幹事クリタのコーカイ日誌2021

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6月19日 ● 映画『キングダム』。

 雨でテニスができなかったので、かねてから録画してあった映画『キングダム』を見ました。原作はまだ通して読んだことがありません。というのも、僕は基本的に「見てから読む」派で、先に原作を読んだらほとんどの場合、実写化はがっかりするので、敢えて映画を見ようと思ったら先に原作を読まないようにしています。今回の『キングダム』は公開後に賛否両論でしたが、特に原作好きにはあまり好評ではなかったようなので、特に先入観をもたずに映画を見ることに決めていました。

 細かいあらすじなどは今さらなので書きません。今回はまだ原作の序盤のストーリーをベースにしています。それでも2時間の作品なのでかなり物語を端折っているなとは感じます。話が単純でどんどん進んでいきます。ほぼあらすじだと言っても良いでしょう。わかりやすいので話に迷うこともないし、そういう意味ではエンターテインメントに徹した娯楽作品と言って間違いありません。

 雄大な中国が舞台ですが日本映画の予算では頑張ってもこれくらいなのかという残念さはあります。きっとハリウッド大作ならこの100倍くらいの予算をかけて驚くようなスケールで美しい映像を見せてくれることでしょう。売り物のアクションシーンもワイヤーが見えそうなくらいで、今どきもう少し何とかならなかったのかなと思います。あくまでも日本映画としては頑張っているというレベルです。

 あと古代中国の歴史ドラマにも関わらずセリフが現代的な日本語過ぎて、さすがにその言葉遣いはないんじゃないの?と醒めてしまうところが多々ありました。恐らく僕のような年配者ではなくもっと若い世代をターゲットにしている映画だから仕方ないのでしょうが、古代中国らしさが表現できておらず、史実をベースにした歴史劇ではなく架空の国のファンタジーかと勘違いしそうです。

 マイナスな評価が多いですが、それでもこの映画が最後まで見るものを惹きつける魅力があるとしたら俳優陣の演技と存在感です。主演の山崎賢人の単純バカでやたら熱い主人公・信のキャラクターの見せ方は否定的な意見も多いようですが僕は良いと思います。映画の中で徐々に成長していく姿をきちんと演じてみせています。評価が高い吉沢亮の「えい政」と漂の二役も見事でした。きちんと別人であることを演じ分けていました。特に目の表情の違いが見事でした。

 河了貂役の橋本環奈の小動物的な可愛らしさはこの映画の中でちょっと異質でした。世界観を壊すという見方もありますが、一服の清涼剤的というか、緊張感を緩和するキャラクターとして役立っています。敵役である「成きょう」役の本郷奏多は以前から僕は注目している若手俳優ですが、こういう役は実にはまり役で、見た目だけでもう十分なくらいに内面を表現していました。武将の中ではやはり王騎役の大沢たかお。これほど貫禄が出せる役者だとは驚きで、これまでの大沢のイメージを覆したと思います。

 そして何といってもこの映画で最高の評価を受けたのは楊端和役の長澤まさみでしょう。存在感、美しさ、色気、迫力、アクション、全てにおいて文句なしです。長澤まさみはやはりテレビドラマよりも劇場映画の方がそのスケールに似合っているスクリーン女優だなと改めて感じました。この映画は結局なんだかんだ文句を言いつつ、長澤まさみを見ていればそれだけで元を取れる作品です。



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