メルボルン特別合宿レポートその5
〜異国交流篇〜


その4〜金欠破綻篇〜へ

Jan.24(sat)

8:30 ヒロさんがお迎えに

この二日間、朝はゆっくりできたのだが、今日はちゃんと早起き。8時半にヒロさんがホテルまで迎えに来てくれたので、それまでに部屋で朝食を済ませてテニスの支度をしておかなければならない。本当は午後から観光に行って戻ってくるのが夜遅くなるし、明日は早朝に出発なので、ホテルの精算も済ませておこうという話もあったのだが、とても時間的に余裕がないということでそれは諦める。

ヒロさんに会って携帯を返そうとしたら、一台はヒロさんのだが、一台は新しく購入したものだから我々のものだと言われる。と言ってもオーストラリアでしか使えないのだが、まだ半年は今のまま発信できるし、それ以降も着信だけなら永久に使えるということなので(もちろんまたチャージを購入すれば発信もできる)、ATCのオーストラリア用携帯として持ってかえることにした。誰か渡豪予定のある人、言ってくださればお貸ししますよ。

ヒロさんの車でメルボルン北部郊外にある「Royal Park Tennis Club」へ。8時50分くらいに着いたのだが、すでにキャンベラの皆さんは到着していた。メルボルンの人たちも三々五々集まってくる。空は曇っていて暑くも寒くもない。風もない。テニスするには絶好の日和だ。

ところで昨晩四人でお揃いのオリジナルTシャツ(昨年長野ATCさんと交流戦をした時に小松さんに作っていただいたもの)を着ようという話になっていたのに、なぜリーダー川上だけ着ていないわけ?「いや、暑かったから脱いできたんで」。それでそのニットのジップアップを素肌に着ているわけ?胸毛を見せたいからじゃなく?普通は暑ければそのジップアップを脱いでTシャツだけになればいいんじゃないの?いつTシャツを着るの?「きたらきる」????えーと、日本語がよくわからないのですが?「だから、来たら着るから大丈夫ですって」。ああ、メルボルンの皆さんが揃ったら、ちゃんとTシャツを着るから大丈夫、ってことね。まあ何か納得はできないけど「きたらきて」ね。

今回ラケットはヒロさんからお借りすることになっている。しかし、ヒロさんが持ってきてくれたラケットは、どれもプロ仕様のプロ使用。ヒロさんが知っているプロ選手から貰ったりしたものらしい。と言うことで、どのラケットもかなり飛ばないシビアな上級者用ラケットばかりだ。栗田のように普段はオバテニ用の楽々ラケットを使っているプレーヤーにはかなり辛い。ラケットに慣れる頃には終わっているだろうなぁ。ただ他のメンバーは普段使っているラケットとあまり差がなかったようで、結局ラケットに苦しんだのは栗田だけだった。


9:00 テニス開始

コートを管理しているオバチャンが9時過ぎにやってきて、ようやくコートに入ることができた。リーダーは、コートサイドでおもむろにジップアップを脱いで上半身裸になって着替える。敢えてメルボルンやキャンベラの女性陣に“セクシータカ”をアピールしたかったのだろうか?もっと早く着替えておけば良いのに、と三人は思ったんだけどね。

栗田とエドちゃん、うみりんと川上くんでそれぞれアップを始める。アンツーカーのコートは足には優しいがイレギュラーもする。ラケットは特に当てただけのバックハンドが全然飛ばない。後はロブやドロップの感覚もメロメロ。こりゃ今日はダメだな。

9時半頃にいったん集合してヒロさんの挨拶と各チームの紹介。ATC4人、キャンベラ5人、地元メルボルン9人の合計18人。キャンベラ組はみな同じ大学の大学院寮のメンバーだそうで、メルボルンからキャンベラに行ったアキさんが仲立ちしてつながっているらしい。今回は全豪オープンテニスを見に来たついでに一緒にテニスしようということのようだ。

