主要ビール会社動向

2000年12月の主要ビール会社動向

2001-1-16 日経産業。12月のビール・発泡酒の出荷も11月に引き続き前年同月比を下回り、4ヶ月連続減となった。発泡酒の市場構成比は21.4%であった。キリンは12月恒例の「押し込み」がなく前年同月比8.5%の大幅減となった。アサヒは昨年より0.1%とわずかではあるが量を伸ばし、例年キリンに引き離された12月の差を最小限にとどめた。サッポロはビールの落ち込みを発泡酒がカバーし、シェア16%近くまで伸ばした。サントリーは発泡酒は伸びたもののビールの落ち込みをカバーしきれなかった。・・・非常に低調な月であったという印象です。

2000年11月の主要ビール会社動向

2000-12-13 日経。11月のビール・発泡酒の出荷は、前年同月実績を1.1%下回り、3ヶ月連続減となった。昨年はミレミアム商品に対する需要で伸びたこともあり、今年はその反動も予想されたが、ビールは21世紀の記念商品や歳暮ギフトの投入があり、また発泡酒も好調で微減にとどまった。発泡酒の市場構成比は21.5%で54ヶ月連続して伸びた。
キリンは「一番搾り」や「21世紀ビール」が好調だったが、「ラガー」が低迷。
アサヒは例年11月は歳暮や業務用を中心に伸ばしてキリンの出荷に迫っていたが、今年も逆転はならなかった。
サッポロは「黒ラベル」の出荷は伸びなかったが、発泡酒に支えられてシェア15%をキープ、長期の低落傾向にどうやら歯止めが打たれたと言える。
サントリーはやや伸びが止まってきたが、11月もシェア10.3%となり年間で初めて二ケタのシェアを確保する見通しとなった。
・・・市場全体としては長期の低迷状態が続いており、シェアも膠着状態となっている。来年2月にアサヒが発売する発泡酒が起爆剤になるかどうか。各社の対抗に期待したい。

2000年10月の主要ビール会社動向

2000-11-14 日経。10月は天候不順の影響でビールの出荷は軒並みマイナスとなった。総出荷量は4051万5千ケース(前年同月比4.3%減)。そのうちビールは同8.7%減となったが、発泡酒は同11.9%増となり、市場構成比は過去最高だった今年9月の25.1%を上回り、25.2%となった。
キリンはラガーなど主力ブランドが減少、アサヒはスーパードライが微減となり、4ヶ月ぶりにマイナスに転じた。グラフの通り、キリンとアサヒの出荷量はなかよくほとんど同じ傾向で推移してきている。
サッポロはビールのシェアが前月の13.5%から16.1%に上昇している。サッポロは冬季限定の「冬物語」の出荷が始まるため、毎年この時期は出荷量が落ち込まないためである。発泡酒もまずまずであるためトータルシェアも16%以上に回復した。
サントリーは発泡酒のマグナムドライが好調に加え、季節限定の「冬道楽」が54万ケースを販売。トータルシェアは12.0%まで上昇した。
・・・この半年の傾向を見ると、キリンは横ばい、アサヒはこれまでの伸びが止まって発泡酒の包囲網にやや押され気味、サッポロは回復傾向、サントリーは好調に伸びてきると言える。今年は、サントリーを除いて各社とも戦略の見直しを迫られたと言える。メーカーが新たな消費を喚起できなかったということに尽きる。

2000年9月の主要ビール会社動向

2000-10-13 日経。9月は大雨の影響や飲食店需要の低迷で総出荷数量は3ヶ月ぶりに前年同月比を下回った。ビールは前年同月比4.7%減ったが、逆に発泡酒は同17.0%伸び、発泡酒の市場全体に占める割合が初めて25%を突破(25.1%)した。
キリンはここ4ケ月ほどはシェア38%で横ばい状態。ビールの低迷を発泡酒が支えているようだが、浮上のきっかけがつかめていない状況。
アサヒは9月は例年通り「押し込んだ」ようだが、それでも発泡酒の攻勢に伸びが鈍ってきている。
サッポロもキリンと同様ビールの低迷が響いている。発泡酒主体のサントリーは時勢に乗っているというところで、
予想通り秋になってシェアを伸ばしてきた。
・・・新聞では「発泡酒の人気が根強い」との表現をとっていたが、「発泡酒でもよい」という嗜好に変わってきたのと、やっぱり「安い」からということが大きなポイントでしょうね。ちょっとさびしい気がします。

2000年8月の主要ビール会社動向

2000-9-13 日経、日経産業。8月も暑さの影響で出荷は安定したが、トータルでは前年比0.7%増にとどまった。発泡酒は7月に続き好調だったもののビールの出荷が落ち込んだことによる。結果的にはアサヒを除く大手3社は前年比割れとなった。
キリンは一番搾りがほぼ前年並み、発泡酒の麒麟淡麗が10%増となったものの、ラガーが13%減となった。7月のがんばりでちょっと息切れしたか。
アサヒはスーパードライが8月としては過去最高を記録。家庭用の缶が5%、業務用樽で9%と好調。ただどうしても他社の発泡酒の壁を崩せない状況。
サッポロはビールが不振だが、2枚看板の発泡酒は好調でシェア15%台をキープしている。ところで、このサッポロの状態が、今のビール業界の縮図になっているような気がしてきた。
サントリーはサッポロとは対照的にビールは堅調、発泡酒も秋限定品が計画以上を達成するなど好調で一月でシェア10%台を回復した。

2000年7月の主要ビール会社動向

2000-8-11 日経、日経産業。7月は全国的な猛暑が追い風となり出荷総量は前年実績に比べ2.2%増えたが、その中でビールは不振、発泡酒は絶好調という結果となった。
キリンは一番搾りが業務用で堅調だったものの、ラガーの低迷はつづいている。発泡酒の麒麟淡麗は依然好調であり、例年苦戦してきた7月であったが、今年は踏ん張れた。
アサヒはスーパードライが2170万ケースと過去最多の月間販売量を記録したものの、他社の発泡酒の伸びに押されて、首位奪取の夢は断たれた。アサヒは例年8月のシェアが落ちるが、この猛暑がどう影響するか?
サッポロは、発泡酒の冷製辛口が好調に伸びた。冷製辛口は5月の発売以来好調であり、サッポロの低落傾向をなんとかくい止めているという感じ。従って相変わらずビールの不振は変わらず、唯一エビスビールが堅調以外は黒ラベルは低迷、新発売したグランドビアも絶不調状態。
サントリーは、発泡酒マグナムドライが好調であり、同社のビール・発泡酒の出荷数量としては月間最多を記録した。ただ、出荷数量が伸びる夏場は他社に押されてどうしてもシェアは落ちてしまい、半年ぶりにシェア10%を割った。ただ、秋には盛り返すと予想。
・・・7月の傾向はちょっと意外は結果となった。暑ければ何でもおいしく感じるわけだし、それなら安い発泡酒で十分ということかな。それにしても今年の初めに各社がこぞって出した麦芽100%はいずれも不振に終わりそうな気配。

