幹事クリタのコーカイ日誌2022

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7月15日 ● 国葬。

 安倍元首相の国葬をするという岸田首相の発表に賛否が渦巻いています。国葬と言えば吉田茂しか戦後には例がないわけですが、そもそも戦前にあった「国葬令」は敗戦により失効していて今は国葬に関する法律はありません。吉田の国葬は国会の閣議決定による異例のものだったわけで、その後は国葬が行われていないのもそういう意味では当然です。なので国葬の法制度が廃止されているのに国葬を敢えて行わなくても、中曽根元首相のような政府・自民党の合同葬が適当なのではないかと思います。

 野党からは「弔意を国民に強制することになる」「国家が国葬として国民に政治的評価を事実上強制する」「神格化されるような国葬を行うこと自体がおかしい」というような意見が出ています。人によって政治的評価が大きく分かれる安倍元首相ですから、当然こうした声が上がるのも予想できたことでしょう。僕には岸田首相が物議を醸し国内で分断を進めるきっかけになるような国葬を敢えて行うと発言したこと自体が驚きでした。

 まだ亡くなってから日が浅いのに、岸田首相がこんなテーマをぶち上げてきたのは、参院選の大勝と、重しになっていた安倍元首相がいなくなったことで政権運営に強気になった、もしくは調子に乗っているのではないかと思います。もう少し世間が落ち着いたところで、しっかりと議論を重ね熟成させていくのがこれまでの岸田流だったのに、慎重路線が消えて「聞く力」も今後は怪しいかも知れません。

 もっとも世間が落ち着いてからでは、国葬に対する否定的な意見が増えるだけです。テロのきっかけとなった旧統一教会の非道さや、安倍元首相や自民党との関係もどんどん報道されるようになってきていますし、これからもっとカルト宗教と政治家の関係は否定的に取り沙汰されることでしょう。国葬をしたいならまだ反対しづらい空気が残っている今のうちという計算も働いているように感じます。

 僕はそんなに岸田首相が国葬をしたいならすれば良いとは思いますが、今回は戦後77年間で一例しかないことを急にやろうとするから騒ぎになるわけで、国葬をもっと頻繁に行えばいちいち騒がなくなるのではないかという気もします。ある程度の年数を務めた首相経験者は国葬にするとか、芸能人や文化人が死んでから国民栄誉賞を渡すくらいなら、そういう人は国葬にするとか決めちゃえば良いんじゃないですかね。



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