幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 9月18日 ● 天才肌の人。

 いつも会社のテニス部で一緒にやっている後輩のT西くんは、大学時代インカレでベスト8まで勝ち上がったことがあるバリバリのキャリア組。「あと5センチ背が高かったらプロになっていました」というくらいで、プロになった連中にも友人が多く、松岡修造のことも「修造」と呼び捨てです。僕らのようなスクール&サークル育ちの我流叩き上げ中級プレーヤーとは全然レベルが違いますから、一緒にテニスをしていただけるだけでありがたい、なんて卑屈になってしまうほどです。後輩で良かったぁ(笑)。

 で、昨晩も彼と一緒にテニスをしていたんですが、ゲーム中、前に詰めているわけでもない僕に向かって突然なんでもないロブを上げてきました。もちろん僕はスマッシュを打ってポイントを取った(貰ったという方が近いかな)というプレーがありました(テニスがわからない人のために説明すると、野球で2死ランナー無しで送りバントをしてきたとか、サッカーでGKがいきなり相手FWにパスを出したとかいうような感じでした)。

 テニスの後で「なんであそこでロブ上げたわけ?」と聞いたら「わかんないんですよぉ、とにかくなんか上げちゃうんですよねぇ。ロブかなぁ、って思って。現役の頃も時々ああいうことやっちゃってたんですよ」と実にノー天気な答え。「いやぁ、僕はいつもボールがこういう風に打って欲しがっているかな、って感じるから、そういう風に打っているだけで、あんまり相手のこととか見てないんですよ」だって。まるで長嶋監督に話を聞いているようです。

 いつも彼とテニス談義をしているとこんな調子で、本当に気分というかカンだけでテニスしているみたいなんです。せっかくこちらが理論的に戦術戦略について学び取ろうとしているのに、役に立たないったらありゃしない。もちろんこのカンというのも、長年厳しい勝負の世界で磨かれてきた挙げ句のカンですから、素人のヤマカンとは全然意味が違うんでしょうが、それにしても天才肌だと思いました。なにせボールの声がわかるんですから。こんな奴でもベスト8で負けてしまうんですから、「肌」だけではない全身が本当の天才って、相当凄いんでしょうね。
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