2000年6月の主要ビール会社動向

2000-7-13 日経。6月のビール・発泡酒の出荷は昨年比2.9ポイント減でやや低調。キリンは、主力ビールの不振でシェア38.6%にとどまっているが、前月の弊指摘の通り、5月の出荷増の影響も考えられる。更に、これは7月の出荷にも影響するだろう。
アサヒの出荷量は昨年同期比より2.4ポイント減となったが、シェアは36.0%とキリンに迫ってはいる。例年7月に攻勢をかけるアサヒは、昨年はキリンにあと一歩のところで首位奪取ができなかったが、今年はその最後のチャンスかもしれない。スーパードライの頭打ち傾向は明らかな状況。
サッポロは、シェア14.8%とここ4ケ月は15%を割っており、どうしても浮上の兆しが見えない。新製品の効果はあるものの、主力の黒ラベルが落ち込みが埋められていない。
サントリーは、やや伸びが鈍ってきているものの、しっかりとシェア10%をキープした。マグナムドライの大キャンペーンの効果が7月にどう出るか楽しみ。
2000年上半期をみると、今年は「本物のビール」ということで各社がこぞって麦芽100%ビールの新製品を出したものの消費者の嗜好をつかみきれず、逆に発泡酒比率が21.9%まで上昇するという結果となった。そんな中でサントリーが着実に出荷量およびシェアを伸ばしてきており、いよいよ悲願のビール部門の黒字化も実現しそうなところまできている。

2000年5月の主要ビール会社動向

2000-6-13 日経、日経産業。総市場に占める発泡酒の構成比率は24.1%と過去最高となった。 例年5月は4月に比べ出荷量が落ちるが、その中でサッポロの発泡酒の新製品がそのまま数字の 増加に寄与したと言える。新聞の見出しは「発泡酒比率最高」と出ていたが、それほど驚くべきことではない。
前述の通り各社が出荷をしぼる5月にキリンだけが、ビールの出荷を伸ばしている。主力のラガー、一番搾りともわずかではあるが4月より出荷を増やしており、特に新製品の「素材厳選」の伸びが4月のほぼ倍増に近くになった。この数字に関してはコメントは控えるが、6月にどう影響するか興味がある。
アサヒはここ2ケ月間低迷。新製品のスーパーモルトは予想通り伸びておらず、スーパードライも昨年比では約1%の伸びを示しているが、やや他社におされ気味。
サッポロは、低迷状態を打開するために急遽発売を決定した発泡酒「冷製辛口」が大きく寄与した。 特に、通常新製品の発売によって、既存製品の出荷が落ちるが、今回「ブロイ」はほとんど落ち込んでおらず、このサッポロらしくないやり方は非常に評価できる。サッポロは「初めはいいが、次がつづかない」ジンクスがあり、今度は是非これも打破してほしい。
サントリーは、キリンやサッポロの影響は多少受けたものの、ビール、発泡酒とも堅調であり、完全に10%以上のシェアはキープできる実力をつけたといってよい。

2000年4月の主要ビール会社動向

2000-5-16 日経、日経産業。4月のビール・発泡酒の総出荷量は前年比6.7%減で、昨年12月以来4ケ月ぶりに前年実績を下回った。暦の関係で昨年に比べメーカーの営業日数が減っていることに加え、5月の大型連休前の駆け込み需要が減ったことが響いた。
キリンは昨年同月に実施したキャンペーンの反動が大きく響き、前年同月比15%減。特にビール部門は、主力ビールがいずれも大幅減、新製品の「素材厳選」も起爆剤にはならず、3月よりも出荷量を減らした。
アサヒは主力のスーパードライが缶製品、樽詰め製品ともまずまずでシェアは35%台をキープした。
サッポロは重傷。主力の黒ラベルが飲食店向けの業務用を中心に不振。新製品の「グランドビア」も需要喚起が十分でなく、既存製品の落ち込みを補えなかったため、主要4社の中で、唯一3月より出荷量が落ち、シェアも13.6%にまで落ちた。
サントリーは順調。発泡酒の「マグナムドライ」が好調なだけでなく、リニューアルした麦芽100%のモルツも順調。シェアも11.4%に上げ、不振のサッポロに2.2ポイントまで迫った。同社は5月下旬から、マグナムドライの大キャンペーンを予定しており、この夏に一気に勝負をかける。
出荷数量を公表していない宝酒造は、発泡酒「canチューハイサワー モルト」の4月の販売実績は35万ケース(1ケースは350ml缶24本)で、大瓶換算で23万2千ケースで、オリオンビールの約2/3の数量となった。
・・・麦100%ビールについては、サントリーの一人勝ちの様相です。残り3社はあまりにもすっきり味を強調しすぎたかなっていうところです。サッポロの不振は、以前からの指摘のとおりですが、 大口の業務用とコンビニ関係に弱いことが挙げられます。まあこの辺りは新社長もご存じのはずでテコ入れをしていると思いますが・・・

2000年3月の主要ビール会社動向

2000-4-13 日経産業。ビール市場全体では、98年1月以来の2年2ケ月ぶりに前年実績を上回った。これまで、発泡酒におされてビール市場自体は低迷していたが、今年になって各社が麦芽100%を中心としたビールの新製品を投入した効果といえる。
なかでもキリンは3/30に「素材厳選」を発売し、また一番搾りも盛り返しており、依然好調の発泡酒もあって、アサヒを突き放した。「素材厳選」は4月が本格立ち上げであることから、この好調さは4月も続くと予想される。
アサヒはスーパードライがまずまず。業務用の樽詰めや家庭向けの完成品のいずれも好調をキープしている。ただ、キリンの攻勢を受けていることもあり、4〜5月は堅実に出荷を狙う模様。勝負は新製品が落ちつく6月以降になりそう。
サッポロは大手4社の中で、唯一ビールでもビール・発泡酒の合計でも前年実績を下回った。新製品は出したものの、主力の黒ラベルの低迷が響いた。・・・どこかやり方が下手なんでしょうか?
サントリーはモルツやマグナムドライが依然好調で、シェアも10%をキープしている。
宝酒造は3月に発泡酒に参入しており、出荷数量は公表していないが、販売実績は25万ケース(1ケースは350ml缶24本)になったとしている。

