VIB−RATIONS (SAVOY)

CAL TJADER / DON ELLIOTT (1952/11/17,1953/6/24,10/21,1954/3/2)

VIB-RATIONS


【パーソネル】

CAL TJADER (vib) KANK JONES (p) AL McKIBBON (b) KENNY CLARKE (ds)
RICHARD WYANDS (p) ROY HAYNES (ds)

KAI WINDING (tb) PHIL URSO (ts) DANNY BANK (bs) DON ELLIOTT (tp,mell,vib,bongo)
JIMMY LYON (p) ARNOLD FISHKIN (b) SID BULKIN (ds)
DOUGLAS DUKE (org) MORT HERBERT (b)


【収録曲】

LOVE ME OR LEAVE ME / MINORITY / TANGERINE / I WANT TO BE HAPPY
AFTER YOU'VE GONE / A SUNDAY KIND OF LOVE / IT'S YOU OR NO ONE

TAKE ME OUT TO THE BALL GAME / A STRANGER IN TOWN / DARN THAT DREAM
JEEPERS CREEPERS / OH LOOK AT ME NOW / WHERE OR WHEN / MIGHTY LIKE A ROSE


【解説】

今日はピッキングについて考えてみたいと思います。うーん、ぴっきんぐマチコ先生。

えー、最近のハヤリに「ピッキング窃盗団」というのがございまして、これは何かと言うと「ピッキングをする窃盗の団」。そういったものでございます。窃盗は〜日暮れて〜、夕波小波ぃ〜♪ということで、窃盗のほうは理解していただけたものとして、問題は「ピッキング」のほうですね。そもそも「ピッキング」とは何なのか?「ピッキング」と「殿様キングス」の間には何か関連があるのか?疑問の種は尽きないわけでございますが、結論から申し上げましょう。「ピッキング」と「殿様キングス」はなーんの関係もございません。もう「福神漬け」と「副腎皮質ホルモン」がなーんも関係がないのと同じくらい、なーんも関係がないわけでございますが、「ピッキング」の定義というのもはっきりしておりまして、それはこういうものでございます。

ピッキング : 特殊な器具を用いてカギを開ける技術。

カギというのは他人に簡単に開けられちゃっては意味がないものでありますが、自分で開けられなくなっても困るものでありまして、例えば「けった」のカギを無くしちゃって、半泣きになりながら“ウイリー状態”で自転車屋さんまで持って行った。という経験は誰にでもあろうかと思います。あれ、みじめなんですよねー。みじめな上に何だかステバチな気持ちになって、思わず「スポーク、全部バキバキに折ったろかい!?」という荒業に出たくなっちゃいますが、でもだいじゃぶ。自転車のカギというのは案外「やわい」 ものでございまして、ちょっと頑張ってカギ全体をひん曲げるようにしてやれば、「カギの先端がスポークに当って、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ♪という音がするものの、なんとか乗って走れないでもない状態」というくらいにまでは持っていくことが出来ます。

カギ関係で、常に「落とすんぢゃないか?」という不安感に駆られるのがコインロッカーのカギですよね。アレは「無くすと高い罰金を取られる。」という思いがあるから余計に緊張しちゃって、緊張のあまり「おもらし」しちゃって、その「おもらしぱんつ」の処分に困ってとりあえずもうひとつロッカーを借りて、そのロッカーのカギを手にして、またしても緊張して…。という、地獄の悪循環に陥るのが常でありますが、僕はそういう場合に備えて、コインロッカーを借りなければならない時には念のために替えのパンツを3枚ほど余分に持っていくことにしております。ま、そんなことをしてるから余計に荷物が増えてロッカーを借りなければならないハメになっちゃうんですけどね。

で、幸いにも僕はまだロッカーのカギを無くしたことはないんですが、もしそういう事態に直面したとすれば、カギをなくしたことによる罰金額とロッカーの中身の資産価値とを比較検討し、「出頭するまでもない。」と判断した場合にはそのままバックレちゃうかも知れませんね。で、そのうち「コインロッカーから変な匂いがする!」というので大騒ぎになり、警察官の立ち会いのもと、おそるおそる合鍵を使って扉を開けてみると、中からは「おもらしぱんつ」が1枚。しかもゴムの部分にはマジックで「いなばゆうじ」と名前が書いてあったりして、いい恥さらしでございますなぁ。。。ということで、ロッカーのカギをなくした場合には正直に出頭しようと心に誓った昨今でありますが、ま、合鍵がある場合はいいとして、問題になるのはそれがない場合ですよね。

