幹事クリタのコーカイ日誌2026

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8月25日 ● 玉村豊男とテニス。

 エッセイストの玉村豊男が亡くなりました。そんなに年だったかなと思ったらもう80歳でした。もっとも昔なら平均的な寿命ですが、近頃は90歳前後まで長生きするのが「普通」になりつつあるので、80歳でも早い方かもと思ってしまいます。神足裕司といい、小田嶋隆といい、僕の好きな、ちょっとひねた物書きが次々と亡くなっていきます。60代で亡くなった二人に比べれば玉村は長生きした方になるのかも知れません。

 とは言え、僕が玉村のエッセイを読んでいたのは実は昭和の終わりの頃でした。玉村は38歳の時に軽井沢に移住しました。そして軽井沢という土地柄もあって、その年齢からテニスを始めたのです。初心者ながらテニスにはまった玉村はテニスエッセイ「軽井沢発 玉虫色庭球倶楽部」を発表しました。僕の手元にある初版で確かめたら発行は昭和63年7月20日。まさに昭和の終わり、40年近く前の古い話です。ちなみに僕がその2年半前に立ち上げたテニスサークルの名称は「昼下がり庭球倶楽部」ですが、玉村より先なので真似したわけではありません。

 テニスに関連する書籍のほとんどは技術解説本です。テニス人口が多い割に、テニスをカルチャーとして語っている本は希少で、しかも内容もあまり面白くありません。僕が今でも手元に残しているのは玉村の「玉虫色庭球倶楽部」と、村上龍「テニスボーイ・アラウンド・ザ・ワールド」の2冊だけです。こちらも1987年(昭和62年)発行の、今となってはすっかり昔の本になってしまいましたが、どちらもテニスというスポーツの「芯」を食ったテニス好き必読の良書です。

 そんなわけで、僕は玉村のエッセイをテニスから入って読むようになったのですが、玉村のテニスに関する著書はこれだけだったみたいで、ウィキペディアにはこの本すらも著書として掲載されていません。玉村は41歳で大病を患ったこともあって軽井沢から引っ越したようですし、それとともにテニスからも離れていってしまったのかも知れません。そしてテニスについて書かない玉村から僕も徐々に離れてしまいました。エッセイが雑誌に掲載されていたら、それがワインのことでも料理のことでも読んではいましたけど。

 せっかく引っ張りだしてきたので、玉村を偲んで「玉虫色庭球倶楽部」を読み直してみます。謹んでご冥福をお祈りいたします。



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