幹事クリタのコーカイ日誌2022

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6月24日 ● 小田嶋隆とパソコン。

 コラムニストの小田嶋隆が亡くなりました。と言っても、一部の人しか小田嶋隆のことを知らないかもと思います。近年は毒舌の反権力のコラムニストとして特にtwitterでよく物議を醸している人という扱いでしたが、僕にとってはテクニカルライターとして黎明期の日本のパソコン文化を広めた人です。

 僕がパソコンにはまっていたのは1990年代のことで、それ以前に1989年からワープロでパソコン通信を始めたのがきっかけでした。学生時代は純粋文系だったのでそれまで全然興味がなかったパソコンですが、パソコン通信を始めてから俄然興味が湧いて当時のパソコン雑誌を次々と買っては情報を読み漁っていました。

 まだド素人だった時代には「I/O」「月刊アスキー」などごく限られたマニアしか読まない専門誌はあまりにも敷居が高く、少しでも一般的な専門誌として「日経パソコン」「Oh!PC」 などを読んでいましたが、そのうち「ASAHIパソコン」「EYE-COM」と言った初心者向けのパソコン雑誌が創刊されるようになりました。そこに初心者向けの面白コラムを書いていたのが小田嶋隆でした。

 それまでのパソコン雑誌はマニアのための雑誌だったので、小田嶋のような軽妙でわかりやすいコラムなどありませんでしたし、いかにも理系の人間が書いた理屈っぽい面白みのないテキストに比べて、小田嶋の文系ならではの斜に構えていて癖のあるもってまわった言い回しのコラムは僕の性に合いました。彼はテクニカルライターとしては異例のヒットコラムニストになり、やがてコンピューターだけではなく広く世の中の事象を斬るようになっていきました。

 2008年から連載を続けていた『ア・ピース・オブ・警句』は日経ビジネスオンラインで一番人気のあるコンテンツとして読まれていました。僕も長年愛読していましたが、最近は病気がちで休載も多く健康状態を心配していました。いきなりの訃報には驚きました。まだ65歳。実に残念です。コラムニストとしてはナンシー関を失って以来のショックです。ご冥福をお祈りします。



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