幹事クリタのコーカイ日誌2022

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10月27日 ● お金のことを考えたくない人。

 いま50代半ば以上が一番気になるのは「老後資金」だという人が多いでしょう。と言うか、気にしていない人なんて全体の1%の富裕層だけで、99%のプチ富裕層以下なら誰でも気になるはずです。上の世代のように、将来十分な年金が貰えるわけでもないですし、逆に教育費や住宅ローンはたっぷり払ってきたし、しかも専業主婦がまだ多い世代ですからシングルインカムで世帯年収は大したことはありません。さらにバブル期を若い頃に経験しているので、金遣いが荒く、ついついプチ贅沢をしたり旅行や外食やブランド品に浪費をしがちな世代です。

 なにより金融教育を受けていないどころか、お金のことを考えるのを避けて生きてきた人が多いです。我々世代が学校に通っていた頃は「子どもはお金のことを気にしなくても良いんだ」と言われていましたし、若手社会人の時には「ちまちま金を残そうなんて、小さくまとまるな」と先輩から教育されてきました。まだ高度経済成長の名残りがあって、若いうちは給料が安くても、将来は右肩上がりに増えていくんだから大丈夫だと言われていたし信じていた最後の世代です。

 ところが実際にはバブルが崩壊してから「失われた30年」に突入し、社会人生活の大半を不景気の下で過ごしてきました。この間に日本型の給与体系はどんどん破壊されて、右肩上がりの昇給どころか、査定は厳しくなり、役職定年が設けられ、中年以上の給料は下げられる一方です。退職金まで引き下げられるし、ポストは減るし、天下りもできなくなるし、そのくせ税金や社会保険料は上がるばかり。そしてとうとう今年インフレがやってきて給料は上がっていないのに物価が爆上げを始めました。

 今や円安で海外旅行に行けず、原材料費の高騰で外食もバカ高くなり、車を買いたくても中古車価格すら跳ね上がっています。旅行、外食、車という、この世代が大好きな贅沢が何もできないのに、老後資金が足りない?もうそんな暗い話は聞きたくないよ、という還暦前後のオジサンのなんと多いことか。最近僕が話す同年代が「クリタさん、投資とか運用を教えてよ」と言ってきます。僕は投資の専門家ではないですし、むしろお金を使う方が好きな人間なので、人に教えるような立場ではないのに、僕なんかよりはるかにお金のことを知らないし考えてこなかった人が本当に多いんだと最近感じています。

 しかも、教えてと言われたから、仕方なく基本的な投資の話をするのですが、すぐに「わからない」「無理」「怖い」と言いだします。「株は怖い」「不動産投資なんて無理」「でもすぐにお金を増やしたい」。元本保証でお金が年利40%で増えていく商品なんてないし、そんな商品を勧められたら100%詐欺なんですが、なぜか「銀行の人が勧めるから」なんて口車に乗って、そういう商品に退職金を1000万円以上投じようとします。話を聞いていると頭が痛くなります。

 そもそもお金のことは人それぞれなので唯一の正解なんてありません。自分で勉強して、自分の状況に応じて考えるしかありません。なのに考えたくないから簡単に、しかもタダで答えを欲しがるので困ります。考えない頭は無駄な重しなので、ちゃんと使ってほしいものです。自分で考えて失敗したら経験と知見になりますが、人の言うままにやって失敗したら、その人を恨むだけなのでやめた方が良いです。



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