たとえば外出先でカギを無くして、家に入れなくなっちゃった場合。もしくは“貞操帯ぷれい♪”に熱中して、熱中するあまりにカギをどこにやっちゃったのか、わからなくなっちゃった場合。これは焦ります。特に後者の場合は焦ります。コトがコトだけに事態は急を要するわけでありますが、こういう場合、焦ってはいけません。焦ってはコトをし損じます。ここはひとつ冷静になって、落ち着いてカギを探すことが先決でありますが、「この事態において、どうやって冷静になれというのだ!?」という意見が出るのももっともな話でありまして、なんせ既にズボンもパンツも下ろしかけて半ケツ状態になっているわけで、先決もへったくれもないわけでございまして。

以上の例を鑑みて、世の中には「鍵師」と呼ばれる職業人が不可欠であることが理解していただけたと思いますが、これはすなわち、開かなくなった鍵を開けるという特殊技能を持った人のことでございます。で、どういう人が「鍵師」になるのかと言うと、鍵の製造メーカーの社員という場合が多いですね。自分達が作った鍵は、自分達で開ける。そういう使命感に燃えた人たちでありまして、自分達で撒いたシロアリは、自分達で消毒する。という悪徳シロアリ業者にも相通ずるものがありますよね。(←いっしょにするな。by鍵師。)

が、特殊な工具を使って鍵を開けるというピッキングの技術を悪用したピッキング強盗団が暗躍している事態をいちばん喜んでいるのが他ならぬ鍵の製造メーカーでありまして、昼下がりの団地を訪問しては「あ、奥さん。このタイプの鍵はすぐにピッキングにやられちゃいますよぉ。」などと危機感を駆り立てて、実際に自分でピッキングをして鍵を開けてみせ、奥さんに「まあ!」と言わせ、ついでに「奥さんのようなお美しいお方だと“ピッキング夜這い団”に襲われる心配もありますしぃ。」とお世辞のひとつも言って、「夜這いはやばいわ。」ということになって、「あ、でも、ちょっといいかも?」ということになって、…って、それはまあどうでもいいとして、ところで「南京錠」ってどうして「南京錠」と言うんでしょうね?

あ、さて、あ、さて、あ、さてさてさてさて、さては南京錠っ♪と、あまりにも語呂が悪いことから考えて「南京錠」と「南京玉すだれ」は、まったくもってなーんも関係ないものと思われますが、すくなくとも中国にある「南京」と何か関係があるのだろうということは容易に想像がつきますよね。ところがいろいろ調べてみたところ、意外な事実が判明しました。それは「南京錠」と「南京」は、まったくもってなーんも関係なかったということなんですが、順を追って説明しましょう。そこにはとある政治犯の哀しい物語が秘められていたわけでありますが、ある日、とある政治犯が捕まったわけですね。捕まって自宅に閉じ込められ、出入口は鎖で封鎖され、その鎖には鍵が掛けられたということです。その時に使われた鍵というのが今で言うことろの「南京錠」でありまして、軟禁に使う錠だから「なんきん錠」だじょー。というのがその語源だそうです。

ではなぜ「軟禁錠」ではなくて「南京錠」というのだ?と聞かれると困るわけでありますが、えーと、ドアに用いられる鍵はシリンダー錠と呼ばれるものですね。この名前を覚えておくと実生活でも非常に役にたつものと思われますが、どういう時に役に立つのかと言うと、例えば飲み屋に飲みに行ったとき。話題に詰まったとき、「ドアに用いられる鍵はシリンダー錠と言うんだよ。」という話をすれば「まあ、いなばさんて、とっても物識りんだー錠だじょー。」ということになり、店の女の子の尊敬を勝ち得ることは必至。ということで、えーと…今日の話題は以上です。

