幹事クリタのコーカイ日誌2021

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2月9日 ● 老後を決めるのは誰か。

 ネットでも雑誌でもいろいろなところで「老後資金」についての記事を見ます。あの「2000万円問題」以降、いったい老後資金はいくらあれば安心なのか、またどうやって老後資金を貯めるのか、もしくはどうやって支出を減らして年金の範囲内で暮らせるようにするのか、などなど。61歳再雇用契約の立場ではついつい気になって読んでしまうわけですが、書いてあることは大抵似たようなもので、老後を安心して過ごしたいなら「とにかく働け」というのが結論です。まあそりゃ働けるならそれにこしたことはありません。

 これは言い換えれば「老後の先延ばし」です。元来「老後」というのは現役を引退して働かずに生活しているから老後なわけで、働いて稼いでいるならそもそも現役なのですからまだ老後ではありません。なんとなく年金が貰えるのが65歳からだから「老後」は65歳以降と思ってしまいますが、55歳で早期リタイヤしたら56歳から老後ですし、90歳でもバリバリ働いていたらまだ老後とは言えません。老後は国やマスコミが決めるものではなく、自分自身で「ここから老後だな」と決めるものだと思います。

 今は元気なら働けるうちは働く、というのが理想のように言われていますが、バブル真っ盛りの1980年代後半は全然違いました。あの頃は早くリタイヤして悠々自適な生活を送ることが理想的な生き方だと考えられていたのです。大橋巨泉がセミリタイヤしたのは1990年56歳の時でした。また当時、僕のアメリカ人の知人は50歳でリタイヤしたと聞いて「さすがアメリカは違うな、カッコいい!」と思いました。

 その頃に会社の定年が55歳から60歳に延長になりましたが「60歳まで働くなんて冗談じゃない、50歳でリタイヤする!」と考えていました。年を取ってからでは体力がないからリタイヤしても海外旅行に行ったり毎日テニスをしたりして遊べないじゃん、と思っていたのです。まさか50歳どころか61歳になってもまだフルタイムで働いているとは、当時30歳手前の自分が見たら「なにやってんだ」と怒ることでしょう。「全然遊べてないじゃん」と。

 でも時代は変わってしまったのです。今は働くことで社会と接点を持ちながら、仕事と生活と趣味のバランスを取りつつ心身ともに健康的に生きていくのが一番スマートなんだよと当時の自分に教えてやりたいです。コンピュータとインターネットの普及で「リモートワーク」が可能になり、「働き方改革」によって「ワークライフバランス」を考え「QOL」を上げつつ「サステナブル」な働き方を続けていくなんていう、バブル期にはなかった考え方が広まりました。まあ「年金が減額になりそう」だから簡単に仕事が辞められないという本音もあるにはありますがね。



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