幹事クリタのコーカイ日誌2021

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9月28日 ● 白鵬の引退と功罪。

 横綱白鵬が引退するそうです。秋場所千秋楽で照ノ富士の優勝を見届けての引退ということで、後継者ができたことを確かめての決断なのでしょう。本来ならもう少し早く引退したかったのではないかと思いますが、先に稀勢の里、日馬富士、鶴竜と引退をしてしまったため、白鵬が引退をするタイミングを逸してきたということもあるのでしょう。まずはここまで大相撲を支えてきた功労者として敬意を表したいと思います。

 白鵬が横綱として在位していた間は大相撲の闇が次々と表に出てきてしまった激動の時代でした。暴行も八百長も薬物もありました。不祥事続きで崩れそうな大相撲の屋台骨をほぼひとりで支えてきたと言っても過言ではありません。白鵬がいなかったら一体大相撲はどうなっていたのか想像もつかないほどです。

 また記録の面でも抜群でした。抜けなかったのは双葉山の69連勝くらいで、むしろこの連勝記録だけは保守的な相撲ファンのために聖域として敢えて残しておいてくれたのではないかと感じるほどです。特に優勝回数45回はまさに「空前絶後」と言って良いでしょう。20回優勝すれば大横綱と呼ばれる世界です。「平成の大横綱」貴乃花ですら22回なのにその倍以上です。まさかここまで白鵬が優勝回数を伸ばすとはさすがに予想できませんでした。

 これだけの功績があるのに、手放しで褒められるわけでもないのが白鵬です。特に晩年の取り口や土俵内外での態度、言動は批判され続けました。最初のうちはヒールの朝青龍に対してベビーフェイスの白鵬という立ち位置だったのに、朝青龍がいなくなってからは最大のヒールになってしまいました。張り手にかち上げ、審判批判やガッツポーズ、万歳三唱など「横綱としての品格」問題が常につきまといました。

 白鵬は確かに批判されるに値する愚行を繰り返しやらかしてきましたが、逆に言えば反面教師としての役割も果たしていたように思います。わかりやすく何がいけないのかを表現してきたことで、かえって若手力士への教育効果もあったのではないでしょうか。本人がそれを意図していたとは思えませんが、不文律、暗黙の了解を表に取り出してみせたという点では意味があったと考えても良いでしょう。

 日本国籍を取得した白鵬は多分今後は親方として協会に残るのでしょうが、指導者となった場合にどういう指導を弟子たちにするのかがまた注目です。歴代の大横綱たちは協会の中では現役時代の実績の割に冷遇されてきた人が多く、北の湖を除いて大鵬も千代の富士も貴乃花も理事長になれませんでしたし、弟子の育成もみな苦労しています。朝青龍にいたっては追放同然です。白鵬がそんな大横綱のジンクスを打ち破れるかどうかも気になるところです。



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