幹事クリタのコーカイ日誌2021

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12月16日 ● 強いと上手いの違い。

 テニスをしていて思うのは「強い」人と「上手い」人は違うということです。テニスが上手くても必ずしも強いわけではありませんし、逆に強くても上手いとは限りません。もちろん強くて上手い人もいますが、どちらかにバランスが偏っている人が多いです。これは本人の資質によるところが大きいのですが、本人がどちらを志向しているかにも左右されるようです。

 強い人は技術はそこそこでも身体能力の高さと戦術や駆け引きのような頭の良さ、そして何よりメンタルの強さで勝つことができます。逆に上手い人はもちろん技術は高いのですが、ここぞで勝負弱かったりパワーやスピードが足りなかったり怪我が多かったりして負けてしまいます。トッププロで言えばジョコビッチやナダルは「強い」でフェデラーや錦織は「上手い」です。もちろん彼らはどちらも高次元のところにいますから、あくまでもトップレベルで比べたらということですが。

 我々のような愛好家レベルではこのバランスが悪く極端な人がたくさんいます。やたらと筋肉オバケでパワーがあるので、それだけで押し切ったり、足が速くてスタミナがあるので、とことんボールも拾いまくって体力勝ちしたり、とにかく極度に負けず嫌いで、楽しんでテニスする人を辟易させて勝つタイプもいます。逆に自分にとって会心のショットを追い求めているタイプは技術偏重になっているので、勝ち負けにあまりこだわっていなかったり、ドロップやロブやアングルなどの小技を嫌って真っ向勝負しかしないタイプは上手いけど勝負にはなかなか勝てません。

 僕は40代まではどちらかというと「強い」志向でした。どんなにスーパーショットを打っても負けてしまっては意味がないから、自分の打ちたいショットではなく相手の嫌がるプレーをして勝ちにつながるテニスを目指していました。ただ50代も後半になってきた頃から「上手い」プレーヤーに憧れるようになってきました。強い人より上手い人の方が愛好家の間では評判が良いということもありますが、そもそも還暦近くなってきたらもうどうやっても体力的に勝つのが難しくなってきたからです。

 40代までは小技や駆け引きを駆使して20代30代の若者を翻弄して勝つのが楽しかったのですが、60歳になるともはやパワーとスピードで圧倒されてしまうのでよほど相手が未熟じゃないと勝てません。40代相手でも体力負けするようになってしまっては、これ以上「強い」を目指してさらに意地の悪いテニスをするよりも、「上手い」に方向転換して、お互いに気持ちよく楽しくプレーする方が気分が良いからです。

 「大人のテニス」というとパワーに頼らないで相手をテクニックで翻弄するようなテニスのイメージですが、さらに深めていくとお互いに楽しく良い時間を持てたと感じられるようなテニスこそが真の「大人のテニス」なのかなと考えています。もともとテニスは社交から始まっていますからこれぞ原点回帰です。と、言いつつ、技術を向上させることでやっぱり強くなれないかなとも秘かに思っていますけど。



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