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SHELLY MANNE (1962/2/5,8)

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【パーソネル】

SHELLY MANNE (ds)
  &
COLEMAN HAWKINS (ts,p) <#6>
EDDIE COSTA (vib,p) GEORGE DUVIVIER (b) <#2,4>
COLEMAN HAWKINS (ts) HANK JONES (p) GEORGE DUVIVIER (b) <#1,3,5>

【収録曲】

TAKE THE "A" TRAIN / THE SICKS OF US / SLOWLY
LEAN ON ME / CHEROKEE / ME AND SOME DRUMS

【解説】 (2007年07月22日更新)

 “ひるがの高原” というところに行ってきました。いいですよね、“ひるがの” 。 何だかこう、昼間っからとっても爽やかだねっ♪…という感じがするんですが、この爽やかな高原も名前を漢字で書いちゃうとイメージが一転してしまいます。 “蛭ヶ野高原” 。 何か、めっちゃ血ィ吸われそうやんっ! 蛭に血ィ吸われると “ヒルジン” という化学物質のおかげで血が止まらなくなるんだそうですが、そんな、めっちゃ嫌な蛭がたくさんいそうな蛭ヶ野というところにですね、行ってきたわけなんですけどね。 この辺り、名古屋近隣のヤングな若者たちにとっては、ボードをしにいくところだがや。…というイメージが強かったりするんですが、1シーズンでボードを挫折して、骨折によってスキーの存続も危うくなってしまった桑名在住のヤングな若者である僕としては、もっぱら、お花を見に行くところという意味合いが強くなってしまいました。ここにはですね、 ひるがの湿原植物園 なんてのがあったりするんですよね。 ミズバショウの花が咲いているらしいというので去年のゴールデンウィークに初めていったんですが、入場料を300円も取られるわりにはあまり大したことがありませんでした。 “ひるがの高原スキー場” の近くのタダで見られる湿原のほうがよっぽどたくさんのミズバショウが咲いていて、金返せぇ!…と思わずにはいられませんでしたが、植物園のほうは、「アンタこれ、植栽したやろ?」 と言いたくなるような感じで池の周りにぽつぽつと咲いているだけで、手付かずの自然が残された湿原本体の部分は、単なる草むらと化しておりました。 でもまあ、春先というのはまだ花の少ない季節なので、夏になったらもっとたくさんのお花で埋め尽くされることになるとは思うんですけど。 とまあそんなことで、夏になったので、もう一度行ってみることにしました。 3連休の最終日、台風の接近で土日の2日間は外出を自粛していた人々が、台風一過の青空のもと、退去して外に繰り出して、東海北陸道は部分的に渋滞していりました。これはもしかして、駐車場にクルマを止めることが出来ないくらいの大盛況なんぢゃないですかね?

<キンシバイ> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 …という僕の心配がまったくの杞憂に終わってしまうほど、めっちゃ空いておりましたな。駐車場に止まっているクルマはたったの2台。でもまあ、これでゆっくりと誰にも邪魔されずにお花の撮影に没頭することが出来ますなぁ。 僕は何事にも没頭するほうでありまして、子供の頃、家の便所も “ぼっとん” だったりしたんですが、入口のところでお姉さんに300円を払って中に入って、まず最初に目に飛び込んでいたのが、この黄色いお花でありました。 係のお姉さんが通常のパンフレットのほかに こんな紙切れ も渡してくれたので、いちいちお花の名前を調べる手間が省けて重宝なんですが、これだけで300円出すだけの価値はあると言っていいかも知れません。お姉さんも、ま、そこそこ愛想がよかったですしね。 で、この黄色いお花はどうやら “キンシバイ” らしいんですが、このキンシバイという名前は日常生活においてもわりとよく耳にしますよね。 どういうシチェーションで耳にするかというと、例えば福岡の博多あたりで椎茸狩りをしているラブラブなペヤングの会話の中で聞かれたりするんですが、「ああん、手が黄色い粉まるけになっちゃったぁ。。。」 「それは、菌糸ばい。」 みたいな。 いや、僕は今まで一度も椎茸狩りを体験したことがないので、本当に手が菌糸まるけになるものなのか今ひとつ自信はないんですが、もし仮に手が菌糸まるけになるとしても、ラブラブなペヤングがそんな不自然な会話をするとはとても思えませんしね。 これならまだ大阪に演芸を見に来た博多のラブラブなペヤングが、「えーと、あの人、桂小枝だったっけ?」「いや、あれは桂きん枝ばい。」 と言ってる確率のほうが高いような気もするし、もしくは、「ああん、遠いところの字がよく見えないのぉ。。。」「それはきっと、近視ばい。」 とか。