@  さ、カル・ジェイダーとドン・エリオットです。先日、名古屋で仕入れてきたCDシリーズの中にカル・ジェイダーとドン・エリオットの『カル・ジェイダー・アンド・ドン・エリオット』というアルバムがありまして、で、カル・ジェイダー・アンド・ドン・エリオットという名前ではありますがカル・ジェイダーとドン・エリオットが一緒に演奏しているわけではなく、カル・ジェイダーがリーダーになった2つのセッションと、ドン・エリオットがリーダーになった2つのセッションを寄せ集めて、1枚のアルバムにでっちあげてみました。といった構成のものでございました。サヴォイにはたまーにありますよね、このパターン。この場合、カップリングされるミュージシャンは「リーダーが担当している楽器が同じだから、一緒にしちゃってもぜんぜん問題ないよね?」という基準で選定されまして、ジャケットには2人の顔をたてて、というか、2人とも顔を立てず、どうでもいいアルト・サックスとかの写真を載せる。というのが常でございます。アッチを立てれば、コッチが立たず。いざとなったらアッチが立たず。ほんとにもぉ。。。って、そんなことはどうでもよくて、2人のミュージシャンに優劣を感じさせないような配慮がなされるのが普通なんですが、このアルバムは違います。タイトルこそ『カル・ジェイダー・アンド・ドン・エリオット』と、2名はまったく同じ扱いをされておりますが、ジャケットに登場しているのはカル・ジェイダーただひとり。占有スペースもジェイダーが3分の2であるのに対し、ドンくんは3分の1。ほとんどオマケ扱いでありまして、これを見たドンくん、グレたりしませんかね?僕だったらグレますね。グレてグレープの「精霊流し」を歌っちゃいますね。

で、カル・ジェイダーです。レア・グルーヴの世界ではヴァイブという楽器が大人気だそうでありまして、しかしなんですな。「ヴァイブ」などという言葉は一昔前なら人前で口にするのも憚られるようなオトナのおもちゃ的なイメージがあったわけですが、最近ではOLさんまでが「ケータイのヴァイブがぁ。」とか言っていて、ちっとも恥ずかしい言葉ではなくなっちゃいましたよね。でも僕は根がシャイなので「ヴァイブ」と書くたびに一人で赤面しているわけでありまして、でも個人的には赤面よりも海綿体のほうがイイと思います。で、レア・グルーヴの世界ではミルト・ジャクソンよりもこのカル・ジェイダーとかジョニー・リトルあたりの人気が高いんだそうでありまして、が、このサヴォイ盤は録音が古いこともあって演奏は極めてオーソドックスで、レア・グルーブ好きのヴァイブ好きギャルには「ピンとこないのぉ。。。」という感じがするのではなかろうかと。とまあ、日本語ライナーにはそのようなことが書かれていたわけでありますが、聴いてみるとなるほど、確かにオーソドックスな感じでありますな。曲目もスタンダード中心でありまして、ま、初心者のヴァイブ入門にはこんなのがいいんじゃないですかね?いきなりビッグ・インディアンというのもアレですしね。

