幹事クリタのコーカイ日誌2021

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10月5日 ● 気候学者にノーベル賞の意味。

 今年のノーベル物理学賞にコンピューターによる気候変動予測の礎を築いた米プリンストン大の真鍋淑郎博士が選ばれました。東大出身ですが、研究をしたのはアメリカで米国籍ですから「日本人」としてカウントするのは微妙なところですが、南部陽一郎、カズオイシグロも日本人として数える場合もあるのでまあそこは良いでしょう。それよりも驚いたのはご本人もインタビューで答えていたように気候学者が物理学賞ということです。

 もちろん気候学は「気候物理学」ですから、化学賞でも医学生理学賞でもないのはわかりますが、やはりノーベル物理学賞というとイメージでは素粒子とか量子とか原子核とか分子とか宇宙とか、要は原子物理学、素粒子物理学、天体物理学あたりがメイン分野で、大気とか海洋とかの地球物理学は学際的というか物理学の境界線にある分野は対象外という感じでした。

 その気候物理学のパイオニア的な学者にノーベル賞が授与されるということは、ノーベル賞がいまこの分野を極めて重要だと考えているというメッセージです。真鍋博士の気候モデルがなければ、地球温暖化や長期的な気候の予測は不可能だったわけで、それはパリ協定も存在せず再生可能エネルギーなどの研究も進まなかったということです。これほど大きな人類史的なテーマをスタートさせた研究に光を改めて当てることで、温暖化対策を加速させるべきだとノーベル賞が主張していると考えて良いでしょう。

 また米国籍とは言え日本人の学者にその賞を与えることで、特に温暖化対策が遅れている日本および日本の政治家に対して尻を叩くという意味もあるのかも知れません。単純に「また日本人が取った」と喜んでいるだけで良いのかと思います。



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