幹事クリタのコーカイ日誌2023

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2月4日 ● 手塚治虫の『漫勉』。

 NHKのEテレで不定期に放送している『浦沢直樹の漫勉neo』。新シリーズ第1回が手塚治虫でした。故人を取り上げるのは初めてだということですが、本人がいないのにどうするのかと思ったら、アシスタントをしていた石坂啓ら3人が参加して、浦沢と手塚のマンガへの取り組み方、描き方、作画法などについて探っていくという構成で、手塚のマンガを読んで育ったマンガ好きとしては実に面白い回でした。

 最近発掘された資料ということで、手塚の原画や未掲出原稿などもふんだんに登場して、並行する連載をこなす量産のための工夫、色へのこだわりや、ペンの持ち方から線やキャラクター造形について推測したり、『ブラックジャック』や『火の鳥』などの名作に込められた思いなどを深く語っていきました。

 1970年代から1980年代の手塚の話が多かったですが、当時連載を毎週愛読していた身としては、リアルタイムで作品に触れていただけに、より興味深かったり、理解できる話題が多かったです。『ブラックジャック』が劇画ブームで「オワコン」化しつつあった手塚の勝負作であったことは良く知られている話ですが、実際に初回のブラックジャック登場シーンの目の大きさへの迷いを実際の原稿で見ると、手塚の気持ちがひしひしと伝わってくるような気がしました。

 手塚が亡くなる数年前にインタビューで「あと40年は描くよ」とアイデアがまだまだ頭の中にあると語っている映像を見ると、何でさっさと死んじゃったんだと返す返すも残念になります。日本のマンガとアニメは手塚がいたからこそ世界に誇れる文化になったのだと誰もが言いますが、改めてその通りだなと痛感させられた回でした。



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