したことがあるのではないかと思うんですが、よくよく考えてみると、ちょっと不思議ですよね。寒い時はなるだけ、温度を外に逃がしたくないと思うのが人情なんですが、オシッコをすると体から外に熱が放出されちゃうような気がします。オシッコがけっこう温かいというのは、検尿を体験したことがある人なら誰しもその指先で実感するところなんですが、採取したての検尿のコップというのは、けっこうヌクヌクだったりします。熱いというところまではいかないんですが、ちょうど人肌くらいの温度ですかね? 僕は大のネコ好きであると同時に大の猫舌だったりもするので、熱いコーヒーとかはちょっと苦手だったりするんですが、検尿だったらちょうど適温のように思われます。 そういう適当な温度を持った液体を対外に放出すれば、それだけ体が持っている熱量が低下して、余計に寒くなっちゃうような気がするんですが、事実、寒い時にオシッコをすると、ブルっと震えがくることがありますよね。 寒いとオシッコが近くなるというのは体にとっては悪循環であり、負のスパイラルに陥ってしまうような気がするんですが、果たしてどうなんでしょう?

 寒いとオシッコが近くなるというのは需給バランスという点からも矛盾があると思います。夏の間は暑くて喉が渇いて仕方が無いので、お茶とか、水とか、ジュースとか、サッポロ 「がぶ飲みコーヒー」 の500mlペットボトルとかをかぶ飲みして、さかんに水分摂取に励んだものなんですが、寒くなるとその手の物をほとんど飲まなくなりますよね。飲んだとしてもBOSS缶とか、おしるこ缶とか、コーンスープ缶とか、その手の小さな缶のヤツを1本飲む程度です。おしるこ缶をがぶ飲みするという人はあまり多く無いと思うので、寒い時期の平均的な日本人の水分摂取量は夏場の半分とか3分の1とか、そういうレベルまで低下しているに違いありません。供給量が少なくなれば、当然、出すほうのオシッコの回数も少なくなる筈なんですが、にも関わらず、寒いとオシッコが近くなると。これはもう、どう考えても納得のいく話ではありません。アレちゃうの?夏はめっちゃ汗をかくから、いくら水分をたくさん摂っても、オシッコとして出るのは少なくなるんちゃうの?…とか、物事の核心を突くようなことを言い出す人がいるかも知れませんが、それを言ってはいけません。それを言うと、その時点で今日の話は終わってしまいます。最近、このコーナーも全体的に短くまとめているとはいえ、もう少しだけ引き伸ばしたいところです。話題を変えましょう。

 オシッコの近さは気温だけでなく、トイレの近さというのも大きく関与します。トイレが近いと、トイレが近くなる。…というのが、僕が経験則から導き出した法則なんですが、この場合、前者の “トイレが近い” はトイレまでの物理的な距離、後者の “トイレが近くなる” はトイレに行く回数、すなわち、オシッコの頻度を意味します。 自分の家とか、会社とか、学校とか、その気になればいつでも好きな時にトイレに行ける環境にあると、遭えてオシッコを我慢する必要もなくなるので、自然とその回数は多くなると。学校の場合は授業という枠組みがあるので、完全にフリーというわけにはいかないんですが、便所でフリチンになって、そのまま教室に戻ったりすると先生に叱られることになるしー。 ま、オシッコするのにいちいちフリチンになる生徒はそう多くはないと思うんですが、一方、そうそう簡単にオシッコ出来ないという環境も世の中にはあるわけです。 例えば僕は仕事柄、昼間は水道の浄水場とか、排水機場とか、そういうところで働いていることが多いんですが、そういうところにはトイレがなかったりする事が、わりとよくあります。 ま、オトコの場合、そのへんで立ちションすればいいので、たとえトイレが無かったとしてもさほど大きな問題ではないんですが、住宅街のど真ん中だったり、広い道路に面していたり、その上、身を隠すに相応しい茂みがまったくなかったりする場合、露出癖がある人を除けば、そう易々と立ちションするというわけにも行きません。誰にも見られていないと思って安心してたら、立ちション姿をばっちり監視カメラで撮られていて、その現場に出入り禁止になったという話もたまに聞きますしね。 そういう、物理的や社会的に “トイレが遠い” という状況におかれば場合、人間というのはわりと長時間、オシッコを我慢することが出来たりします。 ここはオシッコ出来ない環境だから、そういうことをしちゃ駄目だよ。…と、理論立てて丁寧に言い聞かせてやれば、わりと分かってくれるヤツだったりするんですよね、泌尿器って。