今日は「J-Tennis Cup」ということで、試合は20分単位でペアを変えていくダブルス。18人なので交代で2人休憩になる。時間内にできる限りゲームをして、その得失ゲーム差を各人のポイントとして競うという趣向だ。ゲーム数ではなく時間で区切るというのが新しい。ATC勢は最初の試合で栗田/海野組、工藤/川上組がそれぞれできてしまった。メルボルンまできて川藤でもないだろうに、と思う。

3試合目。休憩になった栗田がカメラを持って撮影をする。2試合続けて川藤でプレーしていたリーダーが、ようやくキャンベラ組の女性シェリーと組んでミックスになり大張切り。シェリーは今回の参加者で唯一日本人ではないメンバーで日本語ができない。「シェリー」「タカ」と呼び合いながら、片言の英語でコミュニケーションしている。リーダーはここで「かわかみがかって」しまい、得意のボレーをアングルにポコポコ落としている。そのたびにシェリーが「タカ、グッドショット!」などと言うものだから、もう調子に乗る乗る。ポイントを決めてはバンザイして飛び跳ねるタカ。ひるがののサバイバルミックスで優勝した時を思い出すぞ。

メルボルン組ではヒロさんとシュンスケさんが強い。キャンベラ組ではアキさん。そしてりょうこちゃんも可愛い顔をして結構強いボールを打ってくる。女性陣はみんなそこそこテニスができるから、ミックス対男ダブになってもどちらが勝つかはわからないので、ゲームは結構白熱している。

シェリーと組んだ時は調子の良かったタカも、その後はいつもの調子に戻っていったようで、逆にシェリーと対戦した時はボロボロにやられたようだ。優しいね、タカは。

  

結局予定の12時を越えて12時半過ぎまでテニスをした。テニスを始めた頃は曇っていたが、お昼には晴れてきて気持ちの良い晴天になった。クラブハウス前で成績発表。うみりんが個人で2位に入り賞品を貰う。チームではキャンベラ組が+14ポイントでATCは+12ポイントと僅かに及ばなかったが、今日は親善、そしてメルボルンでテニスすることが大事だったので、勝ち負けは二の次だ。楽しく気持ちよくテニスができて本当に良かった。

  

14:00 ベトナム料理店でランチ

18人のうちシェリーを除く17人でランチに。シェリーは知人に会いに行くということで、タカはガックリ。ちなみに後で教えてもらったことだが、シェリーは何と孔子の子孫という由緒ある家柄の名家出身で、両親とも北京大学教授、本人も北京大学を卒業してキャンベラの大学院に留学しているというスーパーお嬢様にして才媛らしい。タカとは身分の違いが大きいが、その壁を乗り越えられるのか、タカ!

クィーンズ・ヴィクトリア・マーケットという大きな市場の隣にあるベトナム料理店は、J-Tennisメンバーの行きつけらしい。ATCにおける志段味の「ノースウェールズ」のようなものか。土曜日の昼ということでマーケット周辺は大混雑。ヒロさんはマーケットの駐車場に車をとめて、マーケットの中を通って店へ。

ベトナム料理は美味しかった。自分で巻いて食べる「手巻き生春巻」は初めての経験だったが、なかなか楽しい。テーブルごとに話がはずむ。キャンベラのアキさんは大学で経済学を教えているということだが、ATCのサイトを熟読していて、J-Tennisに詳しいエドちゃん以上。マッキーがケニアに行っていてジンバブエの外交官とテニスをしたことを知っている人がキャンベラに住んでいるなんて、世の中本当に面白い。

 

唐沢寿明に似ているハンサムなシュンスケくんは、生まれも育ちもオーストラリア、やはり雰囲気が日本育ちとはちょっと違う。モデルもやっているということだから、きっとモテモテだろう。栗田の正面に座っていたベッキー似(?)のりょうこちゃんは横浜出身でキャンベラの大学院生。左隣に座っていたサチコさんんはヒロさんの先輩でメルボルンで証券アナリストしているという。みな高学歴で当然英語はペラペラ。今回バカをさらけ出しているATC四人組にはまぶしい人ばかりだった。

そしてこんなところでもリーダーはやはりきっちりとボケをかましてくれた。まずいきなり足を攣る。なぜ座って食事をしているだけで足を攣るのか、本当にタカは不思議な人物だが、突然「いたたた」と立ち上がって足を曲げ伸ばしするのには驚いた。

