幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 5月11日 ● 野茂50勝の価値。

 野茂がメッツを解雇されてから1ヶ月半、ブルワーズに移籍してようやく今シーズンのメジャー初登板、初勝利を挙げました。途中カブスでのテスト登板3回も結局メジャー採用には至らず、それでも耐えて粘って年俸も大幅にダウンしてようやくのブルワーズ入り。野茂のメジャー通算50勝目はまた格別の勝利の味がするでしょう。

 今の野茂なら、まだまだ日本のプロ野球界でも十分に通用すると思います。ブルワーズではわずか年俸25万ドルでも、日本に来れば人気と実力からしてその10倍、2億〜3億は確実です。しかし、それでも彼はメジャーにこだわりました。ブルワーズに入るまでの途中経過を見ていると、日本球界カムバックするという選択肢は全く彼の眼中になかったように感じます。

 野茂がそこまでメジャーにこだわるのはなぜか。いろいろマスコミも報道していますが、所詮本当のところは本人以外にはわかりません。ただ彼の積み重ねた50勝、そして876個の奪三振は、口の重い本人以上に雄弁に野茂の実力とプライド、そしてメジャーリーグの魅力を語りかけてくるような気がします。

 かつてマッシー村上という古い先輩がいたにせよ、やはり野茂はメジャーで活躍する日本人選手のパイオニアであり、本当に成功したと言える唯一人の男です。新人王を取り、オールスターの開幕投手をつとめ、ノーヒットノーランも達成しました。しかし、その実績を盾にして後は楽して日本で稼ごうなどということを一切考えない不器用なところが野茂の魅力なのです。

 最近のプロ野球選手、特にジャイアンツの若手はテレビタレントになるためのステップとして野球選手になったかのような錯覚を覚えるほど器用です。物怖じもせずカメラの前ではしゃぎ、野球は下手でも歌は上手い、そんな奴らばかりテレビで目にしていると、野茂のような本当の野球人の姿が何よりも頼もしく眩しく映ります。

 30才を過ぎて、決して野茂の先行きは明るいものではないかも知れません。それでも好きなものに挑戦し続ける彼の姿に、明るい感動を覚えてしまいました。野茂は本当に本場のベースボールが好きなんだな、ということがちゃんと伝わってきます。これではイチローも向こうへ行きたがるわけだよねぇ。

 


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