2000年2月の主要ビール会社動向

2000-3-14 日経産業。ビール・発砲酒の総出荷量は前年同月比0.4%増で、3279.9万ケースとなった。大手4社の中では、キリンだけが前年同月比を下回った。キリンは、ラガーが不振の上、「バドワイザー」を国内生産に切り替えたため、輸入ビールが大きく落ち込んだ。3月末に新製品を発売するのを控え、在庫調整したことも影響した。
アサヒは、スーパードライが依然好調で、特に飲食店向けの樽生ビールが伸びた。
サッポロは主力の黒ラベルの落ち込みを、2月に発売したグランドビアがカバーした。発砲酒は「価格引き下げ競争に加わらない」(同社)との方針もあって、落ち込んだ。
サントリーは1月にモルツの出荷が急増した反動でビールが減少したが、マグナムドライが好調で全体を押し上げ、シェアも11%を越えた。・・・今はどうこう言えないが、各社の新製品が出そろった4〜5月の動向で夏が決まるといっていいでしょうか。その中でも、当初の予想通り、サントリーの勢いが止まらないっていう感じです。もし、サッポロのグランドビアが伸び悩んだ場合は、サントリーがかなりサッポロに迫ってくると思います。サントリーの2001年黒字化も現実味が出てきます。

2000年1月の主要ビール会社動向

2000-2-11 日経。2000年スタート。暖冬に加え、年初から各社の販売促進活動が寄与し、96年7月以来3年6ケ月ぶりに全社が前年実績を上回った。アサヒはキリンの出荷が落ちる1月に新製品スーパーモルトを投入して、シェア奪取を狙ったが0.3ポイント差で逆転はならなかった。キリンは発泡酒が好調、一番搾りも9ケ月ぶりに前年実績を確保、総市場でのシェアは昨年6月以来7ケ月ぶりに40%の大台に乗った。サッポロは低迷していた主力ビール黒ラベルがテレビCM効果(あの卓球のやつです)などが表れ、97年10月以来2年3ケ月ぶりに前年実績を超えた。サントリーは発泡酒のマグナムドライが好調。2月発売の新「モルツ」のリニューアル製品出荷も加わり、5社で唯一、前年同月比でシェアを上げた。・・・12〜1月は期の変わり目で出荷量自体は変動が激しく、単純に単月の数字だけで判断しない方がよいが、各社の2000年の意気込みを占う材料にはなる。品揃えのキリンか、一品種集中のアサヒか、素材のサッポロか、マーケットのサントリーか。さて今年笑うのはどこでしょうか。

1999年12月の主要ビール会社動向

2000-1-18 日経産業、日経。キリンは12月恒例の押し込みにより11月に比べシェアを持ち直し、40%台にもどした。99年全体をみると発泡酒は伸びたものの、ラガーや一番搾りの落ち込みを完全にはカバーしきれなかった。アサヒは、12月としてはまずまずの出荷といえる。1月は業界全体としては出荷が落ちるため、新製品のスーパーモルトを投入して、ビール・発泡酒市場でのシェア40%以上の確保と奪取を狙っている模様。サッポロは踏ん張りどころ。なんとか15%のシェアを確保しているが、サントリーの足音が聞こえてきている。そのサントリーはマグナムドライが好調で年間シェアも9.1%といよいよ10%台への飛躍が期待される。

1999年11月の主要ビール会社動向

1999-12-11 日経。11月はミレニアム(千年紀)を記念した各社の関連商品(サッポロ「2000年記念限定醸造<生>」、サントリー「ミレニアム生ビール」など)が前年実績を約3%引き上げる効果を生み、2ケ月ぶりに前年同月の実績を上回った。キリンは主力ビールのラガー、一番搾りが前年割れとなった。アサヒはスーパードライが業務用樽詰め製品、缶製品とも好調で、ビールのみでのシェアを伸ばした。サッポロは黒ラベル等の低迷が響いた。サントリーは大手4社の中では唯一前年同月比シェアを伸ばした。
・・・・・サントリーは11月もシェア10%をキープしており、安定感が出てきた。アサヒが予想通り出荷量を伸ばしており、キリンのシェア37.7%に対して、35.9%と1.8ポイント差まで縮めた。12月はキリンが押し込み、アサヒは抑えると予想するが、1月はキリンの出荷が減るのに対して、アサヒは麦100%の新製品投入を予定しており、ビール・発泡酒合計での首位奪取を狙うだろう。

1999年10月の主要ビール会社動向

1999-11-12 日経、日経産業。10月の出荷は前年同月比4.6%減となった。これは暦の関係で営業日数が前年より2日少なかったことに加え、上中旬の天候不順が影響したという(・・・本当か?)。ただ発泡酒の構成比率は21.6%と9月に続き2割を越え好調。
キリンは、主力ビールのラガー、一番搾りが不振だったが発泡酒 麒麟淡麗<生>がプロモーション効果などで伸び、38〜39%のシェアを維持した。アサヒは、シェアは伸びたものの、38ケ月ぶりに出荷数量が前年比割れとなった。サッポロは、冬季限定の冬物語の出荷のため、9月よりシェアは伸びてはいるが、主力の黒ラベルや発泡酒ブロイは低迷気味。上位3社に比べ、好調なのがサントリーであり、6月以降5ケ月連続シェアを伸ばし、ついに10%の大台に乗った。これは発泡酒のマグナムドライの影響が大きい。
・・・・・日経には「アサヒ、38ケ月ぶり前年割れ」の見出しが大きく出ていたが、業界からみればそれほど大きなニュースではない。アサヒが例年9月、11月に「押し込み」(特約店などの倉庫に押し込むことで出荷数量をプラスにすること)をやっていることは明らかであり、10月はその谷間になり、出荷量を抑えている。ただ、アサヒにしてみれば新製品WiLLの出荷延期が響いて、当初のもくろみより出荷量が低くなったのは事実であろう。それからなんといっても堅調なのはサントリーである。じわじわとシェアをアップしてきたところにマーケティング力を感じる。さて、サッポロにおいつくのも時間の問題か。

