ILLUMINATION! (IMPULSE)

ELVIN JONES & JIMMY GARRISON (1963/8/8)

ILLUMINATION!


【パーソネル】

SONNY SIMMONS (as,eng-horn) CHARLES DAVIS (bs) PRINCE RASHA (cl,fl)
McCOY TYNER (p) JIMMY GARRISON (b) ELVIN JONES (ds)

【収録曲】

NUTTIN' OUT JONES / ORIENTAL FLOWER / HALF AND HALF
ABOURIGINE DANCE IN SCOTLAND / GETTIN' ON WAY / JUST US BLUES

【解説】 (2007年07月15日更新)

 カカクコム というサイトがありますよね。ネット通販でカメラやパソコン、家電製品なんかを買う場合、値段のいちばん安いところや在庫の有無が一目で分かってとっても重宝なんですが、 クチコミ・レビュー の掲示板のほうも、なかなか充実しております。僕はもっぱらデジタル一眼レフカメラと交換レンズのあたりをチェックしているんですが、ただこの手の掲示板の場合、一部の常連が場を仕切っていたりするのがちょっと不愉快なんですけどね。 常連というのはどんな機種のところにも登場していて、したり顔で、とてもためになる薀蓄を傾けてくれるわけなんですが、何でもいいけど “したり顔” と “ニタリ貝” というのは、ちょっとだけ語呂が似ていますな。ニタリ貝は煮たりして食べるとけっこう美味しいそうですが、ま、その話はとりあえず置いといて、ここの掲示板はけっこうレベルが高くて、ちょっと素人くさい質問でもしようものなら、たちまち常連から馬鹿にされそうな雰囲気があるので、あまりにも初歩的な質問の場合は教えて!goo あたりで聞いてみたほうがいいかも知れません。そのほうが、傷付く度合いが多少なりとも軽減されるのではないかと思うんですが、そもそも僕がこのサイトのことを知ったのは “塩サバ通信” のアクセス解析の結果からだったんですけどね。 調べてみると、わりとコンスタントに この回答 のところからウチに飛んでくる人がいたりするんですよね。我ながら実にどうでもいいネタやな。…と思わずにはいられないページをわざわざ紹介してもらって、恐縮至極でありますが、あと、南京錠の名前の由来に関する質問で、参考URLとして、 このページ のリンクが貼られていたこともありました。 軟禁に使う錠だから 「なんきん錠」 だじょー。 などという、口から出まかせもいいところの愚説を真に受ける人がいるとは思いませんでしたが、いやあ、めったな事は書けませんな。 ちなみに、うちのサイトに書いてある事は、おおむね八割くらいがウソであると思って貰って差支えないんですが、ま、 「盗人にも三分の理」 という諺もあるくらいなので、僕の成績は盗人よりもちょっと劣っている程度であると評価出来ようかと思っているんですけど。

 ということで今日は、 “教えて!goo” に寄せられた回答の信憑性について検討してみたいと思うんですが、ただ、その回答が本当に適切なのかどうか判定するには、こちらにもある程度の知識が必要になってくるので、質問のジャンルを得意な分野に絞ってみたいと思います。カメラとかレンズに関しては、まだちょっと自信が無かったりするので、例えばえーと、 “パンツ” とかはどうでしょうね? 果たして、パンツに関する質問がどれほどあるのかと思ったら、何と約 13,166件もヒットしたのでちょっとビビりましたが、総質問数が 2,792,296件 (2007年07月13日10:56分現在) ということなので、パンツ含有率は 0.47%ということになって、計算してみたらぜんぜん大した数字ではなかったんですけど。 で、ざっと見て、ちょっと気になったのが、「女性は、男性のパンツが見えそうだと興奮するとか、ありますか???」 という高1男子からの素朴な質問なんですが、何でもこの高1男子は中学のとき、女子のパンツが見えそうなので、興奮しながらしばらく目をこらしていたら見えた。…ということが何度かあったそうなんですが、ちょっと羨ましいぞ、高1男子っ! 僕も女子のパンツが見えそうだと興奮したりするんですが、しばらく目をこらしていても、めったに見えることはありませんからね。 「思う一念岩をも通す」 という諺がありますが、僕の一念は高1男子よりも劣っていたのか?…と、ちょっぴり反省したりもしたんですが、この基本的にどうでもよさそうな質問には12件もの回答が寄せられておりました。 ちなみに僕の予想では、コーフンしないという意見が80%を超えるのではないかと思うんですが、かく言う僕もオッサンのパンチラを見たところでまったくコーフンなんかしないし、むしろ不愉快だったりしますからね。 基本的に可愛いものが好きな女子にしてみれば、それは尚更でありましょう。

