主要ビール会社動向

2002年12月のビール会社動向


2003-1-17日経産業、日経。12月の大手5社のビール・発泡酒の出荷量は、前年同月比3.4%減の5449万2千ケースと4ヶ月連続の減少となった。年度末の12月はグラフの通り各社出荷量を増やすが、今年からキリンは数字合わせのいための無理な押し込みを止めたことが影響しているが、健全な方向ということで逆に評価したい。そういう状況であるため12月の数字であれこれ分析するのは全く無意味に近く、アサヒとサントリーは過激に押し込みをやったなという印象でもってコメントとしたい。まあ、アサヒの場合は2年連続の首位がかかっているし、サントリーは2年ぶりの年間シェア10%確保がかかったいたわけです。いずれも消費者にとっては無意味な目標達成おめでとうございます。

2002年11月のビール会社動向

2002-12-12日経産業、日経。11月の大手5社のビール・発泡酒の出荷量は前年同月比7.1%減の4091万3千ケースと3ヶ月連続で減少した。ビールはキリンの毬花一番搾りやサントリーのビアヌーボープレミアム2002といった新製品が好調だったが、トータルでは同11.9%減となった。発泡酒は3.6%増にとどまり、気温の低下も響いて伸び率は鈍化した。市場全体に占める発泡酒の割合は34.4%と9〜10月の39%以上に比べ低下した。
アサヒは、スーパードライの低下が前年同月比8.5%減とビール全体の低下率に比べてなんとか踏みとどまったというところ。発泡酒依存率は19%と久しぶりに20%を割っており、ビールの出荷がなんとか伸ばせた。尚11月の出荷実績から沖縄を除く全国で発売するオリオンビールの「オリオンドラフト」を自社分に約8万ケース加算している。連年アサヒは11月の出荷に力を入れる傾向があったが、今年は期待ほどは数字に出なかった模様である。
サントリーは発泡酒が堅調であり、発泡酒のみのシェアは久しぶりに19%台を回復した。
・・・この下期はどのメーカーも苦労しているという状況。アサヒは決定打は出せておらず、サッポロは迷走中というところ。キリンやサントリーは昨年に比べると回復基調にあるか。

2002年10月のビール会社動向

2002-11-14日経産業、日経。10月の大手ビール会社5社のビール・発泡酒の出荷量は前年同月比1.2%減の4274万7千ケースと なった。年末の歳暮商戦を前に小康状態と言えるが、アサヒがビール、発泡酒共シェアを落とし、キリン、サッポロ、サントリーが若干巻き返したというところ。ビールは前年同月比8.5%減で各社の主力ビールが減少するなか、唯一サントリーのモルツは微増となった。発泡酒は総市場に占める割合が39.5%と9月と同レベルとなり相変わらず高い数値を示している。
アサヒは総市場シェア36%でやや低迷気味。この時期は消費も低迷している上、ビールも発泡酒も実質1銘柄しかないため、何の 手も打たれていないといってもよい。もちろん年末商戦の動きは出てきてはいるが、目新しさに欠けるためそろそろ新規な動きが必要ではないか。
サントリーは総市場シェアは10.4%と年間10%以上のシェアも見えてきた。中でもビールはシェア5.9%とここ数カ月着実に伸びてきており、例年苦戦する年末年始商戦を切り抜ければサッポロを脅かすレベルになるかもしれない。

2002年9月のビール会社動向

2002-10-11日経産業、日経。9月のビール・発泡酒の出荷は、前年同月比1.6%減の4151万5千ケースとなった。これは相変わらずのビールの低迷に加え、発泡酒の伸びの鈍化によるものである。
ビールの出荷量は同9.5%減。サントリーは落ち込みを抑えたが、キリン、サッポロのビールの落ち込みが大きかったものと思われる。一方、発泡酒の出荷量は同13.6%増と伸び幅が小さくなったが、これは業界1位、2位の麒麟淡麗やアサヒの本生がマイナスに なったことが大きい。サッポロは新製品のブロイ本選りの投入で数量は伸ばした模様。総市場に占める発泡酒の割合は39.5%となった。
・・・9月も大きな波乱もなく終わったというところ。夏の発泡酒値下げ戦争の余波があったが、各社ともようやく落ちつきを取り戻しつつあるところか。しばらくは、定番となった秋季〜冬季限定ビール・発泡酒が出てきているくらいである。