1999年9月の主要ビール会社動向

1999-10-14 日経。9月は全国的に厳しい残暑が続いたことが影響し、大手4社は97年3月以来 2年6ケ月ぶりにそろって前年同月比でプラスとなった。なかでも発泡酒の伸びは大きく、市場に 占める割合は21.4%と初めて20%台にのった。
キリンは麒麟淡麗<生>は発売以来の出荷数量が30億本を突破、不振が続いていた主力のラガーが家庭向けの缶製品で少し回復した。アサヒは例年通り9月の出荷は多くビール単独のシェアで45.2%、発泡酒を合わせた市場でも35.5%とキリンの39.4%に迫る勢い。サッポロはブロイが堅調であったものの、黒ラベルなど主力ビールの落ち込みが大きかった。サントリーは依然マグナムドライが好調であり。またモルツもキャンペーン効果で伸びた。このため、サントリーのシェアは 9.95%と念願の10%直前になり、サッポロとの差は最小の4.3ポイントまで縮まった。

1999年8月の主要ビール会社動向

1999-9-11 日経等。キリンは「猛暑になるとにらんで、7月中にビールの在庫を増やしたが、予想外に売れ行きが芳しくなかったため、出荷が落ちた」と説明。西日本の天候不順も響いた模様。新聞ではキリンの一人負けの見出しが目立ったが、グラフを見てもわかるとおり、確かにシェアは39.2%と40%を切ったが、予想通り7月のシェアの落ち込みは回復しており、7月の作りすぎと西日本の長雨の影響と考えて良い。アサヒは、これも予想どおり7月に比べシェアを落としたが、キリンの誤算もあってその低下は小幅にとどまった。サッポロはビール単独でも3ケ月間シェアを伸ばしており、ブロイの好調もあってまずまず。サントリーはマグナムドライが絶好調でシェアも9.9%と悲願の10%目前まで来ている。

1999年7月の主要ビール会社動向

1999-8-13 日経。キリンはラガー、一番搾りともに減少、中元ギフトも前年同月比12%減と落ち込んだが、発泡酒が好調を維持しており、シェア38%と首位をかろうじてキープした。アサヒはスーパードライが業務用樽詰め製品で前年比8%増、中元でも1370万セットと過去最高の見通しとなったが、シェアは36.8%で7月攻勢による首位奪取はならなかった。先月の私の予想では37-8%が狙い目としたが、今一歩届かなかったというところ。アサヒは例年8月は反動で出荷量が大幅に減少することから、これでキリンは一安心かな。

 日経では、「サッポロは不振」となっているが、確かに長期的には低迷しているものの7月はシェア14.8%となんとか踏みとどまったといえる。サントリーは発泡酒のマグナムドライが好調で同社のビール・発泡酒の月間出荷量で過去最高となった。シェアは9.6%と念願の10%間近。

1999年6月の主要ビール会社動向

1999-7-10 日経。5−7月は例年アサヒはシェアを伸ばしてきており、今年も6月まではほぼ順調にきている。発泡酒込みのシェアで35.8%であり、7月は37−8%を狙うであろう。キリンは、アサヒの攻勢にビール部門の打撃は大きいが、発泡酒で踏みとどまりシェアもなんとか41%程度をキープしている。とにかく両社の決戦は7月! おそらく担当者は7月の気温が上がることを祈っているでしょう。
 この2強に対して、サッポロはやや低迷。ビールの主力の黒ラベルが伸び悩んでいる。サントリーは発泡酒の新製品マグナムドライが好調なこともあり5月の落ち込みを回復した。

1999年5月の主要ビール会社動向

1999-6-12 日経。5月も低迷。業界全体では3月連続で前年実績を下回った。5月は暦の関係上、前年に比べ出荷日数が1日少なく、また上旬の大型連休により都市部の飲食店を中心に業務用が振るわなかった。更に月間の平均気温が平年を1度程度下回ったことや、チューハイ市場で発泡酒より安い新製品の投入が相次いだことも影響した模様。従って拡大基調が続いていた発泡酒は前年同月比36%増と伸びがやや鈍化し、ビール・発泡酒市場でのシェアは18.7%と4月よりやや落ちた。
 キリンはキャンペーンが製造ベースで4月に終了した反動からラガーや一番搾りはともに2桁減となった。ただ、アサヒの攻勢に対して意外と踏みとどまったとも言える。アサヒはスーパードライが1465万ケースと5月としては過去最高。家庭向けの缶製品を軸に数量を伸ばした。もう少し伸ばしたかったと思うがビール全体の頭打ち傾向が響いた。例年、アサヒは春から夏にかけてシェアアップを狙っており、だんだん暑くなってくる6月、中元シーズンの7月が見物。サッポロとサントリーはそれなりに頑張っているが共に苦戦している。巻き返しのシカケが必要なところ。

1999年4月の主要ビール会社動向

1999-5-14 日経。4月は花見シーズン需要が期待されたが、週末に雨天が重なった事などから、全体の出荷は3月に引き続き前年を下回った。このうち発泡酒は拡大基調でありビール・発泡酒市場での構成比は19.5%となった。
キリンは、キャンペーン効果で家庭向けが拡大。「一番搾り」が増加、「ラガー」も缶製品については前年を上回った。シェアは42.9%と3ケ月ぶりに40%台を回復した。アサヒは「スーパードライ」が4月としては過去最高、特に樽詰め製品の伸びが大きく業務用で強さをみせた。ただ例年アサヒは年度末の3月に頑張りすぎて4月は落ち込む傾向があるのに加え、今回はキリンのキャンペーンの余波をまともに受けたためシェアは32.6%に落ち込んだ。サッポロはビール、発泡酒とも低迷気味で主要4社では最も苦戦している。サントリーはビールも発泡酒も防戦一方だがなんとか踏みとどまっている。
・・・4月はキリンのキャンペーンにつきる。これはアサヒの2月のキャンペーン対抗であった点やそのやり方が流通段階に混乱を招いた点など問題は多かったが、出荷量を一時的に伸ばすという意味ではアサヒのそれよりも効果的であった。5月以降にその反動がくるとは思うが。

1999年3月の主要ビール会社動向

1999-4-14 日経。3月は天候不順の影響で全体の出荷量は前年同月比0.2%減の4182万2千ケース(1ケースは大瓶20本)と6ケ月ぶりに前年同月実績を割り込んだ。キリンはビール券を送るキャンペーン効果でラガー、一番搾りの主力ブランドがそれぞれ前年同月比0.8%増とほぼ1年ぶりにプラス。発泡酒も拡大した。シェアは39.1%とじわじわと40%復帰に近づいている。ただキャンペーンはビール部門のシェア低下の歯止めにはなっていない。アサヒはシェア35.3%と維持はできたが、1、2月のキャンペーン終了とキリンのキャンペーンの影響で今一つ伸ばせなかった模様(本来3月は頑張らねばならない月でしたが・・)。サッポロは新聞記事では苦戦と言われているが私独自の分析では、今年になって特にビール部門が持ち直してきているように見受けられる。シェアは1月12.2% 2月15.9% 3月16.4%と回復基調にある。サントリーは2〜3月と苦戦が続いている。