さらにそろそろ解散しようか、という時にタカはトイレに行った。栗田とエドちゃんも行ったのだが、エドちゃんが男子トイレに入ったら、なんとタカは女子トイレに入ってしまったのだ。いくら解散しようというタイミングで急いでいたとは言え、エドちゃんが出てくるくらいまで待っていたって良いと思うのだが。メルボルンの人たちに「ヘンタイ」と思われたのではないかと栗田は心を痛めてしまった。まあその事実を皆に知らせたのも栗田ではあったのだが。

15:30 メルボルン動物園

15時過ぎにベトナム料理店で解散。コート代と料理代で27ドル。いよいようみりんの手持ちが怪しくなってきた。店の前でみんなといつか再会できることを期待しつつ、ヒロさんの車に戻る。

マーケットはさすがに片づけ始めていた。朝が早いから15時を過ぎるともう終わりなのだろう。車に乗って駐車場を出ようとした時に、リーダー川上が「ここは夜もやっているのですか?」と聞く。おいおい、今さっき片付けているのを横目に見ながら通ってきたばかりだろう、とみんなから一斉に突っ込まれる。「ふーん、そうか、市場みたいなものなんですね」って、「みたいなもの」じゃなくて「市場」なんだってば!“マーケット”ってでかでかと書いてあったろうが!

このやり取りをずっと聞いていたヒロさんが「川上さんってMなんですか?」と冗談っぽく尋ねる。リーダーは素直に「Mかも知れません」。うーん、そう率直に答えられてもヒロさんも困ると思うんだけど。

本当は午後からの観光はペンギンパレードで有名なフィリップ島に行く予定だったが、昨晩みんなで話し合ってそれは中止した。遠いので体力的にも時間的にもきついだろうという判断だ。代わりにテニスコートのすぐ隣にあるメルボルン動物園へ。土曜日のせいか家族連れでかなり賑わっている。入場料18ドル。いよいようみりんピンチ!もうほとんど手持ちがないらしい。川上くんが園内の地図をもらおうとしたら「キッズオンリー」だと言われて断られていた。中身は子どもみたいなものなのに、とエドちゃんにからかわれていたので、永遠の少年ピーターパン像の前で記念撮影をする。

栗田は子持ちのため動物園には慣れているが、他のメンバーは久しぶりらしく結構楽しそうだ。一応オーストラリア特有の動物を中心に見に行く。ウォンバット、コアラ、カンガルー、エミューなどを見て回る。途中でバタフライ館があって、その中だけは熱帯だった。数多くの蝶が乱舞していたが、虫嫌いの人はダメだろうなぁ。

動物園内を歩いている時にいきなりヒロさんが言った。「工藤さんのお好きなところも知り合いに聞いてみたんですが、100ドルくらいからあるみたいですよ」だって。実は旅行に出る前にヒロさんに「夜に出撃したいというメンバーもいるのですが良いところをご存知ですか?」と尋ねたら「僕もメンバーも詳しくないのでわかりません」という返事を貰い、エドちゃんには自力で調べるように言っておいたのだ。しかし、ヒロさんは気にして日本人駐在員が行くようなスポットを聞いておいてくれたらしい。ただエドちゃんとしては明日帰るというのに、今さら聞いてもどうしようもない。それともわかっていてこのタイミングで言い出したのかな、ヒロさんは。

綾ちゃん、そういうわけでエドちゃんは出撃しなかったと思いますよ、多分。個室なので、あくまでも推測ですけど。

 

18:30 クラウンホテル

動物園を17時に出ていったんホテルに戻る。着替えてから全員チェックアウト。モーニングコールと明朝のタクシーも予約しておく。いよいよメルボルン合宿も終盤だ。もう少しいたかった、という言葉がポロポロと漏れる。

ヒロさんに18時に再び迎えに来てもらい、クラウンホテルへ。ここは単なるホテルではなく「クラウン・エンターテイメント・コンプレックス」という名前の通り、ラスベガス風のメルボルン一の娯楽施設だ。土曜日の夜、しかも月曜日が祝日なので三連休の初日ということで、人出がとてつもない。駐車場に車をとめるだけでも大変。中に入っても人でごった返している。

