将棋は対局が終わった後に棋士同士が感想戦をします。１対１の対戦で決着がついた直後に当人同士が勝負を振り返るというのは、なかなか他の競技ではない珍しい慣習だと思いますが、勝ち負けを超えてお互いに高め合おうという精神が根本にあるからでしょう。素晴らしいことだといつも思います。

　それとはちょっと違いますが、僕もいつも発表会が終わると、動画をYouTubeに限定公開でアップして、音楽好きでいつも応援してくれている人たちに見てもらっています。前にも書きましたが、ほとんどの人は大人なので厳しいことは言わずにちゃんと誉めてくれます。失敗ばかりしているのでその優しさに心が癒されるわけですが、プロのミュージシャンの人たちは、その中でさりげなくアドバイスをくれるので、それがまた将棋の感想戦のように次に向けての学びと励みになっています。

　今回もすでに10人以上の人たちから感想をもらって、ひとつひとつ励みにしています。特に嬉しかった感想は音色が変わってきた、という言葉で、「温かくなった」とか「ジャズっぽくなった」とか「綺麗になった」とか言ってもらえるとニンマリしてしまいます。そういう音になりたくてやっているのですが、実際にどうなのか自分ではなかなかわからなくて、お世辞半分だとしても方向性としては間違っていなかったのかなと感じます。しかもそう言ってくれたのが、みな音楽で食べている人たち。まあ何を誉めれば喜ぶのかわかっているからこそということはありますが、続けていくモチベーションを高めることができました。

　前のサックスの先生からは「そろそろサックスをグレードアップしては」と言われましたが、自分でもそれはここのところずっと考えていました。ただこの１ヵ月半の間にエアコンや洗濯機などの家電とクルマの修理費で合わせて70万円以上の出費をしてしまい、今年はもうそんな気分でも経済状態でもなくなってしまいました。少なくとも年内は今のサックスでもっと練習を重ねて、もし自分でも限界を感じたら来年の発表会までに買い替えることを検討しようと思っています。