1999年2月の主要ビール会社動向

1999-3-12 日経。キリン、サッポロ、サントリーが発泡酒拡販に力を入れた結果、総市場に占める発泡酒の比率は19.9%まで上昇した。ちなみにメーカーごとの発泡酒比率は、キリン25.4%、サッポロ27.6%、サントリー56.2%になっている。従って、ビール部門ではアサヒは43.3%と独走態勢。ビール券を贈る大規模な販促策も貢献した。ビール・発泡酒合計ではアサヒは34.7%。キリンは麒麟淡麗<生>の販売がとうとう一番搾りを上回っており、ビール部門のマイナスが響いておりシェアは38.5にとどまった。サッポロはシェア15.9%でこんなものでしょう。サントリーは発泡酒の新製品「麦の薫り」を発売したもののビールの不振が足を引っ張っている。

1999年1月の主要ビール会社動向

1999-2-13 日経、2-14日経産業。キリン、アサヒが伸ばし、下位3社は苦戦であった。キリンはラガー、一番搾りが不振であったが端麗<生>と新発売のラガースペシャルライトでシェア41.5%(ビールのみ37.9%)であった。アサヒはスーパードライの瓶(スタイニーを含む)と業務用樽詰めが好調。新発売のビアウォーターも「予想以上の出荷」(42万ケース)。シェア40.2%(ビールのみ46.5%)と発泡酒込みのシェアで初めて4割を超えた。サッポロは季節限定ビールの発売を見送ったことや黒ラベルの不振で大幅減となった。サントリーはモルツとスーパーホップスともリニューアル時期の在庫調整で出荷を抑えたことから大幅減となった。・・・アサヒのシェアが4割を超え、キリンに肉薄していることから、ちまたでは「発泡酒込みでもアサヒがキリンを抜くかも」といった声があるが、まずそれはないでしょう。グラフをみると12月と1月の出荷は特別です。例年キリンは12月に出荷を伸ばし1月は抑えます。アサヒはその1月に押し込みますので、むしろ1月はキリンがよく頑張ったといってもいいでしょう。従って、キリン優勢は当面変わらないと思います。

1998年の主要ビール会社動向まとめ

1999-1-13 日経。アサヒはビール部門では45年ぶりに首位となった。80年台からの推移を振り返ると、アサヒはどん底からスタートし、スーパードライの発売で息を吹き返し、90年台にはいって鮮度を売りにさらに伸ばしてきた勢いが分かる。2番目のグラフは96年以降に発泡酒のデータを加えてみた(95年以前は未入手です)。これをみるとキリンがアサヒにどんどん食われてきたものの、昨年の発泡酒の発売がそれをかろうじてくい止めたことがわかる。サッポロは長期にわたって減少傾向であり、昨年は前年に比べ2ポイントも減らした。これを99年は発泡酒でどこまで挽回できるだろうか。サントリーはビール、発泡酒とも健闘したといえる。早くから発泡酒に目をつけてきたわけで、昨年の「発泡酒の嵐」もうまく乗り切ったというところか。

1998年12月の主要ビール会社動向

1999-1-13 日経。12月は各社とも出荷量は多く、特に押し込み(?)はキリンのお家芸。キリンは発泡酒の出荷が増えているが、意外とビールも伸ばしている。アサヒは例年12月はセーブ気味だったが、98年は何としてもビール部門の首位を狙うため頑張った模様。サッポロやサントリーも発泡酒を伸ばしており、いずれもシェアをキープした。スーパードライと発泡酒の競争ということは数字の上からも明らかであり、99年はこれがどちらにシフトするか、それとも新たなビールが登場するか楽しみ。

1998年11月の主要ビール会社動向

1998-12-12 日経。11月は全体としては昨年同月比3.2%増でまずまずであったが各社別にみるとそれほどいい状態とは言えない。キリンは今年前半は発泡酒効果で順調にシェアをキープしていたが、後半に入ってビールの低下が大きくじり貧状態。アサヒはいつみても奇妙であるが、秋以降得意の押し込み作戦でじわじわとシェアを伸ばそうとしているが、これもやや頭打ち状態。まあ、ビール単体では年間シェアトップは確実で実に45年ぶりだとか。サッポロは10月のブロイの発売で長期低落傾向をなんとか押し止めたというところ。サントリーは、なんとか踏みとどまっている状態でなかなかシェアが伸びていない状態。従って、4社ともやや欲求不満のたまった状態ではないだろうか。

1998年10月の主要ビール会社動向

1998-11-14 日経。10月は暖かかったことでビールの出荷は増えた。キリンは発泡酒の麒麟淡麗<生>が好調でビール+発泡酒市場で39.8%のシェア、1ー10月累計でもアサヒに6.1ポイント差の40.3%で首位をキープ。アサヒはスーパードライは好調に伸び、ビールのみでは年間首位を確実にした。ただなぜアサヒはシェアが各月の推移がギザギザ状になるのでしょうか。サッポロは黒ラベルは低調で冬季限定ビールの発売時期をずらした影響でビールは不振だったが、発泡酒ブロイは好調。サントリーはモルツ、スーパーホップスともまずまずとなった。

1998年9月の主要ビール会社動向

1998-10-14 日経、日経産業新聞。全体に占める発泡酒比率は14.8%と最高。中でもキリンの麒麟淡麗<生>は好調で、432万ケース(大瓶20本換算)と一番搾りの460万ケースに近づいた。その反動かラガーや一番搾りは減少。アサヒは、はっきり言ってスーパードライだけになってしまった。スタイニーの全国発売で更に伸ばし、ビール部門では2ケ月ぶりに首位に。でも他にも出してよと言いたい。グラフをみてもわかるがアサヒの夏〜秋の出荷はワンパターン。6〜7月の中元シーズンでがんばり、8月は落ちて9月は踏みとどまるパターン。サッポロは、10月攻勢を前に押さえ気味。10月の新発泡酒ブロイの評判が気になるところ。サントリーはモルツがやや苦戦。