 ちなみに植物のキンシバイは、漢字では “金糸梅” と書くようです。 名前からして、梅の仲間なのかと思ったらそうではなくて、オトギリソウ科に属しているみたいなんですけど。 オトギリソウにはタンニンがたくさん含まれているんだよ。…という話を担任の先生から聞いたことがある人もいるかも知れませんが、乾燥させると小連翹(しょうれんぎょう)という名前の生薬になるんだそうで。 その昔、この草から作った秘薬の秘密をばらした弟が兄貴に切り殺されたことから “弟切草” という名前が付いたそうなんですが、何て酷いことをする兄貴や!…と思わずにはいられません。 元祖国際秘宝館でやってる “馬のマル秘ショー” の中身をばらしたというのならともかく、たかが草で作ったクスリですもんね。どういう薬効があるのかと思ったら、オトギリソウには “血止め草” という別名もあるようなので、恐らくそういう効果なんだと思われますが、蛭のヒルジンにやられちゃっても、ちゃんと血が止まるんでしょうか? だとすれば、かなりのスグレ物であると言わざるを得ませんが、果たしてこのキンシバイにも同じような効果があるのかどうかはよく知りませんけど。 で、このお花、花びらが黄色いだけでなくて、おしべ、めしべも黄色いんですな。…というのが、下のほうの写真を見るとよく分かりますよね。 おしべの部分が何となく金色の糸に見えるから “金糸” で、花びらが5枚で何となく梅に見えるから “金糸梅” 。 そういうことなんでしょう。 ただ、花によっては “おしべ” がなくて、のぺーっとした感じになってるものもあったりして、例えば、上の写真のヤツなんかはそれに近いですよね。おしべの残骸らしきものが鼻クソのように付着しているようにも見えるんですが、あるいは受粉を終えて用無しになったおしべは、まっさきに枯れちゃう運命にあるんですかね? 兄貴に切られちゃった弟ともども、“もののあはれ” を感じずにはいられません。


<ヤマホタルブクロ・オオバギボウシ> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 この時期、湿原内でいちばんよく目立っていたのが “ホタルブクロ” でありました。写真で言うと、いちばん上のヤツでありますな。 名前の由来はその昔、子供がこの花の中に蛍を入れて持ち帰ったことによるものなんだそうですが、なるほど、言われてみれば確かに、蛍を入れるにはちょうど手頃な大きさと形状だったりしますよね。花びらを透かして見える蛍の光というのは、さぞかし風流であったに違いありませんが、ただこの “蛍の入れ物説” には異論を唱える人もいるんだそうで、なるほど、言われてみれば確かに蛍を入れてもすぐに逃げられそうな形状でもありますよね。それに、中に蛍を入れたから、ホタルブクロっ!…というのも、名前の付け方としてはやや無理があるような気もします。 例えば僕は小学生の頃、ハエを生け捕りにしたことがあるんですが、虫かごに入れて飼うというのも変なので、1ダースの鉛筆が入っていたプラスチックのケースの中にしばらく入れておいたことがあります。 だからといって、この鉛筆のケースのことを “ハエケース” と呼んだりするか?…というと、それはちょっと考え難かったりしますよね。中にハエを入れたところで、それはあくまでも “鉛筆のケース” なワケですからね。 喩えとして、あまり適切な事例ではなかったような気もするんですが、ではどうしてこのお花がホタルブクロと呼ばれるようになったのかと言うと、その形を提灯に見立てて、提灯の古い呼び名である “火垂る (ほたる)” に因んで命名されたという説もあるんだそうです。 個人的には提灯というよりも、何となく “タコのウインナー” のように見えたりもするんですけどね。