2002年8月のビール会社動向

2002-9-12日経産業、日経。8月のビール・発泡酒の出荷は、前年同月比0.5%増の5194万ケースとなった。これはビールは 落ち込みが続いたものの、猛暑や新製品の効果で発泡酒が伸び、全体でプラスとなったもの。
ビールはキリンの「クラシックラガー」やサッポロの「エビス」など一部の差別化商品が前年を上回ったが、キリンのラガーやアサヒのスーパードライなど各社の主力商品が低迷した。
発泡酒はアサヒの本生は在庫圧縮で微減となったが、キリンの淡麗グリーンラベルなどが好調。サントリーの味わい秋生などの新商品が市場を押し上げた。総市場に占める発泡酒の割合は35.3%となった。
アサヒの総シェアは38.2%と7月から横ばい状態になっている。このデータからみても6月の異常な出荷はあきらかである。 猛暑の割に伸び悩んだ結果となっており、アサヒは少しは反省しているのだろうか。
サントリーは残念ながら総シェア9.7%と10%を切ってしまった。8月はキリンの攻勢やサッポロの新製品発売の影響をもろに受けてしまったことになる。ただ、前年比は大幅増であり、夏をほぼ10%のシェアで乗り切ったことは評価できる。

2002年7月のビール会社動向

2002-8-13日経産業、日経。7月のビール・発泡酒の出荷は、前年同月比6.7%増の5624万ケースとなった。これは昨年6月にアサヒとキリンが激しいシェア争いを展開し、その反動で昨年7月が大幅に減少したことから、数字上は増加となったが、今年6月はキリンが押し込みを止めたものの相変わらずアサヒは押し込んだため、猛暑にもかかわらず出荷量は伸びなかったと言える。発泡酒自身はキリンの淡麗グリーンラベルやサントリーが6月末に発売した「スーパーマグナムドライ」が好調であったが、アサヒの本生は6月の反動で出荷量が抑えられた。その結果、総市場に占める発泡酒の割合は33.0%にとどまった。
アサヒは総シェア38.1%、発泡酒依存率19.1%となり、6月の押し込みの反動で大幅に後退。上期の数字作り、他社の新製品発売の牽制のために行った押し込みによって、本来最も消費量が増えて人々が製品に接する7月の出荷量を抑えてしまうのはいかがなものか?ビールはスーパードライ、発泡酒は本生と単一ブランド集中戦略とは言いながら、あまりに数字作りに傾倒し過ぎており、本来の消費者の立場に立った企業のあり方に欠けるように感じる。今はいいが、近い将来消費者がそっぽを向かなければいいが。
サントリーは例年夏場は大手に押されてシェアを落としがちであったが、今年はシェア10.1%と10%台をキープした模様である。サントリーの佐治信忠社長は7月中旬にビール事業部の担当者に新製品開発を指示したという。モルツを中心としたビールのみのシェアは5%前後であり、「麦芽100%の特徴のあるモルツだけでなく、新製品の投入でシェアを向上する」(佐治社長)とか。さて、サントリーの戦略に注目したい。

2002年6月のビール会社動向

2002-7-11日経産業、日経。6月キリンは押し込みを止めた。サントリーの押し込みは許そう。しかし、アサヒの押し込みは許せない。6月のコメントはこれに尽きる。昨年の押し込み合戦の大混乱や今年の発泡酒の虚しい値下げ競争の反省が微塵も感じられない。アサヒは今さえ良ければいいのかと思いたくなる。アサヒは鮮度を売り物にしているが、こうして押し込まれた商品はどうなるのか?
というわけで昨年の6月が異常だったために今年と比較するのは避けたい。発泡酒の値下げ効果と新製品投入によって再び発泡酒比率は41.2%まで上昇した。アサヒは数字狙いの異常な押し込みの結果、シェアは44%(ビールは約50%、発泡酒は約30%)となった。サントリーはスーパーマグナムドライ、アド生の新製品効果で11%までシェアを伸ばした。サントリーの場合発泡酒比率は70%を超える結果となった。