 で、気になる回答を見てみたところ、やはり、「男性のパンツが見えそうでも見えても、別に何とも思いません。」 という高1女子や、「どうでもいいです。」という中2女子の醒めた意見に代表されるように、コーフンしないという意見が大半を占めておりました。 ただ、「私は興奮します。主人のパンツ姿をみてもっこリしているのをみたら “むふふ” と嬉しくなります。」 という人妻の意見もあったので、多感な思春期にはパンツに対する嫌悪感が強いものの、ある境界線を越えると急にエロくなるのではないか?…という仮説が成り立つような気もするんですけど。 その境界線というのは、どうやら26歳くらいのところにありそうなんですが、先生っ! 僕、今日から女子中学生や女子高生にパンツを見せるのはやめるよっ! 見せるんだったら人妻にするよっ!…と、これから生きていく上での指針が明確になって、実に有意義な回答であったと思います。 あとはえーと、「おふくろはパンツを履き替えてないからと、パンツの罰金100円を取ります。 (中略) 僕は、パンツ履き替えないぐらいで100円取るなんて…と思い、けっこう迷惑しています。主婦の方、この話をどう思いますか?」 という27歳男子からの質問がありましたが、どうもこうもあるかいっ!さっさとパンツ履き替えろって! (3件の回答中、3件が同意見。)  ということで、次に行きましょう。続いてはえーと、“ジャズ” に関する質問にいってみましょうかね? このコーナーはジャズのCDレビューが主目的なのであって、別にパンツについて熱く語る場ではないので当然の流れだと思うんですが、こちらの質問総数は約 5,662件中となっていて、市場規模としてはパンツの半分以下みたいなんですけど。これはあまり期待が持てませんかねー?

 まずはこの質問から。「たとえば、妖怪人間ベムのテーマ曲のように 日本語で歌われるジャズ、テレビなどでよく流れているジャズなど、ジャズになじみのない人でも誰でも知っているような、よく知られたジャズ曲があれば教えてください。」 えー、 「妖怪人間ベムのテーマ曲」 って、ジャズやったん?…というのが新鮮な驚きだったんですが、調べてみたらえーと、作詞:第一動画、作曲:田中正史、歌:ハニーナイツとなっておりますな。 田中正史クンはほかにも 「サスケ」「黄金バット」 のテーマ曲も手がけているようで、ジャジーなアニソンの草分け的な存在のようですが、一方、ハニーナイツというのはコマソン、アニソン、特撮物の主題歌で活躍したオッサン4人組のコーラス・グループのようです。特撮で言うと 「ウルトラマンエース」「ミラーマンの唄」 あたりが代表作と言えそうですが、テレビ番組以外では 「オー・チンチン」 という小ヒットをとばしたりもしております。あなどれません。 で、この質問に対する回答のほうはというと、アニソンつながりということで、 「ルパン三世のテーマ」 というのが良回答であると言えるでしょうか? あと、 「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」 というのも適切なところではないかと思うんですが、その他、コマーシャルで使われていた 「テイク・ファイブ」 や、 「イン・ザ・ムード」 「茶色の小瓶」 といった名前が挙げられておりました。なるほど、確かにスイング系の曲と言うのは一般人にも馴染みがあるかも知れませんね。 ちなみに僕が入院中に尿器として使っていたのは 「茶色の小瓶」 ではなくて 「透明な尿瓶(しびん)」 だったんですが、やはり茶色では血尿とかを見落とす恐れがあるので、透明なものを使うんでしょうな。 ということで、次の質問です。 わりとよくあるのが、「ジャズ初心者です。ジャズを聴きたいのですが、何から聴いて良いのかわかりません。」 といった根源的なものなんですが、これは回答者のセンスが大いに試されるところですよね。 変なアルバムを紹介したりすると、確実にジャズ不信に陥る恐れがあるので責任は重大なんですが、とりあえずスタンダードのオムニバスを薦めている “hibikorekoujitu” クンは、なかなか賢明だと思います。どんな人なのかと思ったら “一般人” のようなんですが、さすが “自信あり” と言い切っているだけのことはありますな。