 ホタルブクロには普通のホタルブクロとヤマホタルブクロの2種類があって、白いものと、薄い赤紫色のものとがあったりするので、花の色で種類を分けるのかと思ったらそうではなくて、区別のポイントは萼の切れ込みのところにあるそうなんですけど。 で、この写真のお花がノーマルなのか、“ヤマ”なのかというと、これはもう間違いなくヤマホタルブクロのほうでありますな。どうしてそう言い切れるのかというと、お姉さんがくれた紙切れにそう書いてあるからなんですが、何枚か撮った写真のうち、2輪が仲良く並んで咲いていて、ラブラブなペヤングを思わせる1枚を掲載しておきました。 左のほうに見える小さな小さな白いお花が2人の愛の結晶なんすかね??? 植物学的に見ると、それは絶対に有り得ない話なんですが、ポエムの世界ではそういうこともアリなのではなかろうかと。 いやあ、いいですなぁ、ラブラブで♪…と思っていたら、よく見ると右のお花の後ろにもう一輪、枯れかけたお花が咲いているのが見えたりして、実はこのホタルブクロが愛人持ちであるということがわかります。 後ろのほうに隠れている本妻がすっかり枯れてしまったので、新たにピチピチの若い愛人を囲ったと見るのが正解でしょうか? そばかすのある女の子のようですが、いずれにせよ本妻の気持ちを考えると、“もののあはれ” を感じずにはいられません。

 で、真ん中とその下の写真は、また違ったタイプの植物であります。夏に山に出掛けると、そこらじゅうにいくらでも咲いているちっともレアでないお花、“ギボウシ” でありますな。 ギボウシには “コバ” と “オオバ” の2つの種類があって、葉っぱの大きさで種類を区別することになるんですが、これはどうやら “オオバギボウシ” のようです。 どうしてこれがギボウシという名前になったのかというと、つぼみや花の形が “擬宝珠” に似ているからなんですが、擬宝珠というのはアレですよね。よく橋の欄干についている玉葱みたいな形をしたヤツのことですよね。ギボウシのつぼみや花は玉葱と比べるとずっとスリムなんですが、ありふれた花なので今まであまり気に留めなかったものの、こうしてじっくり写真に撮って観察してみると、カールしたおしべが花の先から顔を出しているところが、けっこうチャーミングだったりしますよね。…という気がするんですが、こいつの若い葉っぱは “ウルイ” と呼ばれ、山菜として利用されるんだそうで。 似たような葉っぱを付ける植物に “バイケイソウ” というのもあって、こっちのほうは食べると嘔吐、下痢、血圧降下、痙攣などの中毒を起こすそうですけど。 ウルイの中にバイケイソウの葉っぱを1枚だけまぜて “山菜ロシアンルーレット” だねっ♪…って、そういう危険な遊びをしてはいけません。

    