 物理的なトイレの遠さと寒さによる頻尿化とでは、どちらが強いのかというと、ちょっと意外に思えるかも知れませんが、物理的な遠さのほうが勝ったりします。たとえばスキー場がそういうシチュエーションに相当するんですが、下界に比べて寒さの度合いが半端ではないスキー場にいても、あまりオシッコが近くなったりしません。むしろ、普段より遠くなる傾向にあるんですが、朝、着替える前にトイレに行っておけば、前の日に悪いものを食べてめっちゃ下痢しているような場合を除けば、昼過ぎくらいまでトイレに行かなくても平気だったりします。スキー場というのはそうそうたくさんトイレがあるわけではないし、ウエアの下に股引とかを穿いていて、オシッコするのがけっこう面倒だったりするので、その分、我慢が効くんですよね。あるいはコケた時にちょっぴり尿漏れしたりして、知らず知らず適度に排出しているという面もあるのかも知れませんが、あんなに寒いスキー場でもそんなにオシッコしたくないというのに、まだ11月だというのに、しかも家の中にいるというのに、どうしてこんなに頻尿になるんや?…と、今朝、5時過ぎにオシッコがしたくて目が覚めて、それから約1時間後、またしてもめっちゃオシッコがしたくてなって、トイレに行ったらまたオシッコがいっぱい出て、自分に体がちょっと心配になったりしたんですが、どうして寒いとオシッコが近くなるのか? その疑問がついに明かされる時がやってきました。ここまでかなり引っ張ったので、そろそろ種明かしをしたいと思います。

おしえて508 投稿者BASSANさん
  寒い日にトイレが近いのは何故でしょう?そりゃ汗をかかないからだろうって言われそうですが暑い日に比べて水分取る量は少ないはずですし。不思議なんですね。

 “寒いとトイレが近くなる” で検索したら、一発で出ました。やっぱりBASSANさんも、同じようなことを不思議に思っていたんですな。それに対する回答のほうはというと、えーと、どれどれ。冬はあまり汗をかかないから、オシッコが増える。そっかぁ。そういうことだったのかぁ♪それはぜんぜん気が付きませんでした。意外な新事実ですね。いやあ、とっても勉強になりました♪ スキーの場合、周囲の環境が寒くても、運動してけっこう汗をかいたりするので、それでオシッコの回数が減るということになるんですかね? ただ、寒くて頻尿になる原因はそれだけではありませんでした。学研サイエンスキッズの ここ に詳しく書かれているんですが、寒くて膀胱が縮こまるというのも影響するんだそうです。疑問、解決♪ あ、でもまだ “オシッコをすると体の熱が奪われる問題” のほうが未解決のままですか。 あ、でも、寒いとオシッコしたくなる → オシッコする → 体の熱を奪われて寒くなる → ますますオシッコしたくなる。…というので、辻褄はあってますか。オシッコで体の熱を奪われると言っても、汗をかいて気化熱で体温を奪われるよりはマシなのかも知れず、そもそも人間というのは寒いところで生きていくにはあまり適していない生き物なのかも知れませんね。

 気温の低下のほかにもうひとつ、頻尿の原因として、緊張というのがあげられると思います。緊張するとオシッコがしたくなり、浣腸するとウンコがしたくなる。……というのは、僕が経験則から導き出した法則なんですが、緊張すると筋肉が硬くなって、膀胱が縮こまってオシッコがしたくなるんですかね? いずれにしろ、頻尿というのは困りものであるんですが、朝、桑名から岐阜市までの1時間強の通勤時間を持ちこたえられなかったりしますからね。 ま、それは僕の場合、冬場に限ったことではないんですが、途中、羽島の浄化センターに寄って、こっそりトイレを借りることもしばしば。勝手に敷地内に入ったりして、ちょっと申し訳ない気もするんですが、一応、浄水公園として一般にも開放されているみたいだし、浄化センターだから出したモノは即時に処理してくれそうな気もするしー。 名神の岐阜羽島インターから2キロほど南の地点にあるので、いざという場合にはみんなも活用して下さいね。僕だけ怒られるのも嫌だしー。

