幹事クリタのコーカイ日誌2022

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6月15日 ● 飛んでイスタンブールの時代。

 先日テレビで庄野真代が紅白歌合戦で「飛んでイスタンブール」を歌う映像を見ました。懐かしいなと思うと同時に、この頃からやたらと外国のイメージを利用したヒット曲が増えたなと思いました。僕が10代後半の頃だったと思います。調べてみたら「飛んでイスタンブール」は1978年。この年のヒット曲には「カナダからの手紙」もあり、翌1979年には「ガンダーラ」「魅せられて」「カリフォルニア・コネクション」「アメリカン・フィーリング」「カサブランカダンディ」、1980年には「異邦人」「パープルタウン」「南回帰線」「謝肉祭」などがありました。

 それまで庶民には縁遠いと思われていた海外旅行が少しずつ一般的になってきた頃です。まだ70年代は新婚旅行も南九州か沖縄、北海道あたりが主流でしたが、80年代に入るとグアム、サイパン、香港などになり、さらにハワイ、そしてアメリカ西海岸やオーストラリアへと徐々に広がっていきました。僕が結婚した1986年には新婚旅行の一番人気はヨーロッパになっていました。僕も無理してバルセロナ、ミラノ、ブリュッセル3都市周遊に出かけたものです。

 ヒット曲はそうした海外旅行ブームを先導するような形でイメージ作りに貢献しました。恐らく広告代理店が仕掛けた部分もあっただろうと思います。テレビCMも海外ロケがどんどん増えて、僕が会社に入った1983年には、大手企業なら莫大な予算をかけた海外ロケが当たり前のような雰囲気が社内にありました。今から思えばバブルへと繋がる道がすでに開かれつつあったのでしょう。日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」へと驀進を始めていました。

 歌は世につれ、世は歌につれ。あの頃から約40年。今は海外をイメージしたヒットソングなんて流行りません。ニューヨークやロンドン、はたまたアフリカとかシルクロードとかに憧れる時代でもありません。コロナが収まれば海外旅行にと思っていた人たちも、この歴史的な円安局面では躊躇する人も多いでしょう。一生懸命働いてお金を貯めたOLたちがツアーでパリやローマに出かけ、エルメスやルイヴィトンのバッグを買いあさっていたあの頃はもう戻ってこないんでしょうね。貧しくなったのかも知れませんが、今の方が真っ当なのかもとも感じます。



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