<コウホネ・ヒツジグサ> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 この植物園にはちょっとパチモンくさい池や水路があったりするんですが、その水っぽいエリアにはですね、スイレンの類が花を咲かせておりました。黄色いほうのお花には “コウホネ” という名前がついております。何だかこう、硬い骨やなっ!…という感じのする、あまりキュートではないネーミングなんですが、漢字で書くと “河骨” 。 白い根茎の部分が骨のように見えることから、このように呼ばれているんだそうです。ニックネームは “ホネさん” で決まりですな。 何となく、完全に開き切ってない中途半端な感じのする花でありまして、アジのひらきを見習え!…と言いたくなってしまいますが、花びらに見える周囲の黄色い部分は顎なんだそうで、中に見えているヒダヒダの部分が本物の花びらなんだそうです。 ホネの分際で小洒落た真似をしやがって!…と思わずにはいられませんが、太陽の光を受けて金色に輝く様は、なかなかにシャイニングでありますなぁ。 で、一方、真ん中とその下の写真が “ヒツジグサ” なんですが、綺麗ですよねー。 僕はヒツジたんが大好きっ♪…なんですが、ジンギスカンにすると美味しいですよねー。 ま、ヒツジグサは焼いて食べてもさほど美味しくはなさそうなんですが、未の刻(午後2時頃)に花を咲かせることから、この名前が付いたんだそうです。 ま、実際のところ、朝から夕方まで咲いているらしいんですけどね。 花期も6〜9月と長くて、夏に水っぽいところにいけば大抵咲いている、あまりレアではないお花と言えそうなんですが、白いお花もピンクのお花も、ああん、めっちゃ綺麗なのぉ♪…でありますな。 惜しむらくは白いほうのヒツジたん、純白の花びらの中に数枚だけ色が黒ずんでいるものがあるんですが、ちょっぴり枯れかけモードなんすかね? 人間のギャルで言うと、46歳くらい?…って、僕のストライクゾーンは世間一般の常識からすると、少し広過ぎるのかも知れませんが、よく調べたらこのヒツジたん、萼片が4枚、花びらが8〜15枚という構造になっているらしいので、色がくすんでいるのは萼片ということになるのかも知れませんな。 言わせてみれば下のピンクのヒツジたんも、4枚ほど色の悪いヤツがありますもんね。 あと、水に浮かんだ丸まった葉っぱがちょっと邪魔だったりするんですが、いずれにせよ、これだけプリティなお花なのに “ヒツジグサ” などという名前を付けるのは、ちょっと可哀想な気もします。ヒツジでは何となく執事のオッサンみたいな感じがしますもんね。 とまあそんなことで、僕は今後この花のことを “メイドたん♪” と呼ぼうと思っている次第であります。


<クサレダマ・キンコウカ> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 とまあ、入口付近や池の周りはお花の種類も豊富で、やっぱり夏のこの時期に来て正解だったねっ♪…と、僕はすっかり満足したんですが、それ以外のエリアはですね、まったくもって不毛でありました。 具体的に言うと、“キンシバイ” のところで紹介した “園内植物マップ” で赤く着色した部分。 おそらくこの部分が湿原の本体で、それ以外のところは人工的に整備された公園みたいなものだと思うんですが、 “湿原内は乾燥化が進みハイイヌツゲなどの低木が繁茂しています。” と書かれている通り、手付かずの自然が残されているものと思われるこのエリアは去年の5月に訪れた時と同様、単なる草むらと化しておりました。夏に来ても一緒やんっ! 黄色く着色した部分も、どうせ同じく不毛やろ。…と思って足を踏み入れなかったんですが、後で案内図を見たら “ヤマトキソウ” “ミカヅキグサ” という文字が書いてあって、もしかして咲いていたのかも?…と思うと、ちょっと後悔の念に駆られてしまうんですが、ま、きっと不毛だったとは思うんですけどね。きっとそうに違いありません。 そんな不毛の遊歩道を案内図とは逆に半時計回りで散策したところ、ようやく最後のほうになってぼちぼちとお花が見られるようになってんですが、おっ、ここに咲いているのは “クサレダマ” ではありませんかぁ♪ 誰がどう見ても “腐れ玉” としか思えないこのお花、名前だけはよく聞いていたんですが、実際に咲いているところを見るのは初めてでありますなぁ。 ちなみに名前の由来は“連玉 (レダマ) ” という植物によく似た花を咲かせる草だから “クサレダマ” なんだそうです。 バックに枯れかけのハナショウブが咲いていたので、その青色と対比する形でクサのレダマちゃんを撮影してみましたが、とても腐っているとは思えない、なかなか綺麗なお花ではありませんかぁ。 輝くようなシャイニングな黄色ではなくて、ちょっと渋い感じの黄色だったりするんですが、この花の別名が “硫黄草” であるというのは、なかなかいい線をついていると思います。 “腐れ” にしろ “硫黄” にしろ、あまりいいイメージではなかったりするんですけど。

