幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 5月27日 ● 盗聴法案をなぜ公明党は通すのか。

 「自社さ」から「自自公」へと連立の枠組みが変わって以来、かなり強引なカタチで法案を通し始めた小渕政権。ガイドライン法案は安保体制の大きな変更と思われる割には、大した議論もなく成立してしまいましたし、国旗国歌についてもこの機会に一気に法制化してしまおうという、どさくさ紛れ的な勢いを感じます。

 これらはそれぞれについての是非を論ずる前に、とにかくチャンスだから数の力で懸案を押し切ろうという思惑が見え見えで、その志の低さにはうんざりしてしまいます。しかも景気は相変わらず全然回復していないのに、どうしてこれで小渕政権の支持率が上がっていくのか不思議で仕方ありません。

 そして、ダメ押しのようにさらに通信傍受法案(俗にいう盗聴法案)がにわかに成立する可能性が高まってきました。確かに凶悪な組織的犯罪に対して警察が電話などを盗聴して未然に犯罪を防いだり、検挙率を高めたりすることは必要だと思います。しかし、国家権力は決して善意だけで動く組織ではないということも肝に銘じておくべきでしょう。

 盗聴法案は警察が自分たちの判断だけで、勝手に一般人の電話やメールなどの内容を盗み聞き(覗き見)することができます。もちろん法律にはどういう場合に盗聴していいいかを定めるようですが、実際に現場でその線引きをするのは盗聴する側であって、盗聴される側ではありません。したがって、警察が自分たちで必要だと認めれば、どんどん我々のプライバシーを覗くことが可能なのです。

 これはとてつもない人権侵害です。過去の数多ある冤罪事件、また同様にやたらと多い警察官が起こす犯罪と、組織ぐるみの隠蔽工作などを見てもわかるように、警察は常に間違いを犯す可能性がある組織です。日本の警察は世界的に見ても優秀だ、という声もありますし、実際ほとんどの警察官は真面目に職務を遂行しているのだと思います。しかし、ほんのわずかでも腐った連中がいれば、彼らにとって有用な武器を与えてしまうのが盗聴法案なのです。

 民主党、社民党、共産党がこの法案に反対するのは当然ですが、僕はてっきり「人権擁護」を常に言いつのる公明党も、盗聴法案には反対するものだとばかり思っていました。公明党の言う「人権」とは創価学会員の人権であろうとも思いますが、実際創価学会は猛反対らしいです。思想集団と並んで宗教団体は常に国家から迫害される恐れがありますから、この手の法案には普通敏感なはずです。少なくとも、もう少しいろいろ盗聴するに当たっての制限事項なりチェック機関なりについて議論を重ねないと、警察がやりたい放題のままでは恐ろしくて学会はウンとは言えないでしょう。

 しかし、学会が反対してもなお、公明党は「自自公」路線に引きずられて盗聴法案を成立させる方向に動いています。そんなに政権側にいることが魅力的なのか、それともこの機会に学会離れを画策しているのか。まあ後者と言うことは考えられませんから、やはり公明党は学会に少々嫌味を言われても政権与党でありたいのでしょう。このまま自民党に良いように利用された挙げ句に捨てられて落ちぶれた社民党の二の舞を、公明党が演じなければいいのですがね。


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