幹事クリタのコーカイ日誌2021

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6月26日 ● 利子の利子で食う。

 僕がまだ20代の若手社員だった頃、世の中はバブル景気に沸いていました。世の中の若い女性と金を持っているオヤジはディスコでフィーバーして、赤プリでシャンパン開けて夜な夜な豪遊していたそうですが、まだ若手で金のない僕はそれほどバブルに踊った記憶はありません。ただ周りが浮かれているので、そういう時代の端っこでフラフラと浮かれ気分で遊んでいたことは確かです。お金はなくても適当に使ってしまって、それでも何とかなるだろうという感じで過ごしていました。

 遊んでいるオヤジたちの中には投資にのめり込んでいる人たちもいました。当時の流行語は「財テク」で、国内や海外の別荘地に投資用マンションを買っているオジサンたちもいて、そういう人が「クリタくんも投資用マンションをオーストラリアあたりに買ってみたら?経費で海外旅行に毎年行けちゃうよ」などと勧めてきましたが、もちろんそんな金もないし全然ピンとはきていませんでした。

 ただ一人だけ、僕の上司だった人が言ったことは印象に残っています。「いいかクリタくん、いま金利が高いからと言ってその利子を使ってしまってはいかん。利子にも金利がつくのだから、その利子の利子で食っていけば金は増える」と教えてくれたのです。「利子の利子で食う」という言葉は強烈で、なんてこの人は手堅いんだろうとビックリしました。

 海外に投資用マンションを買って遊びに行く人を「攻めの財テク」、利子の利子を狙う人は「守りの財テク」と我々若手は呼んでいましたが、案の定、攻めは守勢に回ると弱く、バブル崩壊とともに「攻めの財テク」は破綻してしまいましたが、「守りの財テク」はバブル崩壊後も悠然としていました。バブル期にお金がないとそれほど楽しいこともありませんでしたが、バブルが崩壊しても生活に困るほどの大きな影響がなかったことは世代的に幸いだったと思います。

 「利子の利子で食う」と教えてくれた人は、要は投資は複利で手堅く運用しろという話をしてくれたわけですが、明日になればまた給料が入ってくるから今夜使っちゃえと「宵越しの銭は持たない」という刹那的な生き方をしている若手社員のことを見かねて忠告してくれたのでしょう。それで少し目が覚めた僕は、それまでわずかな定期預金しかなかったので、ちょっとずつお金をいかに運用するかということを考えるようになりました。

 もちろん最初は失敗も多かったのですが、積立の投信や貯蓄型の保険、さらには少しずつ株にまで手を出すようになって、定年までに30年くらい投資の勉強をすることができました。当時はあまり「守りの財テク」の言うことをわかっていなかったのですが、今となっては「利子の利子で食え」と教えてもらったことに感謝しています。



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