1998年8月の主要ビール会社動向

1998-9-12 日経、9-13日経産業新聞。前年比ではアサヒのみ増、キリン、サッポロ、サントリーは減となった。キリンは、6〜7月低調だった「ラガー」が8月はそこそこ(但し、前年比では17%減)であり、「淡麗<生>」も好調を持続、また「秋味」の登場もあって、ビール出荷では3ケ月ぶりのトップとなり、発泡酒を含めたシェアは44.0%となった。アサヒは7月の販促の余波で昨年に引き続き出荷量は抑え気味となっている。スーパードライの割合は99.7%に達している。シェアは32.1%。サッポロは低調であるが限定発泡酒「五穀まるごと生」が「ドラフティスペシャル」と同程度出荷されかろうじて数字をまとめた。10月の新製品投入がまたれる。サントリーは「モルツ」「スーパーホップス」ともやや低調に終わった。

1998年7月の主要ビール会社動向

1998-8-14 日経産業新聞、日経産業新聞。ビール全体としては梅雨明けの遅れや景気低迷で中元商戦が振るわず低調な出荷となった。そんな中発泡酒の割合は14.4%にまで伸びた。キリンはその麒麟淡麗<生>が好調に伸びている反面、ラガーが絶不調で主要銘柄の中で唯一6月よりも出荷量が落ち、全体としては38.2%までシェアダウンした。アサヒは依然好調でキリンの発泡酒参入で一時シェアを下げたがその後着実に出荷量・シェア(36.4%)を伸ばしている。サッポロは新聞情報では「苦戦」であるが、このHP独自の分析ではエビスがまずまずの伸び、黒ラベルもなんとか頑張っており、ドラフティの低迷を除けばなんとか踏みとどまっている状態。9月の新製品投入で巻き返せるか注目しよう。サントリーは、モルツ、スーパーホップスとも堅調とみた。

1998年6月の主要ビール会社動向

1998-7-11 日経産業新聞等。7-13日経産業新聞。キリンは発泡酒が堅調であり、シェア40%台をキープした。ただ発泡酒の伸びに対してラガー、一番搾りとも伸び悩んでいる。アサヒは、ビールだけのシェアではトップであるが、発泡酒込みでは34%。ただ、キリンが発泡酒を発売した3月以降落ちたシェアをここ3ケ月連続で回復してきている。サッポロは、一般的(新聞記事情報)には低迷。確かにドラフティがキリンの淡麗<生>に押されて低迷であるが、シェアのみからいうとなんとかキープしている。これは夏限定の気分爽快生の出荷が影響している。サントリーはキリンの発泡酒攻勢の影響でシェアは落としたが全般的には健闘といっていいだろう。

1998年5月の主要ビール会社動向

1998-6-12 日経産業新聞等。5月は個人消費の低迷に加え天候不順も響いて4月より出荷量は落ちた。唯一アサヒだけが伸ばした。キリンはラガー、一番搾りとも不振であったが発泡酒の麒麟淡麗生が確実に市場に受け入れられたこともありシェアは42.5%まで伸ばした。アサヒは、スーパードライがまずまずの堅調さでありシェアも33.8%に伸ばしている。もちろん発泡酒を除いたビール部門のみで比較するとキリンとアサヒの差はわずか1.5ポイントである。サッポロは黒ラベルが伸びなかった。発泡酒ドラフティは4月より出荷が増えておりかろうじて「踏みとどまった」。サントリーはモルツ、スーパーホップスとも4月より減少した。全体的にみると、5月は今一つだったが、キリン、アサヒの2強時代を印象づける結果となっている。ただキリンにとっては自社のビール部門への圧迫を犠牲にして発泡酒に力を入れたもののアサヒを崩すことはできず、むしろ弱体のサッポロやサントリーがその影響を被った形になっている。

1998年4月の主要ビール会社動向

1998-5-14 日経産業新聞等。今月から発泡酒込みの出荷量とシェアの推移に切り替えます。理由は4月の発泡酒の出荷が全体の13%になり無視できない量になっており、大手ビール3社(オリオンも出していたらごめんなさい)が上市し市場でも確固たるものとして受け入れられたと判断できるからです。もちろん法律上発泡酒はビールではありませんが、いずれ大蔵省(多分その時は「大蔵省」の名前はないと思いますが)が酒税の見直しをするでしょう。さて、前置きは長くなりましたが以下コメントです。

4月はキリンが大量の「押し込み」を行ったと思われるが、ビール、発泡酒とも出荷量を伸ばし、3月アサヒに奪われた首位を奪回。ビール部門だけでもアサヒを引き離している。ただアサヒのスーパードライは4月に投入した小型瓶タイプの「スタイニー」が後押ししたこともあり前年同月比の伸びは16%と5社主力商品の中で最高の伸び率となった。このあおりを食ったのがサッポロで特に発泡酒のドラフティは22.3%と大幅減となった。各社の発泡酒込みのシェアはキリン41.8%、アサヒ31.2%、サッポロ16.6%、サントリー9.7%、オリオン0.7%となった。

1998年3月の主要ビール会社動向

1998-4-12 日経新聞等。アサヒがシェア40.5%となりキリンの35.7%を上回った。アサヒはスーパードライが堅調。キリンは、ラガー、一番搾りとも大幅減。料飲店など業務用需要の低迷が響いた。また、2月発売の発泡酒「麒麟淡麗<生>」が好調でありこちらに顧客が流れたこともビールシェア低下の原因と思われる。この発泡酒の分野はキリンの本格参入で市場が拡大、ビールと発泡酒全体に占める発泡酒の割合は13.6%と初めて1割を突破した。その中でサッポロのドラフティーのみ前年実績を割った。発泡酒込みのシェアではキリンが37.0%で首位をキープ、次いでアサヒ35.0%、サッポロ17.4%、サントリー9.5%となった。

1998年2月の主要ビール会社動向

1998-3-13 日経新聞等。昨月予想したとおり、キリン、アサヒとも1月の出荷攻勢の反動が出てしまっている。キリンはラガー、一番搾りとも1月より数量を落としシェアは40.3%。2月からいよいよ発泡酒麒麟淡麗<生>の出荷が始まったがこの評価は3月にでるか・・・。アサヒのシェアは35.4%で、一月の反動が最も大きいのがスーパードライ。量販店の店頭に1月製造品があふれています。どないしてくれまんのアサヒさん。サッポロはビール、発泡酒とも低迷。サントリーは、「麦の贅沢」と「スーパーホップス」の健闘でシェアは7.3%に拡大した。オリオンビールもシェア1%にのせた。

