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以前この「コーカイ日誌」で紹介した『スジナシ』という番組があります。名古屋のCBC制作で、笑福亭鶴瓶が毎回ゲストの俳優1人と大まかな設定だけを決めて演じる即興芝居＆トークバラエティです。名古屋ローカルなので関東地方では見られないものの、すでに役者の間では怖いけど面白い番組としてかなり噂になっているという通好みの質の高い番組です。
先日その『スジナシ』の総集編が深夜12時半〜4時半まで4時間にわたって放映されました。過去の作品から視聴者が人気投票して、その上位作品をダイジェスト版ではなく完全に再放送するという、なかなか思い切った総集編です。
ダイジェスト版でないのは、名古屋ローカルだからできたというよりも、即興芝居というこの番組の性質上、細切れで見せても面白くないということがあるのでしょう。鶴瓶とゲストが腹のさぐり合いをしながら芝居をしているわけですから、何気ない一言のセリフによっていきなり芝居が変わったりテンションが上がったりします。その面白さを伝えるには、10分ほどの芝居を完全に見せるしかないのだと思います。
ところで、この番組のファンがいかに通好みかを示したのが、人気投票1位になった俳優。柳葉敏郎や牧瀬里穂や大竹しのぶというテレビでお馴染みの人気俳優を押しのけて、なんと舞台役者の筧利夫の回が1位だったのです。なんという渋い選択でしょう。普段はなかなかテレビで見られない、けれども実力はあるという役者が、その演技力を見せるというのが、確かにこの番組で一番面白いのかも知れません。
それにしても筧利夫。1位に選ぶには本当にマニアックです。深夜というより明け方に近い4時過ぎに、筧と鶴瓶の丁々発止のやり取りを見ながら、この番組のプロデューサが大学の1年下の後輩であることを思いだし、彼の「してやったり」という顔を思い浮かべてしまいました。
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