2002年5月のビール会社動向

2002-6-13日経産業。5月のビール・発泡酒は前年同月比2.7%減の4679万7千ケースと2ヶ月ぶりのマイナスとなった。これは各社の熾烈な発泡酒の主導権争いが逆に市場に悪影響を及ぼしているとみる。ビールのみに限れば同10.3%減と発泡酒へ流れた分以上の減少となっており、安い発泡酒に流れた消費者はビールや発泡酒離れを起こしている兆候と言える。
発泡酒は同11.8%増で、キリンの「アラスカ」やサッカーW杯日本代表応援缶、サッポロの「きりっと新・辛口」などの新製品が 寄与。市場全体に占める発泡酒比率は39.4%と、過去2番目に高い比率となった。
アサヒは、スーパードライの減少が同5.4%にとどまっており、発泡酒の本生も好調を維持していることから、トータルのシェアは37.8%となり4月の落ち込みを回復した。一方、キリンやサッポロは発泡酒の新製品を順調に出荷し、両社ともまずまずと推定される。サントリーは3社の攻勢に押され気味でシェアも8%台に後退した。
・・・6月はいよいよ各社の出荷数量の公表月にあたる。昨年はキリンの見境のない押し込みで混乱したが、今年は健全な状態を望みたい。とはいえ、既に発泡酒の値下げ戦争が始まっておりめちゃくちゃになりそうな気配ですが。

2002年4月のビール会社動向

2002-5-16日経産業。4月のビール・発泡酒市場は、前年同月比0.6%増の4752万6千ケースと2ヶ月ぶりに増加した。ビールは 6.5%減とマイナスが続いたが、発泡酒はキリンやサントリーの新製品効果が寄与し、同16%増、全体に占める発泡酒比率は36.5%とこれまでで3番目に高い比率となった。
アサヒは3月末に発泡酒「本生」の10円引きキャンペーンを打ち切り、一時的に出荷を停止したため、本生の出荷は前年同月比22%減となったことが響き、スーパードライの落ち込みを抑えたもののシェアは34.5%に低下した。アサヒは、5月に本生をリニューアルして、夏戦略を整える。
サントリーは4月発売の「純生」の出荷が好調で、シェアは10%をキープした模様。サントリーは発泡酒の新製品ラッシュで見境なく攻めていく戦略をとっていく。
キリンはラガーが2ケタのマイナスになるなどビールの落ち込みが大きいものの、新発売の「淡麗グリーンラベル」の出足が好調で、シェアを一気に伸ばした模様。販売量のシェアは40%前後となって、アサヒを一時的に抜いた可能性あり。5月は夏期限定ビールで他社の攻勢をしのぐ狙い。
サッポロは相変わらず調子が悪い。シェアは15%を切っている可能性がある。またサントリーの足音が忍び寄ってきている状態。恐らくビールが散々な状態と予想。発泡酒も他社の攻勢に競り負けている。
・・・この時期、キャンペーンと新製品投入でシェアが大きく変動している。そんな中で確実に言えることは、各社の熾烈なシェア 争いが、自社のビールの出荷量を食いつぶしているに過ぎないということ。そろそろ気がついてくれないかなあ。

2002年3月のビール会社動向

2002-4-11日経産業。3月のビール・発泡酒市場は、発泡酒が各社の10円値下げ効果で大幅に伸びたものの、その反動でビールが前年同月比14.7%減となったことが響き、トータルでは3.1%減の4340万ケースにとどまった。発泡酒の割合は39.4%と異常が続いている。
アサヒは発泡酒の本生が前年同月比倍増と好調であったが、主力ビールのスーパードライは10.8%減となった。アサヒは今年に入って月ごとのシェアがジグザグとなる奇妙な動きをみせているが、これはお得意の押し込み戦術であり、他社の新製品攻勢を防御するために3月は相当押し込んだものと推定される。そのため見かけのシェアは41.5%まで上がった。
サントリーは2月に発売した爽快仕込が3月も好調であり、ビールの落ち込みをカバーして、シェアは10%台をキープした。
販売量を公表しているアサヒ、サントリー以外の3社の合計を見ると、シェアの合計が今年になって50%を割っていることがわかる。少なくともアサヒとサントリーの2社の好調に対し、他の3社、特にサッポロは低迷気味と見られる。

