幹事クリタのコーカイ日誌2022

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4月8日 ● 安子とアニーのミッシングリンク。

 「カムカムエヴリバディ」が終わりました。最終回は数々の伏線回収でほぼ15分間を使い切ったと言っても良いでしょう。ラストシーンはひなたとビリーの未来を感じさせるものでした。後味は悪くありません。ただ、おまけのような細かい伏線回収に時間を取られてしまって僕が期待していた肝心なことは全く描かれないまま終わってしまいました。それが残念でなりません。

 なぜ安子はアニーになったのか?この大きなテーマが全く触れられないままだったのです。アニーが安子かどうか、あれだけわかりやすいヒントを次々と出されても視聴者の間で議論になったのは、アニーと安子が全然結び付かない人物像だったからでした。あの安子がいくら半世紀経ったからと言ってアニーのような人になるのか、という疑問です。見た目の問題だけではありません。性格も違いますし、そもそも和菓子作り一筋の安子がどうして映画のキャスティングディレクターになるのか、全くわかりません。安子ならアメリカに渡ってもやはり和菓子を作るだろうし、ハリウッドで働くような押しの強い性格とはとても思えません。ちゃんとロバートと結婚したならアメリカで偽名を使い経歴詐称する必要もないはずです。もちろん日本語を話せることを隠す必要もありません。

 だから安子がアニーになった経緯をきちんと丁寧に描いてくれないと、アニーに安子として振舞われても見ている方は腑に落ちないのです。安子とるいとひなたの3人が肩を並べてあんこのおまじないを唱えても「なんか違う」と感じてしまいます。森山良子演じるアニーが、上白石萌音演じる安子なんだと視聴者が納得するにはそれなりの時間と説明が必要です。空白の50年間に安子に何があったのか、せめて1週間使って描くべきだったのではないでしょうか。それをしないでアニーが安子かどうか延々と引っ張ったり、余計な小ネタの伏線回収をしている場合ではなかったのではないかと思います。

 過去に見てきた朝ドラの中で僕の歴代ナンバー1は「あまちゃん」でしたが、「カムカムエヴリバディ」はそれを超えてくるかと最終週直前まで期待していましたが、ちょっと惜しかったなぁという感じです。本当に面白いドラマだったし、俳優陣の演技も素晴らしかったし、演出、美術、小道具、音楽なども細部までこだわっていて半年間楽しめました。願わくばスピンオフドラマで安子の渡米後を描いて欲しいものです。



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