祝日なのに朝寝を楽しまずに８時にはテレビの前に座ってWBCの準決勝メキシコ戦を観戦しました。強いと聞いていたメキシコですが、確かにメジャーリーガー揃いで、特に投手陣の安定感が違いました。その上、日本の誇る佐々木、山本の両エースの継投なのに５点も取られるというのは想定外。さすが１次リーグでアメリカを破っただけのことはあります。

　日本は相変わらず村上が不調のままでチャンスを生かせません。７回にようやく吉田の３ランで同点に追いつくものの、すぐに８回２点を奪われます。その裏に代打山川の犠牲フライで１点差に迫り、９回裏は大谷からの打順。大谷は積極的に打ちにいき右中間への２塁打。ヘルメットを自ら放って一気に激走しました。次の吉田は１塁が空いているので案の定歩かされて、村上勝負となりました。

　ここまで３つの三振とファールフライで４打席凡退とチャンスをことごとく潰してきた村上ですから、ここは送りバントもあり得る場面ですが、栗山監督はヒッティングを指示。確かにここでランナーを進めたところで次は中野で、もう日本ベンチに強打者は残っていません。村上が打つしかないのです。さらに１塁ランナー吉田に代走周東。吉田を下げて周東を出したということは、もう延長戦もサドンデスも眼中になく、ここで決めるという指揮官の意思表示です。周東が帰ってくればサヨナラです。

　日本中の野球ファンが期待、というよりも祈りを込めて村上を見つめます。コンパクトに振り切った村上の打球はセンターオーバーの大飛球。２塁ランナーの大谷が一気に俊足を飛ばして帰ってきて、さあ１塁ランナーの周東はどうだ？と思った時にはもう大谷のすぐ後ろにいました。なんという足の速さ！１塁からあのスピードでホームに戻ってこられるのかと驚くしかありません。まさに「神足」。見事なサヨナラ勝利でした。

　これほど劇的な逆転勝利はマンガでもなかなか描けません。できすぎです。采配がはまり、それぞれの選手が自分の持ち味を出して勝利を手繰り寄せました。準決勝で苦しんで勝った勢いはきっと決勝のアメリカ戦に生きることでしょう。村上がこれで本当に復調したのかどうかはわかりませんが、栗山采配が当たったことは確かですし、チームの雰囲気は最高だと思います。

　明日の決勝の先発は今永。良いと思います。今日佐々木と山本を使ってしまった以上、あとは全員で繋いでいく総力戦です。戸郷、宮城、高橋圭あたりが第２先発で、伊藤、高橋宏、宇田川らも出番があるかも知れません。そしてダルビッシュは投げるのかどうか。もし点差に余裕があればクローザーをダルビッシュにして2009年の再現の可能性もありそうです。