1998年1月の主要ビール会社動向

1998-2-14 日経新聞。アサヒは昨年の1月はキリンと首位が逆転し大ニュースとなったが、今年はキリンがなんとか首位を守った。ただキリンのシェアが41.5%に対して、アサヒは39.1%とわずか2.4ポイントの差。サッポロ、サントリーはやや低調であった。ただ新聞には書いてないが、グラフのなかで昨年12月と今年の1月を比べてわかるとおり、キリン、アサヒ、サッポロとも12月が季節の割に多いのに対し、1月はその反動で落ち込んでいるのが分かる。年度末の12月に数字を上げようとする各社の虚しい苦労がわかる。また、キリン、アサヒの激しいシェア争いは販売店にかなりのしわ寄せとなっているらしい。つまり、この数字はあくまで出荷数量であって、消費者が飲んだ量ではないのである。消費者を無視したメーカーは必ずしっぺ返しがあるはずです。

1997年12月の主要ビール会社動向

1998-1-13 日経新聞。97年総出荷は5億3379万ケース(大瓶20本換算)で前年比2.2%減、消費税率引き上げや発泡酒の躍進が響いた。アサヒは、スーパードライが1953年以来の年間トップブランドを獲得、シェアを34.4%に高め、キリンとの差を前年の16.2ポイントから8.2ポイントまで縮めた。キリンは、ラガーが前年比12%減、一番搾りも5%減でシェアも42.6%に落ち込んだ。サッポロは、リニューアルした黒ラベルが2%減、全体でも3.9%減となった。サントリーはモルツが7%増と好調で全体で1.9%伸びた。オリオンは2.6%減となった。拡大が続く発泡酒はサッポロ、サントリーの合計で前年比5割増となった。・・・・・キリンは5年連続のシェア低下となったがある程度予想されたことであり、この傾向はあと2〜3年は続くかもしれないが、現在行われている社内の立て直しがうまく行けば攻勢に転じるであろう。アサヒのスーパードライ1本やりは食品メーカーとしては消費者をバカにした戦略でありしっかりした商品群をそろえて消費の多様化に対応しないと再び「夕日」ビール、へたするとつるべ押しの秋の夕日ビールになる可能性はあり、危機感をもって取り組んでほしい。重傷はサッポロだ。昨年はサッポロのがんばりに期待したのであるが、期待はずれ。彼らののんびりした体質はどうにもなりません。今年はまったく期待しません!サントリーは今のままでよいと思います。赤字事業を脱却しようとは思っていないのでしょうか・・・

1997年11月の主要ビール会社動向

1997-12-12 日経産業新聞。アサヒはスーパードライは絶好調。樽、瓶、缶とも伸びた。歳暮ギフトでも目標以上の伸び。キリンはラガーが前年比19%の落ち込み。ただ一番搾りは3ケ月連続横ばいとなり復調の兆し。キリンは年初からラガーと一番搾りの違いを訴えており、徐々に消費者に浸透してきたとみている。サッポロは黒ラベルが前年比約11%減、発泡酒ドラフティーも微増にとどまる。サントリーはモルツがキャンペーン効果で前年比約11%増と好調。特に缶が伸びた。発泡酒のスーパーホップスは前年比38%と大きく伸びた。各社シェアはキリン40.4%、アサヒ37.6%、サッポロ15.8%、サントリー5.0%、オリオン1.0%。・・・どうしたサッポロといいたい。今年の初めにサッポロにエールを送ったがこの停滞ぶりにはあきれてしまう。

1997年10月の主要ビール会社動向

1997-11-15 日経産業新聞。キリンは主力のラガーが9%減と落ち込んだほか、冬の季節限定商品を取りやめたことも響き、前年比13.9%と大幅減となった。 アサヒはスーパードライが10月単月で過去最高の出荷を記録したが前月好調の余波もあったのか今一の伸びで、その他のブランドも低迷した。サッポロ、サントリーは好調であった。・・・新聞のデータおよび記述をみると前年比でしか判断していない。実際ビールの出荷はその前月の出荷の影響を受けるためむしろ前月に対してどう変化(各社の相対評価)したかで見るべき。

1997年9月の主要ビール会社動向

1997-10-15 日経産業新聞。サッポロ スーパースターが初月で100万ケースとなり計画通り順調な滑り出し。ただスーパースターと需要の食い合いがあったためか、黒ラベルは前年割れ、エビスも微増にとどまった。キリンは、一番搾りが回復。「缶比率が高く、キャンペーンなどの効果などが浸透してきた」とキリンは分析。ビール職人は伸びが鈍化。アサヒはスーパードライが快走。製品シェアは36%とラガーを引き離している。アサヒ製品に占めるドライの比率は98%に。サントリーは、9月はモルツのキャンペーンを実施しなかったが好調を持続。スーパーホップスはそのモルツを上回る好調ぶり。オリオンは8月の販売伸び悩みで9月の在庫水準が高く出荷は前年割れ。 ・・・アサヒの8月の出荷の低迷と9月の反動はどういう意味か不明。サントリーは発泡酒比率が47%でサントリーのトップブランドになった。キリンは一番搾りが回復したとコメントしているが実はラガーと低迷分が一番搾りに流れたに過ぎず全体としては伸びていない。サッポロはキリンより悪く心配。スーパースターの新製品が定番品を食ってしまっては意味がない。

1997年8月の主要ビール会社動向

1997-9-12 日経新聞。8月は天候が平年並みに推移しビールの出荷は前年同月比で0.1%減った。これで4月以来5ケ月連続の前年割れ。アサヒはスーパードライが好調を持続。8月としては過去最高の出荷。同社全体に占めるドライの比率は98%まで上昇。キリンはラガーと一番搾りが低調だったが秋期限定の「秋味」の発売でマイナスは小幅にとどまる。サッポロは主力の黒ラベルがのびず全体の出荷も低調。サントリーはモルツのキャンペーンが奏功し伸びた。発泡酒はサッポロとサントリーの両社を合わせて4%増にとどまった。各社別の8月のシェアはキリン45.1%、アサヒ31.8%、サッポロ16.4%、サントリー5.6%、オリオン1.1%。