 一方、「ジャズのアルバムにおいて、世界で一番有名なアルバムです。」 と断言して、マイルスの 「カインド・オブ・ブルー」 を薦めるというのはどうか?…という気がするんですが、いきなりモードというのは、どうもなぁ。…という気がするんですけどね。 マイルスなら 「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」「クッキン」 あたりのほうが無難ではないですかね? まだ 「ビッチェズ・ブリュー」 とか言わないだけ罪は軽いと言えるかも知れませんけど。 あと、 「ジョージ・シアリング・ファースト・エディション」 なんてのもかなり問題のある回答でありまして、僕も聴いたことがないようなものを初心者に薦めるなっ!…と思わずにはいられません。 で、この回答者はそれ以外にヨーロピアンジャズトリオの 「哀愁のヨーロッパ」 を推薦していたりもして、何とも意図が掴めませんな。ギャル猫に惑わされて、ころんじゃったんですかね? ( ← ここ を参照。)  で、あとはえーと、特に面白そうなネタもなくて、この企画はやっぱり失敗やったな。…ということが明らかになったんですが、仕方がないのでテーマを変えましょう。 “サバ” 。 サバに関する質問と言えば、美味しいサバ寿司はどこに行けば食べられますか?…というのと、どうしてサバを食べると蕁麻疹が出るんですか?…という、2つくらいのパターンしか思いつかなかったりするんですが、ま、駄目モトでちょっと試してみましょうかね?

 「先日、めでたく天サバに到達し、19回サバがきました。実はその後なんですが…(後略)。」 パチンコ・スロットねたは、まったく分かりません。 で、続いては 「緊急です!!サバの味噌煮が苦い!」 というタイトルの質問です。 どうしてそんなに緊急なのかと思ったら、タイトルのとおり彼氏のためにサバの味噌煮を作ったのですが料理本通に作ったのになぜか苦いのです。 (中略) どうしたらいいかわかりません。もうぐ彼が帰ってくるので困ってます。どなたかアドバイスお願いします。…という、かなり切迫した状況にあるようなんですが、ま、詳しい経緯はわざわざ引用するのもアホらしいので、 ここ を見て貰うとして。 ちなみに回答は新しいものがいちばん上にくるようになっているので、下のほうから読んだほうが辻褄が合うのではないかと思います。 それはそうと、このギャルはサバとチクワを一緒に煮たんですかね? あまり聞いたことのない調理法だと思ったら、どうやらチクワとコンニャクを間違えて書き込みしちゃったみたいなんですが、恐らくこのギャルは 「ああん、もうすぐ彼が帰ってくるのに、サバの味噌煮が苦いのぉ。。。」  というので、かなりパニック状態に陥っていたんでしょうな。 で、結局のところ何がどうだったのか、今ひとつ要領を得ないものがあったりするんですが、そんなに悩まず、 「サバの味噌煮を作ったんだけど、ちょっと苦くなっちゃったぁ。てへっ♪」…と照れ笑いでもしておけば、それで済む問題のような気もするんですけど。  「サバの味噌煮が苦いやないけ!!」…とワメいて、ちゃぶ台をひっくり返すようなバイオレンスな彼氏なんでしょうか? そんな彼とは、さっさと別れちゃったほうが賢明ではないかと思うんですが、いずれにせよ、料理系ではサバの味噌煮に関する質問が圧倒的に多くて、塩サバやシメサバはあまり人気がありませんでした。蕁麻疹に関する質問もいくつかありましたが、さほど数は多くなくて、むしろコンサバ系のファッションに関するものや、彼の嘘、年齢を10歳サバ読み?!…といった悩み相談が多く見受けられるという結果になりました。

