幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 9月1日 ● 定時に帰って当たり前。

 先週の「週刊朝日」の特集「リストラしない新・日本型経営」の冒頭に、富士通の人事部長が登場して以下のようなことを自慢しています。「うちでは勤務時間に仕事に取り組んでくれれば、たとえ毎日定時に帰って趣味に没頭したり、ボランティアに精を出したりしても、いっこうに構わないと社員に言っています。そういう選択を本人がしても、それなりに処遇して非難したり、存在そのものを否定したりはしません」と。

 これを読んで「ほーほー、富士通は凄いな、進んでいるな」とでもオヤジは感心するのでしょうか?僕には「なにバカなことを言っているんだ?富士通ちょっとピントがずれているぞ」としか思えないのですが。

 もちろん「おおっ、さすがクリタは会社の為に身を粉にして働くモーレツビジネスマンだ、そんな甘えた会社はダメだと言いたいんだな」と思う人は、少なくとも僕を知っている人、及びこの「コーカイ日誌」をちゃんと読んでくださっている人の中にはいないことでしょう。

 そう、もちろん僕は仕事よりも生活を優先するし、できることなら趣味に没頭した人生を送りたい人ですから、富士通の部長様が言っていることなど当たり前過ぎて、そんな当然のことを自慢気に言うなんて大丈夫か、富士通、と思ってしまうわけです。

 だって「定時」というのは、文字通り定められた時間ですよ。会社と自分が「この時間はちゃんと仕事を優先して働くからお金くださいね」と契約している時間のことです。その定時を過ぎたら、もう会社と自分とは契約切れ、無関係、好きにやらせてもらいますわ、ということなんですよ。当然趣味に没頭しようがボランティアに精を出そうが、危ないアルバイトをしようが、それは全く本人の自由のはずです。盗撮したり痴漢したりだってそういう意味では自由です。あくまでもそれは人間としてのモラルの問題であって、社命で犯罪行為を働いたのではないのなら、会社との関係をあまり問うのは筋違いだと思います。

 そんな「今さら何言ってんの」的なことをトクトクと説明しているということは、実は富士通社内では、定時に帰る人間は会社人間として失格であり、そんな奴は飛ばされても干されても仕方ない、と考えているようにしか思えません。

 例え勤務時間内であっても、仕事さえちゃんとこなしていれば自由にしていても良い、というのならまあ週刊誌に偉そうに話しても良いでしょう。やることもないのにデスクに縛り付けられているなんて言うのは、会社に対する盲目的な忠誠心を示しているだけで、実は本人にとっても会社にとっても損失でしかないはず。会社に(もしくは上司に?)忠誠心をプレゼンしている暇があるのなら、充電のために映画を見たり本を探しに街に出かける方がずっとマシです。

 それにしても富士通人事部長の「存在そのものを否定」するとは恐ろしい言葉です。会社の人事にそんな「イジメ」的発想があること自体、思わず引いてしまいます。このコメントは会社のイメージアップになると思ってしたのでしょうが、ある世代から下にはかなり逆効果だったんじゃないかと思いますけどね。まあそれもわからないセンスだから、富士通のパソコンもパッとしないんだろうけどさ。ソニーなら絶対そんな脇の甘いことは言わないと思うぞ。

 
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