 今、ここでオシッコしたくなるとヤバいな。…とか思っていると、余計にしたくなっちゃう事がよくありますよね。余計な緊張がよくないのではないかと思うんですが、オシッコの回数を減らすには、あまりオシッコのことを考えないようにするのが一番だと思います。スキー場であまりトイレに行きたくならないのは、オシッコのことなど忘れて、夢中になって滑っているのもあるかも知れませんね。 さ、頻尿に悩んでいるみんな、今日の話は最初から無かったことにして、ぱーっと楽しい音楽でも聴こうではありませんかー♪

 ということで、今日はレイ・ブライアントです。リーダー作が多そうで、意外とあまり無かったりするブライアントなんですが、よくよく調べてみると素性の知れないアルバムが結構あったりします。今日はそんな中からカデット盤の 『アップ・アバーヴ・ザ・ロック』 という1枚を紹介したいと思うんですが、“CADET”。 日本語ライナーにはキャデットと書かれているので、あるいはそういう発音が正解なのかも知れませんが、このレーベルのブライアントの作品は正直、かなりベタなのが多かったりします。コマーシャルというか、大衆ウケを狙ったというか、そういう作風のものが目立つんですが、例えば、以前このコーナーで紹介した 『GOTTA TRAVEL ON』『SLOW FREIGHT』 なんかがそうなんですが、あ、 『ゴッタ・トラベル・オン』 のほうは自分で書いたレビューを読み返してみたら、わりと高く評価されていますな。 『スロー・フレイト』 のほうは駄目っぽいんですが、果たして今回はどっちに転ぶでしょうね? 僕の予感ではどうも、ジャケットのセンスからしてハズレっぽい気がしないでもないんですけど。

 ということで1曲目です。アルバムのタイトルにもなっている 「アップ・アバーヴ・ザ・ロック」 。 ブライアントのオリジナルなんですが、 「岩石の上に上がります」 という題名からも分かるように、ジャズ・ロック調のナンバーだったりします。 いや、日本語のタイトルからはジャズ・ロックだと分からない気もするんですが、ロックをわざわざ岩石と訳しちゃうから駄目なんですね。 ベタな8ビートに乗せて展開するテーマ部では手拍子なども聞かれたりして、かなりイタいムードが漂っています。 でもって、とどめは 「ヘイ!」 でありますか。そういう掛け声が入るんですよね。 ブライアントがトリオで1コーラスのテーマを弾くのに続いて、今度はバックに2本のトランペットが加わって、もう一度テーマを繰り返し。これがですね、何だかちょっぴりカッコよかったりします。ちょっぴりジャジーな映画音楽って感じぃ? が、それも3回目となってくると、いくらアレンジに変化が加えられているとは言え、ちょっとやり過ぎというムードが漂ってきて、でもって、結局はアドリブらしいアドリブも出てこないまま、おしまい。 いや、これはもしかして、嫌な予感が的中しちゃったとか?

