幹事クリタのコーカイ日誌2021

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12月6日 ● 自転車の不都合な現実。

 僕は小学校1年生の時に自転車を買ってもらってから、大学3年生で自分の車を買うまでの14年間、ほぼほぼ自転車を乗り倒していました。どこに行くにも自転車を飛ばして出かけていきました。高校は最初のうちこそ電車とバスを乗り継いで通っていましたが、その後は最寄り駅に自転車を置いて駅から高校までのバス区間は自転車通学をしていました。

 あの頃の自転車は自分に移動の自由を与えてくれる羽根のようなものでした。高校の友人の家まで20km以上離れていましたが、自転車で1時間以上かけて行ったりすることもありましたが、特に苦になることもありませんでした。電車がストライキで動かない時に高校まで片道1時間かけて自転車で往復した帰り道、急に降ってきた土砂降りの雨の中をずぶ濡れで走っても、何故か妙にハイテンションになっただけで辛いとは思いませんでした。自転車は移動の自由の象徴でした。

 昨年コロナ対策の10万円の給付金で電動自転車を買いました。自分の自転車を持ったのは35年ぶりくらいです。買う前にはまた10代の頃のように羽根が生えたような気分になれるかと想像していましたが、実際に乗ってみたら空を飛ぶどころか地べたすら恐る恐る移動しています。1970年代と違って現在の道路環境は自転車を自由に走らせるには怖すぎます。車道を走れば大型の自動車がブンブンと走り至るところで配送のトラックが駐車して道を塞いでいます。歩道を行けばスマホで耳を塞いだ歩行者が道も塞ぎながら歩いています。

 車道では被害者に、歩道では加害者になるかも知れないと思うと、昔のように大胆に飛ばしていくこともできません。交通ルールを守り、周りの状況に細心の注意を払いながらゆっくりと走ります。長い下り坂でスピードスターに挑戦した時代は遠く過ぎ去り、今はブレーキいっぱい握りしめてゆっくりゆっくり下っていきます。もし転倒なんかしたら10代の頃と違って重大な怪我につながりますし、回復が遅いことも自覚しています。

 空も飛べるはずと思っていた自転車は、空から落ちて大怪我する可能性が十分にあると認識してしまった途端に羽根ではなくなってしまったのです。きっと交通量が少なく平坦で見通しの良い田舎道なら今でも自転車は羽根として機能するのでしょう。エコな上に健康にも良い素晴らしい乗り物なのに、今の日本の都会は自転車にとって不都合が多すぎます。



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