中でも人気スポットが南半球一と言われるカジノ。カジノは両替手数料を取らないから交換レートが良いということで、もはや豪ドルがほとんど底をついたうみりんが3000円を両替する。あまりギャンブルに縁がないメンバーだが、ものは試しにとエドちゃんが1ドルをスロットルに入れてみたら、あれよあれよと言う間に10ドルになってしまった。なんと10倍だ!エドちゃんは鼻高々。もっとも100ドルが1000ドルになったのなら嬉しいけど、1ドルが10ドルではねぇ。余計な小銭を増やしただけのような気もするぞ。

カジノ以外ももの凄い人出。ヒロさんが目指していたイタリアレストランもすでに長蛇の列だ。次のレストランも、また次のレストランも全て行列ができている。仕方なくちょっと高級そうな「CECCONI'S」というイタリアレストランへ。ここはテラスの席なら空いているということで、ようやく落ち着く。

西日が眩しいが、テラス席は気持ちが良い。夜7時を過ぎだというのに、まだまだ外は明るくて人もたくさん歩いている。料理は美味しかった。陽気なイタリア人のウェイターが楽しい。5人で156ドルなら店の雰囲気からしてリーズナブルだろう。我々が店を出る頃には、さらに列は長くなっていた。


21:00 リアルトタワー

いよいよ最後の観光はクラウンホテルから川を挟んで向かいにあるリアルトタワー展望台。と言ってもヒロさんも知らなかったので、最初はそのビルまで行っても入るところすらわからない。「やってないのかな」と言いながらウロウロしていたら、ようやく人が出てきたところに入口を発見。

タワーの入場料11ドル80セントを払う。エレベーターへのガイドがいきなり日本語で「こちらへどうぞ」と言われてビックリ。さらに降りたところにも日本人のガイドが。どうやら相当日本からのツアー客が来るスポットのようだ。日本人観光客は高いところが好きなのだろう。

展望台は55階。まあ展望台としては普通だが、夜景はさすがに美しい。先ほどいたクラウンホテルは目の前、全豪オープン会場もまだ灯りがついていてよく目立つ。ヴィクトリアマーケットやチャイナタウン、そして海沿いのセントキルダの方向も見えて、我々にはこの数日の思い出が走馬燈のように甦る。

いつまでもここでメルボルンの街を眺めていたかったが、明日は早い。10時に展望台を降りる。ビルを出ようとした時、出口のところにJTBを発見。ああ、これが初日にチケットを頼もうとしたJTBかぁ。うーん、ここはわかりにくい場所だなぁ。あの段階でバカ四人にここまでたどり着けと言われても難しかったろうな。頼まなくてチケット売場で苦労したけど、頼んでここまで来るのも同じように苦労したことだろう。

22:15 ホテル着

ヒロさんにホテルまで送ってもらう。途中、車の中でリーダーは「りんちゃん」「小畑沙織」「シェリー」のどれにするのかと問い詰められる。リーダー真面目に答えて曰く「いやぁ、相手にも選ぶ権利があるから」。バカもん、言われなくたってみんなわかっておるわ!

エドちゃんが新婚旅行でオーストラリアに来たという話をしていて、「その頃はまだラブラブで、ちゃんとキスとかしてたんだけど」と言ったら、リーダーが突然大声で「じゃあチュッチュッしてよ!」と叫ぶ。まるで自分にキスしてくれとおねだりしている愛人のようで、車内は一瞬凍り付く。ヒロさんは今日一日付き合って、しみじみと川上くんの面白さを実感したようだった。

ホテル前でいよいよヒロさんとはお別れだ。本当に何から何までお世話してもらいありがたかった。今回のメルボルン合宿はヒロさんの尽力抜きにはあり得なかった。大感謝である。ヒロさんを見送って、ホテルに入る。今夜はもう打ち合わせもなし。パッキングしたら早く寝なければ。不眠症のリーダー、寝ないでみんなを起こしてくれよ。リーダーとして最後の務めだぞ。


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