幹事クリタのコーカイ日誌2022

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10月7日 ● 超天才が活躍するマンガ。

 マンガの世界は天才だらけですが、主人公が隠れた才能を持つ雑草育ちの天才という形がひとつの典型的な構造になっています。秘めた才能がありながら埋もれていた主人公が、ある時にその才能を発見されて、エリート育ちで天才と言われているけれども実は努力家のライバルと切磋琢磨していくというのが黄金パターンです。『巨人の星』の星飛雄馬と花形満、『ガラスの仮面』の北島マヤと姫川亜弓、 『ピアノの森』の一之瀬海と雨宮修平などが雑草育ちの天才と、エリート育ちながら実は努力家という組み合わせです。

 僕は昔からこの手の主人公とライバルの物語を見ていると、ライバルが可哀想に思えてなりませんでした。周囲からチヤホヤされているけれども、実は白鳥が水面下で懸命に足を掻いているように秘かに頑張っているのに主人公に負けてしまって報われないのですから。何よりライバル自身が主人公の天才さを誰よりも理解していて、敵わないと思っているのが切ないです。『SLUM DUNK』の桜木花道と流川楓のように、むしろ天才という点ではライバルが上回っていてくれたらスッキリするのですが。

 そんな中、いま少年サンデーで連載中の将棋マンガ『龍と苺』(柳本光晴)は主人公が天才として突き抜けすぎていて、そこが気持ちが良い作品です。2020年から連載を開始していますが、始まった当初から僕は面白いと思っていました。絵は決して上手いとは言えませんが、主人公や周囲の人物のキャラクターの作り方と、展開のテンポの速さが素晴らしいです。主人公は女子中学生の藍田苺ですが、とにかく異常なほどの才能故に、切磋琢磨するライバルがいません。進歩が早過ぎて同じ年頃のライバルがついてこれないのです。

 どんどん強くなっていってしまうので、連載開始からわずか2年ほどで、早くも当初のラスボス的な目標であったトップ棋士・伊鶴航大 との対局が迫ってきています。このままでは連載がもうすぐ終わってしまうのではないかと思うのですが、どういう終わり方をするのか、もしくは終わらせないで次の展開があるのか、作者が何を考えているのか興味深いです。



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