  ということで、最後は “骨折” です。 僕のジャンルに関して、半年ほど前まではまったく興味がなかったんですが、今なら何とか回答の良否を判断出来るのではないかと思うんですよね。 で、まずはこの質問から。 「骨折がしたコトがある方に質問です。あ〜、骨折して良かった!…なんて思ったことありますか?」 さば君からの回答。 ねえよ!! 続いての質問。 「普通、足を骨折してたら歩けるものでしょうか?」 さば君からの回答。 歩けねえよ!! 明確な答えが得られたところで、今日のところはおしまい。

 ということで、今日はエルビン・ジョーンズなんですが、彼に関して何か質問事項はありますか?…と思って “エルビン” で調べてみたところ、さほど面白いネタもなかったので、今度は “ビンビン” に変えてみたんですが、ほうほう、なるほどぉ。…と思わず読み耽ってしまって、無駄に時間を費やしてしまいました。カレイの船釣りというのは、錘から伝わる振動がビンビンと手元にくるものだったんですな。とっても参考になりました。 いや、カレイを釣る気はあまりないので、基本的にはどうでもいい情報なんですけど。 ということで、話をエルビンに戻しますが、エルビンと言えばコルトレーンだよね。…というのが世間一般での認識だったりしますよね。 トレーン、マッコイ、ジミー・ギャリソン、エルビン・ジョーンズの4人組は、ジャズ史上で最も強力なカルテットであると言っていいかも知れませんが、少なくとも、玉川カルテットよりは強力なような気がします。何でもいいけど、 玉川カルテットのオフィシャルHP のメンバー紹介のところに、印刷用ページへのリンクがあるんですが、こんなもの印刷して、いったい何に使うんでしょうね? ま、せっかくなのでとりあえず印刷してみたんですが、特に使い道がなくてちょっと困っているんですけど。 とまあそんなことで、今日は 『イルミネーション!』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、これはエルビン・ジョーンズ&ジミー・ギャリソンの双頭コンボの作品という体裁が取られております。 おかげでジャケットには2人の顔写真が使われていて、しかもそれが4コマもあったりするんですが、ジャケットを手書きしている人の立場というのをまったく考慮に入れてない、非常によろしくないデザインと言っていいでしょう。 ま、どうせこのサイズの顔の大きさなら、頑張っても似せようがないので、ある意味では気楽だったりするんですが、2人の仲むつまじいホモ達ぶりが伝わってくるという点では、なかなか秀逸だったりするんですけどね。 で、このアルバムにはもうひとり、黄金カルテットの一翼を担ったマッコイ・タイナーも参加しておりまして、じゃ、御大の代わりには誰を持ってきたのかというと、こちらのほうは実にバラエティに富んでおります。 バリトン・サックスを吹くチャールス・デイビスに、将来を嘱望された期待の若手2人組であるヤングなペアのソニー・シモンズプリンス・ラシャ。 このうち、プリンス・ラシャのほうはジャズ界のプリンスと目されて、一方のソニー・シモンズは子門真人の後継者として活躍が期待され、2人揃って こんなアルバム を作ったりもしたんですが、結局のところ、鳴かず飛ばずで終わってしまった感が無いわけではありません。 でもまあ、この作品が吹き込まれた頃はまだ、それなりに期待されていたわけでありまして、では早速、そんな彼らの初々しい演奏に耳を傾けてみようではありませんか。

