幹事クリタのコーカイ日誌2023

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4月23日 ● 『ラストマンー全盲の捜査官ー』初回。

 今クールのドラマでもっとも番宣を見たのがTBS系『ラストマンー全盲の捜査官−』とフジテレビ系『風間公親ー教場0−』でした。福山とキムタクの対決ということで話題になっていましたが、どちらももう20年以上前が全盛期の俳優ですから今さら感が強いです。とりあえず若干キャストが好みということで福山の方を見てみました。

 内容は大泉洋とバディを組む刑事物ということなので、ガリレオの二番煎じかと思ったら、本当にそうだったのでちょっとびっくりです。脚本は黒岩勉。これまで『謎解きはディナーのあとで』などのミステリーもいくつか手掛けていますが、僕がちゃんと見たのは『貴族探偵』と『メゾン・ド・ポリス』。どちらも「まあまあ」というか、キャスト頼みという感じでした。どちらかと言えばコメディ風味のミステリー系が得意なのかも知れません。そういう意味でこのドラマの脚本に起用されたのかなと思いました。黒岩ならこのキャストにはまるだろう、と。それほど、このドラマは福山雅治と大泉洋ありきで作られている感じがするからです。

 福山と大泉の掛け合いはほとんどいつもの福山と大泉です。完全に当て書きでした。それはそれで面白いのですが、反面刑事物ドラマとしてのリアリティは二の次なのかなという印象は強くなります。しかも福山はほぼガリレオです。全盲にしたのはガリレオの湯川学と差別化するためだったのかと思われますが、だったら現場に出ずに推理分析だけしていた方がリアリティがあります。全盲ではなく実はフリをしているだけで見えているというオチならわかりますが、あれだけ自在に動き回られたら白杖を持っているだけの人にしか見えません。

 そして福山を持ち上げるためとは言え、他の警察の人間があまりにも無能過ぎます。よくあるヒーロードラマの展開ではありますが、あれでは吉田羊以下全員が無能過ぎてクビでしょう。細かいことを言えば交番勤務の警察官が実弾を装填した拳銃を携帯しているのもおかしいし、代々警察庁長官の家系?どこの国の話でしょう。素人が見たって日本の警察をバカにし過ぎていて少し腹立たしくさえあります。

 今後は事件が解決されるたびに福山の協力者が増えていくという流れになるのでしょう。初回は今田美桜でしたが、次は永瀬漣でしょうか。大抵若者から素直に受け入れていくというのが定番ですから。この永瀬も含めて大泉、上川隆也、そして寺尾聡という警察庁長官の家系にも何やら秘密があるようですし、それが福山の来日理由とも関係しているとかで、そういう縦軸と毎回1話完結の横軸が交錯していくというのもよくあるこの手のドラマの定番手法です。

 キャストはいかにも日曜劇場らしく豪華ですが、もう少し細部まで気を遣った脚本や演出ができなかったものでしょうか。演出はもはや巨匠と言ってもいい土居裕泰です。かつては北川悦吏子と組んで『オレンジデイズ』『愛していると言ってくれ』『ビューティフルライフ』などの話題作を手掛け、近年は野木亜紀子と『重版出来!』や『逃げるは恥だが役に立つ』などもヒットさせました。他にも代表作が多い演出家にしてはツッコミどころ満載のドラマになってしまっていますが、何か理由でもあるのかと勘繰ってしまうほどです。

 頭脳を使う主人公が現場で動く刑事と協力して事件を解決するという形式なら『ガリレオ』や『ミステリと言う勿れ』がありますが、もしそれらが原作がしっかりしているからこそドラマも良かったということなら、今回はやはり脚本家の力量不足なのかも知れません。僕は福山と大泉の掛け合いや豪華キャストだけでも見る価値があると思うので今後も見続けるつもりですが、癖が強いキャストなので好みではなかったら見ないという人も多い気がします。



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