幹事クリタのコーカイ日誌2022

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7月12日 ● 統一教会と言わなかったメディア。

 安倍元首相銃撃事件の直後から犯人が動機として上げた「某宗教団体」の名前が隠されていることにネット上では不審と不満の声が上がっていました。今回のテロが犯行直後に語られていた「民主主義への挑戦」ではなく、個人的な怨恨だったとしたら全然犯行の意味合いが違ってきます。ところがテレビや新聞はこの犯人がはっきりと語っている動機を詳しく報道しないまま選挙の投票日を迎えてしまいました。

 そして投票日翌日に「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」が会見を行うとなってようやくテレビと新聞は名前を出して報道しはじめました。金曜日昼の事件発生から月曜日まで随分時間が過ぎています。事件翌日からネットや雑誌、そして海外メディアではとっくにその名が報道されているのにも関わらず、投票が終わるまで隠したわけで、タイミング的にテレビと新聞が何らかの忖度していたと勘繰られても仕方ありません。誰に?もちろん自民党にです。

 旧統一教会と自民党、特に安倍元首相が近いことは結構知られていることです。もともと祖父である岸信介が統一教会を日本に連れてきたと言われていて、岸・安倍家と統一教会は長い付き合いだからです。母親が統一教会に献金しまくって破産して一家離散、結果自分の人生を台無しにされたと恨んでいて、最初は統一教会の幹部を狙ったけれども難しいので、ターゲットを安倍元首相に変更したという犯人の供述は、だからと言ってテロをしていいということにはなりませんが、犯罪にいたる思考の筋道は通っています。そして多くの人が「某宗教団体」と聞いて「統一教会?」と思い浮かべたことでしょう。

 しかしそれを広く投票日前日に世の中に知らしめて欲しくないと自民党は思ったのでしょう。若い人はあまり知らないかも知れませんが、ある一定の年齢以上の人にとって「統一教会」のイメージは「オウム真理教」と大差ありません。「集団結婚式」や「壺を売りつける」カルト教団です。そんな怪しい宗教団体と結び付けられるよりも「民主主義の殉教者」となった方がイメージが良いことは間違いありません。

 そこで自民党とテレビ・新聞との間でどういう話し合いがあったのか、もしくは何もなかったけれども勝手に大手マスコミ側が忖度したのかはわかりませんが、選挙後まで統一教会の名前を隠し通したことだけは確かです。選挙が終わり旧統一教会が会見を開くというので、ようやく名前を報道したというのでは、ジャーナリズムではなくスポークスマンに過ぎません。

 テレビと新聞だけが情報を隠していたという今回のことは、ますます両メディアに対する人々の信頼を失わせることになるでしょう。それが圧力ではなく自ら忖度してやったとなれば完全にメディアの自殺です。そして多分「統一教会」の名前を出したところで自民党が圧勝した選挙結果にそれほど大きな差はなかっただろうと思います。単に忖度したことでテレビと新聞の信頼が失墜しただけでした。



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