幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 6月16日 ● パートタイム・フレンド。

 以下の話は、全ての若者に当てはまるというわけではありません。「わたしは違う」と言われれば「はあ、そうですか」としか僕は言えませんが、でも傾向としてはこういうことがどうやらあるような気がする、ということですから、そのあたりはご了解いただいた上でお読みください。

 10数年前のヒット曲でスティービー・ワンダーの『パートタイム・ラバー』という曲がありましたが、最近の若い人たちの友達付き合いはどうやら「パートタイム・フレンド」ではないかという気がします。

 例えば2人組でテニスサークルに入ってくる子たちがいるとします。彼女たちにお互いの関係を問うと「テニスの友達」と答えます。僕たちが20才前後だった頃は、「テニスの友達」はテニスだけではなく一緒にドライブにも行くし、ディスコにも合コンにも映画にも旅行にも行く、そういう友達でした。テニスで知り合った友達だとしても、友達というのはオールタイムに友達だったのです。

 ところが最近の「テニスの友達」は、本当にテニスをする時の友達に過ぎないらしいのです。携帯の番号は知っているけれど、相手の家に遊びに行ったこともないし、一緒に旅行にも行かない、テニス以外の用事で会うことは滅多にない、文字通り「テニスだけの友達」。カラオケに行くときは別の友達と行くし、海外旅行はまた別の友達。サッカーを見に行く友達も別。用件ごとにいろいろな友達がいて、適材適所で選んで付き合っているようです。

 しかも、その「テニス友達」と「カラオケ友達」と「旅行友達」が合流して、みんな友達になることも少ないんだそうです。「友達の友達はみな友達だ」という「いいともの輪」は、いつの間にかおとぎ話になっていたようです。

 確かにこれは合理的な人間関係と言えるかも知れません。一緒にテニスして楽しい友達だからと言って、彼女がカラオケも好きとは限らないし、旅行だって同じところに行きたいわけではないかも知れない。テニス友達と飲み友達を会わせたって気が合うとは限らないし、間に入って苦労するくらいなら、そんな面倒なことをする必要もない。うん、まさにその通りです。

 それに考えてみれば僕たちだって似たようなことをしています。近所付き合い?勘弁してよ。慰安旅行?会社の同僚だからと言って、プライベートまで一緒にいる必要はないはずだ、休日くらいは仕事と関係ない人と会っていたいよ。親戚付き合いは煩わしいから最低限にしたい、というのだって、血がつながっているというだけで親しくする必要があるのか、と言っているわけです。僕たちより上の世代から見れば、地縁血縁会社縁を疎かにしているドライな奴ら、と映っていることでしょう。

 こうして世代が下がるほどに我々はどんどんバラバラになっていくのでしょうか?これをもって和を基本とする、言い換えれば横並び好きではみ出すことを恐れる日本人にも個が確立してきたということになるのでしょうか?そんな気もするし、でも違うような気もするのは、若い彼らがそのくせ携帯電話で常に繋がっていないと不安なようだからです。それともあれも「電話友達」だからパートタイム・フレンドなのかなぁ。

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