2002年2月のビール会社動向

2002-3-13日経産業。2月はサントリーが爽快仕込、キリンが極生、サッポロのファインラガーと新製品ラッシュに加え、アサヒも本生のキャンペーンを行ったことで発泡酒の出荷が大幅に伸び、発泡酒は前年同月比28.7%増となり、ビール・発泡酒市場における発泡酒の割合は43.5%と「異常」な数字となった。その効果で総出荷量も前年比3.5%増と2ヶ月ぶりの増加に転じた。新聞では「発泡酒が好調を維持」と表現しているが、「発泡酒バブル」といってもいいくらいの状態であり、決して健全ではない。
ビールはというと、前年同期比10%ダウンは、もちろんアサヒやサントリーも低迷しているが、特にキリンやサッポロの不振が足を引っ張っていると推定。
アサヒは本生のキャンペーンにより発泡酒は前年比41.5%増となった。この数字は昨年7月の販売量を上回っており、他3社の新製品の攻勢を阻むために、キャンペーンと「押し込み」で対抗したと推定される。・・・そんなに飲めるわけがありません。
サントリーは爽快仕込の期間限定の値下げ攻勢もあって、発泡酒率が上昇。シェアも一気に13%になった。・・・まあ一時的と考えられます。
・・・とにかく異常です。分析する気にもならないくらいです。コンビニでビールを買おうとしても選ぶ余地がなくなっている状態です。

2002年1月のビール会社動向

2002-2-14日経産業。1月は例年12月の反動で各社の出荷は落ちる。従ってあまり1月の内容であれこれ言うべきではないものの、発泡酒が前年比4割近い伸びで、ビールがガタ減りの現状は否定できない。ちなみに総出荷量は前年比2.2%減となり、その内発泡酒の割合は30.7%となった。各社とも新製品投入を発泡酒のみの投入しており当然の結果と言える。
アサヒは、昨年1月の販促キャンペーンの反動でスーパードライが18.5%減少したが、発泡酒の本生に支えられてビール・発泡酒合計の出荷は1.1%増加した。
サントリーはシェア7.8%とやや低迷。2月の新製品投入を控えて、在庫調整したものと推定。

2001年12月のビール会社動向

2002-1-17日経産業。12月はお歳暮シーズンと年度末の決済月であるため各社とも数字あわせを行う。今年は総出荷量は前年同月比5.3%増となった。これは今年の6月にキリンとアサヒが猛烈な「押し込み」を行いましたが、それを上回るものと推定される。 特にサントリーは例年になく押し込んだようで、12月単月のシェアは10.9%にまで上昇している。アサヒは例年この時期はあまり押し込みを行わず、今年も通常レベルと推定され、シェアは38%となった。まあ、ビール・発泡酒の合計の年間1位をほぼ確定していただけに余裕が感じられる。キリンは若干あきらめムードの中、恥ずかしくない数字にまとめたといったところ。サッポロは、上期に比べ下期はビール・発泡酒とも伸ばした模様。

2001年11月のビール会社動向

2001-12-13日経産業。昨年11月も出荷量は低迷したが、その昨年比0.8%減と 今年は更に落ち込んだ。発泡酒は前年比41%増となったが、ビールが12%減と低調であった。ビールは年末の贈答用の需要は出足が堅調なものの、飲食店向けなどの業務用を中心に、狂牛病問題や米同時テロの影響が長引き、販売減につながっているという。
アサヒビールは11ヶ月連続の伸びとなり、市場シェアは39.7%となった。グラフをみてもわかるように、発泡酒比率が下がると アサヒのシェアは増加している。これはアサヒの発泡酒でのシェアは約20%であるのに対しビールでのシェアは46%になっており、ビールへの依存度が高いことを示している。さすがにお歳暮は発泡酒でなくて、ビールを選ぶかな。
サントリーは、10月新発売のダイエットの反動で、シェアを落とす結果となったが、冬季限定発泡酒を発売するなど切れ目ない 発泡酒戦略でこの冬はシェアアップを狙っているといったところ。
キリンビールは毎年12月に超押し込みを実施し、数字作りをします。今年の6月の反省が生かされるかどうか、注目したい。