 気を取り直して、2曲目。エバンスとブライアントという人が作ったらしい 「ダグ・ナブ・イット」 。 アルペジオのようなフレーズをブライアントが弾き、ホーンが短いテーマを吹く。その後は、ブライアントがブルース・コードにのっとって、力強いタッチのソロを取る。1曲目は小手調べといった感じだったが、この演奏では本領を発揮して、ご機嫌なコード・ワークと溌剌としたタッチが楽しめる。…と、日本語ライナーで小川隆夫クンが書いているので、かなり期待が持てるんですが、ところでアルペジオって何ですかね? ヨン様?…って、それはぺ・ヨンジュンですか。 “ぺ” しか合ってませんね。調べてみたらアルペジオというのは和音を構成する音を一音ずつ低いものから(または、高いものから)順番に弾いてゆくことで、リズム感や深みを演出する演奏方法。…との事だったんですが、あ、実際の演奏を聴いてみると何となく分かったような気がしますな。ブギウギっぽい感じとでも言うんですかね? そういったピアノのイントロに続いて2本のトランペットがソロを演奏して、以下、ピアノ・トリオによってノリのいいアドリブ・ソロが展開されることになります。なるほど、今度は幾分ジャズらしくなっておりますな。ドビー・ヒックスだか、ダニー・ムーアだか、どちらか分からない人のトランペット・ソロもフィーチャーされたりして、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 いや、2曲目でちょっと盛り返しましたな。

 3曲目、 「キサス・キサス・キサス」 。 「好きさ好きさ好きさ好きさ好きさ」 という歌もあって、ちょっと紛らわしいんですが、 “好きさ” 5回のほうではなく、 “キサス” 3回のほうです。 「好きさ×5」 のほうは誰が歌ってたんでしたっけ?杉本哲太? 調べてみたら半分正解だったんですが、哲太がボーカルを務める紅麗威甦 (ぐりーす) というバンドの歌でありました。横浜銀蝿の弟分ですな。 と、昭和の人にしか分からない話題になってしまいましたが、キサスのほうはアレです。ラテンです。 が、ここでのブライアントはラテンというよりジャズ・ロック風に8ビートで料理しておりまして、なかなかソウルな仕上がりでありますな、こりゃ。 ホーン抜きなのでピアノのソロを、ま、そこそこは堪能することが出来ます。 ということで、次です。 「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」 。 もし私が大工なら、大工の源さんになれるのにぃ。…とか、そういう内容の歌ではないかと思うんですが、どこかで聴いたことがある曲ですな。当時、世間で流行っていたポップ・チューンか何かなんでしょう。2本のフリューゲルホーンとピアノとの掛け合いでテーマが演奏され、アドリブらしいアドリブは無くて、でもって、おしまい。 ま、分かりやすくて親しみやすいという点では初心者にも安心なんですが、これではちょっと、ジャズとは呼べません。

 5曲目、 「リトル・グリーン・アップルズ」 。  「小さな緑りんご」 ですか。 “緑りんご” というのはちょっと言いにくいので、 「小さなみどりんご♪」 としたほうが、よりプリティな感じがして、個人的にはいいと思います。ゴレンジャーの構成員も緑色だけは “みどりレンジャー” ではなくて “みどレンジャー” でしたしね。 というか、 「小さな青りんご」 と訳せば、それで済むのではないかという気もするんですが、黒人カントリー・シンガーの O.C.スミスが飛ばしたヒット曲で、哀愁を湛えたメロディが多くのファンに愛された。…と日本語ライナーに書いてあるので、ちょっと期待が持てそうですね。日本人は好きですからね、哀愁。 哀愁と異臭と愛妾だったら、愛妾がいちばんいいよな?…という気がするんですが、少なくとも異臭よりは哀愁のほうがいいと思います。臭そうですもんね、異臭。 で、聴いてみたら確かに哀愁を帯びた、なかなかいい感じのメロディだったりしたんですが、ピアノの無伴奏ソロでバラードっぽく始まって、そこに2本のブラスが絡んで、次第にテンポが速くなってくるというアレンジ手法も見事です。あまりにもポップ過ぎるという意見もあろうかとは思いますが、一応はブライアントのアドリブらしき物も用意されているし、ま、たまにはこういう軽い軽石みたいなジャズのもいいんじゃないっすかね? もし軽石が重かったりしたら、踵 (かかと) をこするのもちょっと大変だったりするしー。