 で、背が低くてあまり目立ちはしないものの、不毛エリアの中でわりとたくさん咲いていたのが “キンコウカ” でありました。 金の光の花の書いて “金光花” 。 なるほど、小さくてあまり目立たないんですが、こうして写真に撮ってじっくり観察してみると、なかなか輝くようなシャイニングな黄色で、ラブリーではありませんかぁ♪ 園内マップの解説には “ユリ科。高層湿原に生え、星をちりばめたような鮮やかな黄色の花を咲かせる。” とありますが、なるほど、言われてみれば確かに星のような形をしてますよね。ま、星というより、ヒトデに近いような気もするんですけど。 花が小さい上に風でゆらゆらと揺れるので、マクロレンズによる手持ち撮影は困難を極めたんですが、真上からの光が “ゲジゲジおしべ” の影を花びらに落として、なかなかいい感じに撮れたよねっ♪…と、自画自賛している次第であります。

 とまあそんなことで、お花のコーナー で4回シリーズでお届けしようか?…と思っていた写真を、ネタ切れのためにこちらのコーナーで流用する羽目になってしまいましたが、ちなみに “ひるがの湿原植物園” を散策した後で、近くの “ダイナランドゆり園” にも足を伸ばしてみたんですけどね。 そこで撮った写真はさすがにお花のコーナーのほうで紹介しようと思うんですが、よんどころのない事情により次回のこのコーナーが “ゆり園と由利徹” みたいなテーマになるかも知れないね♪…という事を申し述べておいて、今日のところはおしまい。

 ということで、今日はシェリー・マンなんですが、いいですよねぇ、シェリー・マン。 ウルトラマン、スーパーマンと並ぶ “世界3大マン” のひとりなんですが、最近では中国からエントリーした “段ボール入り肉まん” というのが上位を脅かす勢いだったりするんですけど。 1年前からこの肉まんを食べ続けていた人が、 「言われてみればすごく不味かった。ときどき吐きそうになった。」 …などと証言しておりましたが、ほな、1年間も食べ続けるなって!…と思わずにはいられませんでした。言われてみなければ分からない程度の吐き気だったんですかね? ま、どうやらあの報道は捏造だったらしいので、シェリー・マンが3大マンの座から滑り落ちることは無さそうなんですが、レインボーマンが陰謀を企てて3大マン入りを狙っているという噂も耳にしたことがあるので、まだまだ油断はならんのですけど。 かく言う僕はシェリー・マンをどれくらい評価しているのかと言うと、そういえば、そんなドラマーもいたっけ?…と認識されている程度だったりするんですが、このコーナーでも過去1度しか取り上げたことはなくて、どちらかというと冷遇されていると言ってもよさそうなんですけど。 だって、白人だしぃ。…という、謂れのない逆アパルトヘイト政策によって日の目をみない地位に甘んじているわけですが、今日はそんな僕にも楽しめるかも知れない1枚を紹介してみたいと思います。 『 2 3 4 』 。 数字だけが並んだちょっと珍しいタイトルでありますな。 僕は日本人だから普通にシェリー・マンの 『にぃ、さん、しぃ』 という読み方をしてしまうんですが、シェリー・マンとしては恐らく、シェリーの 『(マン・)ツー・スリー・フォー』 と読ませたいところなんでしょう。それが言いたいがために、わざわざデュオとトリオとカルテットの編成にしたわけですもんね。 で、選ばれたメンバーというのが、なかなか興味深いものだったりするんですが、まず最初の “2の部” の相方として、コールマン・ホーキンスを持ってきましたかぁ。この人、年寄りのオッサン連中の中では例外的にヤングな若者たちの音楽にも理解を示しておりまして、わりと進歩的なセッションにも気軽にホイホイと顔を出したりしているんですが、ドラムスとのデュオとはこれまた、きばりましたなー。 どんな演奏になっているのか興味の持たれるところなんですが、ひとつ飛ばして “4の部” に目を転じると、“2の部” にピアノのハンク・ジョーンズとベースのジョージ・デュビビエが加わるという形になります。デュビビエ君は、ま、同じ肌の白いもの同士ということで納得が行くんですが、ハンクを持ってきたというのはちょっと意外ですな。ムール貝の正体が、実はムラサキイガイだったというのと同じくらい意外な話なんですが、ちなみにこの貝、地方によっては “ニタリ貝” とも呼ばれているらしいですね。ニタリ貝は煮たりして食べると美味しい。…って、僕はいつも同じことばかり書いているような気がしますが、ま、それはともかく。

