幹事クリタのコーカイ日誌2021

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2月10日 ● 負けても羽生結弦。

 SPで不運にも穴にはまってしまった羽生結弦。SP8位では金メダルの可能性はほとんどありませんでした。しかもダントツの1位がネイサン・チェンです。この段階で羽生がやるべきことは前人未到の「クワッドアクセル」に定まったと思います。もしこれがチェンと僅差で競り合っていたら成功するかどうかわからないクワッドアクセルに挑むのは憚られたかも知れません。しかし幸か不幸か、まあ不幸なんですが、大きく後れを取ってしまったせいで、気持ちは定まったことでしょう。チェンとの勝ち負けはSP2位の鍵山優真、3位の宇野昌磨に託したと割り切ったことでしょう。

 羽生の演技は清々しいものでした。残念ながらクワッドアクセルは失敗に終わったものの、全日本選手権ではトリプルアクセルへのダウングレード判定となりましたが、今回の挑戦で国際スケート連盟(ISU)が公認する国際舞台での「4A」が初めて認められたことになりました。素晴らしい挑戦でした。フリーの得点ではチェン、鍵山に続く3位、トータルではメダルを逃す4位でしたが、その得点以上にこれぞ羽生結弦という存在感を示すことができた見事な演技でした。

  羽生は進退については「これから考える」と言っているので、このまま引退をすることになるかも知れません。できることならクワッドアクセルを世界選手権で成功させてフィギュアスケートの次の扉を開いてからにして欲しいという思いはありますが、引き際は本人が考えることなので、ただのファンとしては見守るしかありません。

 それにしても今回の羽生の姿はソチ大会の浅田真央に重なって見えました。トリプルアクセルに挑み続ける浅田真央と精密機械のような安定した演技のキムヨナとの対比が、そのまま羽生とチェンに重なりました。リスクを負ってもチャレンジする精神は、潔さを良しとする日本人好みかも知れませんが、誰が見たって今回の羽生のスケートは素晴らしかったと思います。



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