幹事クリタのコーカイ日誌2021

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11月24日 ● 中国でのテニスツアー撤退?

 ペン・シューアイ問題は先日ここで取り上げた後に一気に大きく膨らんできました。世界のマスコミが取り上げ日本でも政府の動きは鈍いもののマスコミも取り上げるようになりました。北京冬季五輪に向けて火消しを図りたいIOCはバッハ会長がペン・シューアイと電話で話したなどと言い「ぼったくり男爵」の面目躍如というか、人権よりも金という姿勢を顕わにしています。動画や写真も中国は出してきましたが、未だに世界のマスコミもテニス界も納得はしていません。

 WTAは強硬姿勢を貫いていて今後のテニスツアーの中国からの撤退を示唆しています。今やテニス界は中国抜きにして回らないくらい中国のマーケットに依存しています。特に女子ツアーはファイナルズを含む9大会を中国で開催していて、これはアメリカの8大会を抜いてトップです。秋は毎年アジアシリーズと呼ばれ日本でも大会が開かれますが、それも中国あってのことで、もし中国で大会が開催されなければアジアシリーズ自体が成立しない可能性があります。日本のテニス界にとっても中国撤退というのは大きく影響をします。

 WTAが自らのビジネスを大きく毀損することがわかっていてもペン・シューアイ問題にこだわるのはその成り立ちによるところが大きいと思います。もともとWTAはビリージーン・キングが男女の大会の賞金格差を問題にしたところが発端にあります。女子の大会の賞金を男子並みにしろという主張を通すために生まれた経緯がありますから、ジェンダー問題に決して目を瞑ることはないでしょう。中国はIOCを金の力で屈服させることができてもWTAは無理だとわかっているのでしょうか。

 親中派と呼ばれ「前世は中国人だったのかも」などというジョークまで言っていた男子ナンバー1のジョコビッチも今回はWTAに完全に同調しています。女子ツアーが撤退して男子ツアーだけが中国で開催するとしても男子選手も参加を拒否する可能性が高いですから、これはATPもITFも足並みを揃えることになるかも知れません。そのせいでアジアツアー自体が失われてしまったら日本のテニス界にとっても大きな損失です。

 中国はWTAの要求通りにペン・シューアイ本人と家族の無事と、性的暴行疑惑についての解明を示すことができるのでしょうか?日本で世界のトップ選手を見る機会が失われてしまうかも知れないのですが、恐らく政府もマスコミもそこは大きな問題にしないでしょう。冬季五輪のボイコットという話になれば大騒ぎするでしょうけど。



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