ということで、1曲目。…と、ここまで書いて家に戻ったんですが、よく見るとこのアルバム、『バイブレーションズ』などという立派な名称があったんですな。ジャケットの表面には人名しか書いてなかったので、てっきり『カル・ジェイダー・アンド・ドン・エリオット』という名前だとばかり思っていました。不覚でした。が、今さら書き直すのも面倒なので、タイトルだけ直して本文はそのままで押し通しちゃおうと思います。で、1曲目「ラブ・ミー・オア・リーブ・ミー」。ピアノ・トリオ+ヴァイブという、俗に言う“MJQ編成”でありまして、演奏のほうもずいぶんとMJQっぽい感じがありますなぁ。よく言えば端正。悪く言えば短小。とっても無難なんだけど、ちょっぴり物足りないのぉ。。。そういった演奏でございます。
はい2曲目。「マイノリティ」。ジジ・グライスに同名の有名曲がありますが、これはアート・ペッパーのオリジナルだそうです。…と、ここまで書いて会社にやってきたんですが、原稿を書くのに困らないようにと思って、今日は対策を考えてきました。いや、残念ながらまだ「キオークマン」はGETしていないんですが、演奏内容について簡単にメモしてきたので、それを見ながら書いていこうと思います。…が、ここまで書いたところでまた家に帰ってまいりまして、いやあ、ぜんぜん原稿がはかどりませんなぁ。。。おまけにウチのCDプレイヤーの調子が悪くて、それを直しているうちに時間がなくなってしまいました。しかもCDプレイヤーは直らなくって、やむを得ずCD−MDシステムで聴きながらの執筆ということになりますが、「マイノリティ」はペッパーのオリジナルです。ミディアム・ファストのなかなかよい曲でありまして、恐らく同じサヴォイ盤の『サーフライド』あたりに入っているのではないかと思われますが、今はそんなものを調べている暇はありません。が、気になるのでちょっと調べてみたところ、そんな曲は入っておりませんでした。調べるだけ無駄でしたなぁ。。。で、ジェイダーのバイブ、ハンクのピアノ、ケニー・クラークのサポート、以上3点が上々の出来でありまして、なかなかよい演奏ではないかと思います。

はい3曲目。「痰痔恵理ん」。恵理ちゃん、結核と痔に苦しむ。といった感じの漢字表記でしたが、ミディアム・テンポの綺麗なナンバーです。ジェイダーのプレイも端正だじぇー。ということで4曲目。「アイ・ウォント・トゥ・ビー・ハッピー」。5曲目からメンバーが変わって、曲は「アフター・ユーブ・ゴーン」。ピアノはリチャード・ワイアンズで、ドラムスはロイ・ヘンになります。6曲目「ア・サンデー・カインド・オブ・ラブ」。7曲目「イッツ・ユー・オア・ノー・ワン」。以上、4曲まとめて知的でクールな“MJQにおけるミルト・ジャクソン的”なプレイが堪能できます。以上でジェイダー編はおしまい。で、8曲目になるといきなり「ぱっぱぱぱっぱっぱ〜♪」とオルガンの音が聴こえてきて、“寄せ集めアルバムの面目躍如と言える唐突なまとまりのなさ具合”を堪能できます。曲は「テイク・ミー・アウト・トゥ・ザ・ボール・ゲーム」。私を“たまゲーム”に連れてって♪ですな。“たまゲーム”というのがどういうゲームなのか寡聞にして存じませんが、おそらくとってもいやらしいゲームではないかと思われます。で、リーダーはここからドン・エリオットですね。

・ 最中に  ドアがどんどん  「あら、夫!」
> 不倫妻、大ピンチ。
で、どん・あら夫はジェイダーとの関連で言うとヴァイブ奏者ということになるわけですが、それだけにとどまらず、トランペットやボンゴ、さらにはEフラット・メロフォンなどという楽器もこなすマルチ・インストゥルメンタル・プレイヤーでございます。何でもフレンチホルンと破廉恥ホルンの中間的な楽器だということですが、あ、ちなみに先ほどの俳句の発句は「モナカに」ではなくて「さいちゅうに」と呼んでくださいね。で、エリオットは複数の楽器を用いてオーバーダビングを駆使し“ひとりハーモニー”に挑戦したりしておりますが、その試みは失敗に終わったと言えなくもありません。少なくとも個人的には、退屈でどうしようのない演奏やなぁ。。。という感慨を得るに留まっております。ウエスト・コースト風の洒落たアレンジが最高っ♪という趣向の人にはいいかもしれませんが、オルガンをバックにしたセッションも、テナーのフィル・アーソーなど管楽器を補強したほうのセッションも「ああそう。」といったところであります。ということで「私を野球に連れてって」「ア・ストレンジャー・イン・タウン」「ダーン・ザット・ドリーム」「ジーパーズ・クリーパーズ」「オー・ルック・アット・ミー・ナウ」「ホエア・オア・ホエン」「マイティ・ライク・ア・ローズ」の以上7曲はオマケ、カル・ジェイダーのほうの7曲は、まあまあ。そんなCDでありました。以上。

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