猫も杓子もド素人も、という空前のアウトドアブームが続く中、危なっかしい奴らが多いなと思っていたら、危惧していた通りの悲劇が起きてしまいました。再三の警告を無視して雨の中、中州でキャンプするような愚か者には同情の余地もありませんが、道連れとなってしまった幼い子どもたちのことを思うと暗澹たる気分になってしまいます。
自然に触れ合うって気持ち良い、なんて甘ったれたことを考えて、東京あたりから流行のワゴンや四駆でバキバキと林道を駆けてきた連中は、一体自然の中に何を見つけようと思っているのでしょうか?
空調の効いた室内、清潔で柔らかいベッド、いつでも飲める水、娯楽を提供してくれるテレビやオーディオ、ゲーム機。そんな恵まれた環境を捨てて、不便で不潔で不快で不衛生で、と「不」だらけの自然の中に飛び込むことは、それこそ人間として不自然ではないかと僕には思えてきます。
だからこそ良いんじゃないか、失われたヒトとしての野生を少しでも思い出すんだ、不便だからこそ見えてくることもあるはずだ、などと、どこかのコピーライターが書きそうなクサイことを言う人もいるでしょう。しかし、それは現在の快適で清潔な生活を前提にしているから言えることです。本当に自然と共生し、時には戦いながら暮らしていたら、そんな甘ったれたことを言ってられるはずもありません。例えばアフリカのマサイ族やオーストラリアのアボリジニたちが、アウトドアライフなんてものを趣味としてやりたがるかどうか、考えなくても答はわかります。
現在のアウトドアブームは、子どもの頃から自然を知らずに育った都会っ子達によるブームだと僕は思っています。なんとなく今はアウトドアライフってのがオシャレでカッコイイと思って、ズカズカと自然の中に入り込んでくる無知で甘えた連中に、自然が厳しいしっぺ返しを食らわせるのは当然です。自然に触れたい、それは結構。ただし、山にしろ川にしろ海にしろ、少しは覚悟ってものをしてから行きやがれ、まったく。
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