1997年7月の主要ビール会社動向

1997-8-14 日経産業新聞等。7月は、台風などの影響で天候が悪かったことと、季節限定型商品を止めた落ち込み分を他の商品で補えなかったため、合計6249.4万ケースと前年比5.4%の落ち込み。キリンは販売数量の多い中国地方など西日本の天候不順の影響で前年比14.7%の落ち込み。アサヒのみは前年比7.2%増。スーパードライは単月で初めて2000万ケースを突破し、ビール総出荷のほぼ1/3を占めるにいたった。サッポロは黒ラベルは横ばいにとどまったが夏の季節限定の取りやめが響いた。サントリーはモルツが過去最高の出荷を示した。また、発泡酒は好調でサントリーが前年比75.4%増、サッポロも8.3%増となり合わせて400万ケースとなった。 単月でのビール各社のシェアはキリン41.8%、アサヒ35.9%、サッポロ16.2%、サントリー5.2%、オリオン0.9%。

1997年6月の主要ビール会社動向

1997-7-13 日経産業新聞。7-12日経。アサヒは好調、サントリー、オリオンも前年比プラスとなった。上半期トータルでは業務用が低調で、初夏に週末の天候不順が響いて前年比1.9%減となった。キリンはラガーが低調、それに対しアサヒはスーパードライが好調で上半期のトップブランドが決まった。サッポロは黒ラベルのリニューアル効果が薄く横ばい、サントリーはモルツのキャンペーンや積極的なCMが奏功しプラスを確保。一方、発泡酒は前年同期比88%増と拡大している。  シェアはキリン43.5%、アサヒ34.0%、サッポロ16.5%、サントリー5.1%、オリオン0.9%。  銘柄別の販売実績は、ドライ、ラガー、黒ラベル、一番搾り、モルツの順。

1997年5月の主要ビール会社動向

1997-6-13 日本経済新聞。下旬の天候不順から消費が盛り上がらず、4506万9千ケースと前年同月比4.6%の減となった。キリンをアサヒが追い上げる構図はかわっておらず、5月単月のシェアはキリンが43.7%に対し、アサヒが34.2%。

1997年4月の主要ビール会社動向

1997-5-13 日本経済新聞・日経産業新聞。消費税による駆け込み需要の反動に加え週末の天候が不順だったことから、4270.2万ケースと前年同月比9.6%の大幅減となった。アサヒとオリオンがプラス。スーパードライが好調を持続、4月としては過去最高の出荷。シェアはキリン42.9%、アサヒ33.3%。 個人的な見解を述べると、キリンは3月の駆け込み需要の反動の影響を大きく受けているが他社はそうでもない。どうもキリンは無計画な営業活動をしているようにうつる。アサヒはスーパードライの堅実なところにかろうじて支えられている。サッポロとオリオンは徐々に伸びてきているようである。

1997年3月の主要ビール会社動向

1997-4-13 日本経済新聞・日経産業新聞。3月は消費税の駆け込み需要のためか、各社とも堅調であった。スーパードライは3ケ月連続首位となった。キリンはラガーは横ばい、一番搾りは伸びた。サッポロは黒ラベルはほぼ予定通り、4月より200万人試飲キャンペーンで拡販をめざす。ただ、地域限定を整理したことから全体では伸び悩んだ。サントリーはモルツが大幅増、特に缶ビールが売れた。発泡酒はスーパーホップス、ドラフティが好調。ビール市場に占める割合は6%になっている。

1997年2月の主要ビール会社動向

1997-3-14 日本経済新聞。キリンはなんとか首位に返り咲いたが、前年同月比6.6%減と唯一のマイナス。「ラガー」や「一番搾り」が不振。アサヒは2.7%増と好調。スーパードライが家庭用・業務用との伸び18%増えた。サッポロは「黒ラベル」のリニューアル効果で1.6%増、サントリーも「モルツ」のキャンペーンなどが功を奏し5.8%伸びた。私は、グラフを見るとアサヒの堅調さに比べキリンの出荷の不安定さが気になる。

1997年1月の主要ビール会社動向

1997-2-15 日本経済新聞(数値のみ引用)。アサヒがキリンを抜きトップに。アサヒの首位は1953年以来44年ぶり。アサヒはスーパードライが前年同月比42%増でシェア30.9%と絶好調で1030万1千ケース、シェアは過去最高の37.9%を記録。キリンはラガーがシェア23.2%とふるわず999万6千ケースでシェア36.8%に低下した。 [私のコメント]一時的にせよアサヒとキリンのシェアが逆転したのは一大事件であるが、この原因はグラフをみてもわかるとおり (1)キリンがシェア維持の目的で昨年12月にかけ込みで出荷量を増やしたことの反動がでたこと、 (2)1月は最も出荷量が減る時期であり、12月を堅調に出荷したアサヒが1月に一気に伸ばしたこと、 (3)キリンは昨年はラガーの生化、春期限定ビールなど話題があったが今年は地味なスタートになったこと などが考えられる。シェア逆転は一時的なものと考えるが、いずれにしてもキリンにとってはこれまでシェアトップであることが唯一の慰めであっただけにそのプライドは大きく傷ついただろうし、アサヒにとっては大きな弾みになるだろう。

1996年の主要ビール会社動向

1997-1-14 日本経済新聞。アサヒは30.4%と37年ぶりに30%台。5年連続シェアを伸ばす。「スーパードライ」の出荷は1億4550万ケース(20%増)と過去最高。キリンの「ラガー」のシェアが27.8%(0.2ポイント減)に対し、「スーパードライ」は26.7%と猛追。 キリンは「ラガー」が前年並み、「一番搾り」が6%減であった。そのためシェアは46.6%と4年連続減少。サッポロは「黒ラベル」が前年比1.9%減、全体も1.8%減と頭打ち。シェアは3年連続前年割れ。サントリーのシェアは9年連続の減少。[参考]ビール各社のシェア推移

1996年11月の主要ビール会社動向

1996-12-13 日本経済新聞。11月も前年比1.5%減。キリンは主力のラガーと一番搾りの不振で前年比9.2%と大幅減。サッポロも黒ラベルが落ち込み。アサヒはスーパードライが好調で14.4%の大幅増。ラガーの出荷は1150万ケースに対しスーパードライは1160万ケース。

1996年10月の主要ビール会社動向

1996-11-15 日本経済新聞。10月は気温が低めに推移したため出荷量は前年割れ。キリンはシェア46.5%に対し、アサヒは30.4%。ラガー1110万ケースに対し、スーパードライは1130万ケースと2ケ月連続で首位を維持。アサヒがシェア30%突破すれば37年ぶり。サッポロは黒ラベルが減少、エビスが前年比21.8%増。サントリーは冬季限定ビールの発売が遅いことなどで大幅減。ただスーパーホップスは大きく伸びている。

1985〜1996年のシェア推移

みての通りです。