 ということで、次です。 「アイ・セイ・ア・リトル・プレイヤー」 。 これまたベタなくらいにポップな曲が続くんですが、日本では 「小さな願い」 という邦題で知られているバカラック・ナンバーです。 ここでのブライアントはアレサ・フランクリンのバージョンを踏襲しているようですが、あ、“踏襲” という漢字は “ふしゅう” ではなく、 “とうしゅう” と読むみたいです。 “ふみしゅう” ならともかく、 “ふしゅう” というのはちょっと無理があるよな。…と、麻生クンが思わなかったのがちょっと不思議なんですが、ま、僕も “付け焼刃” をことを38歳くらいになるまでずっと “付け刃焼き” だと思ってたりしたので、あまり人の事は言えないんですけど。 で、僕はこの 「小さな願い」 という曲が好きなので、ブライアントのバージョンにも大きな期待を寄せていたんですが、うーん、もうちょっとですかね? ブラス抜きの演奏なので、ちょっと物足りない感じがするんですが、こういう曲こそブラスを入れたほうがカッコいいと思うんですけど。 まずはストレートにメロディが奏でられる。そして、そのままファンキー・タッチのソロへと入っていくかと思いきや、ソロらしいソロはほとんど登場しないで、都合3回テーマ・メロディが弾かれて幕を閉じる。…と、小川隆夫クンもちょっぴり肩透かしをくらった感じのレビューを書いておりますが、果たして、こんな調子でいいんでしょうか?

 …と、このアルバムのコンセプトに疑問を持ち始めた人も少なくないと思うんですが、でも大丈夫。 7曲目、 「アフター・アワーズ」 。 ここに来てようやく、いかにもブライアントらしいブルージーなピアノを堪能することが出来るんですが、オーソドックスなトリオ編成で、リズムもしっかり4ビート。やはりジャズはこうでなくてはいけません。この曲に関して言えば、余計な管楽器を入れなかったのは大正解なんですが、…とか思っていたら、終盤になって2本のトランペットが絡んで来ることになるんですが、ま、これはこれで悪くない演出ではあるんですけど。 ということで、次。 ブライアントのオリジナルで、 「ホエア・ザ・ウインド・ブロウズ」 。 本作中もっともジャジーなサウンドを持ったトラックだ。…とあるので、大いに期待をしたんですが、出だしはバラード調の無伴奏ソロ。 そこにフリューゲルが2本絡んでテーマが演奏されて、以下、ブライアントのピアノ・ソロがフィーチャーされることになります。 ジャジーというには幾分、お洒落過ぎるような気もするんですが、ここまでスカスカのビートを刻むことが多かったグラディ・テイトが、ここではタイトなブラッシュ・ワークを聞かせてくれております。 ということで、9曲目。 「ファイブ・シックス・アンド・セブン」 。  「5、6、そして7」 というタイトルからは複雑な変拍子ジャズの気配が漂ってくるんですが、ぼーっと聴いている限りでは、普通にポップな感じの曲でした。ソロは4ビートで演奏される。…と書かれておりますが、僕にはそっちのパートのほうが複雑なビートに思えてしまいました。 ま、いずれにしろ、ブライアントのソロがわりと長めにフィーチャーされているので、それなりに充実感はあります。

 ということで、10曲目。アルバムの最後を飾るのはサイモン&ガーファンクルの 「ミセス・ロビンソン」 。 ブラス・セクションの参加がなかなか効果的です。いいですよね、サイモン&ガーファンクル。 昔、VOWに “サイモンガー&ファンクル” という誤植が載っておりましたが、ただ、ここでの 「ロビンソン夫人」 は基本的にテーマの反復に終始しておりまして、そういうところがちょっとどうか?…という気がするんですが、とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 初めてこの演奏を聴いた時、ハズした。…と、激しく後悔してしまったんですが、何度か聴き直しているうち、次第に、こういうのもアリかも?…という気分になって来ました。 2本のトランペット、もしくはフリューゲルの使い方も絶妙で、ロックビートに乗ってピアノを弾くブライアントというのも、何だかちょっとカッコいいです。…とか思っていたんですが、今回、レビューに際してもう一度聴いてみたところ、やっぱりちょっとアレでした。いくらなんでもアドリブ・パートが少な過ぎぃ。 ま、BGMとして軽く聞き流す分には、これはこれでいいと思うんですが、それ以外にアレを期待すると、ちょっとナニかも知れません。


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