 …とか思っていたら、実はラシャくんもシモンズくんもマッコイより年上であることが判明してしまったんですが、録音当時、マッコイが24歳であるのに対して、シモンズくんが30歳、ラシャくんは33歳ですかね? ちっとも若手ちゃうやん!…という年齢であることが判明してしまったんですが、ちなみにチャールス・デイビスはシモンズと同い年なんですね。ジミー・ギャリソンがその1つ下の32歳で、エルビンが最長老で35歳ということになるようですが、いや、顔が恐いのでちょっと年齢不詳だったりするんですが、意外と若かったんですなぁ、マッコイ・タイナー。 とまあそんなことで1曲目の 「ナッティン・アウト・ジョーンズ」 なんですが、これはプリンス・ラシャのオリジナルでありますな。 思ったほど若くはなかった彼がいったいどんな曲を書いたのか、ちょっと興味を覚えるところなんですが、ちょっぴりアバンギャルドではあるものの、根はシンプルなリフ・ブルースであると言ってもよさそうな仕上がりだったりします。 3管編成なのでテーマ部のハモり具合はそれなりにカラフルだったりするんですが、曲そのものはAA形式のシンプルなものとなっておりまして、で、ソロ先発は、えーとこれは、プリンス・ラシャのクラリネットなんすかね? この手の前衛風の作品でクラが使われるというのはやや異質な感じですが、得体の知れない民族楽器風の味わいがあって、なかなか面白いと思います。かなりイッちゃってるソロなので、この手のサウンドに免疫がない人だと蕁麻疹が出ちゃいそうなんですが、いやあ、60年代ですな、こりゃ。 続くマッコイのソロがえらく普通に聴こえたりするんですが、…とか思っていたら、ソロと呼べるほどの長さのものではなくて、すぐにテーマに戻って、演奏が終わってしまったんですが、ということで、1曲目は以上です。

 このアルバムの前途に暗雲が立ち込めてきた思いでいっぱいでありますが、気を取り直して2曲目にいってみあしょう。続いてはえーと、恐い顔にも関わらず意外とヤングだったマッコイのオリジナルで、 「オリエンタル・フラワー」 という曲なんですが、 「東洋の花」 でありますか。東洋の花というと僕の場合、セイヨウタンポポなんかを連想したりするんですが、いや、それってめっちゃ西洋なんちゃう?…という気がしないでもないんですけど。 で、マッコイの考える “東洋の花” というのが一体どんなイメージなのか、ちょっと興味があるところなんですが、まさかシメジみたいな茸をイメージしているわけではないと思うんですけどね。 で、演奏が始まって、彼はどうやら重厚で重々しくて厚ぼったい花を脳裏に描いているらしいということが判明したんですが、バリサクをはじめとする3管によるテーマ部が何とも重厚で重々しくて、厚ぼったい感じだったりするんですよね。花で言うと “藪椿” といったところでしょうか? が、ピアノのソロが始まるとムードは一転、風に揺られるヒナゲシの花♪…みたいになったりして、いや、そこまで軽やかではありませんか。そもそのヒナゲシなんてのは、思いきりヨーロッパ原産の植物ですしね。 ここはやはり東洋らしく、トルコキキョウあたりをイメージしたほうがいいかも知れませんが、ま、この花も実際のところはトルコとは何の関係もなくて、原産地はアメリカのテキサス州だったりするみたいなんですけど。 で、この演奏ではマッコイもさることながら、エルヴィンのドラミングにも着目したいところなんですが、これぞ、究極のブラッシュワークだねっ♪…と言いたくなるような繊細なプレイを展開しておりまして、ただアホみたいにポリリズムを叩くだけが能のドラマーでは無いということを、改めて認識させられた思いであります。 ということで、テーマに戻って、おしまい。 このアルバム、ホーン奏者がたくさん入っているんだけど、どうやらアドリブ・パートは作曲者だけに任せるという方針であるようで、ま、それならそれで、別にいいんですけど。