2001年10月のビール会社動向

2001-11-13日経産業。10月の出荷量は、前年同月比6.8%増の4325.2万ケース(1ケースは大瓶20本)となった。9月は 大幅に減ってしまったが、10月は営業日が1日多く、下旬の気温上昇も寄与、また各社の新製品の投入もあったため好調であった。 中でも発泡酒はサントリーの新製品「ダイエット」などが好調で、発泡酒の比率は9.5ポイント増の34.7%となった。
アサヒは、前年同月比13.4%増の1536.1万ケースとなり、10月としては過去最高の出荷となったが、総市場でのシェアは35.5%にとどまった。これは、サントリーを初め、他社の新製品投入やキャンペーンの影響によるものであり、ビール、発泡酒ともシェアは前月比下がっている。
一方、そのサントリーは、発泡酒の新製品が190万ケースと好調で、シェアは一気に11.5%まで上昇したと見られる。 また、キリンは発泡酒の新製品投入もあり、シェアをアップしたと予想。恐らく、アサヒから首位を取り返した模様。

2001年9月のビール会社動向

2001-10-12日経、日経産業。9月は台風上陸など悪天候に加え、9月中旬に米同時テロや狂牛病問題が発生した影響で飲食店向けが不調、ホテルの宴会などの自粛もあって、ビール・発泡酒の出荷は前年同月比10.2%の減少となった。なかでもビールは21.1%減であったが、発泡酒は22.3%増の伸び発泡酒比率は34.2%となった。
アサヒの出荷は前年同月比1.1%増となり8ヶ月連続の増加。シェアは40.4%と念願の40%台に到達した。ビールの低迷を発泡酒が補っている状態。
サントリーは前年比19%減と苦戦はしたが、市場全体の低迷もあって、シェア9%台を回復した。サントリーは、発泡酒の季節商品を投入して品揃えを増やし、市場でのシェアキープを狙う戦略の模様。
・・・こうして市場が冷え込んでくると発泡酒比率が増加します。不況でわざわざビールもどきの発泡酒を飲まなくてはならないなんて、非常に寂しい限りです。

2001年8月のビール会社動向

2001-9-13日経、日経産業。8月のビール・発泡酒の出荷は、東日本を中心に天候が不順だったものの「飲食店向けの樽製品やお盆時期の需要が堅調だった」(アサヒビール)こともあり、前年同月比3.7%増となった。発泡酒は42.2%増と好調だったが、市場全体に占める割合は28.4%と30%には届かなかった。
アサヒは、主力のスーパードライが前年同月比5.5%減にとどまり、発泡酒の本生も堅調であり、シェアはビールで44.5%、発泡酒は25.3%、トータルで39.4%とまずまずであった。コンスタントに40%台を狙いたいところだろう。
一方サントリーは、主力ビール、発泡酒とも前年比減となり、特にマグナムドライは8.1%減となった結果、シェアは8.6%まで落ち込んだ。昨年が10%を超えたことを考えると、低迷気味といえる。9月に業界初のキャッシュバックキャンペーンを実施して、出荷量アップを目指すとしている。・・・今月から出荷量のグラフを変更しました。これで少しわかりやすくなったと思います。異常の7月は、キリン+サッポロ+オリオンより、アサヒの出荷量が多かったんですね。8月は確かに業務用を中心としてビールの出荷がよかったようです。それもあって個人消費中心の発泡酒のシェアが28%程度になったとみています。まあ、せっかくのお盆は、発泡酒ではなくてビールにしたのでしょうか・・・

