幹事クリタのコーカイ日誌2021

[ 前日翌日最新今月 ]

11月5日 ● 個人消費をアップするには。

 日本の経済がいつまで経っても立ち直れないのは構造的に問題があるというのは誰しもわかっていることだと思います。「人口減少」「少子高齢化」「個人消費の低迷」といったところが原因でしょうか。なによりまず人口そのものが減ってきている上に、その人口構成がいびつになり、さらに「低欲望化」でみんながお金を使わなくなってしまったからです。

 これもよく言われることですが「将来が不安だから金を使えない」という心理的な側面が個人消費に与えている影響が大きいと思います。特に若い世代はそもそも給料が上がらず昔のように「将来は給料が増える」という楽観的な見通しでローンを組んでまで大金を使うことができなくなりました。2000万円問題のような「老後不安」が煽られているので中年世代も財布の紐が固くなります。資産をため込んでいると思われる高齢者も一部の富裕層を除けば、多くは「人生100年時代」とか言われると、そんなに長生きして老後資金がもつのか不安になってお金を使えなくなってしまいます。

 どの世代も安心してお金を使えない空気が日本中に蔓延しているから、いくら個人資産がこんなにあるはず、とマスコミが言っても、それが経済を回す方向に働きません。現役世代の給料が上がるように安倍政権時代からあれこれ苦労していますが、経済の先行きが不安なままでは企業は怖くてなかなか賃上げに応じません。悪い方向に歯車がずっと回り続けている感じです。

 どこかでひとつの歯車を逆に回し始める必要があります。企業が内部留保を吐き出して賃上げするのか、政府が大胆なバラマキをするのか。どちらも恐らく難しいでしょう。やるとしたらまずは高齢者が貯め込んでいる個人資産を楽しみのためにどんどん使ってもらうことだと思います。そのためには高齢者に老後不安を煽って75歳まで働けとか脅すのではなく、逆に年を取ったら大いに人生を楽しもう、というキャンペーンを張るべきです。美食や旅行、趣味に金を使え、残り時間は短いし、墓場に金は持っていけないぞ、と政府は訴えた方が良いと思います。

 大事なことは高齢者が金を使って遊んでも良いかなと思わせるように金利を上げて彼らの資産が減らないように守ってやることです。今の低金利状態では貯えは減っていくばかり。それではすぐになくなってしまうという恐怖心があるから貯め込んだままです。アベノミクスで株価が上がることも大事ですが、株式投資をしている高齢者よりも郵貯や銀行預金にしている高齢者の方が割合はずっと多いでしょうから、インパクトを考えたらやはり金利がもっと上がらないと高齢者は安心して金を使わないのではないかと思います。

 人口的にもボリュームが大きい高齢者が個人資産を使うようになれば企業が儲かり、企業が儲かれば給料が上がって現役世代も若者も金を使えるようになります。悪循環の歯車が好循環へと逆回転を始めます。これだけ長く金融緩和政策を続けても効果がなかったのですから、逆に金利を上げてみるしか手がないんじゃないかと思いますが、きっと政府も日銀もやらないでしょうね。ひとつ間違えたら倒産する企業が続出するかもしれませんから。

 今後欧米の金利が上がってきたら、日本からますます金が逃げていくばかりなので、いよいよ日本は「ゆでガエル」的にどんどん貧乏国家へと転げ落ちていく気がします。本当は成長できる産業を育成して国際的に優位に立てる競争力をつけることが一番なんですけど、口で言うほど簡単ではないですから、まずは国民の「気分を変える」手立てを考えた方がいいかなと思います。



gooブログでも読めます「幹事クリタのコーカイブログ」

テニス好きなら「幹事クリタのテニス日誌」