 ということで、3曲目です。チャールス・デイビスの 「ハーフ・アンド・ハーフ」 です。これはアレですな。宅配ピザを頼む場合の定番ですよね。デカいピザ、まるまる1個が同じ味だとちょっと飽きちゃうので、ハーフ・アンド・ハーフというのは極めて有効な手段であると思うんですが、キカイダーなんて、まさしくその発想を応用した人造人間だったりするわけですからね。ハーフ&ハーフのピザを宅配中にバイクでコケたりすると、ハカイダーみたいになっちゃったりしますけど。 で、これ、バリトンサックスの図太い音色と、反復系のテーマが何ともイカしておりまして、トッピングの半分はイカにしよう!…と思ってしまったほどなんですが、僕は基本的に海産物があまり好きではないので、普段はあまりイカとかエビとかアンチョビをトッピングに選んだりはしないんですけどね。シーチキンはかなり好きなんですけど。 で、バリサク1本で始まって、そこに途中から2管が絡んできたり、テーマの途中でうまくストップ・タイムを駆使したり…といったアレンジも実に冴えておりまして、で、エルビンはここでも見事なブラッシュ・ワークを披露しておりますな。 ワルツ・タイムであるところが、これまたイイ感じだったりするんですが、アドリブ・パートに入ると素早くブラシをスティックに持ち替えて、デイビスの黒っぽいソロをバックから強烈にプッシュしております。 リズムのほうもワルツから、いかにもこの人らしいポリ系に転じておりますが、サックス・ソロに続いてマッコイのソロが出てくる辺りは、コルトレーン・カルテットを彷彿させるものがあります。 ということで、テーマに戻って、おしまい。…と思ってすっかり油断していると、 また演奏が再開されて、ちょっぴりビビることになるんですが、次第にテンポを速くして、メロディを崩しながらフェイドアウトしていくラストの部分が実にカッコよく決まっていて、いいぞぉ、チャールス・デイビス!

 続いてはソニー・シモンズのペンによる 「アボリジニ・ダンズ・イン・スコットランド」 でありますな。オーストラリアの先住民であるアボリジニがスコットランドでダンスをするという、何ともワールド・ワイドな作品でありますが、これはいけません。 ま、確かにアボリジニのダンスやな。…といった雰囲気が濃厚に感じられるメロディだったりするんですが、プリンス・ラシャの吹くピッコロの音が、あまりにもオマヌケ過ぎて、いただけません。 僕は 「にこにこぷん」 のキャラの中では断然 “ぴっころ” が好きなんですが、ピッコロという楽器はどうしても好きになれないんですよね。 音が高過ぎなんぢゃ!…と思わずにはいられませんが、でも大丈夫。 オマヌケなテーマ部が終わると、ピッコロ吹きのラシャくんはどこかに引っ込んでしまって、というか、エルビン以外の全員が舞台から姿を消して、あとはひたすらドラムのソロがフィーチャーされることになるんですが、なるほど、これはそういうタイプの曲だったんですな。 ま、せっかくのリーダー作なので、1曲くらいは思いきり目立ってみたかったんでしょう。自己顕示欲の強いケンヂくん。…といったキャラですからね、エルビン。 ドラムのソロって、オモロイか?…と言われると、ちょっと微妙だったりするんですが、でもまあ、ベースのソロよりはマシ?…と、自分に言い聞かせて耐えるしかありません。世の中、何事も修行です。 ということで、最後に再びピッコロ他、全員が登場して、とってもアボリジニなテーマを演奏して、おしまい。 これなら別に、わざわざスコットランドで踊る必然性はなかったような気もするんですが、ま、微妙にスコットしている風情が無いわけでも無いので、これはこれでいい事にしておきましょう。