2001年7月のビール会社動向

2001-8-11日経、日経産業。7月は記録的な猛暑という追い風にもかかわらず、出荷量は前年同月比17.4%減という奇妙な結果と なった。これは、6月の出荷が過去最高の15.2%の伸びを記録した反動で、特にキリンの出荷が大幅に落ち込んだためと思われる。 グラフをみてもわかる通り、6月の出荷が異常に高いことがわかる。
そんな中でアサヒは、前年同月比4.3%の伸びを確保しており、シェアは45.7%まで伸びている。ビールのみでは51.2%のシェア、発泡酒のみでも30.8%となったが、あくまでも6月の反動が出ているので、市場の実態は反映していない。一つ言えるのは 7月に我々消費者は5〜6月のちょっと古いキリンビールをたくさん飲まされたということになる。
一方サントリーは、シェア9.6%と再び10%の壁にぶち当たっている。主力のモルツが前年同月比18.5%減、マグナムドライが同23.4%減と大手押し込みのあおりを受けている。発泡酒の風呂あがりの発売で切り崩しを狙っているが、多少の効果はあった模様。ただどうしても4番手という弱みでカキイレ時の夏場の苦戦が続いている。

2001年6月のビール会社動向

2001-7-12日経、日経産業。ビール大手5社が今年上半期のビール・発泡酒の出荷数量を発表した。ビールは昨年同期比10.0%減、発泡酒は52.8%増で合計では3.8%の大幅増となった。これはキリンとアサヒの激しいシェア争いの影響によるもので、ビール・発泡酒市場そのものはそれほど伸びてはおらず、市場の実態と乖離しているといえる。また発泡酒の市場全体に占める割合は32.2%であった。各社のシェアはキリン37.6%、アサヒ37.5%、サッポロ14.3%、サントリー9.7%、オリオン0.7%。
 キリンはラガーが14%減となったものの、一番搾りが1.3%増と盛り返しており、麒麟淡麗も12.4%増となった。グラフを見てもわかるが、6月の各社合計の出荷は大幅に伸びている(前年同月比15.2%増)が、このほとんどがキリンの押し込みと推定される。「シェア争いをあおりたくない」と各月の出荷量の公表を止めたキリンが自ら「数字作り」を行っているのはどういうことか?新社長の荒蒔氏の姿勢を疑いたくなる。
 そういうアサヒが健全かというと同じようなものではある。ただ、今年発売の本生は好調であり、発泡酒の中でも麒麟淡麗に次ぐ2位をキープしている。スーパードライは本生の発売の影響で7.9%減となりビール全体でも10.3%減となったものの、本生の出荷はビール減少分をはるかに上回っており、アサヒの発泡酒戦略はまずは大成功のスタートと言える。
 サッポロはビールが16.2%と5社中もっとも減少が大きかったが、今年発売した発泡酒の北海道生搾りが好調であった、ただ発泡酒が3銘柄(北海道生搾り、ブロイ、冷製辛口)に分散するため採算性を含め不安が残る。多品種生産のサッポロの体質から抜けきれていない。
 サントリーはビールの減少が3.3%止まりであり、しかも発泡酒はマグナムドライが7.3%増と依然堅調であることから、まずまずか。残念ながらシェアは10%を切ったが、ここ数カ月のキリンとアサヒの激戦下をしのげばシェアアップは期待できる。

2001年4月のビール会社動向

2001-5-16日経、日経産業他。4月のビール・発泡酒の出荷量は、ビールが前年同月比7.8%減、発泡酒が43.2%増となり、トータルでは3.9%増となった。市場全体に占める発泡酒の割合は31.6%となった。
アサヒは、前年同月比11%の増となり、シェアは37.6%。アサヒ本生は好調であるが、スーパードライは同7.3%減となっており、アサヒはその内5%相当分が発泡酒に流れたと見ている。
キリンは麒麟淡麗がプラスになったものの、ラガー、一番搾りがいずれも1ケタ台のマイナスになったと推定される。
サッポロは、黒ラベルは1ケタ台の減少であったがビール全体としてはプラスで、発泡酒は北海道生搾りが絶好調で発泡酒全体では 同約2倍の出荷と推定されトータルでも同2ケタ増となった。
サントリーは、ビールがモルツスーパープレミアムの新発売でほぼ前年同月並の出荷となり、発泡酒もマグナムドライがプラスとなった。その結果シェアは9.8%(推定)となった。
・・・サッポロは前年の今頃はまったくさえない時期であったため、やっと上向きに転じてきたというところ。サントリーはアサヒの 発泡酒攻勢にもかかわらずシェアがほぼ10%をキープしており善戦といえる。サッポロの数字が確定しないためあくまでも推定であるが、シェアはアサヒ37%、キリン35-36%、サッポロ17-18%、サントリー10%というところか。