編集部注 : 兵庫のイワシ様より、デュビビエって黒人ちゃうの?…との指摘があり、鮭師匠に確認したところ、どうやら色白の黒人らしいという事が判明しました。思いきり無知を曝け出してしまった次第でありますが、そんな自分がちょっぴり可愛いな♪…と思わずにはいられません。)

 で、 “3の部” ではホークとハンクが引っ込んで、その代わりにエディ・コスタが入ることになるんですが、いいですよねぇ、コスタ。 僕が愛聴している数少ない白人ジャズマンだったりするんですが、ここではピアノ以外にヴァイブも演奏しているようで、ヴァイブ好きの僕としては、大いに喜ばしいところでありますな。 ちなみにコスタ君はこのセッションの5ヵ月後、交通事故によって急逝しちゃうことになるので、その意味でも貴重な1枚であると言えるでしょう。 とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみようと思うんですが、まずは “4の部” による 「テイク・ジ・A・トレイン」 でありますか。 現代で言うよりも 『A列車で行こう』 という邦題のほうが通りがいいんですが、ま、確かにどこかへ旅行に行くのなら、ええ列車に乗りたいところですよね。よくない列車というのは、あまりよくありませんからね。 で、これ、保守的なメンバーの顔ぶれからは想像できないほど凝ったタイム感覚で演奏されている。…と、日本語ライナーで吉岡祐介クンが書いている通り、なかなか凝ったアレンジが施されておりまして、僕なんか最初、さすがはエディ・コスタだけあって斬新なピアノを弾いてるなと感心していたくらいですからね。3日ほど経って、これってハンクやったんか!…ということに気付いた次第でありますが、イントロの短い “チャラララン、チャラララン♪” の部分を急速調で前衛風に弾いて、でもって、テーマ部ではゆっくりしたテンポに戻して、グルーヴの感じられるスタイルに転じておりますな。かなり元のメロディを崩している感じなので、どこまでがテーマでどこからがアドリブなのか曖昧だったりするんですが、続いてコールマン・ホーキンスが登場してくるタイミングで、今度はミディアム・テンポに転じることになります。 ここでのホークはヤングな若者たちの音楽にも理解を示しているとはいえ、やっぱりちょっと古めかしい中間派風だったりするんですが、古めかしいといっても、古くて生臭くて食べられなくて、捨てられてしまった “サバの味醂干し” みたいなことはないんですけどね。いや、2日ほど前、うちのおかんが買って来たサバの味醂干しがちょっと古かったのか、めっちゃ不味かったので、 「ほったった。」 らしいんですけど。 その日の僕のディナーは急遽 「安田の牛乳ホワイトカレー」 ということになったんですが、見た目は白くてめっちゃクリームシチューなのにカレーの味がするという、かなり不思議な食い物でありました。 美味しいか?…と言われると、決して不味くはないんですが、でもまあ、見た目がカレーでカレーの味がする普通のカレーのほうがいいような気がしないでもありません。食べ物というのは見た目がけっこう大切ですからね。 とまあ、そんな感じのホーキンスのソロの後、今度はデュビビエのベース・ソロということになるんですが、ここでまた、テンポが気持ちゆっくりめになったりして、ホーキンスがメロディを吹く形のテーマ部に戻って、おしまい。いやあ、なかなか凝った感じのパンナコッタ。…といった演奏でありました

