幹事クリタのコーカイ日誌2022

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4月15日 ● 1983年4月の東京ディズニーランド。

 新入社員の季節です。最近の新入社員はずっと同じ会社に勤めるという意識は低いと思いますし、入社したけどすぐに退職したという話もよく聞きます。僕が新入社員だった39年前はもちろんそんなことはなく、今では古臭い絶滅危惧種と言われている「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」が全盛の時代。会社は一家、同期入社は兄弟も同然。一緒にバカやって遊んで仲良くならなければといけないと考えられていました。

 実を言うと僕はその感覚に当時から馴染めず「会社って仕事しにいくところでしょ?」と内心は思っていたのですが、さすがの僕でも新入社員なのにそれを口に出すのは憚られたので、同期や先輩との飲み会も付き合っていました。そんな1983年4月。開園したばかりの東京ディズニーランドに同期で遊びに行こうと誘われました。ディズニーランドが日本にできたことは知っていましたが遊園地には全然興味がなかったので、休日は映画を見に行くとかしたかったのですが、せっかく誘ってもらったし、まあ良いかと思って行くことにしました。

 4月16日土曜日。天気は快晴。会社の前に集合して車に分乗して千葉まで。男6女4の10人。ほとんど予備知識もなく行ったディズニーランドはこれまで見たこともないまさに夢の国でした。たかが遊園地と思っていたイメージが完全に覆されました。カリブの海賊もホーンテッドマンションもイッツアスモールワールドもスペースマウンテンも、そのイマジネーションと完成度の高さは衝撃的でした。開園当時は今のように混雑もしていなかったので、待ち時間も短く一番人気のスペースマウンテンでも15分程度並べば乗ることができました。

 実は前日の金曜の夜に歌舞伎町のゲームセンターで遊んでいる間に財布をすられてしまい、当時住んでいた寮のみんなにお金を貸してもらって行ってました。入園して急いでミッキーマウスの財布を購入しました。一緒に行った他の同期は東京在住のお坊ちゃんお嬢ちゃん達で、僕とは育ってきた環境が全然違います。丸一日一緒に遊んでいて東京の連中はノリが違うなぁとつくづく感じていました。確かに楽しい休日でしたが、内心では果たしてこの会社でずっとやっていけるのだろうかと改めて不安になったのを今でも鮮明に覚えています。

 夜遅くに寮に戻ったら、住んでいるのはみんな地方出身者なので少し心が平静に戻りました。あの頃は東京の文化が地方に伝わるのに2年かかるとか揶揄されていた時代です。3か月後の夏に名古屋に戻ったら、すっかり自分も東京に染まっていたので今度は「なんて遅れているんだ」と思いましたが、内心ちょっと安心もしました。ディズニーランドの自慢話を地元の女友達に盛大にしながら「木綿のハンカチーフかよ」と思ったものです。あんなフワフワした新入社員がよく39年間も同じ会社に居続けられたなと我ながら感心します。今の新入社員には何の参考にもならないとは思いますが、もし新しい環境に馴染めず不安に思っている人がいたら、続けようが辞めようが何とかなるもんだよ、とだけ言いたいです。



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