「新入社員の感じたことは正しい」。会社の後輩コピーライターHくんのセリフ。もっとも彼も新入社員時代に先輩のコピーライターから教えられたセリフだそうですが、なかなか含蓄のある良いコピーです。
会社に入ってその会社のしきたりや慣習に馴染んでくると、だんだん社会の常識と自分の常識がずれてきます。最初のうちは「おかしい」と思ったことも、何回も繰り返す内にそういうものだといつの間にか思うようになってきます。
いま世の中で起こっている問題の多くは、この常識のズレに気づかないことが原因となっています。永田町の論理、というやつもそうですし、官僚の暴走も、会社のために不正するサラリーマンも、またIOCの委員たちも、みな自分たちの常識と社会の常識のズレをきちんと認識していないから問題になってしまうのです。
新入社員の時に感じた「これはちょっとおかしいんじゃないの」を新入社員諸君はそのまま大切にして欲しいですね。多分その普通の感覚は、会社に馴染んでいくうちに徐々にすり減っていってしまうのですが、それを社会人としての成長だなどと思うような「会社」人にはならない方がいいでしょう。
これは単に浅薄な正義感から言うのではなく、ひとつの会社、ひとつの業界のスタンダードだけに染まってしまうことは、本人にとっても大きな損失でしかないからです。もっとも、こんなことは新入社員にはなかなか会社は教えてくれないですから、よっぽど本人がしっかりしていないとダメですけどね。
|