 続く2曲目の 「ザ・シックス・オブ・アス」 は “3の部” による演奏であります。デュビビエ、マン、コスタの3者による共作のようですが、あ、マン、コスタという字面の並びは、関東方面ではあまり芳しくないですかね? コスタ、マン、デュビビエの3者による共作…と順番を入れ替えておくことにしますが、要はこれ、共作というか、これといったテーマ・メロディの登場しない、オール・アドリブによる作品といった感じなんですけど。 コスタのヴァイブを中心としたコレクティブ・インブロヴィゼイションといったところでしょうか? 強烈にビブラートを効かせたかと思ったら、今度はノンペダルで余韻を伸ばさない乾いた音を出したりして、この辺りの文脈は吉岡祐介クンが書いた日本語ライナーのパクリだったりするんですが、ま、自力で何とか書こうとして、まったく的外れの事を言うよりは遥かにマシですよね。グアムで射撃にチャレンジした時は36発中、32発くらいは的外れだったりしましたからね。 “ハイパーオリンピック '84” で猛練習したクレー射撃、まったく役に立たへんやん!…みたいな。 全体的にはかなり斬新なサウンドだったりするんですが、かと言って小難しいという程ではなくて、そのギリギリなところが実にエディ・コスタだったりするんですよね。リーダーのマンくんもメロディアスなドラミングで大活躍…とまではいかないまでも、中の上ダッシュくらいの活躍はしておりますし、デュビビエ君も陰ながら地味に頑張っております。 ということで、次です。  「スローリー」 はその名の通り、とってもスローリーなバラードなんですが、映画 『堕ちた天使』 のためにデヴィッド・ラスキンという人が書いた曲なんだそうです。 ダスキンは換えのモップを持ってくるくらいしか能がなかったりするんですが、ラスキンは作曲の能力もあったりするんですね。大したものです。 で、 “堕ちた天使” というとこれはもう、ルシファーですかね? 学研の 『ムー』 を読んでるとよく “堕天使ルシファー” というキャラが登場するんですが、僕個人としてはルシファーよりも “すし幸” のほうが気になったりするんですけど。南濃町にあったんですよね、 “すし幸” という回転寿司。 僕はここで回転している “ちくわの磯辺揚げ” を食べて下痢になってしまったんですが、すぐに潰れて、今はかなり本格的なインドカレー屋になっております。 で、この曲は “4の部” による演奏となっているんですが、テーマを吹くホーキンスが何とも言えずにムード満点ですよね。 中間派のテナーというのはバラード・プレイにおいて、抜群のエロさを発揮するわけなんですが、ノスタルジーがエクスタシーに転じる好例であると言っていいかも知れませんね。中間部で聴かれるハンクのソロも実にしみじみといい感じで、エディ・コスタの前衛風サウンドに続いてこういう “なごみ系” が出てくるところがこのアルバムの面白さでありますな。

 続いてはトリオによる 「リーン・オン・ミー」 でありますな。歌物ナンバーのようですが、非常に個性の強烈なエディ・コスタのピアノ・スタイルを堪能しよう。彼はソロに起承転結の構成を持たせるのがうまく、ノッて来れば来るほど使用音域が低音域へ下がってくる。両手ユニゾンで低音部を弾きまくるさまは、正に圧巻!…と、日本語ライナーに書いてある通りの演奏が展開されております。 これ以上、僕が補足すべき点はないようにも思われるんですが、敢えて言うなら、ラテンのノリとオーソドックスな4ビートが交互に出てくるシェリー・マンのドラミングが面白いですな。…という事くらいでしょうか。 ま、アドリブ・パートはずっと4ビートだったりするんですけど。 で、確かにここでのコスタのピアノ・プレイは、COMICアットーテキといった感じでありまして、木工用ボンドとかが連載を持ってましたよね。いや、僕はエロ漫画の世界にはまったく詳しくなかったりするんですけど。 あまり興味がないですからね。エロはやっぱり実写版やろ?…みたいな。 とまあそんなことで、5曲目です。 ここまで書いて、今日の後半、えらく短くないか?…という事に気が付いて、ちょっと焦っているわけなんですが、続いてはカルテット編成による 「チェロキー」 でありますか。 チェロキーと言えば僕は最近 “チェルシー” にハマっていたりするんですが、子供の頃は “ヨーグルトスカッチ” オンリーだったのが、大人になってバターやコーヒーも悪くないよな?…と思えるようになりました。ピーチメルバ、アフォガード、ストロベリーバニラという3つの味が入った袋入りの “サマーデザートミックス” というのも、なかなかいい感じですよね。ただ、あまりアフォガードというのを食べ過ぎるとアホになりそうで、ちょっと恐かったりするんですが、アフォガードってアボカド味なのか?…と思っていたら、別にそうでもなかったりするしー。 あ、でもよく考えたら、アフォガードだからアホになるのをガードしてくれるんですかね? ま、いずれにせよ、チェロキーとチェルシーはまったく何の関係もないので先に進むことにしますが、僕はこの 「チェロキー」 というインディアン・ライクな曲がさほど好きではありません。 「チェロキー」 よりも 「エロ系」 のほうがいいよね?…とか思ってしまうんですが、このマン・バージョンは意外と悪くありません。スインギーで慌しいマン君のドラミングに対して、ハンクのピアノが半分のテンポでゆったりとテーマを演奏し、で、そこにコールマン・ホーキンスが悠然と入ってくると、それにつられて次第にマン君もスピード・ダウン。 しばらくはホークのペースでプレイが進んでいくんですが、やがてシェリー・マンが3拍子を刻みだして、次第に演奏が熱を帯びてくることになります。マン君の叩きっぷりは正に変幻自在という言葉がぴったりなんですが、えーと、変幻自在、変幻自在…。特に何も思い浮かばなかったので先に進みますが、ということで、テーマに戻って、おしまい。

