幹事クリタのコーカイ日誌2021

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6月10日 ● 周回遅れの感染対策。

 日本は毎日2000人程度の感染者数で「下げ止まり」とか言われて相変わらず緊急事態宣言も継続していますが、海外の感染者数を見るとフランスもイギリスも、もちろんアメリカももっと多くても経済活動を活発に再開しているようです。「こんな状況でオリンピックができるのか?」と言われていますが、欧米から見たらこの程度の感染者数でそんなに日本はダメなのかと思うのではないでしょうか。日本人がオリンピックをできないのではないかと不安に感じるのは完璧を求める日本人の気質や、不安を煽りたがるマスコミの性癖もありますが、なにより相変わらず精神論で我慢を強いるだけで科学的なエビデンスを軽視する指導者層の問題が大きいと思います。

 よく言われていることですが、病床数でも医療従事者数でも医療のレベルでも世界でトップクラスにある日本が、他国から見たらはるかに少ない感染者数で「医療崩壊」になってしまうのは、ガラパゴス化している日本の医療体制にあるということです。数多ある病床のほとんどは民間病院のものでコロナ対応に供されておらず、病床がどれだけあってもそこにコロナ感染患者はいません。同じく医療従事者も戦地のごとくコロナ対応しているのは一部だけで、多くの民間病院は「コロナで患者が減った」と嘆きながら暇をかこっています。もちろん現場の医療従事者の責任ではなく、システム構築をするべき立場の側の怠慢です。

 また検査を軽視して他国の「検査と隔離」という基本的な対策を学ばず未だに徹底もしていません。いま欧州では抗原検査キットをイベントのチケットなどに無料で同封しているそうです。簡単に検査できる抗原検査キットを日本では信頼性が低いからと普及させていませんが、コロナ感染初期ならともかく今ではかなり信頼性が向上したそうです。イベントの参加者は抗原検査キットで陰性なら入場OKとなります。これは少なくともよく店先などに置いてある怪しげな体温測定器よりもはるかに無症状の感染者を判別する上で信頼性が高いのですから、大規模なイベントやスポーツ観戦に限らず、飲食店や飛行機などの搭乗においても感染者の判別と隔離にかなり有効な手段になります。

 ワクチンの日本の対応の遅れについては散々いろいろなところで言われているので、ここで改めて書きませんが、とにかくさまざまなシーンでなぜ対策が周回遅れになってしまったのか、なぜ未だにこんな惨状なのかは今後の感染症対策のためにもしっかり検証していく必要があるでしょう。アメリカやヨーロッパのスポーツイベントがどこも観客を入れて行われているのを見るにつけ、なぜ未だに東京オリンピックが無観客でという議論になってしまうのか、またなぜ彼らがマスクをせずに酒を飲みながら会話に興じているのに、日本の居酒屋が倒産していかなければならないのか。もちろんオリンピックは規模が桁違いだからというのはわかりますが、それはそもそもわかっていたことで、そのために1年延期もしたのでしょう。ただ先延ばししただけで何の対策もしていないからこうなっているのです。

 国会での党首討論を見ながら具体論を言わずに「安全安心」ばかりを寝言のように繰り返す首相を見ていると溜息しか出ません。それでもオリンピックはやってくるんでしょう。



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