幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 5月5日 ● メリハリに乏しい古畑任三郎。

 この春のドラマで視聴率を稼いでいるのは、やはり予想通り『古畑任三郎』でした。僕も毎週きちんと見ているのは、これと『アフリカの夜』だけになってしまいました。もっともその『アフリカの夜』も、キャストの割にはちょっと退屈な展開で、もう少し我慢はできそうですが、果たして最後まで見続けられるかどうか自信はありません。そういう意味でも古畑には期待をかけているのですが、どうもイマイチですね。

 前にも書いたように、今シリーズの古畑は、以前の古畑に三谷幸喜自身が飽きてしまったのか、少々テイストが変わっています。特に違うのは今泉の扱われ方。第2シリーズでは深夜に今泉のミニ番組まで作るほど、この作品における彼の存在は偉大で重要なものでしたが、今回のシリーズでは単なるボケキャラにしか過ぎなくなり、出番も極端に少なくなってしまいました。

 代わりに西園寺刑事が活躍をしているわけですが、彼がいくら頑張っても単なるストーリーの進行役にしかならず、妙に全体が説明的になっている感じです。前なら古畑と今泉の掛け合いの中でストーリーが展開し、謎が解明されていったのに、そういう苦労の多いやり方を放棄して、楽に楽に話を進めていて、どうも全体に緊張感とメリハリが乏しい印象を受けてしまいます。

 その代わり妙に古畑研究本受けしそうなマニアックなところばかり目立っていて、例えば古畑が応援団で団旗を持っていたなんて話は、全然伏線にもなににもなっておらず、無駄な知識でしかありません。4日放送の回でも、大地真央演じる歯医者に古畑を紹介したのは「アンザイさん」だという会話がありました。で、誰だそれ?と思いながら見ていたら、来週の予告で津川雅彦演じる犯人が「安斎」という名前で出ていて、なるほどこれだなとわかるようになっています。

 以前から古畑マニアの間では研究されているように、この番組は昔からわざと放送された順番と事件の起きた順番を入れ替えてあります。正月のスペシャルでSMAPが犯人だった事件は、今回のシリーズの第1回(緒形拳の回)よりも後の出来事であり、4日放送分では「SMAPを捕まえた」と大地真央に言っているので、その間にSMAPの事件は起きたことになる、とかね。当然、来週の津川雅彦の事件は、今週の事件よりも前に起きたということになるんでしょう。

 ただ、そういう細かい遊びばかりに力が入っていて、肝心のストーリーの組み立て方が安易になっているという印象は免れません。三谷が古畑に関してはあまりやる気がないのか、それとも彼の最近のドラマが軒並み低視聴率だったように、三谷自身の才能が枯渇してきているのか。『12人の優しい日本人』『王様のレストラン』『ラヂオの時間』といった名作を数々ものにしている彼だけに、単にちょっと疲れているだけだよ、ということなら良いのですが。


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