 アルバムの最後を飾るのは 「ミー・アンド・サム・ドラムス」 という曲なんですが、これはアレです。コールマン・ホーキンスとシェリー・マンのデュオでありますな。 レコーディングが終了し、他のメンバーが帰った午後3時、ホーキンスはシェリー・マンともっと何か演りたいと言い出して…、などといったエピソードがライナーノートに書かれておりますが、これは本当の話なんですかね? もし全員が仲よく一緒にスタジオを出て帰ったら、このアルバムタイトルは 『3&4』 になっていたことだろう。…などとも書かれておりますが、これもちょっと怪しいですよね。 「マン・ツー・スリー・フォー」 という洒落を言いたくて、最初からデュオのセッションをやろうと心に決めてたんやろ?…と、ドラえもんの “ギシンアンキ” を飲んだ時みたいに疑り深い性格になっている僕は思ってしまうんですが、で、これ、ホークとマン君とのデュオの筈なのに、いきなりピアノの音が聴こえてきたりします。 「ミーと、いくばくかのドラムス」 というタイトルの通り、ドラムスらしき音は随時聞こえているので、ピアノを弾いているのはコールマン・ホーキンスということになるんですかね?…と思っていたら、確かにライナーノートにもその旨の記載があったんですが、これがまた、とても余技とは思えない程、なかなか優れた演奏だったりするんですよね。 もう、堺正章の “かくし芸” の域に達していると言っていいかもしれませんが、ま、堺すすむの “なんでか?フラメンコ” には負けているかも知れませんけど。 とは言え、ここでのホーキンスのピアノは、最初、エディ・コスタか?…と思ってしまったほど斬新なフィーリングに満ち溢れていて、それでいて適度に哀感も感じられたりして、ま、フレージングにこれといった展開が見られず、途中からちょっとダレ気味になっている感が無きにしもあらずなんですけど。 が、そこはさすが長老。己のピアノの才能に見切りを付けて、早めに本職のテナーにスイッチするあたり、なかなか空気が読めていると思うんですが、とりあえずコールマンとシェリー・マンの “マンマン・コンビ” がヤル気満々で繰り広げるパフォーマンスを、心ゆくまで堪能して頂けるのではなかろうかと。 とまあそんなことで、今日のところはおしまい。

【総合評価】

 異色作ではありますが、さほど遺書臭いこともなく、十分に生きる勇気が感じられて、いいのではないかと思います。 ホーキンス&ハンク・ジョーンズのチームと、エディ・コスタという、まったくタイプの違った演奏を楽しめるところが1粒で2度おいしいアーモンド・グリコ的だったりして、よろしいのではないでしょうか。


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