2001年3月のビール会社動向

2001-4-12日経他。ビール・発泡酒の出荷量は、トータルでは前年同月比約5%の伸びであったが、ビールは4.8%減、発泡酒はなんと45%増という対照的な結果となった。市場全体に占める発泡酒の割合は27%となった。これは2月発売のアサヒ本生が依然好調な上、麒麟淡麗も堅調、サッポロは新製品「北海道 生搾り」投入の効果があったものと見られる。
唯一出荷数量を公表しているアサヒは、シェアを37.7%まで伸ばしており、キリンを抜いて首位に立ったと推定される。これは、ビールの出荷が前年同月比並をキープ、ビール全体の45.6%となり、一方2月発売の発泡酒は195万ケースを出荷し、発泡酒全体の16.1%を占めたことによる。
この1ー3月でみると、アサヒのシェアは38.5%、サントリーは9.9%となった。サントリーはアサヒの発泡酒発売の影響を最小限に食い止めたと言える。・・・キリンやサッポロがちゃんと公表してくれないので、分析が大変です。上記数字はいくつかの情報源から推定した数字ですが、概ね合っていると思っています。

2001年2月のビール会社動向

2001-3-6日経、3-13 日経、日経産業。ビール・発泡酒の出荷数量は前年同月比1.1%増と、昨年8月以来6ヶ月ぶりにプラスに転じた。これは、ビールは13.7%減少したものの、発泡酒はアサヒの新規参入によって48.6%伸びたため。市場全体に占める発泡酒の割合は35.0%とこれまでの最高だった25.2%を大幅に更新した。アサヒは新規参入の発泡酒「本生」を331万9千ケースを販売。アサヒを除く4社の合計も6.1%伸びた。2月単月のアサヒの発泡酒シェアは28.6%と初登場でサントリーを抜きキリンに次ぐ2位となった。ただ、アサヒは発泡酒の反動でスーパードライは5年7ヶ月ぶりに二ケタ(約13%)減少し、ビール・発泡酒全体でのシェアは37.3%(推定)にとどまった。・・・2001年より、キリン、サッポロ、サントリー、オリオンが出荷数量の公表を避けているため、今回より添付のグラフで紹介することにしました。「ビール・発泡酒出荷量」のグラフは、総合計、アサヒのビール・合計発泡酒、アサヒ以外4社のビールおよび発泡酒を示します。また、「アサヒシェア・発泡酒割合推移」のグラフは、ビール・発泡酒市場における、アサヒのシェアの推移と、5社合計の発泡酒の割合を示します。「本生」の新発売で市場の1/3以上が発泡酒になりましたが、これも「ゆるやかなデフレ」の反映でしょうか。とすれば、あまりよろこばしいことではなさそうです。

2001年1月のビール会社動向

2001-2-14 日経。ビール酒造組合(会長・佐藤安弘キリンビール社長)と発泡酒連絡協議会(同)は大手5社のビール・発泡酒の出荷数量を発表した。両団体が出荷数量を公表するのは初めて。1月分からアサヒを除く4社が酒税の課税ベースの出荷数量の公表を中止したため、両団体が毎月各社の合計数量を発表する形に改めた。1月は前年同月比14.4%減となり、5ヶ月連続で減少した。これは昨年の麦芽100%ビール発売や大型キャンペーンの反動。内訳はビールが同19.3%減、発泡酒が同9.6%増。唯一数値を公表しているアサヒはビール・発泡酒合計のシェアは41.4%、ビール単体では52.7%の市場シェアとなった。ビールの主力ブランドはキリン「ラガー」、サッポロ「黒ラベル、サントリー「モルツ」がいすれも二ケタのマイナスとなり、各社とも好調な発泡酒と低迷するビールで明暗を分けた模様。

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