 続いてはジミー・ギャリソンのオリジナルで、 「ゲッティン・オン・ウェイ」 という曲です。 僕は、神懸りってヘンな世界に走ってしまったコルトレーンを見捨てることなく、最後まで行動を共にしたギャリソンというベーシストのことを、エライっ!…と思って尊敬してたりするんですが、 「道に乗ります。」 というこの曲のタイトルからは、そんな彼の心意気が感じられますよね。いや、そうでもないですか。ただ、道に乗ります。…と言ってるだけのような気がしないでもないですよね。 で、メロディの出来そのものも決して褒められたものではなくて、オーネット・コールマンが書きそうな、ちょっと変な曲。…といった感じでしょうか。 プリンス・ラシャの吹くピッコロ (あるいはフルート?) の音色も、相変わらず耳障りだしー。 で、ソロ先発はえーと…、ラシャくんのクラリネットですかね?…と書いたところで、そういえばこのアルバムではソニー・シモンズがイングリッシュ・ホルンを吹いているという事に気付いてしましました。 もしかしたら1曲目のクラだと思ってたのも、実はとってもイングリッシュなホルンだったのかも知れませんが、どういう音の出る楽器なのかよく分からないので、何とも言えません。少なくとも、この5曲目のソロはそれなんかな?…という気がしてきたんですが、いや、普通にアルト・サックスに聞こえなくもないですしね。ワケのわからん楽器を吹くな!…と思わずにはいられませんが、いずれにせよ、かなり前衛的なサウンドとなっておりますので、この手の演奏に免疫力のない人の場合、ひきつけを起こす恐れがあるので注意が必要です。 「注意一秒、怪我一生」 という諺もありますからなぁ。いや、あまり関係ないんですけど。 ということで、テーマに戻って、おしまい。 ギャリソンくん、作曲者でありながら、まったくフィーチャーされておりませんでしたな。

 …と思っていたら、チャールス・デイビス作曲の 「ジャスト・アス・ブルース」 は、ベースの無伴奏ソロによるイントロで始まってたりしたんですが、この曲はアレですな。ブルースでありますな。 チャールス・デイビスがワン・ホーンでテーマを吹くという、実になんともオーソドックスなブルースだったりするんですが、何だかほっと出来るサウンドではあります。 中学生の頃、軟式庭球部だった僕は、ダブルスではどちらかというと前衛のほうが得意だったんですが、前衛的なサウンドはあまり好きでなかったりするんですよね。 ちなみに前衛が得意な僕の目標は全英オープンに出場することだったんですが、後衛よりは前衛のほうが若干マシというレベルであったので、桑名市の大会にも出れなかったんですけど。 嫌気が差して途中でヤメてしまったのか、中学時代の卒業アルバムを見たらテニス部のところに僕の姿は無かったりしたんですが、続いてはマッコイのソロでありますか。綺麗なタッチで素直なフレーズを奏でるマッコイには、大いに共感が持てますよね。 共感は持てるんですが、もしマッコイの睾丸を持てとか言われたら、かなり嫌であるに違いなくて、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 ということで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 これ、双頭コンボにする必然性があったのか?…と思ってしまうほど、ジミー・ギャリソンの存在感が希薄だったりするんですが、一方のエルビンのほうもさほど前面に出ずっぱりということもなくて、ま、適度なポジショニングなのではなかろうかと。 「アボリジニの踊り」 では、ちょっと前に出過ぎてましたけどね。 後はソニー・シモンズのアバンギャルドなプレイを容認出来るかどうかというところが評価の分かれ目ではないかと思うんですが、個人的には3曲目の 「ハーフ・アンド・ハーフ」 が好きっ♪ トッピングの半分はイカでいいとして、もう半分を何にするのか、まだ決めていなかったんですが、「ああん、ちょびっとアンチョビが食べたいナ♪」…とかギャルに言われたら、そういう選択もアリかな?…という気もします。


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