幹事クリタのコーカイ日誌2023 |
7月16日 ● 新旧王者の対決。 テニスに限りませんが、世代交代は必ず起きますし、その転換点になるような勝負もまた幾度もありました。かつて千代の富士が貴花田に負けた一番とかが代表的な例です。若き天才が絶対的な王者を真っ向から倒す。テニスでは19歳のフェデラーが29歳のサンプラスを破った2001年のウィンブルドン4回戦もそういう一戦でした。フェデラーが本格化するのは2003年のウィンブルドン優勝からですが、その先触れとなった劇的な勝利が2001年でした。 昨日のウィンブルドン男子シングルス決勝の第1シードのアルカラスと第2シードのジョコビッチの激闘も、そんなテニスの世代交代の歴史に残るような戦いでした。フェデラーと並ぶ8回目の優勝、そしてボルグとフェデラーの持つ5連覇、さらにマーガレット・コートが持つ男女通じて最多の24個めのグランドスラムに挑んだジョコビッチですが、1―6、6―7、1―6、6―3、4―6のフルセットで敗退してしまいました。 最後までどちらが勝つかわからないギリギリの好勝負でした。アルカラス20歳に対してジョコビッチは何と36歳。10歳差のフェデラーとサンプラスの比ではありません。16歳差もある世代交代の戦いというのは30代になると衰えが目立つようになるテニスではなかなかあり得ないパターンです。若き天才アルカラスも素晴らしいですが、それ以上に36歳になっても衰えないジョコビッチの力というものは図抜けていると思います。史上最強の選手は間違いなくジョコビッチでしょう。 ただジョコビッチが残念だったのはプレーではなくマナーの問題でした。第5セットでゲームを落とした後に、ネットポストにラケットを叩きつけてラケットを破壊したのです。ラケットを壊す選手は時々見受けます。決して褒められた行為ではありませんが、大抵はコートの端の方で地面に叩きつけて壊すパターンが多いです。ネットポストに叩きつけて、自分のラケットのみならずポストまでも傷つけるというのはかなり粗暴な行為で批判されるのも仕方ありません。 ジョコビッチが史上最強の選手であることは記録面から見ても否定するのは難しいですが、史上最高の選手は未だにフェデラーだと思えるのは、こういう「強さ」以外の人間性の部分で問題行動が多いからです。まあフェデラーが完璧過ぎるところもあって、それに比べられてしまうジョコビッチも可哀想ではありますが。 |